2016.03.16. なかつか亮 区議
日本共産党品川区議団を代表し、意見表明を行います。日本共産党は過去最高の1669億円もの新年度予算案に対し、格差と貧困を拡大する安倍政権の暴走から、地方自治の発揮で区民のくらしを守り抜く区政の実現に踏み出すよう、切実な住民要望や声を紹介、具体的提案と共に、その実現を求めてきました。
ところが、予算案の特徴は、地方自治の本旨である住民福祉の向上を、あらゆる分野で住民の自己責任や住民同士の助け合いに置き換えるなど、その役割を変質させるものです。
例えば子育て支援について、認可保育園の入園不承諾を受け取った保護者が2年連続で1000人を超え、「保育園落ちたの私だ」と切実に訴える非常事態に、濱野区長は1年半前の自らの選挙公約に「待機児ゼロ」を掲げながら、今年4月の待機児ゼロに必要な計画が無いばかりか、「待機児ゼロ」の実現を2年後に先送りとは許せません。
また、区立認可保育園の売却を含む民営化方針とは、低賃金の保育士を新たにつくるなど待機児解消に逆行です。待機児ゼロの実現へ、公立認可保育園の大幅増設、保育士の待遇改善を。子どもの貧困克服、子育て世代の負担軽減へ、給付型奨学金の創設とあわせ、認可保育園・幼稚園の保育料値上げ、すまいるスクール有料化の中止。引き下げを求めます。
高すぎる国保料について、国保滞納者から保険料を取り立てるほど、品川区への報奨金が増えるとは、いのち守る国民皆保険に反する事態です。国、東京都、品川区が国保料引き下げに拠出する3億6千万円は、区の負担軽減ではなく、区民の国保料の引き下げに使うべきです。
障害者差別解消法にのっとり合理的配慮の実現へ、当事者や家族の要望を丁寧に聞き取り、エスコートゾーンやだれでもトイレの設置、区役所窓口の磁気ループ設置など具体化。また、区民の移動を保障するコミュニティバスの運行を求めます。
アベノミクスを評価し「日本の経済は回復」など濱野区長の発言は許せません。商店や中小企業の厳しい経営実態に目を向け、経営存続への新たな支援策を求めます。
首都直下大震災から住民のいのち、くらし、財産を守る防災計画を自助の名で、自分で守れとは、自治体の役割を放棄するものです。被害の最大要因を取り除く、震災発生前の被害を防ぐ、予防対策の徹底を求めます。
武蔵小山など住み続けたいと願う住民を追い出し、商店街を壊し、ゼネコンの利益づくりに、税金を補助金として充てる駅前再開発事業、住民の強い反対運動に加え、法的瑕疵問題も指摘される29号線など特定整備路線、優先整備路線は、やめるべきです。
また、羽田空港への品川低空飛行計画について「夏の決定後に考える」では決まってしまいます。濱野区長は、国に市街地上空を通過しない海上ルートへの変更を求めるべきです。
公共施設等総合管理計画は、施設の統合・廃止ではなく、住民要望を把握し、新たな用地確保も視野に、特養ホーム、認可保育園、区営住宅など住民の暮らしを支える必要な計画の策定を。多様な住民要望に応えるため、旧第一日野小や荏原四中など学校跡地の活用、林試の森公園隣の小山台住宅など国有地活用のほか、跡地活用が未定のニコンを広域避難場所指定も視野に購入の検討。広町社宅の解体後について、再開発ではなく、暫定利用の活用や土地購入等を検討し、切実な住民要望に充てるよう求めます。
教育に格差を持ち込む、義務教育学校設置による複線化の中止。学校選択制で地域と学校の関係を壊しながら、新たに、地域住民に学校運営の参加を求める品川コミュニティスクールとは、教育改革のゆがみの表れです。いじめの克服は、「いじめ禁止」と子どもを規制の対象にするのではなく、いじめをしない子どもへの成長、発達を支える教育活動へ転換を求めます。学事制度検討は、学校統廃合ではなく、子どもの教育環境充実や地域コミュニティの核となる学校の計画的な建て替えを求めます。
いっぽう、区財政を見ると、ため込み基金の増額は、815億円から845億円へ過去最高額を更新。この先、1000億円を目指す考えも、再び示されました。住民の暮らしがこんなに厳しい中、過去最高を更新し続ける品川区の基金とは、区民税増収や消費税増税、国保財政の構造的問題を解決するための国庫補助金を受け取りながら、暮らし・福祉のための予算には充てず、基金にため込むという、ゆがんだ行財政改革に他なりません。
最後に、濱野区長は、立憲主義、憲法9条を壊す「戦争法」に反対しないばかりか、自衛隊員を戦場に送ることになる激励会を開催。さらに、日米新ガイドラインについて品川区が「協力は当然」と答弁です。まさに海外の戦争に、品川区そして品川区民が巻き込まれる危険性が浮き彫りになりました。濱野区長は戦争法にきっぱり反対すべきです。
なお、予算の一部に長年の住民運動が力に、感震ブレーカー、住替え・不燃化支援への助成創設、20歳からの検診など改善された個々の事業は評価しますが、区の根本姿勢、予算全体の特徴を変えるものでは、到底ありません。
以上、このような一般会計、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計の全てに反対し、地方自治の発揮で安倍政権の悪政から区民のくらし、福祉、立憲主義を守り抜く区政への転換を強く求め、意見表明とします。