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「リオデジャネイロオリンピック競技大会視察・調査への議員派遣」に対する反対討論

2016.05.26 鈴木ひろ子 区議

日本共産党を代表して、「議員派遣の件」についての反対討論を行います。

本件は、今年8月5日からブラジル連邦共和国リオデジャネイロで開催されるオリンピック競技大会に8月5日から11日までの7日間、2名の区議会議員を派遣するものです。

濱野区長より4月6日、「2020年の東京大会で品川区が3競技の会場になるに当たり、運営状況等確認のために文化スポーツ振興部長、オリンピック・パラリンピック準備課長など職員5人が行う視察に議員2名の同行を」との要請をうけたことによるものです。

議会運営委員会で、4月18日と28日の2回質疑され、共産、維新・無所属が反対、自民、公明、民進・無所属の賛成多数で議員同行が決定され、派遣議員については、第2会派の公明が辞退したため、自民と民進・無所属の会派となりました。

以下反対理由を述べます。

第1に、今回の品川区の視察そのものの必要性が不明確だという問題です。

品川区は、今回の視察は大会の運営状況を確認するために行うと述べていますが、そもそも2020年の東京オリンピック・パラリンピックの運営責任者は大会組織委員会です。大会組織委員会からの要請がないにもかかわらず、なぜ品川区が行く必要があるのか示されていません。しかも、中心の東京都とも事前になんの連携もとっていません。

34の競技会場が設けられる予定で、そのうちの2会場が品川区に設置予定です。23区中9区が会場予定地となっていますが、リオのオリンピック視察は品川区だけです。渋谷区議会がパラリンピック視察を行いますが、他の競技会場設置予定の7区はリオオリンピック・パラリンピックのどちらも視察予定はありません。なぜ品川区だけが行かなければならないのでしょうか。

視察内容についても、区は、競技の実施状況、パラリンピックの準備状況、ボランティアの状況、多言語対応を視察するとしていますが、漠然としたものであり、具体的な中身の説明を求めても示されませんでした。しかもこれらは、組織委員会や東京都と連携することなく品川区独自に具体化できるものではありません。また区は、自治体関係者やスポーツ関係者、文化イベントの主催団体と会えれば話を聞きたいと述べていますが、接触を調整しているが会えるかどうかはわからないとその確証もないまま、視察だけを決めています。 

第2に、住民の理解が得られない高額な視察費用の問題です。

視察費用は7人で2100万円余、一人あたり300万円です。

年収200万円以下のワーキングプアは1100万人を超え、働く人の4人に1人です。一人300万円の視察費はその年収の1.5倍にも当たるものです。子供の6人に1人、ひとり親家庭の5割超が貧困です。子どもたちが空腹を満たすこともままならない深刻な実態に子ども食堂が作られ、一食300円程度で提供されています。視察費総額の2100万円は7万食分に相当する額です。

しかも、これほどの高額な経費にもかかわらず、その内訳も示されていません。往復の航空券とホテル代、チケット代で一人200万円との説明ですが、航空券代がいくらなのか、ホテル代は1泊いくらか、観戦のためのチケット代はビーチバレー、ホッケーそれぞれいくらかについては「把握していない」との答弁でした。更に、現地の移動費、通訳で159万円、現地のツアーコーディネート代350万円、事前調整、アテンド料200万円との説明でした。いずれも高額な費用ですが、その明細は示されませんでした。あまりに不明朗な予算です。これでは区民の理解は得られません。

第3に、今回の議員派遣を決める進め方の問題です。

2回の議運の質疑では、議員派遣の要請を行った区の責任ある理事者は両日とも出席せず、議会事務局長からの説明のみ。資料は簡単な要請文と、7日間の大まかな行程表のみ。そこには、1日目専用車にて各種視察・調査、2日目「ビーチバレー」視察・調査、3日目「ホッケー」視察・調査、4日目終日各種視察・調査とあるだけです。私は、目的、具体的な視察内容、予算の内訳を示した資料の提出と担当する区の理事者の出席を求めましたが、委員長は取り合わず、資料の提出もありませんでした。

本日、議案として初めて本会議に提出されました。昨日の議運で私は「議場即決でなく、議会運営委員会に付託し、責任ある理事者出席のもと審議すべき」と求めましたが、議運委員長は「そこも含めて前回賛否をとった」とし、議場即決の起立採決を決定しました。

これまで、理事者は出席せず、議会事務局長が「理事者から聞いてきた話」として説明、委員の質問にもまともな答弁もされませんでした。議案として出された今議会で、理事者出席のもと審議を行い、これまで明らかにならなかった視察の必要性、費用の明細についての質疑が求められていました。それを行わず議場即決とするのは議会の役割を放棄するものです。

今、国政でも都政でも税金の使い方が大問題になっています。不明朗な税金の使い方をただしていくことが議会には求められています。

リオデジャネイロオリンピック競技大会に対して区が視察団を送ることはやめるべきです。ましてや区議を2名同行させることには根拠がありません。税金の無駄遣いと言わざるを得ません。日本共産党区議団はこの議案に対して反対し、計画の中止を求めます。

最後に、いま東京都と品川区がオリンピックを口実に熱中しているのは、巨額の税金を投入してすすめる巨大道路づくりや超高層ビル開発などです。オリンピックをテコにした、環境破壊と住民追い出しの「東京大改造計画」の推進、これはオリンピック憲章の精神と相いれません。

オリンピックの目的は、スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てることであり、人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会の推進です。日本共産党区議団は、オリンピック憲章の精神に基づき、誰もがスポーツを楽しめる施設や環境、地震に強いまちづくりやバリアフリーなどを思い切ってすすめることこそすべきと考えます。そうしてこそ、困難を抱える被災地も含めたみんなが歓迎できる東京オリンピック・パラリンピックになると確信します。

以上で反対討論を終わります。

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