2016.10.24 石田 ちひろ 区議
日本共産党を代表して請願第11号「ひろまち保育園の公設公営を求める請願」と請願第13号「ひろまち保育園を区直営にすることを求める請願」に賛成の立場で討論します。
両請願は、品川で初めての公設民営保育園、定員300人という大規模な「区立ひろまち保育園」を区直営保育園とすること、そして社会福祉法人夢工房が、開設からわずか4ヶ月で契約の合意解除と、子ども達にとって重大事態となった原因を明らかにすることを求めるものです。
以下賛成理由を述べます。
第一に、そもそもの契約の合意解除に至った原因が不明確であるという問題です。
区は原因を、保育方針に隔たりが生じたことと、姫路市での運営補助金不正流用で信頼関係が継続困難になったことと説明します。しかし区の保育方針は仕様書、覚書で、十分説明し承諾させたといいながら、それが開設後たった一ヶ月で、双方に認識のずれが出たと説明。うまくいかなかった理由を区は「実際に保育をしてみないとわからない」との答弁です。委託事業者の変更という子どもにとって重大な事態を、「やってみないとわからない」では、次の事業者でも同じことではないでしょうか。
また、仕様書や覚書には「看護師の配置」が明記されているのに、半年たった現在も、夢工房による看護師配置はありません。法的に配置義務のない看護師を、「必置」と説明してきたにもかかわらず、配置を守らせることができない。看護師配置について、区は、仕様書の不履行を認めています。結局、仕様書を守らせることができていません。
子どもにとっても保護者にとっても重大な委託事業者の変更について、契約を守らせることができない。業務委託という手法では子ども達を守ることはできないということです。
第二に、事業者交代を防ぐ術はなく、同じことを繰り返すという問題です。
事業者選定について、現在区は、ひろまち保育園と、区内で2園目の公設民営北品川一丁目保育施設の事業者選定を進めています。事業者選定について区は、専門職も含め現場を見てきたと説明しますが、これはひろまち保育園でもやってきたことで、同じことをくり返さないという保障がどこにもありません。保護者からも「次の事業者に問題が無いとは限らない」「転園を考えている」など不安と不信の声が上がっています。一番の被害者は子どもたちです。やっと慣れてきた保育園で最大に信頼する保育士が変わってしまうかもしれない。この不安は図りしれません。
今回の事態で、業務委託では区の保育方針や看護師配置など守らせる術はないということが明らかになりました。子ども達の安心・安全な保育を守るには、委託事業者交代というリスクのない区直営しかありません。
この間の質疑で区は、事業者選定に問題はない、区の責任はない、お互い問題なく契約の合意解除など、今回の重大問題を問題なしとして民営化を進める姿勢です。しかし契約の合意解除の原因は明らかにされず、改善の術もないのに、問題なしと居直る姿勢は、子どもや保護者、区民に対してあまりにも不誠実です。
初めての公設民営保育園で、開設後わずか4ヶ月で契約の合意解除。しかも今回の重大な事態を引き起こしたことについて、子ども達や保護者に謝罪したかどうか、迷惑をかけたと思っているかどうかについて、区はまともに答弁してきませんでしたが、先日の総括質疑で、ようやく「お詫びした」「迷惑をかけたと思っている」と認めました。179人の子ども達を路頭に迷わせてしまいかねないような重大な事態を引き起こした原因は、引き続き解明されなければなりません。あわせて、二度と繰り返さないため、保育園民営化方針は撤回し、事業者の変更を防ぐため、区立認可保育園は公設公営で運営していくことを求めて、賛成討論を終わります。