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南恵子区議 第95号議案「品川区災害復旧基金条例」と、第96号議案「品川区災害復旧特別会計条例」に対する反対討論

2016.12.7 南 恵子 区議

日本共産党品川区議団を代表して反対討論をします。

第95号議案「品川区災害復旧基金条例」と、第96号議案「品川区災害復旧特別会計条例」に反対の立場から討論します。

第95号議案 「品川区災害復旧基金条例」は、災害時における救助、復旧、復興の財源に充てるためとして15億円を積み基金を創設します。また、第96号議案「品川区災害復旧特別会計条例」は、災害時における救助、復旧、復興に対応するために特別会計を設置。来年4月1日から施行します。

日本共産党は、この2条例案については以下の理由から反対します。

はじめに、品川区災害復旧基金条例について反対理由を述べます。

第一に、今年の3月まで、災害復旧基金は必要ないといい続けてきた区の態度を180度変えて基金創設をする、その理由は明確に示されていません。区はこれまで「災害復旧の費用は、法律によって国及び都が負担する仕組みになっており、国は基金をつくるよう都道府県に義務付けている。あらかじめ地震基金を積み立てておく必要はない」と答弁してきました。さらに、今年の3月も、「今後とも基金ということではなく、一般財源の中から十分に防災対策としてやっていきたい」と答弁しています。

区は、今年4月に発生した熊本地震で、予算執行までにタイムラグが生じたことを理由にしていますが、具体的にどのような問題が起きたのかは明らかにされていません。むしろ国の予算執行の問題です。

第二に、有価証券に代えて管理するという問題です。

有価証券に絶対安全なものはありません。有価証券に代えた資金は、場合によってはただの紙切れになります。国の年金運用の失敗や、かつて品川文化振興事業団のアルゼンチン債がその具体的な例です。

次に、災害復旧特別会計条例について、反対理由を述べます。

第一に、区は来年度、特別会計に数十億円を積み増すといいますが、なぜ、数十億円もの特別会計をわざわざ設置する必要があるのでしょうか。本来なら、補正予算を組み議会の議決を経て執行するのが常道ですが、当初予算で数十億円もの予算を組み、その範囲内であれば区長の独断で資金を右から左へと自由に使える仕組みをつくることは問題です。当初予算を組むについて、今後1年間にどのような災害が起こるかを予想して具体的な予算を組むことはできません。区道やインフラの復旧などを想定するとしていますが、被災状況を把握しないで復旧計画など立てられるはずがありません。復旧・復興ということであれば長期的なまちづくりと連動するものであり、住民合意の形成、議会での議論と議決なしに執行されることはあってはなりません。議会のチェック機能の役割を否定するもので許されません。

第二に、災害復旧特別会計は、23区だけでなく全国的にもどこの自治体でも行われていません。災害の予算措置については、必要であれば国の制度として対応されるべきです。

以上、反対理由を述べましたが、いつ発生してもおかしくない災害に備えることは自治体として当然です。とりわけ、東京においては首都直下型の地震が高い確率で予想されておりなおさらのことです。地震は自然現象であり止めることはできません。しかし、人間の英知と技術と努力による予防対策で地震による災害を未然に防止し、被害を最小限に食い止めることはできます。例えば、被災後の応急対策に偏重してきた防災対策から、災害の未然防止対策を重視した政策へと転換するなどです。防災対策の基本は住民の生命と財産の保護にあり、それは地域社会の安定化、防災性の向上によって初めて担保されるという観点が基本です。そのためには、復旧・復興のための基金創設ではなく、新築建て替え助成や感震ブレーカー助成などの不燃化特区支援制度を区内全地域に拡大するなど、予防対策こそ防災対策の重要課題と位置付けて、必要な財源を充てることに区は努力するべきです。

最後に、今日、地方自治体の豊かな財政力を狙って、国が法人住民税を国税化する方向も危惧されていますが、国税化は国が地方自治体の力を弱めるための攻撃であり、国の攻撃を、断固、跳ね返す必要があります。品川区の対応は、国税化を逃れるために一般会計から切り離して基金残高を少なく見せるために特別会計の創設をするのではないかとも思われますが、それはいかにも姑息な対応です。豊かな財政を区民の命・くらしを守るためにこそ使うべきと考えます。

以上で反対討論を終わります。

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