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安藤たい作区議 「羽田新ルート関連請願・陳情」に対する賛成討論

2017.7.19 安藤 たい作 区議

日本共産党品川区議団を代表して、平成27年請願第14、15、16、19、20号。平成28年請願第7、8、18号。平成29年請願第4号。および、平成28年陳情第11、12号。これら11本の請願・陳情の全てに賛成する立場から討論を行います。

これらはいずれも、品川市街地低空飛行の羽田新ルート計画に品川区が反対してほしい、説明なく一方的に進めないでほしい、計画による区民への影響を明らかにしてほしいという内容であり、当然かつ切実な区民の願い。深刻な被害から住民の命と暮らしを守る唯一の方策は、新ルートを撤回し現在の海上ルートを堅持することです。請願・陳情の採択を心から呼びかけます。

これらの請願・陳情の背景には、大きな区民世論があることは言うまでもありません。共産党実施の区民アンケートには2300を超える回答が寄せられ、計画に「反対」は82%にのぼっています。請願提出団体が集まり、2015年夏に発足した「羽田増便による低空飛行ルートに反対する品川区民の会」は、今月10回目を迎えるデモ行進、区や都ならびに国への請願署名、国会内集会や国交省交渉など多彩な運動を拡げ、幅広い市民と超党派の議員が参加し広がっています。

新ルート問題は、直近の都議会議員選挙でも大争点になりました。計画撤回目指し一貫してたたかい、2期目の公約にも掲げた共産党の白石たみお都議は、前回から8000票のばし再選。選挙戦では、子育て中のママ、閑静な住宅街や高層マンションに住む方など幅広い層から区内どこでも熱い反応が寄せられました。民進党候補も選挙公報で「計画の見直し」を掲げ、住民団体のアンケートにも計画に「反対」と回答。広がり続ける住民運動と世論が、この問題を文字通り選挙戦の大争点の一つに引き上げたのです。

ここにいる全ての議員のみなさんにとって、「できれば飛ばないでほしい」「品川の頭上を飛行機が飛んで欲しいという人は誰もいない」という思いは共通するのではないでしょうか。あきらめる必要はありません。請願・陳情を議会で採択し区長に反対の決断を迫り、最も被害が大きい地元中の地元のこの品川から「オール品川」で国に声をあげることは、計画撤回に巨大な力となります。今こそ品川区議会が、そして品川区行政が、住民の切実な願いを受け止め、その声に応える議会、行政に変わらねばなりません。最も区民に身近な地域から選ばれた議員の皆さんが、立場や党派を超えて請願・陳情を採択して頂くことを心から呼びかけます。

みなさん。国交省が2014年夏に発表したこの羽田新ルート計画は、国際便増便、国際競争力強化を理由に、現在の海上ルートを覆し、品川上空含む都心ルートを解禁するものです。私たち共産党は、都心密集市街地の上を長時間にわたり低空飛行するこのような計画は世界に例がなく、原発・武器輸出やカジノ法、いま狙われている残業代ゼロ法案などと並び、「経済のためなら住民の暮らしも犠牲にする」というアベノミクスを象徴する規制緩和政策の一つだと考えています。経済と命・暮らしを天秤にかけるべきではありません。

この新ルートが実施されれば、五反田駅で450メートル、大井町で300メートル、八潮団地では200メートルと、東京タワーより低い高度で一時間に2ルート計44機もの着陸機が品川を通過することになります。

この間の質疑では、騒音・落下物・大気汚染、墜落事故の危険など、新ルートはあらゆる面から私たちの区民生活を根底から破壊することが明らかになりました。

まず騒音について。国は大井町で80デシベルと説明しますが、区議団が先日ゲートブリッジ付近で行った調査ではそれを上回りました。国は「あくまで案」だとして、区内の様々な地点の具体的な高度や騒音値すら示していないことも区答弁により明らかになりました。あまりに区民を愚弄しています。買い物、放課後の子どもの遊び、スポーツやお散歩。区民生活は屋内だけではありません。区は国に対して防音対策の対象基準の弾力化し、ルート下全部の建築物の防音対策を求めている旨の答弁もありましたが、これで騒音被害がなくなるわけではありません。

落下物はどうでしょうか、この6月6日には、成田空港の北10キロ付近で飛行機から氷塊とみられる落下物が住宅を直撃しました。住宅に落ちたのは初めての事であり、現地では大きな衝撃が走っています。ところが国は「調査したが現物が確認できず、航空機由来と認定するのは難しい」と結論づけました。北10キロを今回の新ルートに当てはめると、上大崎地域、目黒駅付近にあたります。世界の多くの空港で、例えばシカゴの空港でミシガン湖の上に出て足下げをしてからUターンして着陸しているのは、落下物は「100%あるという前提が航空界の常識」だからです。一方、日本では国も区も「被害想定は予測できない」「予見しない」との見解。「想定外」として原発事故の責任を回避する東電や国と同じではないでしょうか。あまりに無責任です。また、いくら着陸後に抜き打ち検査をしても、区の求める「落下物をゼロにするような方策」とはありえません。つい昨日の午後にも成田空港内で離陸直後に部品が落下しました。落下物は現実に発生しています。この現実を直視し、命暮らし守る唯一の方策は人口密集地を飛ばさないことです。
大気汚染について、現在でも八潮と豊町の一般測定局2か所ではPM2.5の測定値が環境基準を上回っています。区は新ルートにより、ただでさえ下げなければいけないこの数値が更に上昇することを認めています。住民の健康と環境を守る行政としての使命を果たすため、この理由からも新ルートに反対すべきです。新ルートにより大気汚染の状況、PM2.5の値がどれくらい上昇するのか明らかにさせることは最低限の説明責任であり、それすら果たさせないまま新ルートを容認することは断じて許されません。

万が一の墜落事故の危険について、区は、今年度改訂中の地域防災計画に航空機事故を含む大規模事故の項目を追加する方針を示し、現実の危険を認めています。実際に、世界中で飛行機事故は頻繁に起きています。94年には名古屋空港内で中華航空機が墜落し、日本人154名含む264名が亡くなりました。2年前、調布飛行場で住宅地に墜落、住民を巻き添えにした墜落事故は未だに事故原因も明らかにされず、被害者に対する補償も賠償もおこなわれていません。2015年には台湾で離陸直後に墜落事故、43名が死亡。直後には、ドイツLCC航空機がフランス山間部に墜落し150名が死亡。昨年末もコロンビアで、セリアA所属のサッカーチーム含むチャーター便が墜落し71名が死亡しました。これが市街地に墜ちたら想像を絶する更に甚大な被害となります。墜落事故は発着前後のいわゆる「魔の11分」に集中しており、今回の新ルートで品川を通過するのはまさにこの時間帯。わざわざ都心密集市街地の上に飛行機を飛ばすリスクは計り知れません。

騒音、落下物、大気汚染に万が一の墜落の危険。このように、新ルートによる被害は甚大ですが、更に重大なのは、一度都心ルート解禁を許せばこれら航空機による公害が未来永劫続くだけでなく、将来の際限ない品川低空飛行を招き、拡大していくということです。

今回の新ルートの国の提案は、年間4割を占める南風時の午後3時から7時で、「当面の需要には対応できる」との説明です。しかし現実はどうか。

成田市では現在、羽田と同様に機能強化が議論されており、現在の朝6時から夜11時の運行を、早朝5時から深夜1時まで3時間延長する見直し案が出され、騒然となっています。国は「増大する訪日外国人のニーズに応える」「LCCのシェア増大で発着枠が満杯」との理由で、簡単に夜間飛行制限の緩和をと言い出しましたが、この成田の現実が、新ルートを認めた場合の将来の品川の姿に重なるではありませんか。

また国交省は、2020年以降の方策として滑走路増設を含む更なる増便計画を公表しています。将来の需要に合わせた増便の可能性も否定せず、国交省交渉の場ではわが党白石都議の「3時から7時との時間帯を伸ばさないと文書で交わす考えはあるか」との問いに「その考えはない」と平然と答えました。将来の際限ない市街地飛行に道を開く今回の計画は何としても止めなくてはいけません。子や孫に品川の静かな空を引き渡せるかどうかが今、問われているのです。

行革委員会では、残念ながら請願・陳情は賛成少数で不採択となりました。しかし、不採択を主張した自民党も公明党も民進党からも、新ルート計画のメリットや、計画の必要性を肯定するなどの、積極的推進の立場からの主張は、当日の委員会質疑中はもちろん、この2年間を通してもほとんど聞かれませんでした。むしろ各党の態度表明では、全会一致で決めた意見書の到達点を評価する意見が相次ぎました。意見書では、このまま国がこの事業をすすめることに危惧を表明し、影響や対策を具体的に説明することを求めていますが、更に踏み込んで、計画への反対表明こそ必要な時ではないでしょうか。

かつて品川区は、国に意見を述べ、たたかい、海上ルートを勝ち取った歴史があります。ジェット機の飛行が始まり被害が深刻化した1959年以降、区もこれを公害と認識し、国に要請し深夜飛行やモノレールの内側運行を禁止させたり、騒音測定や独自の区民意識調査も行いました。区議会も都市対策特別委員会を設置し活発な討議でこれを後押ししてきました。1973年、国が空港の拡張計画を持ち出してきたことに対して、区は「区民の生命の安全と財産を守り、かつ航空機による災害、騒音、大気汚染を排除する立場」を表明し「空港の沖合移転」を求める要請書を出し、結果、国と都の間に滑走路の沖合への配置と海上ルート運用を基本とすると確認させました。その集大成が、当時の区長のハンコがついてある1981年の確認書です。根底にあるのは、区民の暮らしと命を守ろうという地方自治体としての断固たる決意です。

皆さん。

かつての品川のたたかいの歴史と伝統を引き継ぎ、今こそ区民の願いに応える品川区議会へ、そして品川区に変わろうではありませんか。私たち品川区民、品川区議会には大きな力があるのです。最後にあらためて請願・陳情の採択を議員の皆さんに呼びかけまして、私の賛成討論とします。

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