品川区議会の自民党が、自民党から推薦・選出された議長に対し不信任決議を提出し、議会が予定の日程通り開かれない事態が繰り返されるなど混乱が続いています。この事態に対して、日本共産党品川区議団の考えを述べたいと思います。
区議会最大会派である自民党・子ども未来は、昨年の10月に続いて5月末の臨時議会に松澤利行議長に対する不信任動議を提出。前回は否決されましたが、賛成19人(自民党・子ども未来10+国民民主党・無所属クラブ5+無所属品川2+無所属議員2)、反対10人(共産党7+生活者ネット2+無所属議員1)、棄権7人(公明党)の賛成多数で可決されました。この議決に法的拘束力はなく、議長は辞任を拒否。すると、自民党は6月の第二回定例議会で開会所定時刻に議場に現れないという対応を取りました。公明、国民民主、無・品、無所属議員も同じ対応を取り、出席議員は議長のほか共産7人、生活者ネット2人の10人にとどまり、定足数に達せず本会議が開催されないという事態が起こりました。議長の依頼を受けた副議長の運営により翌日の午後に議会は開催され、2日分の議事を一括して行い、夜9時に終了しました。2日にわたり、詰めかけていた多くの傍聴者は傍聴できず帰らざるをえませんでした。
また、第二回定例会の最終日にあたる7月11日の午前中に、今後の対応をめぐって全員協議会が開かれました。午後から最終本会議が開かれ、今度は、国民民主党が議長辞職を求める動議を提出。決議案は、賛成20人(自民、国民民主、無・品、無所属議員)、反対9人(共産、ネット)、棄権7人(公明)の賛成多数で可決されました。
地方自治法104条では「議長は、議場の秩序を保持し、議事を整理し、議会の事務を統理し、議会を代表する」と議長の果たすべき任務を規定しています。共産党は今回の自民党提案は議長不信任にはあたらないものと考え、反対しました。
自民党が不信任の理由に挙げている@議長と消防団団長の兼務の問題は、そもそも禁止されていません。また、議長は当初から辞める意志を示し行動しており、かつ昨年12月31日をもって消防団長職を辞しており決着済みです。A任期2期2年との約束を反故にし信頼関係が崩れたとの理由は、これは自民党内のルールであり、地方自治法では議長の任期は「議員の任期による」、つまり4年と定められています。B競馬組合議会で厩舎の耐震建替えについて質問した件は、異なる意見がある時に事前に調整することは必要ですが不信任に値するものではありません。C政務活動費の使途に関する第三者委員会設置が行われなかった、については第三者委員会の予算は4年前から計上されており、議長も立ち上げるとの表明をしています。D本会議傍聴者の拍手等を制止せず議場が混乱、については議長は注意喚起をしており混乱も起きておらず事実と異なります。いずれも辞職に値する内容ではないため、共産党は反対しました。また、国民民主党が提案した辞職を求める決議については、不信任が議決されたから辞任すべきだと迫るだけの内容で、そもそもの不信任の理由すら問わない極めて乱暴なものでした。(裏へ)
また、今回は自民党が議会に出席せず議会の開会を妨害し、それに多くの他の会派・議員も追随、大きな混乱がもたらされました。議会には住民の代表として住民要求を行政に反映させ、行政をチェックする重要な使命があります。議会に出席しないのは、この職責の放棄です。主張があれば議会に出席して議論すべきで、自らの主張が通らないからといって出席しないというのは議会制民主主義の精神に反します。議会の開催を駆け引きの材料にして議長をすげ替えようというやり方は、議会や法のルールを多数の論理でないがしろにする暴力的なやり方であり、自らが議会を混乱させる行為だと言わなくてはなりません。こうした混乱した時だからこそ、地方自治法や「議員必携」などの議会のルールに基づいて運営することが必要です。
今回の混乱の責任は、会派の内部問題を議会に持ち込み議会の開催を妨害する自民党・子ども未来、それに追随する国民民主党・無所属の会にあります。また、それらの道理のない行動に同調し議会をボイコットする会派・議員もその責任が問われます。議員としての任務を果たし、議会に出席することを求めます。そのことが事態の混乱を収め議会を正常化する道だと考えます。