8月14日「品川区長選挙と品川区議会議員一般選挙の同日開催を求める請願」が自民党、国民民主党の2人の紹介議員で議会事務局に提出されました。17日、議会運営委員会では自民党、国民民主党合わせて10人の議員により急遽臨時議会開催の請求が出され24日に開催されることになりました。自民、国民民主から「請願が可決された後に議会自主解散決議案を出したい」旨の意向も示されました。請願と決議案が可決されると品川区議会は、8月24日の突然の解散となります(自主解散決議は議員数の4分の3以上が出席し、その5分の4の賛成で可決「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」)。すでに候補者説明会が終了した9月30日投開票の区長選挙と同時に、来年4月下旬予定の統一地方選(区議会議員選挙)が行われば、区民にとっても寝耳に水、前代未聞の異常事態です。任期4年間最終年の7ヶ月の任期を奪われる影響は計り知れません。日本共産党は、このような暴挙に反対を表明します。
自民、国民民主の不当な動きに反対する理由を述べます。
第1に、議会が自主解散を行うという事は、議会と議員の役割を自ら否定することになります。
地方議会の基本的機能とは@住民の意思を代表する機能、A条例の制定、予算の議決をはじめ、自治体の行政の基本を決める機能、B行政執行機関を監視し、公正で民主的、効率的な行政が行われるように批判・監視することです。議員は4年間の任期中、公約実現のため上記の役割に全力を尽くします。奪われる7ヶ月の任期中には、年4回のうち3回の定例議会と、決算・予算特別委員会があります。付託を受けた4年間の任期を全うすることこそ区民の代表としての職責を果たすことになります。自民・国民民主は議会改革と言いますが、改革どころか自ら議会と議員の役割を否定する暴挙です。
第2に、全国でもこのような事例は皆無であり、法の趣旨から逸脱するものです。総務省の調査でも、品川区のように首長選挙が中間選挙で行われる場合に議会が自主解散し同時選挙にした例は全国どこにもありません。公職選挙法第33条第1項では、自治体の長および議員の選挙が別々になっているものを同時選挙できる「90日ルール」がありますが、品川はこの規程に合わず同時選挙にはできません。23区でも9自治体で区長選挙と区議選挙が別々に行われています。
自民と国民民主は、請願を根拠とし自主解散を認める特例法を使い解散を求めようとしていますが、特例法の趣旨には「解散の請求に関する世論の動向にかんがみ」と記されています。市町村合併や、政治腐敗など住民から議会への不信任が突きつけられるほどの世論が高まった時の特例法であり、品川には当てはまりません。全国初の異例の自主解散を許してはなりません。
第3に、請願では、1億円の経費節減と投票率アップにつながることを理由に挙げていますが、住民が自ら政治に参加をすることを保障する選挙経費は、必要な経費です。徹底した情報公開や区政への区民参加の保障こそ、選挙への関心の高まりに通じます。また、中間選挙は全国的に投票率が低い傾向にあります。今回、中間選挙の方に合わせることで逆に区議選の投票率が下がる懸念もあります。
第4に、来年4月の選挙に向けて立候補を予定している全ての人に対し、予定を狂わせるものです。特に初めて立候補する人に対し準備期間なく突然の解散は、被選挙権をおびやかすことになります。
最後に、今回の事態の背景には、自民党の党内問題を議会に持ち込み意に沿わない議長をやめさせようと議会全体を混乱させてきた「議長おろし」が背景にあると言わざるをえません。今回出された請願も、発端は自民・国民民主の議員が町会や商店街の代表に働きかけたものの賛同が得られず断られたため、最終的には個人名で出されました。区民の中には緊急かつ切実な議会解散を求める世論はありません。党利党略で議会を混乱させるのはやめるべきです。
区民の付託を受けた議員は、羽田新ルート撤回や福祉の充実など区民の切実な願い実現のために働くのが使命です。共産党は議会の開催を妨害、混乱させる自民党、それに追随する国民民主の責任を追求し、正常な議会運営に全力を尽くします。