2020.03.23 なかつか 亮 区議
日本共産党品川区議団を代表し、意見表明を行います。安倍政権のもと、区民の暮らしと営業が脅かされています。
消費税10%増税後、地域経済は疲弊し、GDPは年7.1%の大幅減に。
その上に、新型コロナウイルスによる景気悪化が区民生活を苦しめています。
全世代型社会保障検討会議では、今でも貧しい社会保障をさらに改悪。消費税が福祉のためとは全くの嘘で、暮らしと経済を壊し、格差をさらに拡大するものでしかありません。
さらに、地球規模の気候変動が深刻化し、人類が生存し続けるためには、二酸化炭素など温室効果ガスを2050年「実質ゼロ」への早期対策が急務にもかかわらず、安倍政権に、その姿勢は全くありません。
格差の拡大、気候変動という課題に対し、日本社会がどのような回答を示すのかは、資本主義が21世紀に生き残る資格を問う問題です。こうした中、地方自治体は、この悪政から地方自治を発揮させ、区民生活を守ることが求められています。
しかし、品川区は、国の悪政をただす姿勢がないばかりか、追随、先取りです。新年度から始まる長期基本計画では、高齢者と障害者の福祉を環境づくりに変えました。
これは、区民の基本的人権を保障する福祉事業の提供を、自己責任または住民同士の助け合いへと変質させるものであり、福祉の大後退を象徴するものです。
また、羽田新ルート計画には、一言も触れず、計画容認を続けています。
こうした長期基本計画は日本国憲法の理念と地方自治の本旨である「住民福祉の向上」を位置付け、抜本的な見直しが必要です。
よって、一般会計、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計に反対します。なお、災害復旧特別会計は、災害時の急を要する予算に限定されていることから賛成します。
以下、具体的な理由と要望を述べます。
特別養護老人ホームの整備ですが約500名の方が入所を希望しているにも関わらず、申込者全員の入所を叶えるための増設計画がありません。
特養ホームと老人保健施設の合計整備率は東京23区で品川区は23位といまだ最低。早期の増設計画の策定を求めます。
また、品川区民でありながら、施設が足りず区外の障害者施設を利用せざるを得ない方が、グループホームで125人、施設入所者で159人と合計で300人弱の方が、つらい思いをしています。
こうした中、グループホーム開設に区独自策を設けたことは評価しますが、区自らが土地を購入し、事業者に無償提供するなど、開設支援のさらなる強化を求めます。
認可保育園入所では、4月の入園を希望しながら、2次募集発表時であっても、1217人が不承諾通知を受け取るなど、深刻な状況が明らかになりました。
区は「待機児童は実質ゼロ」と言いますが、これは実態を見ず、保護者の気持ちを、あまりに乱暴に踏みつけるものです。
さらに、品川区は区立ひろまち保育園の閉園に続き、今後、合計で3つの区立認可園を閉鎖しようとしています。
待機児解消と言いながら、開設は民間に任せ自らは閉園とは許せません。
区立認可園は閉園ではなく増設へ。園庭と保育の質の確保と合わせた対策を求めます。
高すぎる国民保険料をさらに値上げし、あらたに延滞金を徴収するとは大問題です。
滞納者に対して、罰則を設け、脅して取り立てるとは、地方自治体が行うことではありません。
支払い可能な保険料への引き下げ、延滞金徴収の中止を求めます。
また、子育て支援の充実へ、子どもの保険料は無料にする事を求めます。
後期高齢者保険料は、特例軽減を廃止し、保険料が最大で10倍にも跳ね上がっています。そのうえ、年金は毎年減らされ、消費税も上がり、苦しい生活を強いられる高齢者に、今年度は新たに保険料値上げを押し付けるなど許せません。保険料は引き下げこそ必要です。
品川区には平成30年度決算で1034億円もの積立基金があります。
過去最高の当初予算額とあわせ、こうした積立基金は、さらなる積み立てではなく、計画的な取り崩しを行い、区民生活を支援するための財源にこそ、充てるべきです。
このように、住民福祉に冷たい一方で、道路と再開発による街づくりには巨額な税金が使われています。特定整備路線29号線、28号線、放射2号線など防災の役に立たないことが繰り返し指摘されているにも関わらず、強引に進め、住民を追いだし、街を壊しています。
新たな巨大道路づくりはきっぱりやめ、防災対策というのなら、戸建て住宅の耐震化や公園整備など予防対策こそ徹底すべきです。
またタワーマンションについても、災害時の対応や修繕、建て替えの問題が新たに指摘される中、これ以上の超高層ビルを進める再開発事業もきっぱりとやめ、住民合意と環境影響を何よりも重視した街づくりへの転換を求めます。
品川区の徹底した情報隠し、隠蔽はあまりにひどすぎます。庁舎建て替え計画では99%黒塗り・非公開で、JRと秘密裏に検討。
こうして示されたD案は白紙撤回し、広町開発と切り離し、情報公開と住民参加を位置づけた住民自治の姿に相応しい検討を求めます。
また、指定管理者の選考にかかわる基礎的な資料公開は皆無。
教育委員会定例会の資料を傍聴者に配ることもなければ、マイクの使用もなし。こうした姿勢の抜本的改善を求めます。
羽田新ルート計画の実機飛行が2月に行われ、あまりにも大きな機体が想像以上に低く飛び、轟音とともに、その圧迫感に住民からは「何としても、計画を止めてほしい」との声が多く寄せられています。
ところが濱野区長は本格運用が3月29日と、いよいよ目の前に迫っているにも関わらず、「なぜ計画中止を求めないのか」と再三にわたる質問に対し、区長は最後まで答弁にすら立つことはありませんでした。
新型コロナウイルスの影響で、羽田空港も国際線が大幅に欠航となる中、少なくとも29日からの実施は全く必要ありません。
想定以上の騒音、危険な進入角度、増え続ける航空機からの部品脱落と、区民生活が強く脅かされるなか、羽田新ルート計画の本格運用に対し、国に中止を求めない、こうした区長の姿勢は許されません。
なお、新型コロナウイルス対策ですが、感染拡大を防ぐための検査体制の強化、病棟の確保。
そのための財政措置とあわせ、子どもたちの学びと居場所、高齢者の健康づくりへの支援が急がれています。
同時に、消費の低迷が加速する中、所得補償を含めた緊急の経済と暮らし支援策が急務です。そのための、十分な補正予算を求めます。
その他、款別審査で指摘した、無人ホテルを規制するため常駐者を義務付けた条例の改正、歯科及び眼科検診のさらなる年齢拡大、移動の権利保障を位置付けた便利なコミュニティバス路線。学校教育では、子どもの権利条約を生かした「教育改革」の見直し、教員の長時間労働を常態化する変形労働制導入の中止、豊かな性教育の実践などを、重ねて求め、意見表明とします。