2020.03.27 鈴木 ひろ子 区議
日本共産党区議団を代表して、陳情第10号「学習支援員・介助員の増員を求める陳情」に対する賛成討論を行います。
本陳情は、小・中学校の通常の学級に在籍する個別の教育的ニーズのある児童生徒に対して配置されている学習支援員・介助員の増員を求めるものです。
陳情者は、「現在は、各学校に配置される少ない時間数の中でどの生徒に配置するかが決められるため、保護者が要望しても優先順位が低いと判断されると配置されない」と述べ、将来の社会参加や自立に向け、支援を必要とする子どもたちが利用できるよう増員を求めています。
以下賛成理由を述べます。
学習支援員・介助員とは、小・中学校において障害のある児童生徒に対し、食事、排せつ、教室の移動補助等学校における日常生活動作の介助、発達障害の児童生徒に対する学習支援、健康・安全確保、運動会や修学旅行など学校行事における介助、周囲の児童生徒の障害理解促進などの役割をもつ『特別支援教育支援員』として平成19年度に文科省が制度化したものです。品川区でも20年度から行われています。
文科省は平成24年に「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」を発表。
そこでは、障害者権利条約第24条で「インクルーシブ教育」について、「障害のある者と障害がない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が教育制度一般から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要である」「『合理的配慮』はその障害のある子どもが十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要」と述べています。
さらに、「多様な子供のニーズに的確に応えていくためには教員だけの対応では限界がある。
…特別支援教育支援員の充実、さらにはスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、…等の専門家の活用を図ることにより、障害のある子どもへの支援を充実させることが必要である」と述べています。
しかし実態は、学習支援員・介助員の配置が少ないため、子どもの能力や困りごとに合わせたサポートができていると言える状況ではありません。
昨年12月の文教員会資料によれば、通常学級において学習支援員が配置されている児童・生徒は毎年増え続け、小学生では平成25年の75人から令和1年には366人に、6年間で5倍に、中学生では1人から20人に増えています。
しかし学習支援員・介助員の人数はこの数年ほとんど増えていないということです。そのため、1人に配置される時間数は削減されてきました。
文教委員会での区の説明では、現在小学校1校当たり週7時間の配置時間数を2020年度は10時間に増やすとしています。この時間数を聞いて大変驚きました。
これは1校あたり平均約10名の児童に対して週10時間、つまり、1人につき1週間にわずか1時間程度の配置であり、あまりに少なすぎます。
文教委員会では、共産党以外の委員から品川区が来年度予算で増員をすると言っているので採択する必要性はないなどの意見で不採択となりました。
しかし、2020年度予算書の事項別説明書から計算しても、あまりに少ない時間数が明らかになりました。
小学校の場合、支援員が配置されている児童366人に対して、年間1万1260時間。増やしたと言っても、平均すると1人1か月わずか3時間にすぎません。
実態は、支援員をつけなければ授業や行事がスムーズに進められないという子への必要な時間数にも足りず、支援員がいない時間をどう補うか、専科の先生や空いている先生にお願いせざるを得ない。
まして、少しの手助けがあれば学習も子ども同士のコミュニケーションもスムーズにいくという子に対して必要な支援員が配置できている状況ではないと伺いました。
支援員にとっても、Aさんに金曜日1時間ついたら次は翌週の金曜日に1時間しかつかない。その中でどんな役割を果たしたらいいのか悩みながら仕事をせざるを得ないと言います。
東京都の調査によれば、通常の学級に在籍する発達障害と考えられる子どもの在籍率は小学校6.1%、中学校5%です。
これをもとに考えると品川では小学生で約960人、中学生で約240人となり、40人学級であれば1クラス2〜3人が在籍することになります。
平成19年一部改正の学校教育法では、特別支援教育の対象を、発達障害を含めたすべての障害のある幼児、児童、生徒とし、その持てる力を最大限に伸ばし、将来の自立と社会参加を実現できるよう、適切な教育的支援を行うとしています。
この立場に立ち、学習支援員・介助員の抜本的な拡充こそ必要です。
最後に、特別支援教育の充実のためにも、23区でいくつもの自治体が作成している特別支援教育推進計画を品川区も策定することが必要だと考えます。
教職員が発達障害を含めた障害児への理解を深めるための研修計画、支援のありかたの研究、子どもたち・保護者・区民に対する理解促進の計画をたて、それを定期的に見直し、現状や成果、課題を明らかにし、さらに充実に向けて取り組むという仕組みが必要だと考えます。