2020.10.16 安藤たい作 区議
日本共産党品川区議団を代表して意見表明を行います。令和元年度品川区一般会計および同国民健康保険事業会計、同後期高齢者医療特別会計、同介護保険特別会計の各会計決算に反対、品川区災害復旧特別会計は、台風被害の住宅補償など急を要する復旧のために使われたため賛成です。
以下、反対の理由を述べます。今、区民の暮らしと仕事、雇用も未曾有の危機に直面しています。ただでさえ、昨年10月の消費税10%増税で暮らしも地域経済も打撃を受けていたところに、今年に入りコロナ危機が襲い、政府のアベノマスクや検査の抑制、第2波が押し寄せてきた時期にGoToキャンペーンの強行など、場当たり的で科学的知見に基づかない対応が追い打ちをかけました。新型コロナは、またこれまでの新自由主義的な政治の在り方の矛盾も浮き彫りにしました。即ち、一握りの財界、大企業の利益のため、全てを市場原理に委ね、医療や介護、保健、障害者福祉や保育、教育など、人の命やケアに関わる大事な部門の公的サービスを削り、自己責任を押しつけるという政治です。品川区は、これまでこうした新自由主義政治を積極的に推進、保健師数や高齢者・障害者施設整備率など、福祉を23区で最低水準に削り、地域包括支援センターを整備せず、専門職の配置を怠り、全国に先駆け学校選択制を導入し、学力テストを実施するなど競争教育を推進、一方で、開発企業のもうけのための超高層開発には桁違いの税金を投入し、道路整備を進めるなどしてきました。こうした区政の在り方が根本から問われています。
コロナ禍では、また、区民は政治の在り方が自らの生活、生きるか死ぬかに直接関わることも実感しました。今、品川区政が新自由主義から脱却し、文字通り区民の命と暮らしを守る区政を行うことが誠実に求められているのです。品川区は、住民の声と世論、議会論戦で、この間、五度のコロナ対策の補正予算を組み、当初は拒んでいた検査体制の拡充や中小企業等への直接支援等に踏み出してきたことは評価します。
しかし、区民の置かれた未曾有の苦境に比べ、あまりに不十分です。不要不急の超高層開発や道路は見直し、あと16年もつ区庁舎の建て替え検討は延期すべきです。そして税金は第3波の危機が迫る中、区民の命を守る検査拡充、保健所の機能強化、医療支援、中小・零細・個人事業主への支 援の継続・拡充に充てるべきです。まして、コロナ禍の下、区民の命、暮らしを支える福祉施策の10%のマイナスシーリング、削減は言語道断、福祉予算はむしろ拡充こそ必要です。しかし、決算審議を通して区は、税収減を口実にした福祉施策の削減を否定せず、一方で、必要な事業については全て予算を投入しやっていくと、超高層開発は聖域とし、これから来年度予算編成に臨む区の態度に区政転換の考えは全く見られませんでした。 以下、主要な問題について意見とともに要望を述べてまいります。 第3波を抑える瀬戸際の今、PCR検査を抜本的に拡充し、高齢者をはじめとする区民の命を守り、区自身が国の指示待ちでなく、区内の感染状況とその対策へ積極的に考え動くこと。そのためにも、連日猛奮闘されている保健所の人的体制を拡充することを求めます。
また、中小・零細・個人事業主は、今後の暮らしと営業の見通しが立っていません。区内家賃支援給付金、販路拡大助成金は対象の拡大、1回で終わらせず継続的な給付など、事業者の実態をつかみ、さらなる支援の制度設計と実施を、また、持続化給付金、住居確保給付金、緊急小口・総合支援資金の延 長を国に要請することを求めます。 高学費とコロナでの収入減に退学の危機にさらされている学生支援へ、港区のように、区自ら大学生 への給付型奨学金をつくるよう求めます。 区民の命綱となっている生活保護は、この10月からさらに削減されました。国に給付額の引上げを求め、区も認める「生活保護は権利」との文言を明記し、受けるべき方が受けられるように制度の周知 を求めます。
障害者福祉についてです。障害児者総合支援施設の指定管理事業者について、異例の開所後僅か1年での公募の発表には、利用者、当事者から強い不安の声が上がっています。何よりも利用者自身の要望を最重要視した選定を強く求めます。手話言語条例を制定し、手話の理念を広め、手話通訳者の拡充を行うこと。視覚障害者の自立へ、就労でも使える同行援護へ改善することを求めます。超高層開発は地震や浸水でエレベーターが止まれば陸の孤島となり、むしろ新たに防災上の課題を生み出します。防災口実の再開発推進はやめ、住宅耐震化、避難所の環境改善や高齢者施設など、災害弱者の命を救うためのタイムライン作成など、風水害対策も含めた真の防災対策の推進を求めます。
一部のデベロッパーの利益のため、地権者の意向や権利を無視し、地区外に追い出すところまでエスカレートしている超高層開発には、複数の委員からも批判的な意見、立ち止まって見直すべきとの意見 も出されました。議会での意見を真摯に受け止め、大崎駅西口周辺地区、大井町C地区はじめ、税金投入も含め中止するよう求めます。 区庁舎はじめ旧第一日野小学校跡、旧荏原第四中学校など、公有地は貴重な区民の財産です。その活用に当たり、案の策定の段階から福祉施設整備の要望など区民の意見を取り入れ、計画に反映する姿勢に転換するよう求めます。デジタル化の名のもとに、マイナンバーカードの普及が強引に進められようとしていますが、政府にあらゆる個人情報を握られること、その漏洩などへの国民の不安や批判はいまだ根強い。区も利便性を 口実にその普及に積極推進する姿勢は改めるべきです。
この間、共産党は、ジェンダー、平等、個人の 個性や尊厳、人権が守り生かされる社会へ、繰り返し提案を行ってきました。職員採用時の性別記載が 削除されることになったことは前進です。さらなる改善、推進を望みます。子ども、教育です。必要な方を待機児童数から除外しながら、待機児童は基本的に解消という認識は撤回し、必要な認可保育園の増設を求めます。
また、コロナ禍という未曾有の困難の中で学校生活を過ごす子どもたちの現状は、柔軟で手厚い教育を求めており、感染防止の観点からも少人数学級が求められています。その実現へ加配教員の活用や、教室、学校増設などを進め、1日も早い実現を求めます。 また、包括的性教育の推進、理不尽な校則の見直しなど、子どもの権利を真ん中に据え、学校司書配置、 介助員、学習支援員の拡充など、体制強化も含め進めるよう求めます。海洋放出など原発事故による放射能汚染がいまだ終息していない中で、保育園給食の食材、放射能測定をやめることは問題です。学校給食の測定と併せ、保護者の願いに寄り添い、今後も維持するよう求めます。
最後に、羽田新ルートです。本格実施が強行され、連日降り注ぐ騒音に引越しすら考えざるを得ないと悲鳴が届いています。決算質疑を通し、自衛隊機がこの新ルートを飛行するとの新たな重大事実や、区は国にルート変更を求める考えがないことも改めて明らかになりました。反対表明を拒み続け、大事な国策だから甘受と容認してきた区長の責任は重大です。区民の声を真摯に受け止め、国に新ルートの中止と変更を求めるべきです。
以上で、意見表明を終わります。