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なかつか亮区議が1回定例会で代表質問を行いました
「新型コロナ危機から住民の命と暮らしを守り抜くため、緊急に検査体制、医療及び事業所の支援強化を」
「超高層のマンションやオフィスビル、巨大道路づくりに数千億円もの税金投入する計画は、少なくとも今は中止し、コロナ対策を最優先に」
「実効性ある首都直下大震災及び豪雨災害への対策を直ちに」
「区長は羽田新ルートの賛否を問う区民投票に、なぜ反対したのか」
「少人数学級の早期実現で、一人ひとりの子ども達を尊重する学校教育を」

2021.02.18 なかつか亮区議

質問項目

  1. 新型コロナ危機から住民の命と暮らしを守り抜くため、緊急に検査体制、医療及び事業所の支援強化を
  2. 超高層のマンションやオフィスビル、巨大道路づくりに数千億円もの税金投入する計画は、少なくとも今は中止し、コロナ対策を最優先に
  3. 実効性ある首都直下大震災及び豪雨災害への対策を直ちに
  4. 区長は羽田新ルートの賛否を問う区民投票に、なぜ反対したのか
  5. 少人数学級の早期実現で、一人ひとりの子ども達を尊重する学校教育を

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質問

 日本共産党品川区議団を代表し、区長の施政方針及び新年度予算案について、代表質問を行います。

 はじめに、新型コロナ感染症によって亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、闘病中の方々に心からのお見舞いを申し上げます。

 また、困難な状況の下で奮闘されている医療、保健所、介護等の従事者の方々をはじめ、全てのエッセンシャルワーカーの方々に、深い感謝を申し上げます。

新型コロナ危機から住民の命と暮らしを守り抜くため、緊急に検査体制、医療及び事業所の支援強化を

 コロナ感染の第3波が、住民の命と暮らしを襲っています。報道の通り、私たちは新規陽性者が過去最多を更新する日々を経験し、都内では一気に2000人を超え、2度目の緊急事態宣言。そして宣言は延長されました。
各地で入院ができず、自宅で療養する方が激増し、容体が急変し自宅療養者が亡くなるケースも相次ぎました。品川区内で自宅療養者は400名を上回る日も起き、残念ながらお亡くなりになった方は2月14日時点で合計69人と深刻です。

 質問1、まず、コロナ第3波の原因を品川区は、どのように考えているのか伺います。

 コロナ感染で命を失った方の家族や友人から、言葉にならない無念の思いを伺いました。今年で80歳。43年間、電気及びガス溶接の仕事に従事し、退職後は趣味のカラオケや囲碁を楽しんでいましたが、3年前に肺がんを発症。アスベストによる労災と労基署が認定し、苦しい闘病生活を続けていました。
コロナ感染が拡大する中、今年に入り容体が急変し、1月21日に緊急入院。検査の結果、コロナ陽性を確認。その後、入院からわずか3日後の24日未明に亡くなりました。

 家族や友人は、入院中はもちろん、亡くなった後も、一度も会うことも言葉をかけることもできず、家族の立ち合いもないままに臨海斎場で火葬。緊急入院後、本人と対面できたのは、お骨となり自宅に帰った時でした。深い悲しみと同時に、コロナ感染拡大への強い怒りを感じます。

 コロナ感染は、区民の生活を一変させました。感染への不安から、一歩も外に出ることができない高齢者。「仕事を失うと、娘との生活と高校の学費が払えない」と訴えるシングルマザー。6割の休業補償を受けている方は「もともと少ない給与が6割となり、わずかな貯金を切り崩しての生活では、あと半年と生活がもたない。私たちは切り捨てられているだけの存在なのか」と訴えます。

 飲食店からは「国会議員は深夜の銀座でクラブ通い。私たちは従業員と家族の生活にこんなにも必死なのに、一体何をやっているのか」と訴えます。

 批判の声は高まり、内閣支持率は急落。国会で示された総額19兆円の第3次補正予算は約8割がGOTOトラベル、GOTOイート、マイナンバー、国土強靭化。医療や検査、ワクチンなどのコロナ対策は、わずかに4.3兆円と歪んだ内容です。GOTO事業に固執など菅自公政権のコロナ対応は、あまりにも無為無策逆行。コロナ第3波は、まさに菅政権による人災です。

 これに対し、野党は共同して総額18兆円の組み換え案を提出。医療機関への減収補填、検査の普及促進、生活困窮への支援、事業所支援へ持続化給付金の再開、地方自治体への緊急包括支援交付金です。
組み換えは自民、公明などの反対で否決されましたが、いったいどちらが、急がれているかは明らかではないでしょうか。

 質問2、深刻な第3波は、菅政権による人災だと思うが、いかがでしょうか。

 今年は、2つの大きな選挙があります。7月4日投票の東京都議会議員選挙。そして総選挙です。首都決戦と衆議院選挙で、菅自公政権を終らせ、政権奪取へ、共産党もその一翼を担いたい。政権交代で野党連合政権を樹立し、社会に希望を取り戻したいと思います。

 濱野区長は、施政方針で「コロナ感染拡大防止」と「地域経済の回復」を「最優先かつ最重要課題」とし、区民へのワクチン接種を「最大の命題」と説明しました。

 ワクチンは、安全性と有効性の十分な確認と国民への情報公開が大前提となります。ワクチン以外の対策について、区長は、コールセンター、クラスター対策、PCR検査センターと、いずれも従来の延長でしかありません。

 感染抑止へ、戦略的な検査実施、医療機関への減収補填、事業所への十分な補償が必要です。

 検査では、介護及び障害者施設について、同じ施設にいながら事務職の方や施設の入所通所者は、区は検査対象から外しています。希望する高齢者への検査も区は拒否しています。

 区長は社会的検査ではなく、陽性者が発見された後の追跡というクラスター対策を説明しますが、クラスター対策では、感染拡大の要因である無症状陽性者の把握ができません。

 無症状陽性者からの感染拡大を抑制するには、感染リスクの高い施設、地域に面的に検査を行う、幅広い社会的検査の戦略的実施が急務です。

 質問3、現在、品川区が実施しているPCR検査の実施対象で、区はコロナ感染抑制ができると考えるのか。また、現在のクラスター対策では、無症状陽性者を十分に把握することはできないと思うが、いかがでしょうか。
質問4、感染抑止へ、無症状陽性者を把握するための大規模な社会的検査の戦略的実施を求めますが、いかがでしょうか。

 区長は同時に「地域経済の回復」をかかげました。ところが、その対策も従来の延長です。中小企業への融資あっせんを示しますが、先の見通しが立たないまま、新たな借金を重ねる融資は、あまりにもハードルが高すぎます。
しかし、区は返済が不要な給付金について、国が実施する持続化給付金の再支給を、国に要望する考えはないと述べます。これで、どうして事業所の経営と地域経済が回復するのでしょうか。回復どころか、すでに廃業に追い込まれているのが、実態です。

 質問5、コロナで減収となっている事業所への持続化給付金や家賃支援給付金の再給付が、なぜ必要だとは思わないのか、伺います。

 個人消費喚起と事業所負担軽減へ、世界各国で実施されている、消費税の減税や支払い猶予は有効です。ところが、区長は「消費税減税を国に求めよ」と伺うと、税率の議論は国会にゆだねると説明。同じく、これで、どうして中小企業の経営と雇用が守れるというのでしょうか。

 質問6、消費税減税は、地域経済の回復に有効だとは、なぜ考えないのか伺います。
コロナ感染が収束しない中、今年開催予定の東京オリンピックについても、中止を求める声が多くなっています。区長は「いよいよ目前にせまってきた」と期待感を示していますが、開催の是非をめぐって、世論調査でも「再延期」「中止」を求める声が8割を超え、「開催すべき」は1割ほどです。

 背景に、依然として高いコロナ感染者数、医療のひっ迫、変異ウイルスの発生など深刻な実態があり、「コロナ対策に集中して欲しい」「今は命を優先すべき」の声は切実です。

 スポーツ界ではコロナによって大会の中止や延長が相次ぎ、代表選考に影を落とし、アスリート・ファーストの原則が揺らいでいます。予選すらできない、練習が制限されている国や地域もあるなかで、5大陸の平和の祭典に相応しいオリンピックができるのか、選手からもフェアな環境が整わない下での実施に中止を求める声があがっています。

 東京オリンピックに向け、政府は1万人の医療スタッフ確保の計画を示しますが、このコロナ禍では、医療従事者の確保の見通しを持つことはできません。

 ワクチン接種は世界70ヵ国で開始されましたが、その効果について、WHOの主任科学者スワミナサン氏は「2021年中に集団免疫を達成することはあり得ない」「いくつかの国ではできるかもしれないが、世界全体の人が守れる水準になることは無い」と話します。

 菅首相は「人類がコロナに打ち勝った証」と開催に固執しますが、これで良いでしょうか。

 何よりも、今はコロナから命を守ることを最優先にすべきです。

 質問7、東京オリンピック・パラリンピックについて、今年夏の開催は中止し、コロナ収束に集中すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

超高層のマンションやオフィスビル、巨大道路づくりに数千億円もの税金投入する計画は、少なくとも今は中止し、コロナ対策を最優先に

 コロナ禍の下、PCR検査の戦略的実施や、医療機関や事業所への十分な支援に、具体策を持たない品川区が、一方で、もっとも具体的に進めているのが、再開発による超高層のマンションとオフィスビル、そして都市計画道路です。

 コロナ危機を経験し、社会的ケアを大事にする政治への切り替えこそが必要な時に、なぜ、ビルと道路の推進なのか。住民福祉の充実へ、根本的な転換は急務です。

 コロナ危機が広がった昨年は、91億円もの税金を使い、日野学園を日陰にする超高層マンションとオフィスビルの2棟を作る再開発を都市計画決定。大崎駅西口F東地区の地権者を地区外に追い出し、移転先とする、隣の大崎駅西口F南地区の再開発を事業認可。

 さらに今年1月の区都市計画審議会にて、再開発促進地区を武蔵小山駅周辺に加え、大井町駅周辺の区域を、拡大するなど、超高層の再開発を加速。そして、施政方針では区長は大井町駅周辺地域まちづくり方針の策定を受け、具体的に都市計画の手続きを進めると、さらなる再開発の推進を表明しました。

 大井町駅前の広町地区再開発では、JR東日本による107m26階のホテル及びマンションが一棟、そして114m23階のオフィス棟1棟、さらに商業棟と500台の駐車場。この開発を可能にした、一番の旗振り役は品川区です。

 区はもともと駅前一等地にあった区有地を土地再編でJR東日本にゆずり、さらに交通広場や新たな道路の新設も計画。そして現庁舎跡に企業スポーツなどの集客施設「アリーナ」を進め、JR開発を応援。区庁舎の敷地を狭くし、不便な超高層にしてまでも、JR開発や今後の大井町駅周辺開発を進めるなどと品川区が全面的に協力とは、住民のための「まちづくり」ではなく、JR東日本と開発業者に、行政が便宜を図るものでしかありません。

 質問1、JR開発の利益を最大化し、周辺再開発を誘導する広町地区再開発を、なぜ進めるのか。計画の撤回を求めますが、いかがでしょうか。

 新年度予算では、再開発ではマスタープラン作成に1千500万円。大崎駅周辺再開発に11億円。大井町駅周辺再開発に6千6百万円。戸越公園駅周辺再開発に2億8千万円。品川駅南地区周辺事業に1300万円。北品川駅前広場に12億円。戸越公園駅前広場に8百40万円。都市計画道路では205号線と163号線に2億円。総額28億円余の予算計上です。

 これら総額28億円を、コロナ対策のPCR検査で比較すると約19万回分。国や都の補助金も活用しつつ、およそ2人に1人の区民が検査を受けることができる規模です。

 開発などへの税金投入は今後さらに膨れます。新庁舎検討に7200万円計上していますが、新庁舎の建設費用は、今後数百億円に上ると見られます。

 さらに、武蔵小山駅、大井町駅、大崎駅、戸越公園駅、北品川駅の周辺開発の建設費用が加われば数百億円×5地域と、税金投入は1000億円をこえる規模。東京都が土地を買収して進める29号線など3つの特定整備路線の用地買収費は880億円を超えています。

 どこでも、数百億円もの税金が飛び交う再開発や都市計画道路について、少なくとも、このコロナ危機のなかでは、いま急がれる事業ではありません。

 質問2、超高層の再開発や都市計画道路について、なぜ、コロナ禍でも莫大な税金を使い続けるのか伺います。こうした開発と道路は、少なくとも、いったん中止し、今はPCR検査や医療機関への支援、事業所への補償など、コロナ対策に予算を集中すべきだと思うが、それぞれ、伺います。

 また、コロナ危機を経験し、働き方やライフワークも大きく変わっています。今まで通り、都市で生活し、都市で働くスタイルから、テレワークの拡大によって、必ずしも都市部でなくとも仕事ができる環境に注目が寄せられ、実際に都心のオフィスも縮小・撤退が進んでいます。

 長期基本計画策定当時では品川区の人口増が予測されていましたが、コロナで一変し、人口減となりました。
コロナ危機を経験し、今まで通りの再開発マンションやオフィスビルの推進は、時代の変化とあわせ見直しこそ必要です。ビルと道路を推進する現在のマスタープランから、コロナで浮き彫りとなった社会の弱さを克服し、医療、保健所、介護など、ケアに強い、福祉のまちづくりこそが必要です。

 質問3、コロナ危機前の長期基本計画で、なぜ、まちづくりマスタープランの改定ができるのか、伺います。策定は中止し、コロナ収束後に、新たなマスタープランを策定すべきです。それぞれ、いかがでしょうか。

実効性ある首都直下大震災及び豪雨災害への対策を直ちに

 阪神淡路大震災から26年。東日本大震災から10年。最近では2月13日に福島・宮城・山形などを襲った震度6強は、東日本大震災の余震と言われています。

 実際に起こりうる被害をあらかじめ想定し、住民の命と暮らし、財産を守るため、事前の予防対策や発生後の行動等を計画し、その徹底が重要です。

 しかし、品川区の首都直下大震災の備えは、相変わらず特定整備路線などの道路事業や超高層の再開発事業が重点などと、防災対策が歪んでいます。

 災害による被害の原因は、道路や再開発事業の遅れではありません。安全な住宅、火災に対する消火活動や豪雨など水害に対する事前行動、長期化する避難生活の改善など、実際起こる被害に対して、あまりに対策が遅れているのが最大の原因です。

 いつ完成するか分からない都市計画道路、インフラが止まると陸の孤島となり避難生活が困難となる超高層再開発マンションを、いまだに防災対策だという古い発想から、現実の被害を直視した、防災対策への転換が必要です。

 阪神淡路大震災では死因の一番が圧死です。そして、火災原因では一番は通電火災です。災害から住民を守るため、まずは、安全な住宅を作ることは最優先で、火災を防ぐためには、地震をキャッチし自動的に電気を遮断する感震ブレーカー設置が重要です。

 区が実施する不燃化特区支援制度で、住宅の建て替えは大きく進みました。これまで、この制度対象を区内全域への拡大を繰り返し求めてきましたが、区長は「木密地域で重点的に取り組む」と地域を限定します。しかし、地震による住宅の倒壊は、地域限定ではなく、耐震性に乏しい住宅ならば、区内どの地域でも起こりえるのです。同じく感震ブレーカーも区内全ての建物を対象とし、火災原因を取り除くべきです。

 質問1、全ての住宅を大地震による倒壊と通電火災による火災を防ぐため、不燃化特区支援制度と感震ブレーカー設置助成の区内全域拡大が、なぜ、必要だとは考えないのか、伺います。
質問2、あわせて、区内総住宅戸数に対する感震ブレーカーの設置割合を伺います。

 次に避難所環境の改善です。とりわけ、高齢者や障害者にとって、生死を分ける重大な問題です。避難所環境の改善へ、間仕切りなどの備蓄も始まりましたが、豪雨災害のみを対象とするもので、首都直下大震災は位置づけられていません。

 政府は2019年内閣府通知「避難所の生活環境等について」を示し、プライバシー確保、暑さ対策、入浴および洗濯の確保、簡易ベッド、冷暖房機、仮設トイレ、風呂、炊事場、温かい食事の提供等、各自治体に求めました。
通知について区長は「当然のこと」と答弁。ところが、具体的な準備が整っていません。大地震の場合「体育館に雑魚寝」が数週間にわたる現状を急いで改善させなければ、なりません。
そこで、新たにテントの備蓄を提案します。避難所となる体育館や校庭、公園の活用も含め、テントの活用は避難生活の環境を大きく改善させます。

 そのための備蓄を全て区内に準備できないのであれば、例えば地方と連携し、数日で搬入できる計画を立てるのも有効です。

 質問3、内閣府通知を具体化する計画は、いつまでに作成するのか伺います。また、避難生活の環境改善へ、備蓄にテントを加える事、その備蓄は区内とあわせ、地方も含めて備蓄倉庫の拡充を求めますが、いかがでしょうか

 地球温暖化による気候変動を背景に、巨大台風が日本列島を直撃しています。品川区は豪雨災害への備えとして新たに、区内15カ所を自主避難施設に指定する計画です。今後は周知や訓練の徹底が必要です。

 質問4、浸水エリアで暮らしている方、働いている方に対し、事前準備や避難行動などの個別計画の作成と、避難施設を使った訓練の実施を求めますが、いかがでしょうか。

 福祉避難所について、障害がある方や、その家族も含め、高齢者や障害者の災害発生後の避難と同時に、避難生活への不安はとても強いものがあります。

 まず、質問5、首都直下大震災時の福祉避難所について、指定施設は合計で何施設、受け入れ人数は何人か、伺います。そして、その施設数の内、避難所運営マニュアルの作成及び訓練を実施しているのは、それぞれ、いくつか伺います。

  災害時、障害がある方や、介護が必要な方、病気を持っている方などが、十分な支援を受けることができず、実際の避難生活では、情報弱者となることから、逆に水や食料、医療などの支援が行き届かない事態も起きています。

 自宅の損傷が少なく、自宅避難を選択する方もいます。区長は「避難が難しい、高齢者や障害者等に対し避難支援個別計画の策定を進める」と示しましたが、避難行動とあわせ、避難生活への支援が必要です。

 質問6、介護が必要な高齢者や障害者などの災害時における避難生活を支援するため、個別計画を直ちに具体化するべきです。いつまでに、全員分を、どのように作成するのか伺います。

区長は羽田新ルートの賛否を問う区民投票に、なぜ反対したのか

 昨年12月末、品川区民の2万筆を超える直接請求をうけ、「羽田新飛行経路の賛否を問う品川区民投票条例」が品川区議会で審議されました。コロナ禍という条件の下、地方自治法で定められた1ヵ月という期間の中で、法定数の3倍を超えての提出は住民投票への区民の強い願いの表れです。

 国交省は「地元の理解を得て進める」と、住民合意が実施の前提と何度も説明。ところが、ただの一度も国は区民に賛否を問うことなく、国交大臣は「地元の理解は得られた」と発言し、昨年3月より本格運用を強行。これに対し「賛否が問われていないのだから、自分たちで賛否を問う条例を作ろう」「自分の意見を表明する場を作ろう」との思いが集まり、提出されたのが、今回の区民投票条例です。

 ところが、区長は反対意見を付け議会に提出しました。区議会で条例に反対し、否決とした自民、公明らは許せません。同時に、反対した区長も許せません。

 区長の反対理由は「区議会及び区長が国に対して要望を伝えている」「一定程度以上の投票数が必要。また、賛成反対の二者択一式は相応しくない」「コロナ対策実施のなか、1億5千万もの経費がかかる」「計画の運用は国の決定事項である」の4点です。

 質問1、まず、まとめて伺います。区議会と区長が国に対して要望していると、なぜ区民投票条例が必要ないと考えるのか。二者択一式は相応しくないというのなら、どのような選択肢なら、区民意見の把握が可能と考えるのか。コストについて、なぜコロナ対策を理由に、慎重であるべきと考えるのか。国の決定事項に対して、なぜ区民投票は必要ないと考えるのか。それぞれ4点、伺います。

 区長の反対意見は、いずれも難癖でしたありません。

 議会と区長が国に要望している事から区民投票の実施は必要ないとは、まったくの屁理屈です。区民投票は、あくまで区民が自らの意思を表明する場であり、その意見の把握です。

 国は「地元の理解を得て進める」と説明するのだから、理解の有無を把握するには、賛成反対の2択が合理的です。より多様な意見の反映ならば「どちらともいえない」も有効です。

 その他、1億5千万円のコストについても、他に削減すべき事業はいくらでもあり、それこそ、重要な区民投票の優先順位を低く見ている表れです。

 最後に、国策だから、区民は口を出すなとは、地方自治を全く理解していない証拠です。
また、国が設置した「固定化回避検討会」について、国はこの検討会の前提として南風運行ではA・C滑走路を使うことを何度も明言しています。

 着陸機は、滑走路に向かって、直進し、高度を下げます。つまり、A・C滑走路であるかぎり、手前にある品川区を必ず通過します。

 よって、この検討会は品川の上空を飛行するルート変更を検討するものではないのです。

 質問2、区民投票の実施に区長は賛成し、羽田新飛行経路の賛否を問う品川区民投票条例の提出を求めますが、いかがでしょうか。

少人数学級の早期実現で、一人ひとりの子ども達を尊重する学校教育を

 政府は公立小学校について、1クラスの人数を35人とする標準法改正案を今月冒頭に閣議決定。低学年から順に、毎年1学年ずつ移行する計画です。

 「一人ひとりの子どもの顔がよく見える」「授業がよく分かる」、子ども・保護者、全国校長会など現場から出された少人数学級への願いが、40年ぶりに実現しました。
こころから歓迎したいと思います。

 一クラス40人の場合、今までの40人だったのが、2クラス20人ずつになります。小学校の先生は「子どもの様子がわかるとともに、少人数ならではの授業内容へ工夫ができる」と話します。
区教育委員会は、学校選択制や学力テスト、習熟度別学習、小中一貫校など子どもたち同士をテストの点数獲得で競わせる教育改革を強引に進める一方で、切実な願いである少人数学級の実施を頑なに拒み続けてきました。法改正をうけ、今後は少人数学級に相応しい、学校づくりを求めたいと思います。

 質問1、35人学級を区教委は歓迎しているのか伺います。

 質問2、小学校の全学年を35人学級とする場合、増える学級数は何クラスか。区固有及び都加配教員を活用し、小学校全学年における35人学級の実施を、区独自に前倒しするよう求めますが、いかがでしょうか。

 質問3、小学校に続き、中学校での少人数学級実施を国に求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。

以上で、代表質問を終ります。ご清聴、ありがとうございました。

答弁

濱野区長

 私からは、新型コロナウイルス感染症対策のうち、地域経済に係る件にお答えをいたします。 初めに、持続化給付金等につきましては、国において新型コロナウイルスの感染状況と経済への影響等を総合的に勘案し、検討すべき事項であります。区といたしましては、融資あっせんを初め、新型コロナウイルス感染症対応特別助成等を推進し、区内中小企業の支援に努めてまいります。

 次に、消費税率につきましては、国税の在り方に関することから、国において議論されるべきものと 考えております。その他のご質問については、各部門よりお答えを申し上げます。

教育長

 私からは、教育に関するご質問にお答えいたします。 国は、新型コロナ感染症の影響を踏まえ、安全・安心な教育環境の構築と、ICT等の活用による新たな学びを実現するため、35人学級の導入を図ろうとしております。区教育委員会といたしましては、これまで段階的に進められてきた少人数学級がさらに前進するものと受け止めております。 次に、35人学級により増加する学級数についてです。本区の全小学校、義務教育学校前期課程においては、およそ30学級と見込んでいます。また、固有教員等の採用により、前倒しで実施することのご提案についてですが、教員の確保や財源等の課題もあり、国が示したスケジュールに沿って進めていくべきと考えております。最後に、中学校における少人数学級についてですが、小学校での新たな学級編制が拡大していくこと により生じる様々な課題等を踏まえ、今後慎重に検討されるべきものと考えています。

品川区保健所長

私からは、新型コロナウイルス感染症についてお答えします。初めに、第3波は社会経済活動の再開による接触交流機会の増加等によるものと考えています。PCR検査については、これまで感染の疑われる施設の入居者や従事者には、無症状であっても積極的に検 査を実施することで感染拡大を防いできました。また、現在の感染状況は、新規感染者数が1月中旬以降減少傾向となっているものの、重症者数、死亡者数は高い水準となっており、高齢者施設でのクラスター発生も起きていることから、年度内に高齢者・障害者の入所、通所、訪問に関わる従事者の検査を再度実施し、さらなる感染予防に努めてまいり ます。

文化スポーツ振興部長

 私からは、東京オリンピック・パラリンピックについてお答えします。東京2020大会が今年の夏に安心・安全に開催できるよう、国・東京都・大会組織委員会等で構成される調整会議で様々な対策を検討しているところです。したがいまして、区としましては、その状況を注視しつつ、連携を取りながら準備を進めてまいります。

都市整備推進担当部長

 私からは、再開発とまちづくりマスタープランについてお答えいたします。 初めに、広町地区における再開発についてですが、区では令和2年11月に大井町駅周辺地域まちづくり方針を策定し、この方針に沿った適切な土地利用計画に基づき、土地再編を行っていく予定です。土地再編に当たっては、土地区画整理事業の導入を検討しており、各地権者が公平の負担の下、適切な事業計画に基づき進められる事業手法であると認識してございます。次に、再開発と道路についてですが、区では、防災性の向上など地域が抱える課題の解決や、さらなるにぎわいの向上に向け、再開発や都市計画道路事業などを計画的に推進しております。事業を進めるに当たっては、社会経済状況の変化などを捉えつつ、長期的な視点に立ち、区民が安全で安心して暮らせるまちの実現をめざしており、中止する考えはございません。

 次に、まちづくりマスタープランの改定についてですが、平成25年の策定から8年が経過し、社会経 済状況の変化などへ対応していくために着手するものでございます。将来のまちづくりに向けた計画の 改定について、中止する考えはございません。

災害対策担当部長

  私からは、防災についてお答えします。初めに、不燃化特区支援制度につきましては、令和3年度以降の東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトの事業延伸を受け、新たに大井二丁目など3地区の追加を予定しております。また、感震ブレーカーについても、同対象地域の拡大に伴い、設置補助の地域を拡大いたします。拡大を含めた対象地域において設置補助を活用している割合は約2%であります。当面は、対象地域における防災性の向上に向け、重点的な取組を進めてまいります。次に、避難所における生活環境の整備についてですが、区では、生活改善のための資機材は風水害対応基準として配備し、大規模震災時には避難者の状況などに応じて生活環境を逐次改善をいたします。この際、資機材の不足は、国や都の支援要請、協定に基づく民間事業者からの調達などにより対応することとしており、避難のためのテントを配備することは考えておりません。次に、浸水エリア内の在住者および在勤者の避難計画についてですが、区では、風水害時のマイ・タイムラインの作成について啓発を進めております。また、浸水エリア内の要配慮者利用施設の管理者に対しては、避難確保計画の作成および避難訓練の実施を義務付けて、その支援をする予定であります。次に、福祉避難所についてですが、現在、地域防災計画上は17か所が指定されており、受入人数は約800名と想定しています。運営マニュアルについては区が作成しており、訓練については、今年度から区内一斉防災訓練の中で一部福祉避難所をモデルとした訓練を開始いたしました。次に、個別計画についてですが、高齢者については、ケアマネージャーを中心に、今年度、作成に向けた検討を始めております。障害者については、来年度、相談支援員が中心となり作成する予定です。障害特性や個別性が高いため、まず30人の計画を作成し、その評価をした上で今後の見通しを立ててまいります。

都市環境部長

 私からは、羽田空港の機能強化についてお答えいたします。初めに、区民投票条例に対する区の考え方についてですが、区民の不安の声に対しては、区議会および区が既に国に対し取組を求める要望を行っております。落下物対策や騒音環境軽減に向けたさらなる取組の実施や、都心上空を飛行する新飛行ルートを固定化することがないよう国に求めており、これらの事柄について、まずは最優先に取り組んでもらうことが重要であると考えます。また、二者択一式以外の選択肢についてですが、本来、国が丁寧な説明を行った上で様々な意見を受け止めるべきと考えます。区民投票に係るコストにつきましては、現在も緊急事態宣言が発出される中、多額の費用をかけて区民投票を実施することは慎重であるべきと考えます。次に、国の決定事項である点についてですが、新飛行経路の運用は国として進められてきたものであり、当該運用に関する意見調整も含め、国が責任を持って実施すべきとの考えによるものです。

 最後に、区としましては、品川区民投票条例について提出を行う考えはございません。

再質問

なかつか亮区議

 自席より再質問をさせていただきたいと思います。まず、コロナですけれども、都内感染者はこのところ減少傾向であるだけに、収束をさせるためには 感染拡大の要因である無症状陽性者の保護と把握がさらに鍵になってくると思います。これに失敗し、また感染爆発を繰り返すという悪循環を何としてもさせてはいけないと思います。ご答弁で、介護など施設での無症状者へ検査をしてとおっしゃいますが、質問は、陽性者周辺を追跡するというクラスター対策で無症状陽性者を十分に把握できるのかと伺いました。お答えください。無症状陽性者の把握には、陽性者周辺だけではなく、大規模な社会的検査が必要となります。なぜ社会的検査の拡大で感染を抑え込む考えに立たないのか、これでどうして収束ができるのか、お考えを伺います。次に、再開発と都市計画道路についてです。コロナ禍でも中止をする考えはないとの説明でした。ご存じでしょうか、コロナで命も社会も傷つき、保健所も医療現場も日々対応に追われている。こうしたときでも、ビルと道路でにぎわいなどと、なぜ今、莫大な税金を使って進める必要があるのか。ここは一旦立ち止まり、今はコロナ収束に集中すべきだと質問しました。しっかりとお答えをいただきたいと思います。

 次は、防災です。大地震による被害は、区内一つ一つの住宅を襲うので、不燃化特区と感震ブレーカーの設置助成の区内全域拡大を求めたわけですが、「重点的に取り組む」との理由で地域は限定しています。重点的に取り組むことがなぜ区内全域に対象を広げない理由になるのか、伺いたいと思います。福祉避難所の運営マニュアルについて、区が作成と、17か所とありましたが、これ、全てにおいて、それぞれ区が策定したということなのか、17か所全てにおいて区が作成したということなのか伺いたいと思います。個別計画について作成検討予定とありましたけれども、これは避難生活のことなのか。質問は、避難 だけではなく、避難生活を支える個別計画を求めましたので、改めて伺いたいと思います。

 次は、羽田の住民投票です。国への要望が最優先で重要だと言いますが、だから、なぜ国に要望することを最優先に取り組むと区民投票は実施しないことになるのか伺いたいと思います。こんなへ理屈で区民の意思表示を奪うとは許せません。

 最後に、少人数学級です。「さらに前進するもの」とのご答弁がありましたが、つまりは35人学級を歓迎しているということでよいのかどうか、確認させてください。 そして、「中学校では少人数学級について課題を踏まえて慎重に検討」ですが、国も中学校の検討を表明しています。早期実現を、国になぜ実施を求めることができないのか、伺いたいと思います。

再答弁

教育長

 中塚議員の再質問にお答えいたします。 国の示した制度につきましては、特段の事情がない限り、あくまで示されたようにきちんと対応していくことが肝要と考えております。少人数での指導の重要性につきましては、これまでも私ども十分認識し、現行制度の下でも区の指導助手等を導入して、複数の教科で実施をしてきているところです。 一方で、その実現に向けましては、先ほどご答弁いたしましたように、教員の不足の部分、また予算措置、教室の確保等、特に都市部ではこれが大変大きくなってきております。こういったような課題も山積している。したがいまして、自治体として歓迎するかどうかという思いを簡単に表明すべきものとは考えておりません。なお、中学校における実施につきましても同様でございます。

品川区保健所長

 新型コロナウイルス感染症に関する再質問に答弁をいたします。新型コロナウイルス感染症の無症状者への検査についてでございますが、保健所では、無症状も含め、これまで感染が疑われる場合は行政検査を確実に行ってきており、特に高齢者施設等では、感染者が1人であっても、施設入所者や通所者、従業員全員に、必要に応じて複数回検査を実施し、感染者を発見して、感染拡大防止に努めております。今回、感染状況が非常に大きくなってきたこと、また、高齢者に感染が大きく広がっていることを踏まえまして、年度内に、高齢者、障害者、入所、通所、訪問等に関わる従事者の検査を広く実施をしていくという考えでございます。

都市整備推進担当部長

 再開発と道路に関する再質問にお答えいたします。これまで区は、防災性向上を初めとした地域課題を解決し、地域全体が安全で住みやすいまちとして、また、美しく豊かでにぎわいある環境が持続できるよう、再開発事業や都市計画道路事業を推進しており、もって区の活性化につなげてまいりました。今後とも、こうしたまちづくりの方向性を維持しつつ、コロナ禍を含めた社会経済状況の変化にも配慮した上で、経済成長とも両立した、安全・安心で活力あるまちづくりを推進してまいります。

災害対策担当部長

  私からは、不燃化特区支援制度の適用、福祉マニュアル、そして個別計画についての再質問にお答えをいたします。まず、不燃化特区支援制度の適用についてですが、「重点的」と申し上げましたのは、「まずは」という意味でございます。まずは、重点的に特区支援制度地域の対策を講じた後、全域への拡大についてはその後検討するという内容でございます。福祉マニュアルにつきましては現在17か所と指定をしておりますけれども、現在、福祉避難所の在り方を含めて検討しております。マニュアル自体は共通マニュアルでございますので、在り方検討の後、どのようにマニュアルを整備すべきかについては検討したいというふうに考えております。最後に、個別計画についてでございますが、避難から生活支援を含めた内容で作成をいたします。

都市環境部長

 私からは、羽田空港の機能強化についてお答えいたします。まず、初めに、国の決定事項というところでございますけれども、現在区では、既にこの新飛行ルートに対しましては、落下物対策、騒音環境軽減、こうしたものに向けたさらなる取組を求めております。また、併せて、都心上空を飛行する新ルートを固定化することがないよう、これも国に求めているところでございます。国はこれを受けまして、昨年6月30日、この固定化をしないための検討会として学識経験者を集めて検討するとして、現在検討中でございます。区としては、何よりまず、この「検討中」であるというところについて具体的な回答を得られるように、現在のところは注視をしていくという考えが最優先で取るべきことというふうに考えております。また、この区民投票の反対の理由につきましても、国の決定事項であるということ以外にも、二者択 一といった投票の方法、また経費、こういったことについて総合的に勘案した結果、反対をするという 意見を表明したものでございます。

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