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石田ちひろ 区議 第30号議案品川区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対討論

2021.3.23 石田ちひろ 区議

 日本共産党品川区議団を代表して第30号議案品川区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対討論を行います。

 本条例は令和3年度基準保険料率を変更するもので、その内容は、まず均等割りが52000円と800円引き下げられたことは評価します。しかし所得割は9.54%と0.11%上がり、さらに介護納付金分が大幅に値上げされるものです。

 品川区は、今回の国保料は前年より引き下がると説明しますが、実際は保険料に介護保険分が含まれない65歳以上の単身世帯では、年収200万円の人から値上げとなるものであり、さらに介護保険分が含まれると多くの人が値上げとなります。

 区が資料で示した収入別・世帯構成別モデルケースでも、40歳から64歳までのどの世帯ケースでも、介護保険分を入れるとすべて値上げ。例えば、40代夫婦、子ども2人の4人世帯で、給与所得300万円で見ると令和3年度保険料は38万6467円。昨年より10969円の値上げ、2年前と比べると19500円、約2万円の値上げがされています。
これまで、年金、医療、介護などの相次ぐ社会保障改悪と消費税増税の強行など、貧困と格差は増大し、区民の暮らしは悪化の一途をたどってきました。

 さらにコロナウイルスの感染拡大により、区民の暮らしや営業に深刻な影響を与え、未曾有の危機に直面し、廃業・倒産・雇止めなど、今後一層加速することが危惧されています。品川区の「中小企業の景況」の最新版(令和2年10〜12月)でも、景況評価はすべての業種で最低のG評価。大きく下降し、先が見通せない状況です。一刻も早い支援策が求められているときに、国保料の値上げでさらに負担を強いることは逆行です。

 国は2018年から、国保の都道府県化を強行。この制度改正の最大の狙いは、法定外繰り入れの解消です。国保では、国保料の高騰を抑え、自治体独自の減免など行うため、多くの自治体が一般会計から国保会計への公費の繰り入れを行ってきました。この法定外繰り入れを6年間で解消し保険料へ転嫁するため、国保料は毎年値上げとなる仕組みを強行しました。今回はコロナ感染拡大という、特殊な社会情勢に鑑み法定外繰り入れの削減は据え置かれましたが、すでに高すぎて払えないと悲鳴が上がっている国保料です。

 平成22年に35億9000万円投入してきた法定外繰り入れが平成30年には3億3000万円と経年的に32億円余も削減し、ゼロにしようというものです。コロナ感染拡大で区民の暮らしが苦境に立たされているもとで、法定外繰り入れは増額こそすべきです。

 今回国も都も、今でも高すぎて払えない国保料に対し、公費投入を積極的に減らし、さらに取り立てる計画を示しています。コロナ禍のもとで公費投入を減らし国保料を大幅に引き上げ取り立てる、これが政治のやることでしょうか。

 国保加入者の7割が所得の低い非正規労働者や無職者・年金生活者、自営業者で占められ、保険料は所得に対しての保険料率が他の医療保険の中でも一番高いという構造的な問題があるもとで、区民に一層の保険料負担を押し付けることは、国保制度を根底から崩すことになるとの指摘を共産党は繰り返ししてきました。

 コロナ禍にある区民の命と暮らしを守るため、自治体は公費投入を増額し、保険料の引き下げこそすべきです。

 一方、国民の世論と運動に押され、政府の社会保障審議会医療保険部会では、2022年度から、すべての未就学児の均等割に公費を投入し、現行から5割軽減することを示しました。

 共産党は、子どもの均等割りは廃止し、子どもの国保料は無料にと求めてきたので、5割軽減が示されたことは大きな一歩であり歓迎します。

 国保は他の健康保険と違って世帯人数に応じた均等割り保険料がかかり、子どもの数が多いほど負担が重くなる人頭税としての性格を持っています。さらに他の健康保険では子どもに保険料はかかっていません。子どもの均等割り無料化は2億円余で実施できます。子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、区独自で子どもの均等割り無料化の実施を繰り返し求めました。しかし区は「区長会で求めていく」と区独自での実施を拒否。

 このコロナ禍での収入減は、子育て世帯を直撃しています。コロナ終息の見通しも立たず、収入の回復がすぐに見込めない中だからこそ、子どもの均等割り軽減の時期の前倒し実施や、18歳まで対象拡大など、見直しを国に求め、国が実施するまで、区独自に子どもの均等割り軽減を実施すべきです。

 さらに昨年から品川区は国保料滞納者に対し、延滞金の徴収を始めました。令和2年度の延滞金は滞納者70件に対し104万円を徴収したとのこと。区が示す滞納者の滞納理由は、無財産、借り入れ過多、病気・負傷、低所得。払いたくても払えない人です。こうした人に高い利率の延滞金という罰則を課して取り立てる。自治体のやることではありません。自治体がやるべきは、コロナ禍で罰則を科すような延滞金徴収ではなく、支援策につなげて生活再建策を示していくことです。

 コロナ禍で暮らしも営業も追い詰められている区民に負担増ではなく、国保料は引き下げこそと、皆さんに呼び掛けて、反対討論を終わります。

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