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安藤たい作 区議 請願第3号「一人ひとりの子どもが大切にされる品川区を求める請願」への賛成討論

2021.03.23 安藤たい作 区議

 日本共産党品川区議団を代表して、請願第3号「一人ひとりの子どもが大切にされる品川区を求める請願」への賛成討論を行います。

 本請願は、「すべての子どもには等しく成長発達が保障され、健やかに育つ権利がある」と述べた上、認可保育園の更なる整備を進め行政の責任で待機児童を解消すること。今ある公立保育園は存続し民営化しないこと。コロナ禍の下、感染拡大防止と豊かな子どもの育ちの保障へ、品川区独自に保育士配置や面積などの保育基準を引き上げること。以上3点を求めています。

 署名の数は1412人にのぼり、請願提出者の品川保育問題協議会は、品川の保育・子育て環境の改善を求め毎年のように署名活動に取り組み続け、今回で35回目。この数年は毎年1500人前後の署名が議会に届けられ議論されています。皆さんの活動に敬意を表したいと思います。
以下、賛成の理由を3点述べます。

 1点目は、待機児童ゼロは実現しておらず、更なる認可保育園の増設が必要だということです。

 2次募集の結果の速報値によれば、申込数1489人、内定は314人で、8割が不承諾、その数は1175人にのぼりました。とりわけ厳しい1歳児枠では、668人が申し込み、不承諾は601人、9割が不承諾です。今年も大変厳しい保育園入園状況が明らかになっています。にも関わらず、区は「待機児童は実質的に解消」「保育需要を充足できる見通し」との認識を続けています。なぜでしょうか。それは区が、毎年、膨大な不承諾数から、いわゆる「隠れ待機児」数を引き、最終的に待機児童数を著しく減らしているからです。

 昨年4月を例にすれば、不承諾数は1175人いたにも関わらず、待機児童数は13人とされました。認証保育園利用者273人をはじめ、公設民営保育園の3〜5歳児クラスの空き枠を1年限りの期限で割り当てる「定期保育」利用者86名、「特定の保育園のみ希望している者」として497人、うち2園以上希望園を書いた方でも285人が除かれています。更に、「求職活動を休止している者」とされ除かれた92人には、保育園に入れなかったから就労をあきらめた方が多数含まれているのです。

 区は、不承諾の方の行先について聞かれ、「認証保育園ですとか定期利用保育、企業主導型保育ですとか認可外保育所、あるいはベビーシッター」と答弁。また、「総合的な待機児童対策ということでやっている以上、認可園だけでニーズを全て満たすのは現状では若干難しい。認証や認可外、そういったところで受け皿を確保していくのが区の計画、考え」とも答弁しました。確かに、認証保育園には、営利目的でなく子どもの育ちを第一にするNPOや社会福祉法人により経営され保護者から強く支持を受け選ばれている園も少なからずあります。しかし、初めから3歳以降の入園の保障のない認証保育園や、一年限りの定期保育を選ぶ親は少数です。認可に入れないから、選び利用している、というのが多くの親の実態ではないでしょうか。

 保育園に入れず仕事をやめざるをえない家庭は深刻です。やむを得ず育休を延長したり定期保育を選んだ方も、来年に入れる保証はなく不安な思いを抱え続けながら子育てをしなければなりません。また、1歳児枠は狭き門であり、両親フルタイム共働き40点でも入れない異常な状況が常態化しています。公立私立を合わせた全141認可園中、公表不可を除き、1歳児枠の入園最低点数が39点以下なのは2園のみで、あとは全て40点以上。41点以上は63園にのぼります。1歳からの入園が厳しいため、やむなく育休を切り上げ0歳から預けたり、加点を得るためやはり育休を切り上げ認可外に預けるなどの「保活」に走らざるを得ない実態があります。あるお母さんは、「妊娠した時から保育園に入れるだろうか、仕事は続けられるのだろうか、という悩みが始まる。あのストレスは二度と味わいたくない」と涙ながらに辛さを語りました。子育て世帯にこんな思いをさせていいのでしょうか。

 一方で区も、「当然、認可園のニーズは高いものなので、区としてもニーズの増加に合わせて開設しているところ」と答弁し、実際に今年度も待機児童は13人としながらも10園の認可保育園を増やしています。

 不承諾の方は不当に除外せず、待機児として認識し、「待機児は基本的に解消」との認識をあらため、区の責任で「待機児ゼロ」を認可保育園の増設により実現すべきです。

 2点目は、今ある区立保育園を民営化する正当性はなく、区立として存続すべきだという点です。

 請願審査や予算委員会では、区が進める区立保育園の民営化の目的や是非について質疑がおこなわれました。しかし、区は「民間活力の導入」「多様なサービスを選択できる」「民でできるところは民で進めようというのは国の方針」などと一般論しか述べず、更に追及されると「例えばダンス、あと英語だったり、そういうニーズに対しては区の保育園では対応していない」などと苦しい答弁。今ある区立園をわざわざ民間に置き換えていく正当性や必要性は全く示すことができませんでした。

 結局、区の本音は、公設民営から始め、「効果を検証をしながら段階的」になどと言いながら、民設民営にまで進め、区の財政負担を減らしたいというだけです。区は区立保育園について「乳幼児教育の中核になる施設」「長年培ってきたノウハウがある」とも言っています。今ある区立保育園の民営化方針は撤回すべきです。
3点目は、子どもたちの豊かな育ちの保障と感染拡大防止のためには、詰め込みではなく、公私問わず保育環境の改善が必要だということです。

 区立園では、保育室としてみなせる部分を計測し割り出した延べ床面積や職員数の許す範囲で定員以上の受け入れを行う弾力化を行っていますが、新年度も全区立園定員4261人に対し、弾力化で4600人程度に増やす方針。詰め込み率は平均では108%ですが、園によっては120%のところもあります。

 また、ただでさえ国の4,5歳児の保育士配置基準は、子ども30人に対して1人であり、フランスの3歳児以上15人に1人などと比べ、先進国で最低。また、面積基準も2歳児以上の幼児一人当たり1.98u。フランス・パリ市の3歳以上で5.5uなどと比べ極めて狭い。保育士配置・面積基準ともに、戦後直後から全く改善されず今日まで至っているものです。ここ数年で95園にまで激増した私立保育園のほとんどは園庭がありません。いま、私立園の急増で熾烈な公園争奪戦が起きており、規制緩和・民間開放をどんどん進めるのではなく、子どもの育ちを保障する環境や基準の充実に行政が責任を持つべきです。品川区は「1歳児6人につき1人のところを5人に1人」など国基準に独自に上乗せしているといいますが、元々が低い水準の上、更に詰め込まれているのですから、更なる改善・上乗せこそ求められています。

 さいごに、コロナ禍は、医療・介護・保育・教育など、人の命や健康、育ちに関わるケア労働を充実させることの重要性を改めて浮き彫りにしました。これらを市場原理に放り込み削減してきたことにより、ひとたび感染症が起きればいとも簡単に普通の暮らしを送っていた区民が苦境に陥る、脆弱な社会に変えられてきたのです。コロナで、これまでの政治や社会の在り方が問われているのです。今こそ、弾力化は止め、保育基準を底上げし、認可保育園の更なる増設で、子どもたちに手厚く安全な育ちの場を保障すべきです。
以上で、私からの賛成討論を終わります。

2次募集結果発表後の入園状況(3/18暫定値)

 

申込数

内定数

不承諾数

内定率

0歳児

231

71

160

30.7%

1歳児

668

67

601

10.0%

2歳児

311

65

246

20.9%

3歳児

161

55

106

34.2%

4歳児

75

33

42

44.0%

5歳児

43

23

20

53.5%

合計

1489

314

1175

21.1%

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