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安藤たい作 区議 陳情第36号「区立子どもの森公園の工事に関する陳情」への賛成討論

2021.07.14 安藤たい作 区議

 日本共産党品川区議団を代表して、陳情第36号「区立子どもの森公園の工事に関する陳情」への賛成討論を行います。

 本陳情は、子どもの森公園、通称かいじゅう公園内に2024年度中に開設予定の区立児童相談所を建設する計画・工事に対し、子どもを含む公園を利用する当事者への説明と対話を求めるものです。陳情者は、現に公園を利用する子どもを育てる保護者であり、263名の署名も添えられ提出されました。3月末に工事を知ってから、区に子どもを含んだ公園ユーザーや区民への説明会を開くよう求めてきましたが、個別対応にとどまり、工事は進んでいました。

 陳情は、陳情書に書いてあるように、児童相談所の設置そのものに反対するものではありません。区議会も、区で児童相談所を設置することについての議論を重ね、その必要性については会派を超えて一致してきました。今年3月には当公園内へ児童相談所を建設する工事の契約案件が全会一致で議決。同月、工事が始められ、現在も工程にしたがって進んでいます。しかし、議会も承認し進められてきた工事について、少なくない当事者・区民から、「なぜ親しまれたこの公園を削ってここに作るのか」という率直な声が挙げられたことは大変重いものです。一度決めた計画、工事であっても、その執行にあたり、当事者の声を聞き理解を得ながら進めるのは当然です。正当な理由があればスケジュールや契約案件を見直すことはありうることで、現に地中埋設物などが発見されたり、工事単価が上がるなどの事情で、見直しは過去たびたび行われてきました。陳情を採択し、区民ととともに児童相談所の設置を進めることを求めて、賛成の意見を2点、述べたいと思います。

 1点目は、区の施設、ましてや公園を大幅に変更するにあたっては、区民の声を十分に聞き、情報公開と住民参加ですすめるべきだという点です。

 今回の計画で、子どもの森公園の1400u余、全体の約4分の1弱が建築物となります。敷地内の、草食恐竜が一体、木の秘密基地を模した滑り台の撤去、桜をはじめ多数の「森」を形成する樹木が伐採されました。3年後の2024年度には目黒川沿いの水害対策整備事業が完了し、翌2025年度からはその部分も合わせて公園を拡張、再整備する予定ですが、公園を特徴づける数々の要素は失われることとなりました。

 区は、任意で2回の事業説明会、建築計画説明会と工事説明会あわせて計5回の説明会を実施。各戸へのポスティング、公園内の標識設置、町会への案内など行ったと説明。しかし参加者は延べ37名にとどまりました。全区的に有名な公園に関わることであるにも関わらず「広報しながわ」にも、工事着手前までに計画を知らせる記事の掲載はありませんでした。工事の着手後に初めて計画を知った利用者・子ども・保護者が多数残されていたことは事実で、わずか37名という説明会の参加人数は、周知が不徹底だったことを表すものです。この点については、全ての委員から質問、発言があり、一方的な伝え方ではなく、受け手に伝わるような伝え方の工夫や努力、区民の意見を聴くことなどについて指摘がありました。

 2点目は、子どもの施策を進めるにあたっては、当事者の子どもの声を聴き進めるという姿勢が当たり前にならなければいけないという点です。

 元々子どもの森公園は、その名の通り、子ども参加を貫き、1970年に整備された公園でした。その完成当時のパンフレットには品川区の思いがこう綴られています。「公園のプランに、その主人公である子どもを参加させたい。そしてその参加の仕方はできるだけ純粋な意見を出させてかつ、実現につながるものとしたい。そしてこれを東京の将来を支える少年少女の愛情を培う故郷にしたい。これがプランにあたっての念願であった」。具体的には、学校側の協力も得て、公園を中心とした半径1キロの範囲の小学校の4〜6年、中学校1〜2年1770人にアンケートが取られました。結果、「冒険公園」が過半数、「原始林公園」の希望が3割を占める結果となり、恐竜を中心に、ターザンロープやバイキング船などを配置する現在のかいじゅう公園の原型がつくられたのです。そして、今日まで、多くの子どもと親にとってかけがえのない公園として親しまれ利用されてきました。

 それだけに、工事後の利用者・子どもの落胆も大きく、「子ども3人とも保育園で散歩で使っていた思い出の公園です。木も切られるの?森じゃなくなっちゃう」「子どもが激しく恐竜好きで、一番大きい恐竜がいなくて探した」「最低。あの恐竜にもう会えないんだって」などの声が寄せられました。

 子どもの権利条約は、第12条「子どもの意見表明権」で、子どもに影響を及ぼす全ての事項について、子どもは意見を聞かれ、表明する権利を明記しています。第3条「子どもの最善の利益」、すなわち子どものために一番いいこととは何かを、子どもたちの声を聴き、その内容を尊重・考慮し、決定する責任が行政当局、大人にはある。あらゆる子どもの施策を進める上で、踏まえなくてはならない世界のスタンダードです。そうした流れの中で、東京都議会でも今年3月、子どもの基本条例を全会一致で可決。第十条で「こどもの意見表明と施策への反映」、第十一条で「こどもの参加の促進」を定め、3年後にこどもの意見を聴く機会を設けて時代の要請にかなう内容に更に改善する規定まで盛り込まれました。

 今回の一連の経過、子どもに親しまれている公園に児童相談所を建設することを公園を利用する子どもや当事者の声を十分に聞くことなく進めてきたことは、子どもの権利を尊重する観点の欠如であり、率直に反省しただちに生かさねばなりません。

 質疑では、区は最後まで「条例通りに手続きをやってきた」「周知に問題はなかった」との答弁に終始しました。本当にそれでいいのでしょうか。当事者意見を踏まえ進めるという姿勢がなければ、今後も同じことを繰り返すことになります。

 子どもの最善の利益を実現するため、子どもに関わる私たち全ての大人が、子どもと向き合い、その声に耳を傾けともに歩む品川区になるよう願い、賛成討論を終わります。

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