2021.07.14 おくの晋治 区議
日本共産党品川区議団を代表して、請願第5号「『第6次エネルギー基本計画策定に当たり、再生可能エネルギーの更なる活用促進を求める』意見書を国に提出することを求める請願」に賛成する討論を行います。
本請願は、今後国が策定する第6次エネルギー基本計画に以下の3項目を盛り込むよう国に意見書を提出することを品川区議会に求めています。(1)再生可能エネルギーの主力電源化を実現して政策転換する計画にする、(2)電源構成における再生可能エネルギーの割合の目標を2030年60%以上、2050年100%とする、(3)原子力発電については今から、石炭火力発電については2030年までに廃止して電源構成から除く。同時に品川区も同様の文書を国に提出するよう、区議会が区に働きかけることを求めています。
これは、地球温暖化問題は気候変動の域を超えて気候危機の状況に立ち至っているとの認識の下、「2050年温室効果ガス排出ゼロ」達成のために計画に上記の項目を盛り込むことが必要だと考えるものです。
以下、賛成する理由を述べます。
まず、気候危機を乗り越えるためには、気温上昇の原因となっている温室効果ガスである二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギー(以下再エネと略します)の拡大が決定的だからです。
再エネの日本の潜在能力については十分にあることは既に環境省の試算でも明らかにされています。
再エネのコストについても、電力会社は福島原発事故後の原発の安全対策に5兆2千億円を超える額を入れざるを得ず、原発の方が高コストであることが明らかとなっています。コスト面でも再エネの潜在能力を十分に実現していけるのです。
実際にも、再エネは2012年の固定価格買取制度の導入で大きく伸びました。2012年度には再エネは総発電量の10%でしたが、20年度には20%が見込まれるまでになりました。とりわけ太陽光発電は0.6%から9.0%まで伸びています。
方針や制度を整えれば再エネは拡大することが明らかであり、気候危機を乗り越えるために今まさに踏み出すべきなのです。
次に、原発は二酸化炭素削減の手段にしてはならず、廃止すべきだからです。
この点、菅首相は、本請願にあるように、原発が二酸化炭素を減らす有効な手段で、現在の電源構成における目標値20〜22%を維持するとして原発再稼働を進めています。
しかし、福島原発事故が示したように、原発事故は、人びとの命と生活を極めて広範に奪い取り、長期に渡って取り返しのつかない状態に陥れます。また、原発事故による環境汚染の甚大さを考えれば、気候危機という環境問題を原発の運転継続の根拠とすることは間違いです。環境を守ることを口実にして別の環境への危険性をつくり出すことになるのです。
使用済み核燃料など処分方法が未だに確立してない「核のゴミ」を排出することを考えればなおさらです。
原発は人間や社会と両立しないものであり、これ以上電源として使用し続けるわけにはいきません。
3番目に、石炭火力発電は二酸化炭素を大量に排出する電源であり廃止すべきだからです。
この点は、本請願が言うように、菅首相は、「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」を言いながら、石炭火力発電の温存政策を取り、国際社会から大きな非難の的となっています。
目標達成のためには石炭火力発電の廃止が不可欠です。
環境NGOの気候ネットワークによれば、日本には、現在建設中の石炭火力発電所は9基あり、これらの発電所は2050年時点でも稼働していると見込まれます。「温室効果ガス排出ゼロ」を真剣に追求するなら石炭火力発電所の新設という選択肢はあり得ません。
気候危機を乗り越えるためには、「温室効果ガス排出ゼロ」の達成を急ぐべきであり、既設の石炭火力発電所を含めて2030年までに計画的に廃止していくべきです。
最後に、委員会審議の中で出た2つの意見について触れます。
1つは、原発や石炭火力をなくしてやっていけるのかとの意見についてです。
この点、最初に述べたように、方針や制度を整えれば再エネを拡大できます。問題はその方針や制度が未だ不十分なことです。
そのため、原発や石炭火力の存在とその優先政策が再エネ拡大の障害になっています。
今のエネルギー基本計画の電源構成の下では、九州電力の太陽光発電で頻繁に起こったように、発電量が多くなったときに、まず再エネを発電停止させて原発や石炭火力の発電を優先させています。ヨーロッパのように再エネが優先的に供給されるべきです。同様の問題は送電網への接続制限にも表れ、稼働していない原発のために送電容量を確保していたために、北海道・東北の風力発電や九州の太陽光発電の接続が制限されていました。これもヨーロッパのように再エネを優先的に接続すべきです。
「温室効果ガス排出ゼロ」の方針を決断し確立して、再エネ利用優先政策を方針上で確立して、文字通りの再エネの主力電源化を実現してこそ再エネ拡大が進むのです。
もう1つは、国のエネルギー政策に区や区議会が意見を述べるものではないとの意見についてです。
気候危機のもたらす毎年のように繰り返される台風や水害の未曾有の被害を見れば明らかなように、この気候危機は人類の生存や社会の継続を脅かす極めて深刻なものです。にもかかわらず、国は原発と石炭火力発電に未だにしがみついています。
このような深刻な事態を目の前にして、区も区議会も何も言わないでいいのでしょうか。そこで言うべきことを言うのが区と区議会の責務ではないでしょうか。
このことを最後に申し上げて私の賛成討論とします。