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安藤たい作区議が予算特別委員会で総括質疑を行いました
「羽田ルートについて」「広町開発庁舎について」

2021.10.15 安藤たい作 区議

  1. 羽田ルートについて
  2. 広町開発庁舎について

羽田ルートについて

安藤委員

 鈴木ひろ子委員に続き、総括質疑を行います。

 運用から1年7か月がたちました羽田ルートについて伺います。自公政権は、国際便の増便を目的に、従来の海上ルートを覆し、都心を低空飛行する新ルートを強行。住民を騒音、落下物の危険にさらし、暮らしと命、環境を犠牲にする。コロナで減便でも続ける。こんな政治は間違っています。

 自治体には、住民の暮らしと命を守る責任があります。ましてや着陸寸前の低空で最も影響が大きい品川区の責任は重い。その責任を果たすよう求め、質問します。

 この委員会の審議中も、3時過ぎになると、飛行機の轟音が響きわたり、思わず振り返ることもしばしばでした。300 m台で、これです。さらに低い直下の地域の被害はもっとひどく、8月にルート直下に住む住民の方が被害の実態アンケート調査を行い、東大井、勝島などの住民から切実な声が寄せられました。

  特徴は2つあります。1つ目は、会話ができない、窓を開けて寝られない、テレビの音が聞こえなくなる、騒音がひどく、集中力が途切れて室内で仕事ができない、騒音のため、窓を開けての換気ができない、徹夜明けの昼間の就寝時は睡眠不足など、平穏な日常が壊されていること。

  2つ目は、ゴー、キーンという音がひっきりなしに響き、精神的に参っている、一年中、一日中の騒音で血圧が上がった、騒音もあるが、直上を大きな物体が通過する精神的ストレスが大きい、大型機が通過するときには、キーンという音がし、頭痛に悩まされるなど、健康にも具体的な影響が出ている点です。

  共産党はこうした声を紹介し、区民の心身への影響調査の実施を求めましたが、区は、国の責任において判断すべき、独自に行う考えはないと拒否しました。改めて、区民が日常の平穏を奪われていることについて、区長はひどいと思わないのか、伺います。

 また、区民から具体的な健康被害も報告されていますが、これでも区は影響調査を行わないのでしょうか。伺います。

中村都市環境部長

 ただいま委員からご紹介がありました区民の声でございますけれども、区としましても、区民の皆さんが平穏な生活を送るということは大切なことだと考えますし、また、区もこれまでに、地域の声としまして、健康に関することや、また、いただいたアンケートの調査結果など、様々、国に一つ一つ届けてまいりました。

  区としましては、新飛行ルートは、やはり複数の自治体にまたがる国の事業であるというところでございますので、影響調査につきましては、国が責任を持って行うべきものと考えます。健康に関することも含めまして、地域の皆さんの声をこれからも国に届けるとともに、区として可能な限り環境影響の低減について国へ強く取組を求めてまいります。

安藤委員

 区民から被害の実態を突きつけられても、国の責任だから区はやらないと。区は区民の命と暮らしを守る責任があるのに、見て見ぬふりですか。あまりに無責任です。

 次に、国の固定化回避検討会についても伺います。この検討が、現在の滑走路の使い方を前提としたものであり、着陸には一定の直線距離を取らなくてはいけない以上、品川区の上を飛ぶことには変わりないことは何度も述べてきました。これは区も否定できません。いつまでこの偽りの検討で区民をだまし、日々の被害を放置し、新ルートを続けるつもりなのでしょうか。

 共産党が品川の上を飛ばないことを求めていくべきと質問すると、区は、飛行高度を少しでも上げていただくとか、現在より少しでも騒音環境軽減の取組がないか再三求めてきた、少しでも品川区を飛ぶ時聞が短くなる方策に期待する、少しでも軽減策につながることがあれば検討していただきたい、その実施を求めていくのが区の姿勢と繰り返しました。改めて、区にとっては、都心ルートは大前提なのだと。これでは区民の被害はなくならないと痛感しました。

 区は、なぜ品川区の上を飛び続けることをよしとするのか、伺います。

中村都市環境部長

 新飛行ルートにつきまして、区としましては、よしとするということではなく、本格運用が実施されたことを受けまして、実施後に速やかに国に対して、ルートを固定化することがなく、航空技術も日々進展していくということを踏まえまして、経路の見直しの検討を求めてまいりました。 

 現在、国でその検討が行われているという状況だと認識しております。

安藤委員

 区が都心ルートを前提にした検討を求めているうちは、国は安心して新ルートを継続できます。区民が区に求めているのは、国に反対、中止をとの意見を述べ、都心ルートそのものをやめさせることなのです。私は、改めて区の責任を聞いたいと思います。

 2018年、区長選挙で演野区長は、区民世論に押され、羽田の空路変更に対しては何よりも区民の安全・安心を優先と公約しました。しかし、当選直後の就任会見で、一品川区が反対するわけにいかないと、あっさり容認に転じた上、運用開始まで反対とはついに言わず、国の新ルート実施に道を聞きました。運用後も、中止をと表明したことは一度もありません。つまり、反対表明を拒否し続けた区の姿勢が新ルート実施を招き、区民の被害を発生させた。当事者としての反省はないのでしょうか。伺いたいと思います。

中村都市環境部長

 この新飛行経路、平成26年7月、国から案が公表されました。それ以来、区といたしましては、まずは賛成・反対というところではなく、地域の皆さんにこの内容について理解を深めてもらうことが第一と考えまして、区内各地域への丁寧な説明、そして、情報提供を求めてまいりました。

 そうした中で、令和2年3月29日に、国が自らの判断、そして、自らの責任において、それまで国に対して出された様々な意見をしっかり国自身が受け止めるということを前提に、本格運用を決定したということでございます。

  区も、これを受けまして、先ほど申し上げましたとおり、新ルートの固定化の回避について国に強く要望いたしまして、現在に至っている。そして、区の求めに応じて国が今検討しているというところでございます。

安藤委員

 反省の弁はないのかと言いましたけれども、反省の弁はありませんでした。反対表明を拒み、少しでも軽減のある方策の早期実現をという今の区の姿勢、これ、品川を飛んで、いいという容認です。区は当初から、今も一貫して新ルート容認で変わらず、それを区民に悟られないよう、言葉巧みにごまかし続けてきただけです。こんな区政は変えなくてはなりません。

 区とともに議会の責任も問われます。渋谷区議会では、13日に、運用停止を求める国への意見書を全会一致で採択しました。議会も新ルートを中止し、元の海上ルートに戻すよう固に声を上げるべきだと申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

広町開発庁舎について

安藤委員

 次は、広町開発庁舎についてです。委員長に事前に許可を得まして、パネルを示しながら伺いたいと思います。大井町駅近くのJR社宅、スポルだったところに超高層ビルを建てる広町地区開発計画が進められています。区は、これを、まちづくりを牽引し、周辺への波及効果を生み出すと位置づけ、大井町全体に超高層を広げようとの考えです。

 ここが区域です。区域内には、現庁舎が含まれ、劇団四季やひろまち保育園があった区有地もあります。

 まず、この開発計画の内容について伺いたいと思います。広町地区開発でできるビルの用途、階数、高さ、棟数、開業はいつの予定か、伺います。

 また、ここは現在、高い建物もないのに、なぜそれだけのピル建設が可能となるのか、どのような都市計画の変更、決定が必要で、いつ決定する予定なのかも伺います。

末元都市整備推進担当部長

 広町地区の開発計画についてですが、区では、令和2年11月に大井町駅周辺地域まちづくり方針を策定し、この方針に沿った適切な土地利用計画に基づき、土地再編を行っていく予定です。

 地区内で予定されているJR東日本による開発計画の概要ですが、3棟の建物が計画されており、1棟目は、地上26階建て、高さ115mの宿泊・住宅の用途が中心の建物、2棟目は、地上23階建て、高さ122mの業務の用途が中心の建物、3棟目は、地上3階建て、高さ27mの駐車場と屋上が広場の用途の建物が計画されております。令和4年度以降に工事に着工し、令和7年度に完成する予定でございます。

 次に、高いビル建設がなぜ可能かというところでございます。先ほど申し上げました、区が策定したまちづくり方針における広町地区の整備方針によれば、駅直近のゾーンを新たな都市機能集積ゾーンと位置づけ、駅至近の交通利便性を活かして、多様なニーズに対応した多機能複合拠点を、重層的な土地利用を促し、新たなにぎわいを創出するものとしてございます。JR東日本の開発計画については、このまちづくり方針に沿った適正な開発計画であると、区としては認識してございます。

 必要となる都市計画については、再開発等促進区を定める地区計画および土地区画整理事業であり、今年の11月下旬に都市計画決定する予定で手続を進めております。

安藤委員

 都市計画の説明がありました。JR等の土地再編、区画整理、道路整備、用途地域の変更等、区による様々な決定を得て、初めてこの超高層ビルは成り立つのです。住民からは、超高層はもう要らないと。大井町らしさを大事にしてほしいという声も上がっております。なぜ区がJRの超高層のためにここまで便宜を図るのでしょうか。

 土地再編についてさらに伺いたいのですが、区画整理後の換地後に区が手にする土地の位置は、この赤のL字部分で間違いないでしょうか。この面積は何平米でしょうか。この土地は下にりんかい線が走っています。建築面積は半分以下になると区も答弁しておりましたが、駅にも近い、もともとの一等地である区有地と、換地後に手にする、駅から離れた、しかも土地制限があるこの土地とでは同じ価値になるのでしょうか。到底そう思えませんが、ご説明ください。

末元都市整備推進担当部長

 広町地区では、今年度末に土地区画整理事業の事業計画の認可を取得する予定で、関係者間で調整を進めてございます。来年度には、この事業計画に基づき換地計画が決まっていく予定であり、その中で具体的な場所や面積が示される予定でございます。したがって、換地後の面積については、現時点では決まっていないため、お答えすることができません。

 ただし、換地される場所については、まちづくり方針に基づき換地計画が検討されるため、区有地は、お示しのとおり、L字型で示されている行政機能・にぎわい集積ゾーンへ換地されるものと認識してございます。

 次に、土地の価値に関するご質問ですが、土地区画整理事業を進めるに当たって、まちづくり方針に基づき、大規模な土地再編により、駅前には多様なニーズに対応した商業や業務などの複合機能を配置するとともに、現庁舎側には行政機能を集積するなど、適正な土地利用計画に従い進めていく方針としてございます。

 JR東日本を含めた各地権者が、公平な負担の下に、適正な換地計画に基づきまして、りんかい線による土地の制約なども含めて、適正な土地評価の下に進めていく予定でございます。

安藤委員

 全然適正ではないと思います。区有地は、区民の財産です。どんな交換条件になるのか、本当に等価値なのか、今の説明では全く分かりません。

 そして、駅前の一等地をJRに譲るにもかかわらず、新たに受け取る土地の面積すら区民に明らかにしないとはどういうことでしょうか。にもかかわらず、来月にも決定してしまおうとは、あまりに乱暴です。

 同時に区は、換地後の土地を使い、新庁舎の建設の検討を進めています。現庁舎を壊して、その跡地ににぎわい施設、アリーナ等を建てる計画があるからです。人を呼び込み、JRの開発価値を引き上げる。またもや便宜を図るのです。

 しかし、庁舎というのは、当然ですけれども、区民の財産です。本来、その検討は、区民に計画を広く知らせる説明会、討議を踏まえて案に反映する意見交換会などを重ね、住民参加で進められるべきです。

 現在パブリックコメン卜が行われています新庁舎の整備基本構想素案の内容について、候補地、床面 積、事業費、建物の階高、建設スケジュールがどのように定められているのかも含め伺います。また、 いつ決定する予定なのかも伺います。

榎本総務部長

 今、新庁舎整備基本構想のパブリックコメントをやっている最中でございます。その素案の内容については、候補地は、今、図にあるように、L字型のところへ今の庁舎にくっつく形での土地を予定しております。要は、広町にあった土地をうまく再編して有効活用しようというものでございます。

 素案に出ている床面積は約6万平米、事業費は400億円、建物の階高はまだ未定でございますが、ある程度、15階から20階辺りになるのかというところでございます。

 建設スケジュールは、令和7年から令和9年の建設スケジュールで、進めるものでございます。

 いつ決定するのかということは、基本構想については、答申をいただいてから年内に区として決定するものでございます。

安藤委員

 年内だと。しかし、こうした素案の重要な内容を知っている方が、今、区民の全体のうちどれぐらいいるのでしょうか。ほとんど知られていないと思います。高さ一つとっても、15階から20階と。現在の庁舎の2倍から3倍の超高層。JR開発のための現庁舎跡地はまずアリーナにする。土地再編で建物があまり建てられない土地をあてがうなどの縛りが、結局、新庁舎は狭い敷地の超高層に限定されることになりました。

 先日は首都圏を地震が襲い、各地で、エレベーターが停止しましたが、平常時も不便で、震災時も問題が多い超高層の庁舎でいいのでしょうか。候補地、超高層、400億円もの事業費、こんな重大なことを決める基本構想を、区民不在で11月にさっさと決定することは到底許されません。

 そもそも現庁舎は、10年前に36億円かけ免震工事が行われ、最低でもあと15年もちます。共産党が、建て替えを急ぐ必要はなく、今はコロナ対策を優先すべきだと質問すると、区は、一度耐震はしているが、それで、万全だという形にはならないような状況も今後考えられるなどと答弁しました。耐震工事をしたのに、現庁舎は首都直下型地震には耐えられないということなのでしょうか。伺います。万全ではないとは、何が十分ではないということなのか、伺います。

榎本総務部長

 ただいま免震工事のことの質問がありました。それで、地域防災計画においても、首都直下地震による東京の被害想定を基にいろいろ計画を立てていることでございます。ですが、免震工事を行ったのは平成20年からで、計画を立てたのは平成18年という形でございます。その被害想定は、そもそも今現在の被害想定と違うという。要は、震度が強くなるという想定が出ておりますので、万全ではないという形でお答えしたとおりです。

 それと同じく、建物は丈夫です。建物はもったとしても、中に入っていろいろな設備、電気設備、空調設備、IT関係等がもつかどうかというのはまた別問題でありますので、なかなかそこの部分も含めて、何年もつかという形を考えなければいけないと思っております。

安藤委員

 今の説明では、コロナ禍の下、急いでまだ使える庁舎を壊して、多額な税金を使って新庁舎を建てる理由になっていないと思います。結局、先ほど開発の時期がありましたけれども、2025年度開業とのJRの再開発のスケジュールに合わせているだけなのです。

 加えて指摘したいのは、こうした区民に直接関わる重要案件、全区的な問題なのに、こうした検討をこれまで区民不在で進められてきたことです。例えば、広町開発の検討は、JRと10年以上、密室で行われましたが、その報告書を情報公開請求しても、99%が黒塗り非公開。計画案の住民説明会を僅か1時間、途中で質問を打ち切り、質問されるまで、庁舎の建て替えの件に一切触れなかったという点、新庁舎検討の内容を説明する住民説明会は、パブコメが行われている今に至るまで、一度たりとも開催されていない。一つ一つが、住民無視のあってはならない事例だと私は思います。

 このまま11月に都市計画等新庁舎基本構想を決定することは絶対に許されません。以下提案し、その実施を強く求めます。

 都市計画や基本構想の決定手続を中止すること、新庁舎の都市再編による建設候補地とにぎわい施設の計画を白紙撤回し、時間をかけて情報公開と住民参加で白紙から検討すること、以上を求めますが、いかがでしょうか。

榎本総務部長

 今ありましたけれども、庁舎の老朽化についての対策につきましては、平成29年度から区議会行財政改革特別委員会で継続的に検討してきているものでございます。それで、その結果、今、この基本構想の段階にやっと来たということでございますので、撤回するつもりはございません。

安藤委員

 新庁舎も広町開発も、これは区民の大半に計画が知らされていないのです。それが現状です。現庁舎はあと15年最低もちます。大井町は区の顔となるまちです。十分に時間をかけて、どんな庁舎にするのか、区有地をどう活用するのか、徹底した情報公開と住民参加でーから検討すべきです。

 重ねて求めまして、私からの総括質疑を終わります。ありがとうございました。

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