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鈴木ひろ子区議 第1回定例会
「加齢性難聴者への補聴器購入費補助を求める陳情」への賛成討論

2022.03.25 鈴木ひろ子区議

 日本共産党区議団を代表し、令和4年陳情第7号「補聴器助成金制度を求める陳情」に対する賛成討論を行います。

 今回の陳情は、多くの高齢者が難聴になり、補聴器が高額であるため、多くの区で助成金が出されていることを例に挙げ、品川区も補聴器助成制度をつくることを求めるものです。

 以下、賛成の理由を述べます。

 加齢性難聴者への補聴器購入費補助制度を求める請願・陳情は2019年に初めて出されて以来、今回で6回目となります。これまでの厚生委員会での審査との違いは、厚生労働省が「自治体における難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究」を行い、その「調査結果と提言」を出したことを受けて行われたことです。

 その提言とは、難聴高齢者が補聴器を使うことで聞こえを改善することが、介護予防や生活の質を維持するために重要であり、自治体が取り組みを強化すべきこととして、難聴高齢者を把握することと補聴器利用につなげる仕組みを整備することを具体的に述べたものです。

 共産党がこれまで、WHOの基準や、世界的な学会での論文、耳鼻咽喉科学会の論文などをもとにしながら、加齢性難聴の早期発見と補聴器の早期装用が高齢者のQOLの維持と認知症予防につながると主張し、聴力健診制度と補聴器購入費補助制度の創設を求めてきましたが、厚生労働省の研究と提言によって、さらにその主張が裏付けられることになりました。

 厚労省は、国立長寿医療研究センターが行った「難聴補正による認知症予防を目指した研究」などが「高齢期の難聴は介護予防や生活の質を維持していくうえでも重要であり、聞こえにくさを補うために、本人の状況に応じた補聴器の利用が重要である」と述べていることを受け、全国1741自治体の悉皆調査を行い、940自治体から回答を得、6名の委員で検討。令和3年3月に「調査結果と提言」が出されました。

 提言では、自治体として取り組み強化が求められることとして、第1番目に、「難聴を早期に発見する仕組みを作ることが必要」とし、加齢性難聴は本人が気づかないうちに徐々に進行することが多いため、聴力健診や高齢者が集まる場所で、難聴高齢者を早期発見する仕組みの構築が急務と述べています。2つ目に「難聴が疑われたときに、医療機関への受信勧奨ができるように耳鼻咽喉科医との連携の仕組みを整えること」と述べ、財政的な余裕があれば、高齢者全年齢層を対象とした聴力健診を行い医療機関とつなぐこととしています。これまで区は、「高齢者の聴力の低下は自覚ができ、かかりつけ医や家族など周囲の気づきがあるので聴力健診制度創設の考えはない」としてきましたが、この考え方を改め、早期発見の仕組みを構築することが求められます。

 3つ目に、「受診勧奨から適切な補聴器利用のために、補聴器相談医や認定補聴器技能者の周知を図ること」、4つ目に「補聴器装用後、装用を継続するために難聴高齢者のフォローを行うこと」、5つ目に「難聴高齢者への戦略的な支援スキームの検討が必要」と述べています。

 これまで品川区は、「まず、普及・啓発、正しい使用方法について、専門機関、業界団体が行うべきであり、それは区の役割ではない」との答弁を繰り返してきましたが、提言では、自治体として、補聴器相談医や認定補聴器技能者の存在の周知を図ること、装着し続けることでの利便性を実感するためのフォローアップ、補聴器装用に関する一般市民への啓発など取り組み強化の検討を行うよう求めています。そして、一体的な支援ができる体制整備や部署横断的な体制構築が重要であると提言しています。

 品川区は、今回の陳情審査時も、「補聴器の有効性を否定するものではないが、現時点で補助制度を創設する考えはない」との答弁でした。「行政の立場からも、何か普及啓発についての支援、ご協力できることがないかとの視点から注視していく」と述べましたが、これではあまりに不十分です。この提言をもとに品川区としても、聴力健診制度や補聴器購入費補助制度を創設すべきです。

 補聴器購入費補助制度をつくることで、補助制度を受けるためには補聴器専門医の診断が義務付けられ、専門医から認定補聴器技能者につながり、補聴器の調整・フィッティングがされ、正しい補聴器装用へとつながります。補聴器専門医や認定補聴器技能者による補聴器の調整・フィッテングの必要性が知られていないため、合わないまま補聴器を何個も購入したり、高額の補聴器を購入したにもかかわらず使われずに不自由なまま生活をせざるを得ない高齢者がたくさんいます。そこに対する自治体の支援こそすべきだというのが今回の提言です。

 すでに、23区では新年度実施も含めると港、大田、目黒、世田谷、渋谷など16区が補聴器購入費補助制度を創設しています。この2年余の間に8区から2倍に広がりました。厚労省の研究の検討委員に自治体代表として高齢者支援課課長が参加した港区では、新年度60歳以上で区指定の医療機関で補聴器が必要と診断されたを対象に、所得制限なく補聴器購入費補助制度を創設。助成限度額を13万7000円、住民税課税者は1/2の上限6万8500円としました。さらに「港区モデル」として、「聞えのチェックリスト」の活用や「聞こえに関する講座」の開催などによる難聴高齢者の早期発見、補聴器相談医や認定補聴器技能者との連携で、購入前の相談からアフターケアまで支援するとしています。東京都が高齢者社会対策区市町村包括補助で半額補助を行っている制度も活用し、補聴器購入費補助制度をつくるよう求めます。

 厚生委員会では、自民党や公明党は「補聴器の必要性は十分に理解している」と述べながら不採択としました。理解しているというのであれば、なぜこれだけ多くの高齢の難聴者が苦しんでいることに背を向けるのでしょうか。

 品川区が補聴器購入費の補助制度をつくり、補聴器の早期使用の有効性や調整の必要性について理解を広げることが、高齢者のコミュニケーション・生活の質の改善、その人らしい生活を取り戻すことにつながります。議会として採択することで実現への道を開くことができるのです。本陳情への賛同を心から呼びかけ、賛成討論を終わります。

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