2023.01.12 石田ちひろ区議
日本共産党品川区議団を代表して、請願第15号補聴器購入費助成制度の実施を求める請願に賛成の立場で討論します。
本請願は、品川区が「実施に向けて取り組む」と表明した補聴器購入費助成制度を、港区のように実効性ある内容で来年度から実施してほしいと、9つの団体の代表者が名を連ねて提出されたものです。補聴器購入費助成制度を求める請願・陳情は2019年11月に初めて出され、今回で8回目となります。
品川区は当初、「専門家や耳鼻科等の方の見解があることは重々認識している」としながらも、補聴器購入費助成制度を実施する考えはないと拒否してきました。
共産党は、耳鼻科の先生方からの意見や、国際アルツハイマー病協会国際会議、国立長寿医療研究センター、WHOなど、様々な専門機関からの難聴者への補聴器の早期装用の重要性や有効性を紹介し、認知症の予防や生活の質の向上につながると、8回すべての請願・陳情に賛成し、補聴器購入費助成制度の実施を繰り返し求めてきました。
一方、自民党は、党として補聴器購入費助成を区に要望していたのに反対しました。公明党は補聴器の有効性は認めながらも、「他区の助成額のように2万円から3万円でインセンティブになるのか。これを公的に出すのか」と反対。区民の切実な願いに対し、どうしたら実現できるのか、課題があればどうしたら解決できるのか、そうした姿勢はなく、8回の請願・陳情すべてに反対してきました。しかし区民の粘り強い運動と議会論戦が力となり、区は昨年、補聴器購入費助成制度を「実施に向けて取り組む」と表明。まずは補聴器の正しい知識の普及啓発を進めるとのことでした。区民からは「補聴器購入費助成制度が実施されたと聞いた、どこに申請にいけばいいのか」「補聴器を購入しようと思っているが、助成制度が実施されるのを待っている。いつになるのか」など、実施を待ちわびる声が寄せられています。今回、8回目の請願審査で、区は「来年度の実施にむけて取り組んでいる」と答弁。いよいよ来年度実施へ、今後はどのような内容にするのかが問われます。今回の請願はその制度の中身を港区並みにと求めるものでしたが、それに対しても自民・公明は「方向性がもう出ている」「取り上げるまでもない」と反対しました。
共産党は厚生委員会で、本請願でも紹介されていますが、2021年3月、厚労省の老人保健健康増進事業として「自治体における難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究」が行われ、研究結果と5つの提言が報告されたことを紹介してきました。提言では@難聴は自分では気づきづらいため、難聴を早期発見する仕組みの構築をする?難聴が疑われたときに、医療機関への受診を促せるよう医師会や耳鼻咽喉科との連携の仕組みを整えるB受診を促し、適切な補聴器利用のために、補聴器相談医や認定補聴器技能者がいるということ、相談や補聴器の調整ができることの周知をはかるC補聴器装用後、装用を継続ずるために、補聴器自体の定期的な調整、耳や聴覚の管理など、難聴高齢者のフォローを行うD難聴高齢者への一体的な支援ができるような体制整備や部署横断的な取り組み体制など、戦略的なスキームの検討が必要。と、自治体の取り組みを検討することが求められています。
この研究の検討委員に自治体代表として参加していた港区では昨年、補聴器購入費助成制度が実施され、補助額13万7000円、住民税課税者は2分の1の6万8500円とし、聞こえのチェックリストの活用や、聞こえに関する講座などによる難聴高齢者の早期発見、相談医やとの連携で、購入前の相談からアフターケアまでを支援する港区モデルを実施。購入費助成制度と一体に補聴器の啓発、相談、調整ができる仕組みとしています。昨年4月から実施して現在の申請件数は454件。区民からは「耳が聞こえにくく困っており、集音器なども様々試したがうまくいかず、地域の集まりに行くのももうやめようかと思っていたところ、この制度を知り申請。補聴器相談医に相談でき、認定補聴器技能者と調整を繰り返しでき、今となっては補聴器を手放せない。自己負担が少なく済むのも助かった」と大変喜ばれているとのことです。
いよいよ来年度実施の品川区としても、提言を検討し、港区並みに実効性のある内容の助成制度とすべきです。区民の費用負担を少なくし、補聴器購入後も長く使い続けられる制度へ、区議会が請願を採択し後押しすることを呼びかけて、賛成討論を終わります。