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安藤たい作区議 第4回定例会
「コミュニティバスの運行経路の拡大を求める陳情」への賛成討論

2023.01.12 安藤たい作区議

 日本共産党品川区議団を代表して、陳情第61号、「コミュニティバスの運行経路の拡大を求める陳情」への賛成討論を行います。

 本陳情は、現在試行運行が始まっているコミュニティバスの更なる充実を求め、大井町から臨海斎場へ行けるルートや、大井町から区役所前を通り大崎、五反田、目黒をつなぐいわゆる大崎ルートの運行、また料金を100円に引き下げることを求めるものです。

 以下、賛成理由を2点述べます。

 第1に、コミュニティバスは、区民の移動する権利を保障する上で重要だということです。

 区民がいつでも自由に、安全に移動することは、健康で文化的な生活を営む上で欠かせません。「コミバスは移動権の保障を位置づけるべき」との共産党の質問に区は、「国が制定した交通政策基本法の中では移動権の保障は定められなかったが、身近な交通手段の充実は非常に大事」とその重要性は否定できず、また「区としては、その一番を担う民間事業者を補完するコミバスの試行運行を重ねていきたい」と答弁しました。しかし現状では、他の陳情でも訴えがあるように、区内で民間バスの便数減や廃止が相次いでいます。陳情で運行を求めている大崎ルートに関しても、昨年11月から、渋谷から大崎を通り大井町へ行くバスが高輪ゲートウェイ行きに分かれたことにより便数が半減。住民から「不便になって困っている」と声が届いています。現状から照らし、また憲法の要請からも、区は民間の「補完」に留まらず、憲法に保障された生存権、移転の権利、幸福追求権などをもとに移動する権利を保障する施策を進めるべきです。とりわけ高齢者は、コロナで外出制限や活動自粛が続き、心身の健康にも影響が出ており、外出し交流する条件を整える便利で使いやすいコミュニティバスの充実はますます重要です。

 第2に、こうした区民の権利保障のコミュニティバスは、税金を使うべき事業だということです。

 区は、新たにルートを増やすことを検討することについて、「施行運行開始後も陳情以外にもルート増の要望の声は頂いているが、地域の声を全て聞いて実施していくのは現実的に不可能」と述べました。一方で、「民間では採算が合わない、少し道が狭い、というところを補完する上で区のコミバスの役割がある。区民の身近な足として地域公共交通が区全体として更に高まっていくように試行運行を実施開始した」と述べています。何も一気に全てのルートを通す必要はなく、区民の要望や実態を受けて必要なところに少しずつ拡大していけば良いし、区も利便性の更なる向上を否定していません。

 また、区は、料金や収支率の質疑の中で「区が運行するバスであっても限られた財源の中で、税金で実施している事業」と繰り返し、100円への料金引き下げや、収支率のみの廃止基準の撤回を拒否しました。しかし、区の財政規模は年間1900億円規模に達し、税収も毎年数十億増えています。一方で超高層再開発には累計1520億円を費やしてきており、例えば武蔵小山駅前パルム地区には一棟110億円の税金が投じられました。大井ルートの試行運行で区が補填する運行経費補助は予算ベースで年間3600万円。110億円とは、実にこの305年分にあたる額になります。

 一方、昨年の一般質問でも紹介したように、港区では9ルートのコミバスを走らせ、運賃は100円とした上に70歳以上の高齢者、障害者、妊産婦等は独自に無料にしています。渋谷区では4ルートで料金は100円とし、「障害者や高齢者の利便性向上が目的の福祉施策と位置づけている」との理由で、事業廃止の基準となる収支率は設定していません。

 通院、買い物、区の施策やイベントへの参加、文化活動や友人との交流など、区民の外出、移動権を保障するコミュニティバスの更なる利便性向上、すなわち実施ルートの拡大や料金引き下げに税金を使うことは、「住民福祉の増進」との地方自治体の使命に照らして、当然のことです。

 最後に議会の役割についても述べます。

 建設委員会で陳情に賛成したのは共産党だけとなりました。自民党は「ここを通してほしい、料金を下げてほしいという声は聞いている」としながらも、陳情の採択が「最終的には議会の総意として結論になっていくため、一部のルートを推進するのはやるべきでない」と不採択。公明も「ルート拡大の要望は受け止めている」としながら、「今後も公共交通会議等で、区民の意見を集約し検討し決定するのが進め方として相応しい」と不採択に。イノベなど他の委員も同様の理由で不採択としました。

 区長と同様に住民から直接選挙で選ばれる区議会議員には、住民要望を行政に反映させ、また、行政をチェックする重要な任務があります。「区民のルート拡大の要望は聞いている、受け止めている」というのであれば、区がやらないからこそ、陳情を採択し、その実施を迫ることが議会の役割ではないでしょうか。

 また、「地域公共交通会議で決めるべきだ」と言いますが、この会議は区の付属機関との位置づけであり、住民が請願・陳情を出せるとの規定は明記されておらず、請願を出したとしても実際に審査が行われるかどうかは、区の判断一つに委ねられているのが現状です。一方、住民は議会に対し、憲法に定められた請願権を行使して具体的な住民要望を示し請願・陳情を出しているわけですから、この期待に正面から応え、議論し、反映すべき内容であればしっかり採択し行政に反映させていく役割を果たすことこそ、求められているのではないでしょうか。

 以上、あらためて陳情への賛成を呼びかけまして、討論を終わります。

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