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鈴木ひろ子区議 第4回定例会
「リニア中央新幹線 シールドマシン故障の原因について教室型説明会を求める陳情」への賛成討論

2023.01.12 鈴木ひろ子区議

 日本共産党品川区議団を代表して、陳情第65号「リニア中央新幹線 シールドマシン故障の原因について教室型住民説明会を求める陳情」に対する賛成討論を行います。

 本陳情は、JR東海に対して、リニア中央新幹線工事におけるシールドマシン故障の事故調査の結果や掘進再開の見通しなどについて教室型の住民説明会実施を求めることと、リニア新幹線の建設中止を求めるものです。以下賛成の理由を述べます。

 1つ目に、調査掘進が予定通り進まない原因が「シールドマシンの故障」との重大問題が起ったにもかかわらず、JR東海は、ホームページで発表しただけで地元住民に対して説明責任を果たしていない問題です。

 リニア新幹線の工事は、一昨年の10月から北品川工区で調査掘進が始まり、昨年3月には終了の予定だったにもかかわらず、わずか6分の1の50メートル地点でストップしたまま。JR東海は「リニア新幹線の中止を求める会」が説明を求めても「慎重にやっている」と述べるだけで住民への説明会を拒否続けてきました。昨年8月9日にやっとホームページで「添加剤を適切に調整できなかったことによるシールドマシンの故障」と発表。なぜ添加剤の適切な調整ができなかったのか、調布市と同様の事故を起こすことはないのか、シールドマシンの故障とはどんな故障なのか、再発防止策、再開の見通し等々、JR東海が、全く予定通り進まない原因と対策を住民に対して説明する責任があります。

 建設委員会の陳情審査では、共産党のだて委員だけが質疑をし、他の委員からは一切の質疑がありませんでした。態度表明で、何人もの委員からオープンハウス型説明会を評価し、そこで説明していることを理由に不採択とする表明があり、共産党以外は不採択としました。しかしオープンハウス型の説明会は、私も参加しましたが、「そもそもリニア新幹線とは」との内容でリニア新幹線のアピールが目的であり、シールドマシンの故障については最後に一枚のパネルを付け加えただけでJR東海からのまとまった説明もなく、質問への対応も限られた時間の中であまりに不十分と言わざるを得ないものでした。今回の陳情は、シールドマシン故障における事故調査の結果や掘進再開の見通しなどについて教室型の住民説明会実施を求めるものです。オープンハウス型説明会はこの趣旨に応えるものではありません。予定の6分の1の地点でストップした原因がシールドマシンの故障という重大問題について、アリバイ作りのようなパネル1枚で済ませるのではなく、JR東海が教室型説明会を地域ごとに開き説明責任を果たすべきです。

 2つ目は、そもそも技術が未確立、必要性もなく、かつてない環境破壊を引き起こし、住民に大きな犠牲を強いるリニア新幹線は、調査掘進が全く進まずストップしている今こそ中止の決断をすべきだということです。

 リニア新幹線のシールドマシンの故障でストップしているのは、品川だけではありません。愛知県の坂下西工区でも同8月9日にJR東海がシールドマシンのカッタービット損傷による工事ストップが発表され、今も再開の見通しが立っていません。外環道でもシールドマシンの故障で工事がストップしていました。大深度地下法によるトンネル工事が、調布市での陥没事故、30mにも及ぶ空洞を3か所もつくる事故を起こしながら、その教訓を十分に生かさずに強行した工事がどこでも予定通し進まずストップする事態になっているのです。専門家からは、大深度地下法でのトンネル掘削の技術が未確立との指摘がされています。

 調布市での陥没・空洞事故に対して、ネクスコが個別交渉しか応じないと住民を分断する不誠実な対応によって地域が大混乱を起こしていると聞きました。220mにわたりすべての家を立ち退かせ、空気とセメント系固化材を高圧で噴射し、直径3m、高さ40mの円筒形の改良体を打ち込む地盤強化策が発表され、強行されようとしています。コミュニティが壊され、地盤が壊され、人生設計が狂わされる住民犠牲が強いられています。しかも住民に寄り添った対応がされていないというのが、陥没・空洞事故を起こした調布市の実態です。大深度地下工事は安全・安心、地上には影響しないと説明してきた安全神話が完全に崩れたことを教訓にすべきです。

 建設委員会で自民党委員から、「建設する、しないは事業者が決めるべき」との発言がありましたが、様々な問題が直接区民に大きな犠牲となって降りかかりかねない事態に対して、事業者任せにするのではなく区民の安全・安心に責任を持つことは自治体と議会の役割です。

 その他、リニア新幹線の工事で、2019年中央アルプス山口トンネルの崩落事故、2021年10月には岐阜県中津川市の瀬戸トンネル工事現場で2人の死傷者を生む崩落事故、同年11月には長野県伊那山地トンネル工事現場で崩落事故で1人が負傷等々を起こしながら、事故の原因究明の途中で他のトンネル工事現場の工事を再開したJR東海の安全軽視の姿勢が厳しく問われています。

 環境破壊については、水脈を断ち切る水枯れの問題に加えて、熱海市の盛土崩落で27人もの命が奪われた被害によって、改めてリニアの残土の処理を盛土で行うことが大きな問題として噴き出しています。大井川沿いの燕沢河川敷に南北600mにわたり高さ70m、 370万m3もの残土を積み上げて巨大な盛土とする、品川区と提携している山梨県早川町はリニア残土が集中し、13か所の仮置き場の内8か所が土砂災害警戒区域内にある、また、リニア工事の残土が最も多く発生する岐阜県では、中津川市など各地でヒ素など有害物質を含む残土が発生、恒久処分場として管理が不完全な盛土がつくられることへの不安と怒りが広がっています。リニア新幹線のトンネル工事の残土は約5680万m3ものぼるものです。この膨大な建設残土が新たな災害を引き起こしかねない問題です。

  そして、何よりもそもそも必要性があるのかという問題です。コロナ感染症が3年を超え、仕事の在り方、暮らし方を大きく変え、リモートワークが当たり前に定着しています。東京〜大阪間を約1時間で結び、3大都市圏を一体化した巨大都市圏にヒト・モノ・カネ、情報を集中させ、地方の過疎・衰退を加速する巨大都市圏構想がすでに破綻しています。

 計り知れない環境破壊、元々ペイしないと不採算の事業である問題、深刻な気候危機に新幹線の4倍もの電力消費、いくつもの活断層を貫くにもかかわらず地震対策も不十分、何よりも品川を調布市のような住み続けられない地盤にするわけにはいきません。今こそ、中止の決断をと、区議会あげてJR東海に求めていこうではありませんか。このことを呼びかけて賛成討論を終わります。

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