2023.10.19 鈴木ひろ子議員
日本共産党品川区議団を代表して意見表明を行います。
令和4年度一般会計、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計の各歳入歳出決算の認定に反対、災害復旧特別会計は予算執行がなかったため賛成します。
自民・公明政治の失政によって30年にわたる経済の停滞と衰退を招き、先進国で唯一賃金が上がらない国―実質賃金がピーク時より平均64万円も減少する事態となりました。そこに襲いかかった異常な物価高騰が、より国民生活に深刻な打撃となっています。しかし岸田政権の経済対策は物価高騰に無策、消費税減税に背を向け大企業支援が中心です。さらに、中小業者やフリーランスなどを苦境に追い込むインボイス制度を強行。怒りが渦巻いています。
こんな時こそ、地方自治体は国の悪政の防波堤となり、区民生活を支える支援策を打ち出すべきです。ところが、区は、コロナ禍と物価高で多くの区民が苦境にあえぐ中、国の支援策が次々と終了すると同時に打ち切り。今回の決算で、品川区の財政は63億円の黒字、今年も基金に49億円余積み増し基金総額は980億円余に上ります。豊かな財政は、区民の暮らしの支援にこそ活用すべきです。
以下、意見と要望を具体的に述べます。
23区トップで進める再開発は、巨額の税金をつぎ込み、住み続けたいと願う多くの区民を追い出すもの。区は転出者数を把握しながら、不都合な数字は隠蔽して公表しない。税金の使い方の検証のためにも公表すべきです。庁舎跡は、中央公園と一体の開発として検討されているPFIの導入やアリーナ建設に反対です。中央公園の緑は区民の貴重な財産、今のまま残すべきです。庁舎は現庁舎敷地も一体に、中・低層とし情報公開と区民参加で進めること。区民の切実な特養ホームや老健施設、障害者施設など福祉施設との併設とすべきです。
羽田新ルートは、国交省に求めてきた固定化回避は「品川区上空を飛ばないことを求めたものではない」と区が明言。区民を欺いてきたことが明らかになりました。これ以上区民を欺くことをやめ、反対の立場を表明することを求めます。
リニア新幹線は、マシンの故障で1年以上止まっていた調査掘進が5月に再開。しかし、7月に再びマシンの故障でストップ。昨年3月終了予定が大幅に狂い、見通しが立たない状況。区はJR東海に対して、説明会開催を求め、区民への説明責任を果たさせるべきです。そして、トラブル続き、問題だらけのリニア新幹線は、本掘進に入る前の今こそ中止の決断を求めていただきたい。
気候危機は、今できる限りの対策を取らないと手遅れになります。年度ごとのCO2削減目標とその具体化を明確に示し、PDCAサイクルでの検証を求めます。省エネ・再エネ拡大へ、住宅断熱化と太陽光発電設置への助成拡大を求めます。
防災対策は、被害を出さない予防対策を中心に、耐震・不燃化助成や感震ブレーカー設置助成の全域拡大と家具転倒防止器具助成の拡充を求めます。
中小業者支援として、省エネルギー対策設備更新助成金の継続、固定化補助の支援を行うよう求めます。区が発注する公共工事や委託先の最前線で働く労働者の適正な賃金確保へ、労働者へのアンケートを実施し早期の公契約条例の制定を求めます。
ジェンダー平等推進条例の策定に当たっては、リプロダクティブヘルス/ライツの捉え方に、女性の自己決定権の保障を位置付けることを求めます。
障害者福祉はグループホームやショートステイ、人工呼吸器利用者も含めた医療的ケア児者の通所施設などの増設、手話通訳者の障害者福祉課の全日配置や同行援護の拡充など障害者権利条約の主旨に沿った充実を求めます。
後期高齢者医療は令和4年10月から実施の2割負担を元に戻すようを国に求めること。高すぎる国保料は区の法定外繰入を戻し引き下げこそすべき。18歳まで無料化を求めます。
介護保険では、来年度からの第9期に向け、23区で品川区だけが地域に設置していない地域包括支援センターを保健師・社会福祉士・主任ケアマネの3職種をそろえて設置すべき。18億円余と積み増しされた介護保険の基金は、9期の保険料引き下げに活用を求めます。介護労働者の待遇改善は待ったなし。国に処遇改善交付金の復活を求めるとともに区として家賃助成制度などの支援策を求めます。
私立認可保育園や認証保育園の子どもの欠員に対する補助制度は20区が行っています。人材確保、保育士の待遇改善のためにも区として補助制度創設を求めます。
コロナ対策は、検査キットの配布、後遺症について区としての調査、相談窓口の設置と後遺症に苦しむ人に対して支援の仕組みをつくること。インフルエンザワクチンは、23区でも多くの区が行い、近隣区がすべて行っている高齢者の接種費用の無料化を行うよう求めます。
教育の問題では、以前、区立中学校でいじめ自殺があり様々な対策がされたにもかかわらず、今回、「いじめ重大事態」に対する「いじめ問題調査委員会」からの調査報告書では、学校関係者及び区教育委員会に対して、大変厳しい指摘がされました。この指摘を真摯に受け止め、教訓とすること。そして、2度とこのようなことを起こさないために、教職員へ報告書を配布し、各学校での議論の場を保障するなど対応を求めます。
教員の過酷な労働実態は、多くの教員が労基法の残業時間上限45時間を超え、21名の病休うち精神面が17名、欠員は19名にも上る深刻なもの。一刻の猶予なく改善が求められています。国に給特法の抜本改善、残業代不支給制度の廃止と教員の増員・少人数学級を求めるとともに、区としてできる職員配置をさらに進めるよう求めます。学校図書館司書は直接雇用とし週5日の配置を求めます。
性教育は命の安全教育が始まっても相変わらず学習指導要領に則ったもの。未だ避妊や中絶、性交について科学的な知識は教えられていません。産婦人科医など外部講師の活用も含め包括的性教育の実施を求めます。
以上で意見表明を終わります。