2023.12.06 鈴木ひろ子 区議
日本共産党区議団を代表して、令和5年請願第16号「リニア新幹線の建設中止を求める請願」に対する賛成討論を行います。
本請願は、リニア新幹線の建設中止を求めることと、調査掘進の工事ストップの原因についてJR東海が住民への教室型説明会を開くよう求めるものです。
以下、賛成の理由を3点述べます。
1点目は、5月に再開した調査掘進がわずか2カ月でまたしても工事ストップとなりました。この原因についてのJR東海と国交省の説明が、これまでの説明と大きく食い違っており、品川でも調布市の陥没・空洞事故と同様の事故が起こりかねない問題です。
これまで、JR東海は、調布市で起こった外環道の陥没・空洞事故の原因は「特殊な地盤とずさんな管理で起こったもの。リニアでは特殊な地盤はなく、管理もきちんと行うので事故は起こらない」と説明してきました。
ところが、10月27日に私も参加した工事ストップの原因についての国交省レクで、国交省は「大深度地下は掘ってみないと1m先はわからない。ボーリング調査をどんなにやっても分からない」と述べました。JR東海も問い合わせた際「今回の工事ストップの原因は、大深度地下の地盤にあり想定外だった」と述べました。
「特殊な地盤はない」と言ってきましたが、大深度地下は1m先は掘ってみないとわからないというすべて特殊な地盤だということです。その地盤の状態がわからないためにJR東海も想定外と言わざるを得ないシールドマシンの故障が相次いで起こっているのです。
さらに1回目の工事ストップは添加剤の注入ミスによるシールドマシンの故障です。きちんとした管理ができていなかったために起こった故障と言わざるを得ません。これまでの「特殊な地盤はなく、管理もきちんと行うので事故は起こらない」との説明は、現実によって崩れたということです。
調布市では、外環道の陥没・空洞事故によってコミュニティがズタズタに壊され、住民が長年住み続けた愛着ある我が家に住み続けることができなくなりました。同様の事故を品川で起こさせるわけにはいきません。
2点目に、重大なトラブルが連続して起っているのに、住民がどれだけ説明会を求めても応じないJR東海に対して、品川区の責任で説明会を求めるべきだということです。
本来、調査掘進は昨年3月に終了しているはずが、いまだ300mの内124mしか進んでいません。6カ月の予定が2年半たっても半分にも満たない状況です。シールドマシンの故障で1年以上ストップしていた工事が再開後わずか2カ月でまた故障による工事ストップ。多くの住民が不安を感じています。
区は不安払拭に努めるようJRに申し入れると言いますが、それがなぜHPへの掲載に留まるのか、委員会審査でも出されたように、ホームページはわかりにくく、どれだけの人がアクセスできるか。また、区は「心配な人は個別に電話すればJR東海が対応する」と言いますが、これだけの重大問題が起っているのに個別の対応で済ませることが大問題です。区として、JRに説明会を開かせるべきです。
3点目に、工事に際してもトラブル続き・問題山積のリニア新幹線はJR東海が今こそ中止の決断をすべきだし、品川区としてもJR東海に対して中止を求めるべきだということです。
工事のトラブルは品川だけではありません。名古屋の坂下工区では昨年7月にシールドマシンの故障で止まったまま再開の見通しは立っていません。トンネル掘削では崩落事故により死者まで出ています。最近は長野県大鹿村において、湧水が1日2000m2にも上り近隣の井戸の推移が5mも下がるなどの問題も起きています。
さらに大井川の水枯れ、生態系など環境破壊、大量残土の盛土処理崩落による2次災害、活断層貫通への地震対策なし、大量の電力消費、3兆円の財政投融資など問題山済みです。そもそも東京・名古屋・大阪の3大巨大都市構想によって、都市にヒト・モノ・カネ・情報を集中させ、地方の過疎・衰退を加速させる構想そのものが経済政策として破綻しており、時代遅れだということです。このリニア新幹線が、4.6qにわたり品川区を貫くことになります。
コロナ禍を通して、テレワークが普及し住まい方・働き方も大きく変わり、ゆとりを持った社会への転換を求める声が広がっています。リニア新幹線を必要とする社会的前提が崩れた今、問題だらけのリニア新幹線は中止の決断をすべきと考えます。請願への賛同を呼びかけ、賛成討論とします。