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のだて稔史区議が賛成討論を行いました
「特定整備路線中止の陳情」への賛成討論

2023.12.06 のだて稔史 区議

 日本共産党品川区議団を代表して令和5年陳情第42号区内特定整備路線事業の中止を求める陳情に賛成の立場で討論を行います。

 本陳情は補助29号線について延焼遮断帯効果の誤り、交通の円滑化のごまかし、高低差が大きな道路構造上の問題、東京地裁判決の問題をあげ、区内特定整備路線中止の決議をすることや区長に中止を求めること、買収用地に公園・福祉施設等を設置できるようにすることを求めるものです。

 区内には補助29号線、28号線、放射2号線の3本の特定整備路線・都市計画道路があります。なかでも一番長いのが補助29号線です。幅20mの道路が大崎警察署の脇から始まり、戸越銀座商店街を分断し、戸越公園駅周辺の商店街を削り、新幹線を横断して環七までの3.5km。この間に幼稚園や地域に親しまれた公園、町会会館、地域に一つしかない郵便局も立ち退かされます。放射2号線や補助28号線でも星薬科大学の薬草園をなくしたり、池上通りの商店街を削ったりと住宅街、商店街のど真ん中を通り区民の暮らしを壊すものです。この3つの道路に883億円もの税金を投入し、約1000棟もの建物が立ち退かされるのです。

 29号線は以前にも計画を進める話が持ち上がりましたが、品川区議会では1976年、84年、2002年の3度に渡って道路計画廃止を求める意見書を全会一致で議決し、住民とともに区議会が計画決定以来67年間道路建設をストップさせてきました。しかし、2011年の東日本大震災後、防災を口実に与党議員から推進の声が上がり、他区では住民の合意が得られないため要望しなかった自治体もありましたが、濱野前区長が東京都に進めてほしいと要望し、70年前の戦災復興道路が再び進められたのです。

 以下、陳情への賛成理由を4点述べます。

 第1に、特定整備路線は区民の生活を壊すものです。道路によって家族が残してくれた思い出の家や苦労して建てた愛着のある自宅が壊されようとしています。不動産屋に道路は進まないと言われて家を建てたら突然事業認可された方もいます。高齢者にとって引越しは一苦労。「知らない土地に移ったら死んでしまう」との声も。「防災のためと言うが立ち退きを迫られる私にとっては道路が災害のよう」と不安で夜も眠れません。また計画地は起伏に富んだところがあり、道路を通すと住宅との境界で崖ができ車の出入りはもちろん、暮らしもままなりません。

 第2に、防災に役立たないことです。東京都の延焼シミュレーションは飛び火などを考慮しておらず防災効果が示されたとは言えません。糸魚川の大火でも飛び火が次々と起こり海まで燃え尽きました。延焼遮断帯という考え方は防火区画を作り別の区画に火災が移らないようにするものですが、区画内は燃え続けることになります。1か所で1000棟も焼失することが防災対策といえるでしょうか。しかも他区で進められている延焼遮断帯は数十年かけても完成していません。住民を立ち退かせ防災に役立つ地域のつながりも弱めることになります。一方で地域の不燃領域率が70%になれば燃え広がらないと東京都が説明しており、住宅の不燃化を進めれば燃え広がりません。埼玉大学名誉教授の岩見良太郎氏は区内の不燃化特区「豊町四・五・六丁目、二葉三・四丁目および西大井六丁目地区」のデータを用い不燃領域率による延焼防止効果をシミュレーションしました。結果は不燃領域率60%の場合、延焼が現状からおおむね約90%減少。70%ではほぼ燃え広がりませんでした。不燃化を進めていけば燃え広がらないことが具体的に示されました。29号線が通る戸越5・6丁目、西大井6丁目は既に不燃領域率60%を超えています。住宅の不燃化・耐震化であれば立ち退きによる犠牲を強いる必要はありません。区は「重層的に進めるのが重要」と繰り返しますが、不燃化が進めば燃え広がらなくなり特定整備路線は必要なくなります。3本の道路に883億円もかけるのではなく、その分を不燃化・耐震化の推進に使用すればさらに迅速に進めることができます。

 第3に、交通の円滑化の必要性がないことです。国の交通センサスでも29号線と関わる中原街道、山手通り、第二京浜、環状七号線は軒並み交通量が下がり続けています。混雑緩和のためと区も説明しますが、新たに道路を造ればより車の使用が喚起され、混雑が生まれることになります。さらに住民説明会では交通の円滑化について一度も説明されておらず、認可申請時に交通の円滑化が第一の理由とされたのは区民を欺くものです。夕方に車両通行を規制している商店街など地域に車を呼び込む特定整備路線は必要ありません。

 第4に、買収用地は切実な住民要望の実現のために活用すべきだからです。買収用地はアスファルト舗装されフェンスが設置されて中に入れないようになっています。それが商店街では活気をなくし、他のところでも空いているのにもったいないとの声があがります。商店街の要望を受け現在、広場として暫定活用されているところもあり、更に活用を進めるべきです。また名古屋市では工事していた道路を住民の要望を受けて廃止し、道路用地を公民館や学童保育、公園などに活用しています。品川区には障害者グループホームや保育園、特養ホーム、ユースクリニックなど足りない施設がたくさんあります。こうした活用が出来たらどれだけ困っている区民の希望につながるでしょうか。特定整備路線を廃止すれば住民要望を実現できる土地に早変わりです。路線の廃止こそ東京都に働きかけるべきです。

 住民を犠牲にするのではなく立ち退かずとも防災力を高められる住宅の不燃化・耐震化へ転換し、買収した土地は住民要望のために活用するべきです。

 以上のことから特定整備路線は廃止すべきです。住民の生活を守り、更なる防災対策の強化へ各議員の皆さんに本陳情への賛同を呼びかけまして賛成討論を終わります。

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