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のだて稔史区議 令和6年予算特別委員会 総括質疑
「防災対策について」
「防災対策の具体的な予防策について」
「上下水道の耐震化について」

2024.03.21 のだて稔史区議

質問項目

  1. 「防災対策について」
  2. 「防災対策の具体的な予防策について」
  3. 「上下水道の耐震化について」

 

防災対策について

のだて議員

 日本共産党品川区議団を代表して、鈴木ひろ子委員と共に総括質疑を行います。

 まず私からは、防災対策について伺います。元日に発生した能登半島地震による被害者は、石川県内 だけで241人、2か月半がたった今も石川県内の避難所には約4,800人が身を寄せ、約4,200 人がホテルや旅館などで2次避難を続けています。改めて犠牲者にお悔やみを申し上げるとともに、被災者にお見舞いを申し上げます。地震は自然現象であり、避けられませんが、人間の英知と努力による事前の予防対策によって、被害を最小限に食い止めることができます。震災から区民の生命・身体・財産を守るために、災害対策として、被害を未然に防ぐ予防策を位置づけることが重要です。被害を防げば、周りの住民で支え、助け合うこともでき、家屋の倒壊などで救助を妨げることもなく、避難所に身を寄せる人が少なくなれば、運営の負担も少なくなります。発災後の救助や初期消火、生活再建を通しても、予防が重要なのです。これまで品川区は防災を自己責任として自助・共助を強調してきましたが、自己責任では区民の命を守れません。しかし、この間の説明では、これまでの姿勢からの変化を感じます。今回の予算案には、 感震ブレーカー設置助成の対象を区内全域に拡大するなど、私たちが求めてきた予防策を強化しています。区民を守るために、公助として、被害を未然に防ぐ予防策を位置づけるよう求めます。いかがでしょうか。公助が果たすべき役割は何でしょうか。伺います。

災害対策担当部長

 私からは公助の役割等についてお答えいたします。東日本大震災の災害派遣の経験が私自身ございますけれども、岩手県宮古市の田老において、世界一を誇る防潮堤が無残にも破壊された姿などを目の当たりにしまして、自然の力に人間が完璧に対応することの困難性を改めて実感いたしました。一方、阪神・淡路大震災における生還率は、自助が67%、 共助が31%、公助が2%だったという現実も明らかにされております。このことからも、自然災害から区民を守るためには、人間のできるあらゆる力を結集する必要があることは論を待たないと考えます。したがいまして、災害対策においては、自分の命は自分で守る自助、近所の方々や町会・自治会などの 地域のみんなで助け合う共助、区役所などの公的な機関が行う公助、それぞれが区民の生命・身体・財産を守るために重要であると強調しております。被害を未然に防ぐ予防策としての公助の位置づけですが、区としては、建物の耐震化・不燃化、交通ネットワークやライフラインの強靱化対策などを実施しているとともに、新たに地域防災計画においては、第2編、災害予防、防災・減災の項目を立てて、地震、災害、風水害など、様々な災害に対応できる平素の公助の施策を具体化しているところであります。次に、公助の果たすべき役割についてです。公助とは、区民の安全と安心を確保するため、災害を未然に防ぐ予防策として実施する強靱化対策に加えて、自助・共助の意識を高めるための周知・啓発の働きかけも、平素に実施する重要な公助の役割と考えております。また、発災時には、区役所をはじめとした公的機関は被災地域から離れた場所から現地に集まり、人命救助に加えて被災状況の把握、区民に対する情報の提供、被災された方への生活支援体制の整備など、発災当初の限られた人員や資源を駆使して、被害状況を踏まえて優先順位を定め、主導的・主体的に災害対策を講じていくことも公助の重要な役割と認識しております。さらには、荒廃した被災地にインフラなどを回復させ、倒壊家屋などを撤去して更地に戻す復旧や、被災地をよりよいまちへ再建を行う復興も、重要な公助の果たすべき役割と認識しております。これらの公助の役割を的確に実施すべく、区としてその体制整備に努めてまいります。

のだて議員

 今のご答弁ですと、今までのように、自助・共助を自己責任にしようというような答弁であったように思われます。しかし、そうではなくて、実際、災害が起きたときに、先ほど公助は2%だったということですけれども、起こった後には、なかなか実際に命を助けるというところでは難しいところがあると思うのですが、その被害を未然に防ぐというところで公助の役割を発揮することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

災害対策担当部長

 先ほどの答弁でも申し述べましたけれども、被害を未然に防ぐ予防策としての公助の位置づけとして、建物の耐震化・不燃化、交通ネットワークやライフラインの強靱化対策などを実施することの重要性や、区として地域防災計画において、新たに災害予防、防災・減災の項目を立てて具体化した内容が、まさに公助の役割と考えています。

のだて議員

 しっかり位置づけていただいたということで、ぜひ、そこの役割をさらに発揮していただくように、そして区民の生命・財産を守るように、強く要望したいと思います。

防災対策の具体的な予防策について

のだて議員

 次に、具体的な予防策について伺います。1つ目は住宅の耐震化です。能登半島地震でも多くの建物 が倒壊し、住民が犠牲になりました。また、石川県の住宅被害の3割が全半壊。2か月半たった今も多くが手つかずのまま残され、住むところがなくなり、生活再建を困難にしています。区内の木造住宅耐震化率は、令和2年度時点で80.2%と、被害を拡大させないために、さらなる耐震化が必要です。区内の不燃化特区に指定された地域で、建て替えが進み、耐震化が図られています。不燃化特区で一番効果を上げている地区名と、どれだけ効果が上がっているのかを伺います。木造住宅の耐震化促進や、不燃化特区の助成制度を区内全域に拡大することを求めますが、いかがでしょうか。

都市環境部長

 まず不燃化特区ですけれども、現在、品川区内に10地区ございまして、その中で、旗の台四丁目、中延五丁目地区ですけれども、こちらで、令和5年12月現在で不燃領域率 が62.3%。これは、導入時の平成25年の50.7%から11.6%、不燃領域率が上がっております。また、不燃化特区の全域にということですけれども、区では現在、地域危険度が他の地域に比べて非常に高いというところ、震災時に特に大きな被害が相対的に想定される地域を不燃化特区に指定しております。そして、その中で建物の除却・建て替え等の助成支援を、今、行っているところです。まずは、相対的危険度が高い対象地域において重点的な取組を進めていくといった考えでございます。

のだて議員

 11.6%も効果が上がっているということで、それならば、なぜ拡大しないのか。拡大すべきだと思いますが、改めて伺いたいと思います。

都市環境部長

 まず、不燃化特区の取組につきましては、先ほど申し上げましたが、まず優先順位をつけて、危険度の高いところから徐々に進めていくというところで、その優先順位として指定しているところでございます。現在、耐震診断の助成については区内全域で実施しているというところでございます。今年度は耐震診断の助成率が2分の1でございますけれども、令和6年度予算の中では10分の10の助成として、制度としてやっていきたいというところで、こういったところで予算の承認をお願いできればと思っております。

のだて議員

 耐震診断は全域に拡大したということで、ぜひこの不燃化特区の助成制度も対象を拡 大して、さらに全区に広げて、耐震化をさらに進めていただきたいと思います。

上下水道の耐震化について

のだて議員

 次に、上下水道の耐震化です。能登半島地震でも、いまだに石川県内約1万5,000戸で断水して おり、全面復旧は4月以降の見込みです。トイレが使えない、洗濯もできない、お風呂に入れないなど、 避難生活に困難をもたらしています。石川県の水道管耐震化は36.8%にとどまっていました。同様の事態を品川区で生み出さないために、対策は急務です。水道を使うためには下水道の耐震化も必要です。まず、上下水道の耐震化の進捗率、耐震化を進めていく上での課題、上下水道の耐震化を100%にする計画があるのか。それぞれ伺います。

防災まちづくり部長

 区内の上下水道の耐震化を早期に進めていくことは、区としても非常に大切なことだと思っております。そういった中、上下水道の耐震化の進捗状況につきましては、東京都下水道局で推進している下水道の耐震化につきましては、避難所など、震災時に人が集まる施設や、災害復旧拠点、一時滞在施設等における対策を優先して、マンホールとの接続部分の耐震化やマンホールの浮上の抑制対策を進めてきており、品川区においても一部事業を受託して対策を実施してきているところでございます。その結果といたしましては、避難所については平成25年度に、災害復旧拠点につきましては平成30年度に、一旦対策を完了しているところでございます。現在は令和7年度の完了を目指して、区 も連携して一時滞在施設等の対策を現在進めているところでございます。続きまして、東京都水道局において推進している水道の耐震化につきましては、令和4年度末現在でございますが、品川区内における耐震継手の整備率は47%になっているものでございます。区民避難所など重要施設への供給ルートの耐震継手は、おおむね完成しているところでございます。現在は、都内全域になりますが、断水率が高いと想定される地区を取替え優先地区と位置づけ、当該地域の耐震継手を重点的に進めて、対策を実施していると聞いているところでございます。次に、上下水道の耐震化に関する課題につきましては、管路の延長が上下水道とも非常に膨大である ことから、対策の時間を非常に要するというのも推測されるところでございます。財源も含め、管理する東京都において、適切かつ計画的に進められているものと認識しているところでございます。具体的に100%という形の計画はございませんが、短期的・中期的な目標を定めて、対象施設や地区を重点化するなど、着実に耐震化について進められていると認識しているところでございます。

のだて議員

 延長が長いということで、なかなか大変だというご答弁でしたけれども、やはり、それでできないということにはならないと思いますので、長い分に見合った、それぞれ実施していける計画を立てて進めていくということが必要だと思います。東京都の計画では、水道管の耐震化は2030年度末に61%の目標ということで、100%の計画は持っていないという状況です。下水道は、避難所などの主要部分以外の耐震化計画もないという状況になっています。しかも、耐震化の費用を水道料金で賄っていると都は説明しており、工事費用を増やせば水道料金が上がってしまう仕組みです。これでは早期に進めることができません。区民の生活を守るために、一般会計から工費を投入し、促進することが求められています。また、輪島市、朝市通りで発生した火災は、断水などで消火できませんでした。区内には火災危険度が高い地域も多く、初期消火のためにも耐震化が必要です。款別審査で、区も技術的には耐震化を図れると答弁しています。公費を投入して上下水道の耐震化を早期に進めること、東京都に上下水道の耐震化100%の計画を立てること、それぞれ東京都に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

防災まちづくり部長

 上下水道の耐震化につきましては、これまでもそれぞれ上下水道の管理者である東京都で短期的・中期的な計画を定め、また地区等を重点化しながら、また費用等もそれぞれ計画的に進めながら耐震化を進めてきているところでございます。結果としましては、1つ表れているのが、東京都の被害想定が平成24年度に行われ、その後、令和4年度に新たなものが出されました。その際、東京都全域における上水道の断水率は46.2%から30.2%に、下水道の管渠の被害率につきましては28.7%から6.4%に、それぞれ改善してきているところでございます。引き続き、上下水道の耐震化が図れるように、区といたしましては情報収集に努めるとともに、必要に応じて適切な対応といったものを行っていきたいと考えているところでございます。

のだて議員

 適切に対応していきたいということで、ぜひ公費を投入して進めるように、そして計画100%を立てるようにということで求めていただきたい。そうしなければ断水が発生するということにもなってしまいますので、そうすると区民が困ってしまうということになりますので、ぜひ100%にする計画を都に求めることを要望したいと思います。災害時のトイレの整備ですけれども、過去にも問題になっていますが、上下水道等の耐震化とも関係してきますけれども、能登でもこれも改善されていません。トイレは生理現象であり、止められません。我慢すると、エコノミークラス症候群などの原因にもなりますので、災害関連死をなくすためにも重要です。区は、トイレは足りているとして、避難所避難者3日分の携帯トイレが備蓄されていると説明します。しかし、区民避難所の耐震化トイレは各1か所しかなく、マンホールトイレもくみ取り式がほとんどで、公園内にあるものも下水道直結型は6か所・70基しかありません。災害用トイレが足りているとなぜ言えるのか、発災4日目以降はどうなるのか、伺います。国のマンホールトイレ整備のガイドラインの整備基準を伺います。避難所と既存公園に、下水道直結型マンホールトイレを増やしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

災害対策担当部長

 私からは、トイレの質問の最初から2つについてお答えしたいと思います。まずはトイレの充足についてですが、先ほど委員からもございましたとおり、区としては避難所避難者の想定人数9万人に対して、3日分以上の携帯トイレを備蓄しております。その他、組立て式の簡易トイレ、仮設トイレ、マンホールトイレなど、様々なトイレを整備・備蓄しているところであります。また、避難生活が長期化した場合には、災害時協力協定などにより貯留式トイレのくみ取りも順次行われることとしております。加えて、4日目以降は、区の災害対策備蓄倉庫に備蓄している携帯トイレなどを、必要な区民避難所へ輸送するとともに、国や都、他自治体から輸送される携帯トイレなどを活用していくことになります。国や都からの物資支援に効果的に対応すべく、品川区に届けられた物資の仕分や輸送体制を平素から確立して、災害時にも的確に対応していくとともに、発災後3日以降は地区仮置場を開設して、トイレの排せつ物を含めた災害廃棄物の処理も実施できる体制を整えているところでございます。   次に、マンホールトイレの整備基準についてです。マンホールトイレを整備すべき施設は、災害対策基本法に基づいて市町村が指定する避難所などとする。マンホールトイレの使用想定人数は、避難所などに受け入れる避難者数を主要想定人数の目安とする。マンホールトイレの1基当たりの使用想定人数は50から100人を目安とする。

教育次長

 学校にあるマンホールトイレについてお答えいたします。最近の改築校ではマンホールトイレの機能向上を図るべく、近くに水栓柱や防災井戸を設置し、便槽を下水道管に直結させて整備しているところです。今後も最新の技術を導入しながら防災力向上に努めてまいりたいと考えております。

防災まちづくり部長

 私からは、既存公園に下水道直結型のマンホールトイレの設置についてお答えさせていただきます。マンホールトイレ設置に当たっては、井戸等の水源の確保といったところも必要ですし、技術的な課題もありますので、公園改修の際に技術的検証を行いながら、また、公園利用者または近隣の方のご意見を聞きながら、検討してまいりたいと考えているところでございます。

のだて議員

 4日目以降もトイレが十分足りているというような答弁だったと思いますが、輸送に 関して、やはり道路は大体、この間、大きな地震が起きると大渋滞になってしまうということで、寸断されてしまう可能性もあります。物資が4日目以降から本当に届くのかというところは、疑問が残るところです。在宅避難者もいますので、さらにトイレの確保というのは重要になってくると思います。そうした中で、先ほどマンホールトイレの基準を述べていただきました。50人から100人に1基となりますと、区の避難者想定でいきますと、1,740個から870個が必要になります。避難所のマンホールトイレは、今、貯留式がほとんどだと思います。そうすると、バキュームカーでくみ取らないと使い続けられないという状況です。だからこそ、下水道直結型マンホールトイレが大きな効果を発揮すると思いますが、いかがでしょうか。ぜひ増設していっていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。

教育次長

 学校ですけれども、品川区地域防災計画に基づく区民避難所としての機能を充実させる必要があると認識しているところです。学校改築の際には、防災課と、設計段階より協議を重ねながら様々な整備しており、先ほど申し上げましたマンホールトイレにつきましても、水栓柱や防災井戸を設置し、便槽を下水道管に直結させて整備しているということを、最近の改築校では行っているところです。引き続き、改築校を中心に整備を行ってまいります。

災害対策担当部長

 4日目以降のトイレの充足についてですけれども、半島型地震、能登半島の場合には、骨幹路線を開通して、その後、くし形に進路を切り開くという非常に困難なオペレーションを実施しているところでございます。一方、都内の都市型災害におきましては、交通網がやはりネットワーク状になっておりますことから、区として、物資を輸送する際の経路、災害廃棄物を搬出するための経路は、優先順位をつけて、しっかりと開設して、時期に間に合うような体制を整えていくべきだと考えております。

のだて議員

 学校の避難所のトイレについても、既存のところもできるところでぜひ進めていただ いて、トイレで困ることがないようにということで整備を進めていただきたいと要望しておきたいと思 います。そして、避難所環境の改善でも、災害関連死をなくすために、ぜひ様々、段ボールベッドや簡易ベッド、ホテルの活用など進めていただいて、環境改善に努めて災害関連死をなくしていただきたいと、これも強く要望しておきたいと思います。防災対策のほかの点も十分とは言えません。能登でも公的な炊き出しが打ち切られ、生活再建の支援も足りません。世界から遅れた防災対策を改善していくことが必要です。今、防災対策の予算が、この10年間で7割以上も国では削減され、逆に軍事費は4割以上増えて、今年度予算は過去最高 の808兆円という状況です。軍事費ではなく防災関係予算を増やして、今こそ住民の生命・身体・財産を守ることに力を尽くすべきです。国・自治体がその責任を果たすことを求めて、私の質問を終わります。

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