1999.11 飯沼 雅子 区議
一般質問項目
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日本共産党を代表して一般質問を行います。
初めに、延長夜間保育の拡大に当たり予算をつけ、職員の増員をの質問をいたします。
品川区は多様化する保育要求にこたえ、平成十一年度より延長夜間保育、保育定数の弾力化、一時保育の拡大、年末保育など新規事業を始めました。年末保育、延長夜間保育は父母の方々から、「仕事が続けられる、大変助かる」と感謝の声が届いています。一方、「職員を減らしたままでの延長夜間保育では子どもたちの発達保障ができない」「行事もないし保育内容が低下している」という声も届いています。品川区は事務事業見直しの名のもと、過去三年間で百二十二人の保育系職員を減らしました。これは一園につき三人から四人に当たります。大幅な職員削減の中での事業拡大ですから、このような声が届くのも当然だと思います。
共産党区議団として調査に行った結果により、改めて問題点を指摘したいと思います。
初めに、延長夜間保育の問題を述べたいと思います。
幾つかの園に行き、元気に遊んでいる子どもたちの姿を見ました。しかし、私はこれでは不安だと率直に感じました。それは職員配置です。ゼロ歳から六歳までの子どもを朝七時三十分から夜十時まで一日十四時間三十分の保育をし、それを正規の職員が九種類の時差勤務をして支えています。したがって午前中の保育が慢性的に人手不足になっている状況です。ゼロ歳の食事では、一人を抱っこで授乳をしながらもう一人に食べさせている実態があります。職員は、「二人一緒に食べさせていると一人一人に語りかけるゆとりが持てず、大切な食事の習慣を身につけさせることが難しい」と言います。また、「赤ちゃんが泣いていても抱き上げることができない」と悩む声も聞かれています。一日の保育の流れ全体を見て、職員の増員が必要なことは明らかです。
職員配置はもう一点問題を感じました。慢性的な職員不足を補おうとして非常勤職員やパート職員が組み込まれているところです。九種類の不規則勤務をやりくりする正規職員に加えて、非常勤職員が曜日により交代で保育をするという体制では、日々成長する子どもを育てるのにふさわしいやり方と言えるでしょうか。一歳児を例にとると、一人の子どもが普通のかかわりの中でも一日十人以上の大人に接して生活をしています。家庭で育つ子どもは母親のもと抱かれて育ちます。しかし、保育園の子どもはだれを信頼し、人間関係の基礎をつくるのでしょうか。心の安らぎ、親にかわる存在をだれに求めたらよいのでしょうか。人をふやさないで事業拡大を行ったことが子どもと保育士の関係を希薄にし、子どもの発達に重大な影響を与えています。直ちに正規職員の増員をすべきと考えます。
次に、定数弾力化による問題点を述べます。
待機児解消のため定数の一一〇%まで受け入れて保育をしている園では、人手不足は深刻です。特にある保育園の一歳児クラスは定数枠を四名から五名も超えて保育をしています。都の基準では子ども五人に保育士一人の配置ですから、当然一人分手が足りません。担任だけでは手が足りず、幼児の担任が毎日手伝いに入っている実態があると聞いています。幼児組は一人担任になることが多く、保育内容への影響が出ています。影響が端的にあらわれているのが散歩と聞いています。単数担任では安全が確保できず、二クラス、三クラス合同でないと外に出られません。一日に一度は外で遊びたい。当然の要求です。ところが品川区の保育園は園庭が狭く基準を満たしていない園が多いです。小さい子に園庭を譲れば、大きい子は外に出かけることになります。人手があればあちこち探索をしながら歩き、さまざまな発見をし、子どもたちは目を輝かせ好奇心の固まりになります。公園では体を使って元気に遊びます。子どもは遊びが仕事と言われています。遊びがどれだけ豊かに保障されるかが成長に大きく影響します。大好きな散歩に行かれないとしたら、子どもたちにとってこれは大問題なんです。散歩は一例ですが、子どもの成長に一番大切な遊びが十分保障されない状況が明らかになりました。保護者の方から、「登園のとき職員が少なくて、子どもがぐずって離れないときには抱いてもらいたいんだけれども、かなえられず困った」「前の日の体調を伝えたくても話しかけられない」という訴えがありました。
問題点は以上ですが、改めて保育のあり方を子どもの権利の立場からとらえてみます。
子どもの権利条約では、乳幼児の成長発達権を保障することを国や自治体に求めています。子どもの権利条約批准後、厚生省が改定する保育指針の中にも乳幼児の最善の利益を考慮し、福祉を増進する、また子どもの人権に十分配慮するなど述べられています。そして、発達を助ける保育士の役割の重要性と子ども供にかかわる大人の配慮として、特定の大人との関係を書き加えられています。品川区も子どもの人権を守り、成長を助ける保育士の役割を重視していただきたいです。事務事業を見直し人件費の圧縮を行っているところですが、必要なところには人員を配置すべきと考えます。
また、来年四月より新たな事業拡大、延長夜間保育の拡大、病後児保育、休日保育などの提案があったと聞いております。子どもの発達を十分保障する人員配置をしてこそ親の願いにこたえるものと思います。
そこで質問をいたします。
次に、特別養護老人ホーム増設と保険料・利用料の減免など区民がたよりにできる介護保険に改善をの質問をいたします。
政府は与党合意に基づいて介護保険の見直し案を発表いたしました。その内容は、六十五歳以上の保険料を半年間徴収しない、さらにその後一年間は半額にすることを中心としたものです。介護保険はこのまま実施されたら大変な事態になることは目に見えています。保険料は取られるが基盤整備が不十分なために介護サービスを受けられない、保険料・利用料が高過ぎるため払えなかったり、認定されないために介護サービスから排除される人が大量に生まれることになります。今回の見直しは、政府・与党がようやく制度の矛盾の深刻さに気づいたことのあらわれだと思います。しかし、政府の見直し案は問題を先送りするだけのもので、具体的な改善策が全く示されておりません。日本共産党は、保険料の猶予期間中にサービス基盤の整備、保険料・利用料の軽減や低所得者のための減免制度の確立、認定制度の改善など国民の要望にこたえて改善することを提案しています。
財源問題でも、アメリカ、ヨーロッパと比べて逆転している、社会保障に二十兆円、公共事業に五十兆円という税金の使い方を改め、ゼネコン型の公共事業を思い切って削減すれば十分に確保できると主張しています。
さて、政府も「問題なしとしない」という立場で見直しているわけですから、品川区も、すべて問題なしという姿勢を改め、各方面から指摘されている問題点について改善すべきと思います。
まず、高齢者の保険料・利用料負担の問題です。
今回の政府の見直し案は、高齢者の費用負担が重過ぎるということを認めざるを得なくなったことのあらわれです。品川区民の六十五歳以上の四八%が住民税非課税です。また、国の統計によれば、高齢者の四割は平均で月四万二千円の国民年金しか受けていません。このような人からも三千三百円から三千五百円の保険料を徴収するのは余りにも過酷ではないでしょうか。さらに、利用料は今まで無料あるいは定額であったものがすべて一割かかるわけですから、高齢者の負担はたえがたいものと言わざるを得ません。
次に、基盤整備の問題です。
まず、特別養護老人ホームですが、区は「現在待機者は三百十名を超えているが、来年から九百床体制になり、一年間に入所可能な人は百六十人と見込んでいるので増設は必要ない」と言っています。これでは現在の待機者全員が入所できるまでには最低二年はかかります。しかも、毎年新たに申請を受理される人が統計上も三百人前後いるわけですから、待機者がふえるばかりです。窓口では、入所までに平均一年半から二年かかると言われています。実際、八十七歳のAさんも二年かかると言われた一人です。Aさんはひざも曲がり歩行もできません。息子さんが商店を営みながら介護を続けています。ヘルパーや入浴サービスなど利用していますが、おむつを外し便で部屋じゅうを汚すなど痴呆症状が悪化し、在宅での介護は限界と特養ホームの申請をしましたが、なかなか入れない状況です。今後、高齢者人口は十年後には三〇%増しになると予測され、さらに特養ホームの需要が増えることは明らかです。増設すべきと考えます。
ショートステイについては、来年度より年間延べ二万五千五百日の供給計画となっていますが、利用可能とされる月七日の計算にすると、一カ月三百三人しか利用できません。これは区が見込んでいる在宅サービス利用者のわずか九%にすぎません。在宅サービスを充実させるためには、そのかなめの一つであるショートステイの増床が必要です。老人保健施設の供給計画は平成十二年で二百五十床、十五年で四百床となっていますが、区の施設は現在建設中の八十床のみです。大半を他の自治体の施設に依存ということでは、余りにも無責任ではないでしょうか。これも増設すべきと考えます。
保険料を支払った区民に対し、その人が選んだサービスが提供できるよう十分なサービス基盤を整えることは、保険者である自治体としての責務です。
そこで質問をいたします。
終わりに、シルバーパス、各種医療助成切り捨ての「石原行革プラン」に反対をの質問を行います。
東京都の福祉局高齢者施策推進室は来年度予算の要求内容を発表いたしました。これにより石原知事の財政再建推進プラン、福祉施策の新たな展開の目指す方向が明らかになりました。その内容を紹介いたします。
シルバーパスは現在の無料制度をなくし全面有料化、老人医療費助成・マル福は一年ごとに対象年齢を引き上げ四年間で廃止、老人福祉手当は受給者を順次削減し三年間で廃止、障害者医療費助成は所得制限を強化し、本人負担一割負担制を導入、特養老人ホームの都加算の廃止など、その直接の影響は延べ百六十万人に上ります。かけがえのない東京の福祉を根こそぎにする重大な内容であり、不況、雇用不安にあえぐ都民に追い打ちをかけるものです。
私はここで、お年寄りに関する問題三点に絞って述べたいと思います。
一つは、老人医療費助成・マル福の問題です。
この制度は昭和四十四年に七十歳以上を対象にスタート、現在まで三十年の歴史を持った高齢者にとって欠かせない制度として定着をしています。都の衛生局の平成八年度の調査による一日の外来患者数を五十歳代から七十歳代で見ると、六十五歳から六十九歳が七万六千五百人と最大、ちなみに五十五歳から五十九歳までは五万四千人であります。このことはマル福がお年寄りの命の支えとして機能していること、それが早期発見・早期治療につながり医療費の節減になっていることを見落としてはならないと思います。
第二に、老人福祉手当の問題です。
寝たきり手当は三年後に廃止が打ち出され、来年度からは新たな支給はしないということです。都側は廃止の理由を、介護保険で同程度のサービスが受けられ、施策目的が重複していることを根拠に上げています。都は、九月の介護保険の集中審議で、介護保険の給付と都の老人福祉手当は同じとは言えないから福祉手当の実施は結構との厚生省の見解を示し、「保険外の総合的取り組みを行いたい」と存続の決意を述べました。低所得者ほど負担が重くなる介護保険のもとで寝たきり手当の存在の意義は大きいと言わなければなりません。
第三は、シルバーパスの有料化についてです。
シルバーパスは全都で七十万人、品川で二万八千人余りが交付を受けており、通院や買い物、またお孫さんの顔を見に行くなど高齢者にとっては欠かせない足となっています。石原知事の提案は、青島知事当時の住民税非課税世帯は無料との提案を、制度全体の有料化に改悪しようとするものです。シルバーパスは十二政令指定都市すべてで実施をしていますが、全面有料化をしているところはありません。ゲートボールを楽しんでいる方の声を紹介しますと、「メンバー五人のうち二人がシルバーパスを使い林試の森公園に通っています。八十歳を超える方はゲートボールが生きがいであり、シルバーパスが打ち切られればゲートボールをやめざるを得ない。廃止しないで欲しい」と語っています。
さて、東京都は今回の推進プランの最大の理由に都財政危機を挙げています。都財政の危機は三十年間シルバーパスや寝たきり手当を続けたからではなく、豪華都庁舎、東京国際フォーラムの建設、そして臨海部開発に三兆円を投入など大型開発を推進したことにあることは否定できないことだと思います。石原知事は「東京の再生のために臨海部開発を起爆剤にする」と述べ、今後二兆円の財政をつぎ込むこととしていますが、これでは財政がさらに悪化することは避けられないと思います。財政再建推進プランに対し区長会は、財源措置については施策に影響のないよう十分協議などの要望、品川区議会も第三回定例会で「財政再建推進プランに関する意見書」を全会一致で可決しました。私は、区民・行政・議会が一体となって全国に誇る都民本位の施策を守るために財政再建推進プランに反対するように求めたいと思います。
そこで質問をいたします。
ありがとうございました。(拍手)
飯沼議員からのご質問のうち区における福祉施策の見直しにつきましてお答えを申し上げます。
お尋ねの東京都の福祉施策の見直しにつきましては、昭和四十年代に構築された制度を今日的な視点から再構築する立場で提案されたものであり、この間、東京都から区長会に対しまして説明が行われました。
区としましては、高齢者施策を初めとして社会環境等の変化に応じて福祉施策のあり方を見直すことは必要であり、否定するものではありません。しかしながら、区の施策に影響を及ぼす見直しについては、区側と十分協議の上、対応すべきものと考えております。
そこで、区長会は今月十六日、都に対しまして次のような要請を行っております。
まず、見直しの考え方、改正理由は、住民が納得し得る内容とすべきであること。
次に、新たな展開に対する施策については、施策の具体化と財源措置のあり方等について区側と十分協議することなどでございます。
こうした状況の中で、新聞報道等にもありましたとおり、都は、都議会第四回定例会への福祉関連条例の見直し案の提案を見合わせております。したがって、見直しの区の財政上の影響については、区長会として都に対し再検討等の申し入れをしたところでございまして、その推移を見守ってまいりたいと思っています。
なお、質問の途中になりましたが、東京都では臨海開発について、議会での議論や都民の意見を踏まえまして抜本的な見直しを行っておりますが、ご指摘の点につきましても都議会の十分な論議が必要と考えているものでございます。
その他のご質問につきましては所管の部長からお答え申し上げます。
私からは、延長夜間保育の拡充についてのご質問にお答えいたします。
今年度四月から全園で基本保育の開園時間を三十分延長し、また区立園三園においては午後十時までの夜間保育を実施するなど保育行政の充実に努めてまいりました。実施に当たりましては、実施園でのたび重なる研さんや検討などを経て、現場自体の意識変革や職員自らの発意の中で、職員定数は増やさず、園運営の創意工夫により現行の方式が生み出されたものであります。おかげさまで約八カ月間が過ぎようとしておりますが、現状では全く問題がなく推移しており、利用者の方々からも大変喜ばれているものと認識しております。
また、今後、子育てと就労の両立支援としましての延長夜間保育の拡充に当たりましては、この品川方式の成果を十二分に生かし、今ある保育資源をさらに有効に活用し、既に先行している各園の実施内容を参考にしつつ、それぞれの園において創意工夫の中で、正規職員を新たに増やさず実施していきたいと考えております。
次に、職員体制の問題ですが、国においては児童福祉施設最低基準上の職員定数の二割の部分において非常勤保育士の導入を容認しております。
品川区においては、現在、保育士は国の基準の約一・五倍、都基準定数の約一・二倍の職員を配置しており、また必要に応じて非常勤・パート職員を保育士補助として採用しております。
区といたしましては、非常勤・パート職員であっても品川区に雇用された職員にかわりなく、また資格のあるなしにかかわりなく、皆さんが保育に情熱を持って携わっていると認識しております。特に非常勤・パート職員は子育ての経験豊かな方が多数おりますので、子どもにとって全く支障がないと考えております。
また、このシステムは区の監査委員による監査を初め、国や都の保育や子どもの処遇内容についての指導検査においても承認を得ており、ご指摘のような不安定な体制などはないものと認識しております。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
私からは、介護保険制度に関するご質問にお答えいたします。
まず、一点目の保険料等の軽減に関連して政府の特別対策についての受けとめ方でございますが、国として介護保険制度の円滑な導入のために決定されたものであり、区としてはこのことを前提に準備を進めてまいります。
また、今回の特別対策を一時的なものとしないよう国に働きかけるべきとのことですが、円滑導入のための特別対策と理解しておりますので、その考えはありません。
次に、区独自の減免制度をつくるべきとのご質問ですが、区といたしましては国の制度を基本に適切に対応してまいります。
次に、サービス基盤の整備についてのご質問にお答えいたします。
特別養護老人ホーム等のサービス基盤整備につきましては、第二次長期基本計画に基づき、計画的に整備を進めてきたところでございます。十二年四月には特別養護老人ホームにつきましては区内に七カ所五百七十二床、区外のベッド確保等も合わせると九百床を確保できる予定であり、また老人保健施設につきましても一カ所百床、ショートステイは新たに二十六床を加え九十二床が整備され、基礎的な基盤整備はおおむね整うものと考えております。
したがって、今後はこのような施設基盤を活用し、高齢者と家族が介護保険サービスを含む公的サービスと住民の共助活動、民間サービスを利用しながら、心身が不自由になっても住み慣れた自宅での生活が可能な限り続けられ、その継続が困難になった時に施設に入所できるような仕組みをつくっていくことが重要であると考えております。
したがいまして、今後の施設整備につきましては、在宅重視の視点から区民の多様なニーズにこたえられるよう、これまでの特別養護老人ホームにかわる新しいタイプの介護施設計画や、既存の特別養護老人ホームの有効活用によるショートステイのサービス拡大など、新たな発想で、第三次長期基本計画策定の中で検討してまいります。
ご答弁ありがとうございます。
自席から再質問をさせていただきます。
まず、財政再建推進プランについてですが、区長会で要望書が出され、品川区議会でも全会一致で意見書が提出され、今さまざまな検討がされているということですので、区長に対しては、これから区民の福祉を守るという立場でご尽力・ご努力いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ちょっと福祉のところで答弁漏れがありました。乳幼児医療に対する区長の見解を求めておりますので、それをお答えいただきたいと思います。
続いて、延長夜間保育のことについてお伺いします。
正規の職員の配置はしないということで、新事業に対しては問題なしというご回答をいただきましたが、私は実際に共産党の区議団として調査に行ってまいりました。また多くの方からたくさんのご意見をいただきましたが、この問題なしとするところでは区民のどこの部分の声を聞いて判断をされているのかをお伺いしたい。
あと、子どもの生きる権利、成長発達する権利が妨げられているのではないかと私は強く思っておりますが、子どもの権利の保障についてどう思われているか、見解を伺いたいと思います。
先日、朝日新聞を読みましたら、子どもの権利条約が国連で採択され十年になりますが、子どもにとって遊びは生きることそのものということで、子どもの遊ぶ権利のための国際協会(ITA)というところで、子どもの遊びを大いに保障していこうじゃないかという運動がいろいろ取り組まれていると書かれておりまして、私は子どもの人権を守っていくためにはこのような広い視野がとても大事ではないかと思っております。そういう意味で、子どもの人権をどう考えていくのか、今の新しく行われた事業によって子どもの人権が妨げられているのではないかと思っておりますので、その点一点お伺いしたいと思います。
また、二点目の非常勤・パート職員のところですが、パート・非常勤職員も一生懸命やっていて同じであるというお答えがありましたが、私は資格についてお尋ねします。
保育士の資格、また役割とか位置づけをどうとらえていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
特に、今日ここの中で、子どもは小さければ小さいほど特定の大人とのかかわりによって心が安らぎ、信頼関係をつくるということを述べさせていただきましたが、家庭では一対一で子育てをしておりますが、保育園は集団保育です。一人の子どもにたくさんの職員がかかわりますが、ただ接していればいいというわけではなく、集団が常に一人の子どもについて見解を一致させ、どのように伸ばしたらいいのか、認識を一致させる中でどう導いていったらいいのかを話し合い、それぞれが役割分担をしながら接していく、みんなが同じだけ力を発揮したら子どもに刺激が強過ぎてしまう、だれがどういう役割をしたらいいのかを考えながら子どもに接しているのが保育士です。
一番ケ瀬康子さんが「保育とは、子ども時代の全面的発達権を系統的に促し、あらゆる可能性を開花させるよう系統的に援助をしていく行為そのものである」と言っています。まさに保育士の役割はこのようなものと私は思っておりますが、その辺の見解をお伺いしたいと思います。
最後に、特養ホーム増設と保険料の問題ですけれども、現実的には「保険料が高過ぎる」というのが圧倒的な国民の声と思います。この声にこたえて区も保険料を見直し、高齢者の保険料を引き下げるとともに、低所得者のための減免制度をつくるため検討すべきと思います。
また、基盤整備の問題でも、在宅介護中心とおっしゃっておられましたが、介護力がなければ在宅を選ぶことはできないということです。これが現実だと思います。そのため特別養護老人ホームもショートステイも老人保健施設も絶対数が足らないことは明らかなので、ぜひこれを増設すべきと思いますが、いかがでしょうか。再答弁をお願いいたしたいと思います。
再質問にお答えをいたします。
私は、東京都の福祉の見直しにつきまして総体的にお答えをしたつもりでございます。個々の問題についてはお答えはしていなかったわけでございますが、個々の問題につきましてご質問がございましたのでお答えをさせていただきます。
就学前の乳幼児医療の問題につきまして、東京都は、四歳未満児につきましての所得制限は当然でございますが、その中に老人保健法の適用をしていきたいというふうな申し出がございました。率直に申し上げますと、初診料で五百三十円をいただくということでございます。それに対しまして区長会は、乳幼児医療の助成の問題の中に老人医療の制度を持ち込むのはおかしいじゃないか、前福祉局長がこの乳幼児医療の年齢の拡大について約束をしているはずなんであって、四歳未満じゃなく、一歳ずつでも上げる努力をすべきじゃないだろうかということを東京都に要望しているものでございます。これは二十三区区長会の総意でございます。
飯沼委員の再質問にお答えしたいと思います。
初めに、どう現在の情報等をつかまえているか、あるいは実施に当たってどういうふうにその辺のところを補足したかという点でございますが、私の方では、今年度の実施、あるいは来年度からの延長保育等の拡大につきましては、当然のことでございますが、施設長とのヒアリング、いわゆる園長とのヒアリングを通じましてもろもろの状況あるいは情報等を把握し、現在の状況の中ではできるというようなことで対応しているものでございますし、またそれで対応していくということでございます。
それから、二点目の発達する権利、生きる権利ということでございますが、これは議員の質問の中にもございましたけれども、今回の保育指針もそうでございますけれども、いわゆる発達保障というようなことにつきましてはこの指針の中で言ってございません。ただ当然でございますが、発達する権利とか生きる権利というのは大人、子どもに関係なくしてあるものでございますから、それについて最大限の尊重をするというのは当たり前なことであると考えてございます。
それから、三点目の子どもの人権が妨げられている云々ということでございますけれども、子どもの人権につきましては、先日の北野議員にもご答弁申し上げましたように、私ども人権尊重都市というようなこともございますし、最大限の配慮を考えるべきだと思います。また、今回の指針の改定等におきましても、虐待の問題についてわざわざ一章あるいは一項目置き、関係する職員の通告義務等を課しまして、早期発見、早期対応へというようなところでの手当てが講じられている状況でございます。私どももこの点については十分に尊重してまいるつもりでございます。
それから、四点目の保育士の役割あるいは資格というものでございますけれども、これは保育士ということであれば専門職としての位置づけ、あるいは国家試験ということでございますけれども、運営に当たりましては、先ほど答弁の中で申し上げましたように、その二割につきましては必ずしも保育士の資格云々ということには触れてございません。したがいまして、私どもはそういう点では国基準に基づいて保育事業の展開を考えているところでございます。
なお、今回の保育士の改定でございますけれども、保育士については従来の専門職ということに甘んじることなく、日々の研さんが必要であると。それが新しい保育事業の展開に欠かすことのできない要素であるというようなことも加味されていることをつけ加えさせていただきまして、再質問の答弁にかえさせていただきます。
高齢者問題についての再質問にお答えいたします。
まず、今回の政府における介護保険料の軽減措置につきましては、全国的視野から決定されたものと理解しております。区といたしましては、国の制度を基本にしつつ、品川区におけるサービスの充実とその負担につきまして、引き続き区民の方にさらに理解を求めていく考えでございます。
二点目の特別養護老人ホーム等の量の問題でございますが、この間、品川区としては特別養護老人ホームの整備および在宅サービスの充実を推進した中で、今後、在宅の可能性をさらに追求できるということで、介護保険の基本理念でもございます「在宅生活重視」という観点を明確にしていくべきだというふうに考えております。その上で介護の必要度、介護の困難度等も加味し、在宅と施設の総合的なとらえ方をしまして、在宅から施設へのスムーズな利用ということを実現していくことが、より重要なことであるというふうに認識をしておりますので、ご理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
すみません、手短かに言わせていただきます。
福祉部長のお答えが余りにも冷たかったんで一言述べさせていただきます。
要望させていただきますが、部長は施設長からのヒアリングで現状を把握していらっしゃるということですけれども、私はこのことは今の区の姿勢をあらわしているのではないかと思っております。保育においても介護においても中小企業の問題においても、今区民の生活は大変厳しいところに来ております。区民の声をもっともっと積極的に、行って聞いていただきたいと思います。区民にはさまざまな意見を持った方がいらっしゃいます。また、さまざまな生活をされていらっしゃる方がいらっしゃいます。どなたも大切と思います。より広く意見を聞いて区政に生かしていき、改善をしていただきたいと切に切に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
以上で飯沼雅子君の質問を終わります。
会議の運営上、暫時休憩いたします。
以上