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桜井恵子区議99年第4回定例会「学校選択自由化」「中小企業」「企業・団体献金」

1999.11 桜井 恵子 区議

一般質問項目

  1. 「学校選択自由化」の見直しを。学校づくりは子どもを中心に教職員、父母、地域の共同で
  2. 中小企業振興計画策定に当たり、全庁を挙げての全事業所調査、産業振興協議会の設置を
  3. 企業・団体献金について区長の見解を

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一般質問

日本共産党を代表して一般質問を行います。


「学校選択自由化」の見直しを。学校づくりは子どもを中心に教職員、父母、地域の共同で

まず、「学校選択自由化」の見直しを。学校づくりは子どもを中心に教職員、父母、地域の共同での質問です。

九月二十八日に品川区教育委員会が通学区域ブロック化を決定、その是非をめぐってマスコミでも論議を呼び、全国から注目を受けています。決定に当たって教育長は、「学校は閉塞状況にあり、学校なりに努力しているけども、風穴があかない。中央教育審議会が本当によい提案をした。あとは実施です。プラン21で特色ある学校づくりで学校の再生を目指す」と述べています。また、朝日新聞十一月一日に、教育長は「戦後の教育は平等であるべきで、競争はなじまないという考えが強かった。学校も切磋琢磨してお互いに引き上げていくことが大切だ」と語っています。要するに親の学校選択によって学校間の競争をさせ、閉塞状況を打開するということですが、これは子どもたちや教師たちに大変な影響を及ぼし、公教育である本来の学校教育に重大な事態をもたらす危険なやり方であると考えます。私は改めて問題点を指摘し、学校選択自由化方針の見直しを強く求めるものです。

現在、学校教育が直面している課題は、いじめ、不登校、学級崩壊をいかに解決し、一人一人が生き生きと学び、楽しく通えるような学校づくりではないかと考えます。そのために最も大切なことは、教師、親、地域の共同の取り組みにしていくことではないでしょうか。区教委は来年から三年間かけてプラン21の特色ある学校をつくり、親に選択してもらうとして五種類のメニューを提案していますが、新一年生の選択には間に合いません。

現在、学校公開は活発にされているものの、結局、親たちの一番の関心はいじめがあるかないか、学級崩壊がどうなのか、私学への進学はどうなのかというそのことに集中し、学校の特色で選ぶことはほとんどない状況です。確かに学級崩壊は深刻です。

ことし九月、文部省は学級崩壊調査の中間報告を公表、いわゆる学級崩壊は特別の学級で起きるのではなく、どこの学級でも起こり得る状況であると指摘しています。また、十一月十日、東京都が子ども基本調査報告書を発表、学級崩壊が都内の小中学生の一割から二割で起き、中学二年生では三割近くいると報告しております。品川区内でも数校で事例があり、いじめ、不登校、学級崩壊の解決は最重要課題となっています。

今回の学校選択自由化が、直面しているこの問題の解決になるのかということです。むしろ親たちの選択はその学校を避けて行っているし、学校側は明らかにしにくくなっており、より深刻な状況を生み出しかねません。一体、こうした事態を教育委員会はどうとらえているのでしょうか。

子どもたちの教育は一、二年で成果が生まれるものではありません。いじめや荒れをなくそうという努力の中でこそ子どもたちや教師たちは何かを学び、育てていくのです。そこに教育の本来の姿があります。しかも、学校は選ばれる商品ではなく、その地域に合った子どもや親たちとその時々につくり出すものであり、地域のみんなが自分たちの学校をつくるという共同の営みに参加することこそ大切ではないでしょうか。

次に、学校選択自由化がもたらす問題点について述べます。

一つは、学校間格差、序列化を生み出すことです。四年前、通学区域の弾力化を進めてきた足立区では過小校や過大校を生み、過小校は廃校の対象にもなっています。一方、進学率の高い、いわゆる名門校には全区から集中するなど過大校となり、子どもたちへの影響が心配されています。既に品川区内でもこの二カ月間の間で親たちの流動化が始まっています。親たちの本当の願いはどこの学校へ通わせてもしっかりと基礎教育が身につき、一人一人の子どもが大切にされることです。いたずらに学校間での競争を激化させていくことは一層子どもたちにストレスを持ち込み、学校での荒れを増長させかねません。

第二の問題点は、地域とのコミュニティが弱まる点です。PTAや町会、青少年部、青少年地区委員会からも学校選択自由化に異議ありの声が出ています。子どもたちのためにと地域ぐるみでさまざまな行事に取り組んでいます。遠くの学校へ行ったり、また、知らない子どもたちが参加したりしてわかりにくくなる。健全育成懇談会に参加して地域の子どもたちのために協力しているのに、区は何のために学校を選ばせるやり方をするのかわからない、こういう意見が寄せられています。

最後の問題点として指摘したいのは、今回の方針の決定に際して、学校現場やPTA、地域の意見をほとんど聞かないで進めてきたことです。八月二十五日、文教委員会で初めての報告、その際は三年かけて特色ある学校づくりを行い、通学区域の弾力化を進めるという概括的な内容でした。詳細に説明されたのは九月の二十七日、しかも明二十八日の教育委員会で決定を予定しているとし、十月一日の「広報しながわ」で区民に周知するというこの日程だけ見ても拙速であり、決定をした教育委員会の中でさえも慎重論が多数ありました。

今、教育行政がやるべきことは、子どもたちの人権を大切にして子どもたちの願いに沿った教育の改善ではないでしょうか。そのためにも教師たちが思い切った創意工夫を発揮できるよう、各学校の取り組みにも予算をつけ、人もつけ、そのことの援助が必要であります。党区議団もこれまで三十人学級の実現を、と再三要望を繰り返してきており、父母、教職員の切実な声であります。今回の通学区域ブロック化、特色ある学校づくりは見直すべきと考えます。

そこで質問します。

  1. 教育長は、プラン21の導入の目的について、閉塞状況を打開していくためにと述べていますが、閉塞状況とは何でしょうか。また、学校の直面している課題をどのようにとらえ今回の提案をされているのか。いじめ、不登校、学級崩壊など子どもたちの現状を改善していく上にプラン21は解決できると考えているのでしょうか。
  2. 少人数学級に向けて三十人学級の実現を都や国に働きかけること、大幅に予算の増額で施設設備の改善など力を尽くすべきと考えますが、いかがでしょうか。
  3. 品川プラン21、通学区域ブロック化について、提案、決定までの経過を明らかにされたいと思います。方針決定以後、教師や親、PTA、地域などへの理解を求める努力をされたのでしょうか。日野市や杉並ではそれぞれ一年ないし二年かけて論議をし、実施していくとしています。やり方、内容においても教育の理念を逸脱していると思います。見直しをすべきと考えますが、いかがでしょうか。

中小企業振興計画策定に当たり、全庁を挙げての全事業所調査、産業振興協議会の設置を

次に、中小企業振興計画策定に当たり、全庁を挙げての全事業所調査、産業振興協議会の設置を、の質問に移ります。

中小企業数は全企業数の九九%を占め、製造業出荷額の五一%、小売販売額の七六%、サービス業売上額の五二%、そして、ここで働く勤労者は全体の七八%となっています。今や中小企業は地域経済を支え、住民が働き、暮らす場を提供し、お祭りや地域文化を守り、まちづくりにも参加、住民自治の発展にも欠かすことのできない存在です。大企業、大資本が支配する二十世紀の経済体制では多くの中小零細企業は不公正な競争を強いられ、経営と生活の困難さを増し、絶えず没落と衰退の運命にある存在という側面が強調されてきました。しかし、今日では社会進歩の担い手という側面が世界の先進国での常識となっています。

OECD(経済協力開発機構)では、EU加盟の先進十二カ国を対象にした経済研究を行い、中小企業売上高の伸び率が大企業の伸び率より高ければ高いほど翌年のGNP成長が高くなることをデータ的に実証し、雇用だけでなく経済成長についても先進国の経済活動が中小企業を中心にしたものに移っていることを統計的に実証しています。

我が党は、品川の多くの中小企業が人材、設備、技術、資金、情報などの経営資源で制約を受けている現状を打開する施策が必要と考えます。それだけに、品川区が今回の製造業の事業所実態調査を行うことは、新たなネットワークづくり、活性化への第一歩となるもので評価するものです。

墨田区の事例をここで紹介します。一九八七年、区内製造業九千三百十四社を対象に、区の係長職にある百六十五人を動員し、業者からの聞き取り調査を三カ月間かけて行ったということです。参加した係長の感想文には、「ひどい環境で家族労働に支えられていて、しかも健康破壊が進んでいる。長時間労働への対策、支援が必要ではないか」と驚きの声がつづられていたそうです。対策調査委員会報告書としてまとめられていますが、この取り組みにより職員意識が変わり、区と業者が一体となってそれまでの縦割り行政から面的、横断的事業として区政に位置づけられました。

今、日産の村山工場閉鎖など大リストラ計画が進行していますが、同企業センターが持つ企業情報をもとに自動車関連企業百三十八社の影響調査を素早く行い、中小企業への気遣いが感じられて心強いと業者からの声が上がっています。墨田区のセンターの館長は、「調査がすぐできたのは企業台帳を整備しているからです。日常的に業者さんと心を通わせていることが大きい。実態調査を引き続き行い、融資、経営相談、受注機会拡大の必要性を検討していきたい」と話しています。

品川区でも、さきの水害対策に全庁挙げて取り組み、暑い中、職員の皆さんが六日間熱心に対応し、区民からの感謝の声が寄せられた経験を持っています。今日の製造業調査に当たっても職員みずからが赴き、聞き取り調査を行う体制をつくることを提案したいと思います。専門の方の協力を得るにしても、区民とのきずなを一層太くし、業者の声をマスタープランの中に反映させることが重要ではないでしょうか。

また、産業振興マスタープラン作成のために、中小企業家、学者、研究者など区民参加の産業振興協議会の設置を提案をいたします。

次に、今、国会で審議している中小企業基本法の改正案について指摘し、区長の見解を伺います。

改正法は、中小企業の経済的、社会的な不利を是正するという理念、目標がいまだに未達成であるにもかかわらず中小企業政策を縮小し、大企業と中小企業の格差が拡大している現実を無視したものと言えます。また、多数の中小企業よりもベンチャー企業等の少数者支援を強調しています。さらに小規模事業従業者の生活水準が向上するようにと明記した前文を除去するなど小規模企業政策軽視の姿勢があらわです。

今、最も力を注ぐべきことは、経営難に直面しながら打開策を求めている既存の中小業者の救済と活性化施策です。中小業者や中小企業団体の合意もなく改正を進めた非民主的なやり方も大きな問題と言えます。この改正案が実施されれば、品川の中小企業は壊滅的な打撃を受け、当区にとっても重大な事態となりかねません。我が党は、中小企業は日本経済の主役、それにふさわしい本格的な対策をと、二十二日、中小企業政策を発表、希望が持てるように国に本格的な施策を提案しました。区としても積極的に中小企業振興のために力を尽くすことを求め、質問に移ります。

  1. 今回の製造業実態調査に当たり、目的と内容を改めて伺いたいと思います。また、全面的に業者に委託するのではなく、区職員みずからも聞き取り調査に参加して実情を把握されたいと思います。いかがでしょうか。
  2. マスタープラン策定について、基本的な考え方を伺いたい。区内業者の参加、学者、研究者の参画のもと産業振興協議会を設置されたいと思いますが、いかがでしょうか。
  3. 中小企業基本法改正についての区長の見解を伺います。

企業・団体献金について区長の見解を

最後に、企業・団体献金について区長の見解を伺います。

日本共産党は、これまでも金権腐敗政治の温床である企業・団体献金禁止を強く主張し、みずからも実際に受け取っておりません。現行政治資金規制法が二〇〇〇年一月から政治家個人への企業・団体献金禁止となっており、待ったなしの課題です。

この法の背景には、九三年リクルート事件など一連の金権腐敗事件がありました。当時の細川内閣は、「国民の政治不信の直接の原因となった政治腐敗事件がこれ以上発生しないようにするためには、毅然とした腐敗防止措置を講ずることが不可欠」と述べ改正案を提案いたしました。厳しい世論の中、政治家個人の献金は五年後に禁止の措置を講ずる。政党への献金も見直しを行うという規定を九五年一月施行の改正に盛り込まざるを得なかったのであります。

ところが、最近、自民党は禁止期限直前になって企業も社会的存在とし企業・団体献金の存続を決め、禁止を明記した条文そのものを削除するという方針を打ち出しましたが、世論の猛反撃で禁止措置を講じるとしました。しかし、その後、政党支部を通じてのルートをふやすことも検討しているといわれ、新しい仕組みと称して企業・団体献金の温存、拡大を図ろうとしており、重大な逆行であります。

この禁止条項は、政党助成金を導入する前提として決められたものです。国民一人当たり二百五十円、総額で三百億円を超える税金を分け取りしながら企業献金も野放しにして二重取りを図ることは許されるはずはありません。日本共産党は十月二十九日、企業・団体献金禁止法案、政党助成金廃止法案を衆議院に提出しましたが、その後、共産、民主、社民三党での政治家個人への企業・団体献金禁止の政治資金規制法を改正、この提案を共同提出の方向で協議に入っています。

企業・団体献金禁止は国民の強い関心です。一刻も早く実施していくことが求められています。なぜ企業・団体献金が問題なのか、改めて見解を述べたいと思います。

区長もたびたび「企業も社会的存在だから政治活動の自由の一環として寄付を通じて政治に参加することは当然認められる」と述べています。しかし、憲法は国民を主権者として企業に参政権は認めていません。それは主権者でなく選挙権を持たない企業が資本力にものを言わせ、莫大な政治資金を拠出し、政治に影響を与えることになり、金の力で政治をゆがめることになるからです。藤波元官房長官の有罪が確定したリクルート事件は、企業献金の害悪を端的に示す汚職事件でした。

また、企業・団体献金の賄賂性です。金を出す側の財界人も繰り返しこれを認めてきたところです。「企業がお金を出せば必ず見返りを期待する」と、経済同友会代表幹事も日経で述べています。利潤追求を第一にする企業が何の見返りも期待しないでお金を出すわけはありません。このように、企業献金は本質的に賄賂の性格を帯びているのは明らかです。

十七の大銀行が商工ローンに対して九九年度千二百六十四億を超える貸出額になっていることが最近明らかになりました。銀行みずからは公的資金を受けながら中小企業へは貸し渋りを続け、その一方では日栄や商工ファンドに多額の資金提供をしているのです。こうした大銀行から自民党は政治献金として九七年度七億七千万円、破綻した長銀からも千八百四十八万円もの献金を受けています。この商工ローンにどれほど多くの中小企業や国民が苦しめられてきたことでしょう。自殺者が出るほどの悲劇も、政府は事実上これまで放置してきております。銀行には公的資金を注ぎ、国民には低金利で我慢を強いている今の政治に国民の怒りが広がっているのは当然です。企業・団体献金は求めないし受け取らない、このことに国政だけでなく地方政治にも求められています。

そこで区長に伺います。

この間、区長は企業は社会的存在などと企業献金を肯定する答弁を当議会で繰り返してきましたが、現時点でもそう思っているのでしょうか。その認識をまず伺いたいと思います。

国民世論は企業・団体献金禁止を求めています。こうした住民の声を受けとめて、みずからも受け取らないという態度を示すことについて見解を伺いたいと思います。

以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


答弁

区長(高橋久二君)

桜井議員のご質問のうち、初めに中小企業振興計画の策定に関することにお答えを申し上げます。

まず、製造業の実態調査でございますが、この実態調査は区内産業に対する体系的、計画的な活性化支援策を示す産業振興マスタープランの策定に向けて基礎調査をするものでございます。

調査の内容といたしましては、製造業および情報通信などの関連産業を対象とし、事業規模などの一般的な調査項目のほか下請け構造、マーケットの範囲、自社製品の有無、情報化、国際化への対応状況などの調査項目を予定をしております。

調査の実施につきましては、各種のノウハウと実績を有する専門の調査機関に委託することが調査目的を達成する上で確実かつ効率的な方法であると考えておりますので、ご提案の職員による調査を実施する考えはございません。

次に、産業振興マスタープランについてのご質問でございますが、マスタープランの基本的性格といたしましては、第三次長期基本計画に基づく産業振興施策を執行する中期的な事業計画として位置づけたいと考えております。

また、産業界、学者、研究者が参加する協議会の設置に関するご提案でございますが、長期基本計画の策定の過程ではさまざまな立場からのご意見をいただき、施策の基本的方向を決定をしてまいります。マスタープランはこれに即して策定するものになりますが、その策定手順につきましては現在検討しているところでございます。

ご提案のような協議会組織を設置する方向での考えは持っておりませんが、産業振興の当事者である産業界の意見を広く集約をし、支援策を反映できるような手順を組んでいくことは必要であると考えております。

次に、中小企業基本法の改正に関するご質問でございますが、今般の法案は中小企業政策審議会での審議などによりまして、総合的な中小企業対策のあり方についてさまざまな角度から検討した結果として政府が国会に上程したものでございます。中小企業対策の一翼を担う地方自治体として、関心をもって法案審議の推移を見守ってまいりたいと思っております。

次に、企業・団体献金に対するご質問でございますが、まず、企業・団体の献金に対する現時点の認識はとのことでございますが、これまでご答弁をさせていただきましたように、企業や団体も社会的存在として一構成員であり、秩序ある献金は必ずしも否定するものではないと考えていることには変わりはございません。

しかしながら、今後につきまして、政治資金規制法の施行後五年を間近に控え、同法附則の定めるところによりまして、企業・団体からの政治献金のありようが、今、臨時国会において改めて審議される予定になっております。したがいまして、これからの国会審議の推移を見守りたいと考えております。

その他の質問につきましては、教育長からお答え申し上げます。

教育長(若月秀夫君)

それでは、初めに学校が直面している閉塞状況、あるいは解決すべき課題とプラン21の趣旨についてお答えを申し上げます。

学校制度発足以来、我が国では第三の教育改革が求められ、この十数年来学校教育に対しまして、個に応じた指導の徹底、あるいは特色ある学校の創造、さらには開かれた学校の実現や教員の資質向上などさまざまな提言がなされてまいりました。

また、子どもたちをめぐる生活の実態につきましても、社会性の不足や学校生活への不適応、いじめや不登校などが大きな課題となっております。さらに、家庭や地域社会は少子化の進行やライフスタイルの変化、連帯感の希薄化などにより、その教育力の低下を危惧する指摘もございます。

こうした中で、教育関係者はもとより、地域社会における多くの方々の努力にもかかわらず、いまだ多くの課題が残っていることはご案内のとおりでございます。

このような状況を克服し、新たな展望を開くには子どもをめぐるさまざまな課題に対して学校、保護者、地域がそれぞれ本来なすべき役割や機能を見直すとともに、相互に連携を図りながら学校教育に特色を持たせ、活性化を図ることが重要であります。プラン21はこのような考えをもとに企画・立案したものでございます。

次に、プラン21で現状を改善していくことができるかというお尋ねでございますが、ただいまお答えを申し上げましたように、プラン21は学校に特色を持たせることを中心に据えまして、家庭、地域との連携を深め、教育上のさまざまな課題を解決していこうとする試みであります。したがいまして、このような取り組みを通して楽しい学習活動の創造や特色ある学校の実現、さらに子どもたちの豊かな人間関係の構築を目指しているものであります。

次に、少人数学級についてでございますが、学級編制の弾力化につきまして検討が進められるという報道がございました。今後ともこれにつきましては国や都の動向を見守っていきたいと考えております。

また、施設設備につきましても、これまでと同様充実に努めてまいります。

次に、これまでの経過とのご質問でございますが、教育委員会では昨年四月から国の地方分権の動きや中央教育審議会の答申を分析、研究する一方、第三次長期基本計画の重点プランの課題と合わせて検討を続けてまいりました。ことしになりまして具体的な計画としてプラン21が固まってまいりましたので、校長役員会、校長会、教頭連絡会に提示をし、意見を伺ってまいりました。

特に、通学区域のブロック化の具体化に当たりましては、教育委員会で本年八月の二十四日、九月十四日と二度にわたり協議をし、九月の二十八日に審議し、決定をしたものでございます。また、文教委員会におきましても八月の二十五日、九月二十七日にプラン21を報告し、ご意見を伺ってきたところでございます。

次に、その後の対応でございますけれども、広報等でのお知らせ、そのほかにも入学案内を作成いたしまして、新一年生をお持ちのご家庭、あるいは在校生の保護者にそれを送付し、今回の計画の趣旨について理解を図ってまいったところでございます。また、臨時に今回十一月、十二月の中で学校公開を全校で取り組んでおり、その日程を広報等で周知をしているところでもございます。

具体的な推進につきましては、教育委員会が全小学校をくまなく訪問をいたしまして、学校を支援する方策を協議したり、PTA役員会の要望を伺ったりしてまいりました。さらに、区政協力委員の方々にもご意見をいただき、ご理解とご協力を得てきたところでございます。

最後に、プラン21についての見直しについてでございますが、これまで申し上げましたとおり、プラン21は特色ある学校を積極的に創造していこうとするものでございます。冒頭で述べましたとおり、この第三の教育改革がうたわれまして既に十数年が経過し、この間さまざまな答申や提言などがなされてまいりました。

その一方、学校を取り巻く社会情勢の変化にも大きなものがあり、地方分権の推進や規制緩和など学校教育とは無縁とは言えないものがあります。

こうした状況を踏まえたとき、特色ある学校づくりや通学区域の弾力化などは社会の要請であると受けとめております。

したがいまして、皆様のご期待にこたえるべく全力でこれを実行してまいる所存でございます。


再質問

桜井恵子君

ありがとうございました。

区長の方にご質問申し上げます。

私はまず区長がこの実態調査を品川区が当たる、そのこと自体は先ほど申し上げたように歓迎したいと思います。私はなぜここで職員の皆さんの聞き取り調査をというふうに申し上げたかというと、先ほど述べましたように、ことしの集中豪雨で八月二十九日から九月三日、延べ千四百七十一人の職員が参加され、当時は本当に私たちも驚くこの浸水の被害状況でありまして、浸水の被害は二千七百二十五件、そのうち何と事業所が千五百七十九件なんですね。私たち自身ももちろんいろいろと調査し、対応したわけですけども、職員の皆さんの話を聞きますと、これほど小さい零細業者がたくさん品川にあった、そういう業者の皆さんの頑張りということについて非常に大きな関心と感動と、あるいはこれからの課題をそれぞれ感じたようなんですね。私はこれはすごく大事だと思うんですよ。

結局、墨田の事例を申し上げましたけども、墨田では産業振興プランを一九九五年に作成しています。先ほど紹介したように、日産の村山工場の閉鎖が何で墨田に影響を及ぼすのかというふうに思っていたら、墨田一帯は全部台帳があって、どの業種がどういうふうな取引をどことしているのかという、そういうことを実際つかんでいるから百三十八件も事業所が影響あるという、そのことが瞬時にわかったわけです。

私は、それは品川は品川らしい取り組みでもちろんいいと思いますけども、私どもいろいろな具体的な調査をする中で、やっぱりすぐれた教訓は学んでいく、あるいはいろいろな形で工夫をしていく。

ですから、私はぜひ区長がこの調査について専門的なということをおっしゃっていますけども、専門的な方の力を借りるのは、それはわかりますよ。しかし、要はこの地方自治体で働いている職員の皆さんが品川の中小企業はどういう事態になるのか、何が課題としてあるのか、みずからこれをつかむことの大切さを私は強調したいと思うんです。区長も何回かいろいろな業者の皆さんとお会いになっていますよね。区長自身がつかんだそうしたイメージというのはすごく大事だと思うわけです。これを全職員にやっていくということをぜひ改めて答弁いただきたいと思います。

それから、マスタープランについて、そういう産業振興協議会的なものではないけども、産業界の意見もいろいろ聞きたいということですから、私は要望なんですけど、ぜひそこで聞いて終わりというのではなくて、一定の作成をし、その後も推進していくという、この系統的なことが必要だと思うんですよ。ですから、かつて消費生活対策会議というのがありましたよね。そういう形をぜひお願いをしたいと思いますけども、もしご意見をいただければと思います。

それから、企業献金の方なんですけども、これは実は平成五年、私はこの政治資金規制法が問題になったときに区長さんに聞いたんですね。そのときと全く同じ答弁なんですよ、今の答弁は。それは非常に不思議なんですよ。というのは、その当時の世論と今の世論とは企業献金、団体献金の禁止を求める世論は全然違いますよね。それはなぜか、一方で不景気、大変な中で銀行の貸し渋りがある、その銀行から今の自民党が献金を受けている、このことはおかしい、そしてやっぱり政治というのは企業のために働くんじゃなくて、そこに働いている区民、住民、そしていろいろな高齢者の皆さんの要望をやるわけですから、基本的に地方自治体としてありようは違います。ですから、私はこの五年間、大きく区民の世論が変わっているのに区長だけの認識は変わらないというのは非常に不思議なことなんです。私は来年一月禁止ということを明確に述べているわけですから、これはあえてここで強調をしておきたいと思います。この件については同じ答弁でしょうから結構です。

あと、教育問題について若干お願いいたします。教育長の答弁を聞いていますと、この学校選択自由化の二カ月たって、親たちの今選択の基準というのは何だというふうに思いますか。教育長はどこの学校もそういう子どもたちが伸び伸びとしてほしい、親の願いだとおっしゃっていますよね。しかし、現実に今進んでいる学校選択の基準は何だというふうにお考えでしょうか。それ改めてもう一つ聞きたいんです。

それから、もう一つは、この進め方について私は問題提起をしました。そちらに教育委員長さんもいらっしゃるところなんですけども、深沢教育委員長さんが九月の二十七日の教育委員会の最後のまとめでいろいろな問題点を指摘しております。手順に問題があったということも指摘し、そしてブロック化については受験校化する、格差が生ずる、背景に統廃合があるんじゃないかと不安や疑問がある、だから十分に理解を得ることが必要だと、そういう要約を申し上げたんですけども、今回、聞くところによると十一月三十日に一応締め切りますよね。そのことでマスコミ関係者がどんな数字がどこの学校に出ているか非常に関心を持っています。私はこの問題について、これまでの教育委員会の姿勢から見ると本当に心配するのは、ぱっとマスコミに発表して、そしてこうなんだ、このことで非常に親や子どもたちを混乱させるおそれが私は十分にあるような気がするんです。この辺についての配慮はどういうふうに考えているんでしょうか。そうしたことはしないということを明言されるのかどうか、改めて聞きたいと思います。


再答弁

区長(高橋久二君)

再質問にお答えを申し上げます。

中小企業の振興のための調査でございますが、八月の二十九日の集中豪雨によりまして大変な被害を受けました。この被害者に対しまして迅速な手当てが必要ということで、全職員挙げましてこの調査をさせていただきました。今、大変お褒めをいただきましたけど、この集中豪雨の被害調査と中小企業の産業の調査とはまるっきり私は調査内容が違うと思っております。ただ単に聞き取りで水がどこまで入りましたとか、そういうものじゃなく、やはり一つ一つ専門的な知識をもって調査に当たりませんと、往々にしてその結果が間違った結果が出てくる、そのような危惧を私は持っております。

墨田区役所がそのようなことをおやりになったとお伺いいたしますが、それはその区その区の理由が私はあると思います。したがいまして、墨田区のことについての批判は一切避けますが、私の区におきましては、やはり慎重な調査、と同時にその調査ができるだけ迅速にできるように、やはりノウハウを持った専門的な機関にお願いをいたしましてやっていきたいと思っています。

それから、こういう問題に対しまして、往々にして外部委託をいたしますと、それなりの調査は上がってきますが、実感が伴いません。品川区は工業、また商業等を分けまして毎年毎年零細企業の方々、また商店の方々から実情をお伺いすべく懇談会を実施をしてきております。今回で四回目、昨年の懇談会と今回の懇談会と内容がさま変わりしているのも事実でございます。やはり一つの産業の問題に対しましても日進月歩といいますか、その過程は急速な変化が行われているというふうなことを身をもって実感をしている昨今でございます。

したがいまして、そういうものとあわせまして、より的確なマスタープランをつくってまいりたいと思っています。と同時に、そのような懇談会も今後ともずっと続けまして、零細企業の方々、また商店の方々と息の長い交流をしてまいりたい、このように存ずるところでございます。

企業献金の方はよろしゅうございますか。

桜井恵子君

同じことだから結構です。

教育長(若月秀夫君)

それでは再質問にお答えを申し上げます。

まず、第一点目の親の選択の基準は何か、こういうご質問でございます。これは私の方でこういう基準で選んでくれということではなく、それぞれの親御さんが持っている基準でございまして、こちらの方であえてこういう基準で選びなさいというべきものではないわけであります。まず自分のそれぞれのご家庭で親御さんが自分のお子さんの実態だとか課題だとか、そういうものを十分にご家庭の中で話し合いをし、そしていろいろな学校を見ていただき、さまざまな先生方と相談をしていただいて、親御さん自身の判断で学校を決めるのが、これが当然の筋でございまして、こちらの方でこういう基準、ああいう基準で選んでくださいと申し上げるべきものではないだろう、こんなふうに考えているところでございます。

それから、二点目でありますけれども、この十一月の三十日で締め切る、その後ということですが、まだ現在締め切っている段階ではございません。その数値がまとまった段階で事業を見まして、その数字の発表をするかしないか考えているところでございます。ただ、その数を発表したからといって私は大きな混乱といったようなものはないだろう、こういうふうに考えているところでございます。


再々質問

議長(須藤安通君)

桜井恵子君、再々質問、簡略にお願いいたします。

桜井恵子君

教育長さんの話を聞いていて大変驚きました。何を基準に今親御さんが選ぼうとしているのかわからない、それぞれお任せしますと、大変無責任な話だと思いますよ。十一月二十三日、二十四日の「小学校を選ぶ」というシリーズが報道されております。両日とも共通しているのは、このパンフレットを受け取った親御さんは、学級崩壊があるかどうか、そっちの方がよほど知りたい、情報がなくて崖っぷちに立たされている思い、保健室に行っていじめがないですか、学級崩壊はないですか、雰囲気はどうですか、それを基準に選びたいというふうに言っているわけです。

私たちが聞いた今の段階でも、そういうことは別に私は否定しません。というのは、問題は学校というところはどういうところか、教育長さんに言うのも変ですけども、もともと文部省の調査でも私たちの感触でも、どこの学校にも今いじめがあったり学級崩壊という兆しがある、胸をみんな痛めているんですよ。品川でも百八十五人の不登校の子どもたちがいるんですよ。これを何とかしたいというのが学校側だし、また、先生たちだし、いじめに遭っている親たち自身の思いですよ。だからこれを何とかしてほしいということが、今、学校選択であの学校はいじめがあるそうだ、この学校はいじめがあるそうだということをやったら、選ばれない学校はどういうことになりますか。

私は、公教育というのはどの学校に行ってもしっかりとした子どもたちがみずから楽しんで行けるという教育条件をつくるのが私は教育委員会だと思うんですよ、違いますか。私は改めて教育長さんに、今、教育委員会が進めようとしているこの問題は必然的にいじめを避ける、そして学級崩壊を避けると言ったじゃありませんか。ですから、私は親に選択権を渡すということは、公教育としての責任をある面では放棄と思います。

そのことと、先ほど申し上げた少人数学級での問題は答弁いただきました。再三私は三十人学級の問題を指摘しています。今、文部省の動きと言っていますけども、区教育委員会として三十人学級や少人数学級をぜひ実現しよう、そしてこういう学級をつくりたいと学校側から要望があればきちっと受けとめる、その実現のために努力をする、この辺についての決意のほどもいただきたいと思います。


再々答弁

教育長(若月秀夫君)

再々質問にお答えを申し上げます。

この学校選択の基準でございます。今、いじめとか学級崩壊とかご指摘ありました。基本的に申し上げますと、何を基準に選ぶか、これは親御さんたちは教師を選ぶのであります。したがいまして、私は教育委員会としては選ばれる教師になるためにしっかりと研修をしていただきたい、修養を積んでいただきたい、そういったものを今後我々は教育委員会として努力をしていきたい、こんなふうに思っているところでございます。

また、少人数学級の三十人につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、国、都の動きを見守っていくことに変わりはございません。

議長(須藤安通君)

以上で桜井恵子君の質問を終わります。

以上

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