前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ

南恵子区議2000年第1回定例会「情報公開」「保育園」「学校選択自由化」

2000.03 南 恵子 区議

一般質問項目

  1. 情報公開を無料とし、住民参加条例の制定を
  2. 支配と服従の職場管理から職員の声が生かされる保育園づくりを
  3. 意見が分かれる学校選択自由化について区民的討論を

一般質問 >>  答弁 >>  再質問 >>  再答弁 >>  再々質問 >>  再々答弁 >> 

一般質問

私は日本共産党を代表して一般質問を行います。


情報公開を無料とし、住民参加条例の制定を

まず、情報公開を無料とし、住民参加条例の制定をです。

今、吉野川可動堰の建設問題、芦浜原発建設問題、愛知万博の開催問題など各地で「環境破壊のむだな公共事業は中止を」などの住民運動が広がっています。これらの運動は住民が主人公の具体例で、民主主義の発展を示したものと言えます。

私はその目で品川区政を見ると、幾つかの問題点があると思います。その理由の第一は、施策決定に至る計画段階で区民の声を聞かず、一方的に押しつける傾向にあり、そのために施策が二転三転と変わっています。

その具体例は出張所問題です。我が党は繰り返し改善を求めてきましたが、出張所の活動に深くかかわってきた町会役員に事前の相談もなく、突然改革案を示したこと、サービス低下が顕著だったために反対の世論が広がりました。住民の声を聞こうとしない行政運営はほかにもあります。北品川四丁目開発に際して居住者の意見より森ビルの意向を優先したこと。大井町C地区の開発でも反対派住民の意見を聞かず推進したために、結局中止となりました。

住民参加のもう一つの問題は、区長の政治方針に沿わない団体とは会わないという問題です。ことしの一月四日、学童保育クラブの父母たちが年末のあいさつに児童課長を訪ねたとき、課長から「なぜ入ってくるんだ、会う必要はない」と言われ、追い返されたそうです。「年始のあいさつと情報公開の資料の件で聞きたいことがあったのになぜ話も聞かず追い返すのか」と言っていました。どう考えてもなぜ入ってくるのだ、会う必要はないとは行き過ぎであり、人権上も問題があると思いますが、課長はだれにでもこのような言い方をしているのでしょうか。反省を促したいと思います。

二点目は、情報公開の問題です。

区民が政治参加するには情報公開が前提条件ですが、知りたい情報を手に入れるとき、有料化という壁ができてしまいました。今年の一月、品川区民オンブズマンの会が一九九七年から三年間の区長と議長の交際費の情報公開を求めたそうですが、窓口で一カ月に二十から二十五件あるので費用が二十七万円くらいかかりますと言われ、財政基盤がないと知りたい情報もとれないのでは、何のための情報公開制度なのかと指摘しています。私も全くそのとおりだと思います。こんなに高額な費用を払わなければ情報公開されないのでは、公開にブレーキをかけることになります。これでは絵にかいたもちで、区民参加を阻むことになります。

三年前の改正時に我が党は財政的な問題で情報を閉鎖すると指摘をしましたが、今日そのとおりになっています。区民憲章には住民自治を確立し、進んで区政に参加しますとうたい上げてありますが、言うこととやることが違っています。さまざまな場面で政治への参加を可能にするよう整備することこそ自治体の長としてとるべき態度ではないでしょうか。

国民主権や住民自治が憲法で保障されて以来、品川区でも住民参加が住民運動の発展の中で大きく広がってきています。まず、区議会の委員会公開や議事録の公開、情報公開制度の制定、各種審議会の公開などです。そして特筆すべきは区長準公選運動を実践して公選制を実現させたこと、これは大変大きな意義のあることでした。全国的に大きな影響を与える活動をした当区として改めてすべての分野で区民参加を保障するための制度を確立するべきと思います。

そこで質問します。

  1. 区政のあらゆる分野で計画の押しつけではなく、まず区民の意見を聞き、区民参加を貫くべきと思いますが、いかがでしょうか。<
    また、学童保育クラブ父母たちのあいさつと説明を求めに来たことに対して追い返すのはやめるべきです。そしていいサービスを区民とともにつくろうという姿勢に立ち、ここでも区民参加を大切にするべきと思いますが、いかがでしょうか。
  2. 情報公開は区民参加を進める前提条件です。だからこそ無料にし、より広く情報を提供できるようにするべきと考えますが、いかがですか。
  3. 大阪箕面市では住民参加条例を制定し、市民参加を「市の意思形成の段階から市民の意思を反映させることおよび市が事業を実施する段階で市と市民が共同することを言う」と明確に規定しています。区民参加や共同して区政をつくり上げていくという立場を大事にするためにも、区民参加条例の制定をするべきと考えますが、いかがでしょうか。

支配と服従の職場管理から職員の声が生かされる保育園づくりを

次は、支配と服従の職場管理から職員の声が生かされる保育園づくりを、の質問です。

最近の保育園は何だか変だという父母たちの声を聞いてはいましたが、ある保育園の保護者会で園長の発言にびっくりしたというお母さんから電話をもらいました。内容を聞くと「親は子供を自転車に乗せて連れてきているのだから、保育園でわざわざ散歩させる必要はない」「職員は遊び遊びと一生懸命になっているが、ひざに乗せたりそばにいてあげるだけでいい」と職員に話している。「親は子供と一緒にいても特別遊んであげているわけではないのだから、保育園でもそれでよい」と言い、四月から始まる病後児保育について「病気をうつし合うことはないのか」と聞くと、「具体的なことは決まっていない」と前提を置いて、「園として努力はするが、それでも不安な人は利用しなければいい」と話をしたというのです。

「保育園は子供をよりよく育てるところのはずなのに、子供が大好きな散歩をする必要がないと言われてショックで夜も寝られなかった」とお母さんは訴えました。また、保育士からは「園長に子供に抱くことはない」と指導され、納得がいかないというのです。午睡から泣いて目覚めた赤ちゃんを抱いていると、園長は「抱いていては仕事にならないじゃない、また抱いている」とか「抱かなきゃだめなの」と言うのです。赤ちゃんはよく泣きますが、抱っこされることで落ち着きます。

先日新聞に抱っこについての記事が出ていました。抱っこは外国でも心を癒す最も素朴な育児行為として勧められていると紹介してあり、子育てには欠かせない大事な行為です。乳幼児にもストレスやいらいらがあり、ゆったりと育てにくい今の時代にせめて保育園でいっぱい抱っこをして子供の心を癒すのは当たり前ではないでしょうか。

この二つの事例は職場管理の問題と過剰なサービスは必要ないという問題ですが、どれも児童福祉施設にそぐわない不適切なことです。昨年から強引に実施した夜間延長保育、一時保育、定員の弾力化などは大幅な職員削減をしながら実施させたために保育の工夫を強力に求めました。組織とは支配と服従であると上司の命令に黙って従うことを求めても、職員の創意を認めないため保育園が人間を育てる場所だということを忘れた職場環境になってしまいました。その結果として、抱かなくていい、散歩は行かずそばにいてあげればいい、病後児保育に不安なら利用しなければいいなどの園長発言になっているのです。保育園なら抱っこは必要な業務なのに、それまで禁止という異常な指導になってしまったのです。

その上、四月からはさらに全園で今より一時間長く保育をしたり休日保育、病後児保育、そして給食の民間委託も実施しようとしています。抱っこをしない保育園、散歩に行かない保育園、これが区長の言う工夫と努力で効率的な保育園だと考えるのでしょうか。どの子も伸び伸びと豊かに育つ保育が確保されているのでしょうか。預ける父母にとって安心して預けられる保育園と言えるでしょうか。保育園の本来の姿とは全く違います。早急に改善を求めます。

次に、一月十一日の園長会で突然出された給食の民間委託化の問題です。

この問題は父母の関心が高いにもかかわらず、実施予定の保育園でお知らせのチラシが一枚配られただけで、区は説明会の予定はない、園長を通して聞いてほしいというだけですが、説明会を開くのは当然ではないでしょうか。

また、園長会で出された資料は部外秘となっており、父母にも職員にも議会にも説明のないまま四月に実施されようということでは安心して預けられるものにはなりません。職員がいるのにどうして民間委託になるのか、アレルギー食は手間がかかるけれど、今までと同じようにつくってもらえるのか、離乳食や下痢などの配慮食など派遣の職員で対応できるのか、栄養士がいなくなると聞いたが本当かなど保護者から不安や疑問が出されるのは当然で、区は解消に努力をするべきです。

品川区の保育園給食は子供たちに喜んでもらうことを考えてつくり上げてきたと、職員は誇りを持っています。これは大きな財産です。どんな研修をしても誇りは一朝一夕では築けません。子供の心の成長にも食生活は大きく影響し、食事の大切さが言われているときになぜ見直しなのでしょうか。

また、ここでも住民と職員の声を聞かない住民が主人公の姿勢を欠いた姿があらわれており、是正を強く求めます。

質問です。

  1. 組織は支配と服従だとして命令で職員を動かすような保育園職場の人事管理は区長の方針でしょうか。乳幼児を育てる福祉施設にそぐわないと思いますが、いかがでしょうか。
    また、家庭では車で移動しているから散歩に連れていかなくていいとか、子供を抱くことはないというのは区長の方針でしょうか。
  2. 父母や職員から反対の声が出ている給食の民間委託化は中止をするべきと思います。また、新規事業の実施に際してまず関係者に説明をし、理解を求める努力をするべきと思いますが、いかがでしょうか。

意見が分かれる学校選択自由化について区民的討論を

最後に、意見が分かれる学校選択自由化について区民的討論を、の質問に移ります。

どの子も勉強がわかり、楽しく通える学校を望んでいます。だからこそいじめ、不登校、学級崩壊など子供と教育をめぐる深刻な状況の克服には父母、教師、地域が総力を挙げていくことが求められています。

区教育委員会が計画した学校選択自由化はいじめなどの克服にならないという立場から問題点を指摘したいと思います。

第一は、親、学校が選択制についてどう受けとめているかということです。

昨年の希望登録調査によると、入学見込み数千七百九十二人の一二%に当たる二百二十五人が他の学区を選んでいます。区は予想どおりと評価していますが、NHKの「クローズアップ現代」で報道したように、うわさで選んだのは七割でした。ある学校ではいじめの実態をどこまで親に情報提供するのかと論議した結果、明らかにすると犯人探しになるので公開しないことを決めたが、逆に親に不信を持たせました。

また、都教組品川支部が全教職員アンケートを実施しましたが、投票率は過半数以上五七・七%で反対はそのうちの八〇%、賛成はわずかの一・五%でした。意見欄には「学校選択で今抱えている子供たちの問題は解決できないし、一層学校側で正確な情報を提供しにくくなるのではないか」「学校と地域との協力がうまくいかなくなるのではないか」が主な意見です。結局、これらのことから学校選択は学校が選ばれる対象となって提供されてもいじめなどの困難な事態は解決されず、むしろ避けていくことになります。保護者も教育者もそこを心配しているのです。

第二に、学校づくりの一翼を担っている地域ではどういう反応でしょうか。町会長さんたちは地域の子供はだんだん少なくなっているのに、いろいろな学校に通い始めたなら潮干狩り、もちつき大会など子供行事がやりにくくなる。地域とのかかわりがもっと薄れてしまうのではないか、希望が少ない学校はいずれ統廃合されるのではないかなどと心配しています。

ところが、高橋区長は「週刊ダイアモンド」誌で学校選択自由化について保護者からは好評だと前置きし、「学校をあらかじめ指定する方がおかしい。家庭が学校や先生を選べるようにするべきだ」「学区があれば先生たちは何もしなくても生徒が集まり、サラリーマン化しがち。選択や異動ができれば不登校やいじめの減少につながるだろう」と述べ、「中学校や在校生にも広げたい」と発言しています。施政方針でも来年度中学生にも拡大したいと述べています。地域の中に慎重な声があり、教育委員会でも議会でも審議がない中で、区長が発言することは越権行為ではないでしょうか。九九年度の区立小中学校の不登校者数は百八十五人もいます。区長は学校選択で減少すると言いますが、教育効果について検証されたのか、大きな成果として保護者から好評と述べていらっしいますが、どういう根拠なのかを明らかにしてください。

また、教育委員会は実施を急ぐのではなく、区民の間で討論を広げ、そこから出てくる声に耳を傾けるべきではないでしょうか。特色ある学校づくりについて現場の意向を尊重しないという一方的な押しつけに問題があります。来年度プラン21推進委員会を設置し、推進するとしていますが、大事なことは子供たちの願いに沿ったものなのか、地域の特性に合っているのかを検討することです。

来年度の特色ある学校づくりの予算はわずか七百六十二万円、人も予算もほとんどつけず、逆に学校から区費の事務職員や用務職員を大幅に削減していく教育委員会や区の姿勢では、教育内容の充実はできにくいと言えます。

今、教育委員会がやるべきことは、学校の自主的な取り組みを励まし、三十人学級実現や小規模校への援助、予算の増額であります。

そこで質問します。

  1. みんなでつくり上げていく営みこそ教育としての意義がある。学校は選択の対象としてはなじみません。したがって学校選択は公教育の前提を覆すものです。
    また、学校現場では八割を超える教師たちが反対の意思を表明しています。これをどう受けとめているのでしょうか。二〇〇一年度から中学生や在校生にまで拡大というのは拙速過ぎます。父母、地域、学校の教職員などを対象にしたきめ細かな公聴会、説明会の開催を求めますが、いかがですか。
  2. 区長はいじめ、不登校について選択や異動で減少すると述べていらっしゃいますが、むしろ解決を一層困難にさせていくと思います。改めて減少するという根拠を伺います。
  3. 区長が週刊誌や記者会見での中学校や在校生に拡大するという発言は、教育委員会や議会を飛び越えたものであり、好ましいものではありません。何でも一番になるための発言ではないでしょうか、見解を伺います。
  4. プラン21の作成には子供の実態を踏まえた上でつくられるべきと思います。しかし、教育長はテレビ出演で文部省の方針だと発言したように、教育委員会の押しつけにすぎません。教育現場の意見をどのように聞き取りされて計画したのか、教えてください。学校の自主性を尊重されるべきと考えますが、この点ではいかがですか。
  5. 群馬県ではさくらプランと称して三十六人学級に一人の割合で教員の免許を持つ非常勤講師を配置しています。高崎市では十三校に三十人います。そして来年度からは中学生にまで広げていく方針と聞いています。品川区でも三十人学級への実現を都に働きかけると同時にチームティーチング、学校へのカウンセラーの配置や不登校の子供や親への具体的な支援についても伺います。

以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)


答弁

区長(高橋久二君)

南議員のご質問にお答えいたします。

初めに、情報公開の手数料を無料にとのことにつきましてお答え申し上げます。

まず、情報公開制度は議員ご承知のとおり地方自治の本旨に則り、区民の請求に応じて区政情報を公開をする、区民と区政の信頼関係を確立していくための重要な制度と考えております。

とりわけ特別区制度改革に伴って区の権限が基礎的自治体として拡大されることから、行政の公正の確保と透明性を高めるため、区政情報の公開がより一層適切かつ迅速に執行されるよう努めてまいります。

しかし、公文書の公開請求には文書の特定や複写等の一定の事務作業が必要となってまいります。このため、請求者の方には地方自治法に定められた手数料として応分の負担をいただいているところでございますので、手数料を無料にすることは考えてございません。

次に、住民参加の問題についてお答えを申し上げます。

現在、区では区民の皆様へ区政への理解を深めていただくとともに、区政への意見、ご要望を寄せていただくためにモニター制度や住民説明会を開催するなど住民参加の機会を多様に設けております。

また、区の附属機関である各種審議会や協議会等におきましても、その会の目的や性質に応じましてできる限り広範囲で多様な分野から候補者を選び、区議会を初め町会や各団体等からの推薦をいただきながら、広く区民の声が審議会に反映されるよう努めてきているものでございます。

しかしながら、文化財保護審議会や財産価格審議会等のように、特に専門性が重視されることも多々ございますので、画一的には住民参加は困難と考えております。

次に、支配と服従の職場管理から職員の声が生かされる保育園づくりをの質問にお答え申し上げます。

支配と服従の関係につきましては、平成十年第一回定例会におきまして桜井議員のご質問にお答えをいたしましたように、区立保育園の職員も当然ながら区の職員であり、地方公務員法第三十二条において「上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」義務が課せられておりますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

品川区におきましては、昨年四月から区立保育園三園で実施をしております夜間保育、また今年四月から実施を予定しております休日保育や病後児保育の具体的実施内容につきましては、当該保育園職員の熱心な発意によりまして検討し、実施に至ったものでございます。

これらの事業を実施するには現場職員であり、また、児童福祉施設ということから、その声を無視しては成り立たないものでございます。これからも区職員として保育園職員の意見を保育園経営により積極的に生かしていきたいと考えております。

次に、保育園給食の調理業務について、調理における民間導入につきましてお答えいたします。

まず初めにお断りをしておきますが、今回の調理業務における民間導入は契約業者に一定の金額を渡し、出来合い品を提供するという、いわゆる委託とは異なります。区の栄養士が作成している献立のもとに区がみずから購入した食材で保育園の調理室で加工、食品化するものでございます。つまり区の職員のかわりに経験や実績豊かな民間の調理師の技能力を活用する「調理業務代行方式」ということでございます。したがいまして、従前からの保育サービスと何ら変わりなく、質の高い給食が提供できるものと確信をしているところでございます。

先般、保育課長が人事異動ヒアリングの際、調理員全員に民間導入の趣旨を説明し、理解を求めました。その中で職員として反対する者はだれ一人いなかったと報告を受けております。

また、実施園の保護者の皆さんには各保育園の保護者会の場やお知らせでご理解を求めるところでございますが、不安と思われる保護者には園長を通じまして引き続き理解をしていただくよう努力をしてまいります。

その他のご質問につきましては、関係の部長からお答え申し上げます。

福祉部長(小沼毅君)

私からは、学童保育クラブの保護者への対応に関するご質問にお答えいたします。

まず、私ども職員があいさつと説明を求めて来られました住民に不適切な対応をしたとのご指摘がありましたが、これは住民の誤解に基づくものであることを申し述べさせていただきます。

住民団体である学童保育連絡協議会の役員と担当の課長など職員が面談し、要望などを伺う場合は開庁時間内に執務室の中において公務に支障のない範囲で児童の保護者など直接関係のある方とあらかじめ面談の内容、人数、日程を調整した上でお会いすることを私どもはルールにしてございます。

ご質問の今回のケースは新年のあいさつと説明を求めたいとして、残念ながら事前に連絡もなく突然来訪され、また、児童の保護者ではない方もいらしたことなどから、ルールに照らしましてあいさつを受けたり疑問等に答える必要や理由がないこと、当日執務に支障があったことから来訪者の方々にお帰りをお願いしたものと聞いてございます。今後とも父母の会などの住民団体に対しましては、先ほど申し上げましたルールに従い適切に対応してまいりますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

学校教育部長(松本嘉夫君)

それでは、私の方から学校選択の弾力化の質問についてお答え申し上げます。

まず、アンケート調査の結果についてとのことですが、通学区域の弾力化はこれまでの固定化された指定校制度から学校の選択権を保護者に与え、その一方で学校の個性や持ち味をつくり出して活性化を図っていく時代の要請にこたえた新しい制度であります。既に小学校では大きな期待の中で保護者の協力のもとブロック制が始まり、広く区民にご理解いただいていると考えておりますので、推進の方針がアンケートの結果によって変わることはございません。

また、通学区域のブロック化の実施に当たり、教育委員会は「広報しながわ」を初め対象家庭への通知、在校生の保護者、幼稚園、保育園等へ入学案内を送付し、計画の趣旨のご理解を図ってまいりました。また、連合町会長会議、各地域の区政協力委員会、地区委員会、各学校のPTA会長、役員との懇談会などで説明に努めてまいりました。さらには学校公開を通じ、地域の方々や保護者の方からの質問や疑問に積極的に答え、できる限りの情報提供を実施してまいりました。したがいまして、中学校や在校生導入時に公聴会等を開催する考えはありません。

次に、いじめ、不登校との関係でございますが、学校生活に起因する不登校のうち、友人や教師などの人間関係や学校への不適応によるものが見られ、学校を変えることによって再登校につながった事例や、転校によっていじめが解消した事例もございます。これまでも各学校の教職員はいじめ、不登校の解消に向け努力を続け、一定の成果も上げているところですが、学校が選択されることにより、さらにいじめや不登校が減少するよう人間関係の改善や児童生徒理解に頑張っていただけるものと考えております。

次に、区長のコメントについてですが、中学校の通学区域の弾力化は小学校のブロック化導入の際掲げていた課題であり、既に来年度導入を目指し、具体的な課題解決の方法を探るプラン21推進委員会を立ち上げて検討に入っております。

こうした状況を踏まえ、区長としての思いを率直に述べて教育委員会に十分検討するよう要請をしたものであり、何ら越権行為ではございません。

なお、中学校の弾力化の検討につきましては、先般、一月二十六日の文教委員会でプラン21推進委員会の設置の際にもご報告しているところでございます。

プラン21について学校の自主性を尊重すべきであるとのご質問ですが、プラン21はまさに学校が自主性や主体性を十分発揮することを期待して構想いたしたものです。プラン21に述べられているものは、各学校が特色ある学校づくりを進めるための手がかりであり、その内容を充実させることは各学校の創意や工夫によるものであります。教育委員会といたしましては、こうした学校の取り組みを支援していくことは大切であると考えております。

次に、少人数学級の実施についてのご質問ですが、現在、学級編制の弾力化につきましては、国レベルでの検討が進められております。したがいまして、昨年第四回定例会でお答えいたしましたように、今後とも国や都の動向を見守ってまいります。

なお、チームティーチングにつきましては、引き続き実施できるよう都に要望しております。

また、現在、中学校にはスクールカウンセラーや心の教室相談員を配置しており、不登校の子供たちへの支援に効果を上げているところでございます。さらに不登校児童生徒の保護者の会であるファミリークラブ品川を定期的に開催し、孤立しがちな保護者の不安や悩みを軽減するとともに、相互に情報交換をし合う機会を提供しているところでございます。


再質問

南恵子君

それぞれの答弁ありがとうございました。しかしながら、私はちょっとこの三本の質問をしたわけですけど、どこにでも貫かれているのは、区民参加がそれぞれの場面で不十分だということを貫かれて質問したつもりなんです。

今の答弁でやはりそこは非常に欠けているということを改めて思わざるを得ません。というのは、例えば、一つは地方公務員法三十二条の部分ですが、ここは確かに上司の命令を受けて仕事をするという、そういう関係は私は認めておりますけれども、しかし、私が問題意識として持っているのは、決定をする以前の区民参加、あるいは職員参加、そういう過程をどれだけ区政運営の上で大事にするかという問題を取り上げているつもりです。ですから、そのことには答えていないと思いますので、改めてそこをどういうふうに大事にしていこうとしていらっしゃるのか、それを伺いたいと思います。

その姿勢が私はないと思うんです。いろいろな分野になかったと思うんです。ですから、学校の問題でも保育園の新事業の問題でも、それから、情報公開等の問題でも、それから、区民が会いに来たその時点でもなかなかそういう姿勢に欠けていて、区民に区政への信頼感を失わせる、そういう状況があちこちで発生しているということを指摘せざるを得ません。

ですから、改め区民参加についてあちこちでやっているというふうにおっしゃいましたけれども、政策決定の段階で箕面市を紹介しましたけれども、箕面市が政策決定の段階で市民の意思を大事にするんだ、共同でお互いに市政をつくり上げていくんだというふうに明記している、そこのところを品川区はどう考えているのか、そこをしっかり答弁していただきたいと思っています。

それと、保育のところで私は抱っこという保育園で一番基本的な処遇、業務、そのことを取り上げましたが、抱っこについては必要でないサービスと考えていらっしゃるのか、それについて改めて伺いたいと思います。

それから、また同じく組織は支配と服従だという質問の項で、家庭では車で移動しているから散歩に連れていかなくていいとか、あるいは子供を抱くことはないとか、そばにいてあげればいいんだとか、そういうことで保育園運営、子供の育成を十分果し切れていると考えているのかどうか。また、これは区長の方針でそういうふうに園長の発言としてあらわれているのか、それについて改め伺い、答弁これは漏れていますので、お願いします。

それからルールの問題がありました。住民団体が来たときのルール、いろいろおっしゃっていましたけど、随分品川区の児童部というのは区民にとっては敷居が高いところだなと、私は改めて思ったんですが、そのルールはどういう形で、とりわけ住民団体にはお知らせをしたのですか。いつの時点でどういう形式でお知らせをしたのか、改めて伺います。


再答弁

区長(高橋久二君)

南議員の再質問にお答えを申し上げます。

私が申し上げましたのは、地方公務員法第三十二条の上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない、この義務は最低の義務と私は考えております。組織を守る以上、こういうことが行われなければ組織が守れなくなってしまう、私はそう思って申し上げているわけでございます。おわかりでございますか。そういう前に区民の意見を聞いて決定をすべきだ、このようにおっしゃいますけど、私は区民の代表は議会だと思っています。まずそれを第一義に挙げております。

それから、各住民の意見を聞くのは補完的な問題だ、このように私は心得て仕事をしております。したがいまして、住民の意見だけを尊重してやるならば議会の必要はなくなります。私はそう思っております。

ですから、住民参加はあくまで議会の代表の皆様の意見を補完するものだ、このような解釈でこれからも仕事をしてまいります。

福祉部長(小沼毅君)

南議員の再質問の関係についてお答えいたします。

抱っこ、それから、散歩、いわゆる日常子供の処遇にかかわる問題でございますけども、これは不必要なものか、あるいは不要かと、こういうことについて区長の方は一切言ってございません。当然のことでございますけども、この年間の処遇というのは議員ご存じのように年間目標、あるいは年間計画、それから、月々の発達課題等々に合わせまして何が必要であり、何を強調するのかというようなことで、各現場の園長がそれぞれの状況の中で組み立てていくものでございますので、こういう問題に対しまして少なくとも区長の方から不必要だと、こういったようなことはございません。

それから、住民団体へのルールの周知との時期はいつごろかというようなご質問でございましたけれども、これは私どもその必要の都度言ってございますし、最近の私の方の記憶でございましたらば、二年前にいろいろと、いわゆる見直し、あるいは行革というようなことを対処した段階で、こういうことについては周知しているつもりでございます。


再々質問

議長(須藤安通君)

南恵子君、再々質問ですので、質問を簡略にお願いいたします。

南恵子君

一つは地方公務員法三十二条の問題です。区長は私も先ほど再質問のときに部下の職員として命令に従うことは、それはありだということを申し上げましたから、そこの点では区長と一致していますが、私がこの間再質問で答えてほしいということで申し上げたのは、その命令を下す以前の政策決定の段階での職場の声をどういうふうな形で吸い上げているのか、不十分じゃないかということを申し上げたんです。そこについての答弁はなくて、その先のことしか答弁してないので非常に残念です。改めてここを考え方を示していただきたいと思います。

それから、また三十二条のところで区長は議会が区民の代表だとおっしゃいました。確かにそれはそうです。しかし、議会から意見を聞けば事は済むのでしょうか。そうしたら、そういうふうに考えていらっしゃるのであれば、かなりこの発言というのは区長はこの間いろいろな場面でしていらっしゃいます。しかし、そうであるならば、いろいろな委員会、審議会に公募をするとかさまざまな分野の方たちの意見を聞くなどということは、議会の意見しか聞かないということであれば全然根本的に崩れてしまうじゃありませんか。私はここから見ても違ってくるんじゃないかと思います。

それから、ルールの問題ですが、ルールは二年前だというふうにおっしゃいましたけど、どのように提示をしたのか、私はこれは不明です。しかもこの一月四日のときに学童保育クラブの父母がたしか三人ぐらいで訪問したというふうに話を伺いましたが、そのときに児童課の窓口の職員は、課長にお話があるんだ、あいさつに来たんだという話を聞いて、課長のところに案内しているんですよね。ですから日常ふだん当たり前のことでやっているにもかかわらず、課長は来た方たちを見て「何しに来たんだ、用はないから帰ってくれ」という、そういう追い返しの仕方をしたと、こういうふうなルールがあるからこういうふうにしてくださいと、ルールがあるということを強調するんだったら改めてそのことを言うべきだし、きちんとした接遇を指導するべきだと思います。

改めて私は職員ハンドブックを見ました。多分研修の中身でこの接遇部分も取り上げていらっしゃると思いますが……

議長(須藤安通君)

南恵子君、質問の途中ですが、簡略にお願いいたします。

南恵子君

意見で終わりにしますけども、この接遇の部分でも一人一人が広報担当であるということを自覚して区民に、お客様に対応しなさいと書いてあるんですよ。それから、同時に気分や感情に流されないで誠実さ、忍耐強さを持てとも書いてあるんです。私は児童課長のその接遇の状況を伺って、この職員ハンドブックにも全く反しているというふうに思わざるを得ません。そういうことについて改めてどうなのか教えてください。


再々答弁

区長(高橋久二君)

再々質問にお答え申し上げます。

先ほどから地公法三十二条の問題がいろいろ論議されてございますが、先ほどから申し上げましたとおり、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない、これはよく理解していただいていると思います。その上司が命令をするときに、職員にいろいろ話して理解を得なくちゃならないということと、また、上司がこれはどうしてもやりたいからやっていただきたいということ、いろいろ方法はあると思います。全部聞いていたのでは仕事は私は進まないと思っています。

それから、住民参加の問題、先ほどから私は補完だということを言っております。あくまで補完でございます。必要ないとは一言も言ってございません。議会が住民の代表であり、その議会の意見を補完するために住民参加があるんだ、このように申し上げているものでございます。必要ないと一言も言っておりませんので、ひとつ念のためどうぞ。

福祉部長(小沼毅君)

南議員の再々質問の方にお答え申し上げます。

このようになった経過でございますが、およそ二年ぐらい前だと申し上げましたけど、当時の状況で申し上げますと、まず強訴の形態に近い形で当時の住民団体が押し寄せてまいりました。その結果、私ども集団での執務時間中での話はとてもじゃないけど応じ切れませんということで、先ほど来申し上げましたけど、ルールということで事前の形式、手続等を踏んでほしい、こういうことで通告したものでございます。

以上

ページトップへ

前のページへ戻る           日本共産党品川区議団TOPへ