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飯沼雅子区議2000年第4回定例会「集団感染」「パート労働」

2000.11 飯沼 雅子 区議

一般質問項目

  1. 中延保育園における下痢・嘔吐集団感染について、区は父母に謝罪すべき
  2. 同一労働・同一賃金は世界の流れ、パート労働者の労働条件改善を求める

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一般質問

おはようございます。日本共産党区議団を代表して一般質問を行います。


中延保育園における下痢・嘔吐集団感染について、区は父母に謝罪すべき

初めに、中延保育園における下痢・嘔吐集団感染について、区は父母に謝罪すべきについて質問します。

区立中延保育園において、小型球形ウイルス(SRSV)を原因とする下痢・嘔吐集団感染が発生をしました。このことは、十一月二日夜から三日朝にかけ荏原医師会休日・夜間診療所を受診した乳幼児が同じ保育園であることから、ドクターが食中毒の疑いを持ち、明らかになりました。発症者は二日十八名、三日五名、四日九名、五日六名と増え続け、一週間後には四十九名が確認されています。内訳は園児三十二名、家族十五名、職員二と全クラス、家族にまで広がっている状況です。ゼロ歳児一名が点滴を受けましたが入院患者はなく、命にかかわる事態にならず、ほっとしているところです。苦しい体験をしたお子さんや不安な時を過ごしたご家族の皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。

二十一日現在三十九名からSRSVが検出されました。発症状況から見て保育園を介したSRSVによる集団感染であることは明らかです。今回の事態から、なぜ被害が四十九名も次々に広がったのか、原因は何だったのか疑問が広がります。

以下三点にわたり述べたいと思います。

第一の問題は、SRSVを軽視した点です。

SRSVの発生防止については、今年一月に保健所から保育課に「冬季のウイルス性食中毒の発生防止について」の連絡文書が示されていました。SRSVを原因とするウイルス性食中毒の集団発生例が保育園や高齢者施設で報告されています。食品を介しての感染やウイルス保有者からの二次感染が考えられます。発生防止のために下記の事項に配慮してくださいとして、注意事項一、食品を中心部まで十分に加熱調理、二、用便、吐物処理後の手指の洗浄、消毒など具体的に四項目を指示しています。このような文書が保健所から配られています。

そして、今回の事態は当初からSRSVを視野に入れて調査したにもかかわらず職員の認識、そして父母への説明はどうだったのでしょうか。

発生直後、生後二カ月の子供に移っては大変と問い合わせをしたお母さんに対し、看護婦は「風邪だから心配ない」と答えたと聞いています。父母がSRSVの言葉を聞いたのは発生後六日目に「在園児の感染性胃腸炎の発生について」の文書が配られたのが初めてです。七日目の緊急保護者会で「冬の嘔吐・下痢(ウイルス性食中毒)にご注意」と「二次感染はこうして防ぐ」の二枚の文書が配布されたものの、保健サービス課長の説明は「腹にくる風邪です」と、今回の症状が単なる風邪であり心配はないという印象を与えました。平成九年に食中毒の原因物質として食品衛生法で指定をされたSRSVです。O−157並みの感染力の強いウイルスに対して全く無責任な説明です。なぜこのような対応になったのでしょうか。

第二は、父母への情報提供を怠ったのではないかという点です。

我が子の健康状態を心配している父母に、事実と情報がどのように伝わったのでしょうか。発症翌日の三日に保育園から電話で問い合わせがあり、「風邪がはやっているが変わりはないか」「何人か嘔吐と下痢が出ているので検便をすることにした」と聞かれたが、その後情報が全くなく、何が起こり、どう対処してよいかわからず不安だったと聞いています。四日土曜日に保育園に張り紙がしてあると聞いた父母が保育園を訪ね、園長が対応しましたが、「全世帯に連絡をしろということなのか、そこまで気は回らない」と答えたそうです。これでは土曜日休んでいる家庭、発病して欠席の家庭には情報が全く届かなかったということです。

なぜ応援体制をとってでも全家庭に連絡をとらなかったのでしょうか。こうしている間にSRSVは保育園と家庭で猛威を振るって二日目には二十三名だったものが一週間後には四十九名まで拡大をしました。潜伏期間が二十四時間から四十八時間ですから、拡大結果を見ると二次感染、三次感染が起こったことは明らかです。

また、父母の会連絡会の関係者が正しい情報を聞きたいと保育課に問い合わせると、「あんたは関係ないから」と情報を拒否をし、ひどい対応だったと聞いています。保育課長に父母への説明を尋ねると、「現状で知らせると不安をあおるので結果が出てから知らせる」と答えています。子供の生命の安全を第一に考えたとき、速やかに正確な情報提供が求められます。品川区の対応は親の気持ちを無視した、常識を逸した対応と言わざるを得ません。

台東区でも同じ事態が起きましたが、品川区との違いが際立っています。台東区立谷中保育園で十月二十日、食中毒症状が発生をし、三十名からSRSVが検出されました。品川区との対応の違いは、父母への丁寧な情報提供です。台東区は翌日から二日間連続で全家庭訪問をし、容体を伺い、状況の説明をし、検便検査容器を渡しています。三日目には父母への謝罪とともに「食中毒症状の発生について(ご案内)」を配布するなど食中毒ととらえ万全の体制をとり、情報提供したことで被害の拡大を防止しました。三日間で発生をぴたりととめた台東区に学ぶべきです。

第三は体制の問題です。

区立保育園での集団発生です。重大な事態ととらえ、子供たちの命を守るための構えが何よりも大事です。台東区では、翌日に助役、関係部課長による幹部会を緊急に開き、対策を協議したと聞いています。保育課を初め各所管の専門性を機能させることが必要だったのではないでしょうか。

保健所の場合はどうでしょうか。職員からはなぜ食中毒として構えを持たなかったのか。そのため感染症の拡大防止がされていない。また、なぜ保健所を使い給食の提供を行うようになったのか。それも事故のあった当該保育園の調理器材を検査中にもかかわらず保健所に持ち込んでの調理が許可されたのか。再発防止からすれば、原因を解明されない段階で軽率な判断ではないかなど多くの疑問が出されています。保健所を初め各専門職の役割が機能していたとは思えません。

以上、たくさんの問題を挙げましたが、問題をつなげ今回の事態を見ると区の責任は明らかです。事態の認識、父母への情報提供、体制の構えをとっても今回の事態は小さく見せ、問題はなかったという結論を引き出したかった。品川区は給食の民間委託への批判が広がることを何よりも恐れ、細菌やSRSVが食材と調理従事者から検出されないことのみに注意を払い、肝心の二次感染対策が抜け落ちてしまったとしか思えません。その結果、子供たちの健康が損なわれてしまったのです。

子供たちの安全よりも民間委託の存続を願う品川区政では、区民が安心をして子供を預けることはできません。再び同じ事態を起こさないためにも、区に反省と対策を求めます。

父母の方々から、「区は今回の事態に対し責任を感じていない」「緊急保護者会ではまず謝罪が聞かれると思ったが一切なく、高圧的な説明で驚いた」と不満の声が寄せられています。区が配布をした文書にも謝罪の言葉は全くなく、常識を欠いた対応と言わざるを得ません。事態の責任をどのようにとらえているのかお伺いしたいです。

区の責任を明確にし、大変な負担、心配、迷惑をかけた関係者に謝罪の気持ちをあらわすべきと考えます。

最後に、民間委託の問題に触れます。

今年起こったSRSVによる集団感染は、品川区も台東区も文京区も民間委託のもとで発生をしています。中でも中延保育園の委託業者が複数の集団給食にかかわっていることは注目すべき点です。区民の目からすれば、民間委託で子供たちの食の安全が守られるのか疑問を抱かざるを得ません。安全対策の徹底を求めます。

ここで質問をいたします。

  1. 集団感染の原因をどのように認識していますか。また、今後の対策を明らかにされたい。
  2. 父母への説明が不十分なため、二次感染の被害が拡大をしました。防止マニュアルを作成し、対策を尽くすべきと考えますが、いかがでしょうか。
  3. 保健所施設で給食をつくるためにどのような検討、チェックがされたのか明らかにされたい。
  4. 利用者である父母の信頼を回復するために、説明会など十分かつ丁寧な対応をお願いしたいが、いかがでしょうか。
  5. 集団感染の責任は当然区が負うものです。父母に謝罪すべきと考えますが、いかがでしょうか。

同一労働・同一賃金は世界の流れ、パート労働者の労働条件改善を求める

続いて、同一労働・同一賃金は世界の流れ、パート労働者の労働条件改善を求めるの質問に移ります。

長引く不況は区民生活にも大きな影を落としています。少しでも家計の足しになればとパートタイムで働く方が増え続けていますが、社会保障もなく安い時間給、そしていつ解雇されるかわからないという不安を抱えてパート労働に従事をしています。

労働省が六月に発表した就業形態の多様化調査によると、労働者に占めるパートや契約社員など非正社員の割合は一九九九年九月時点で二七・五%となり、比率は年々上昇を続けています。日本経済新聞は、企業は人件費削減や雇用調節をしやすくするために非正社員を増やしていると報じています。

品川区でも臨時職員、非常勤職員が正規職員とともに重要な仕事を担っています。行政改革という名目で職員定数を減らした結果として、本来、正規職員が担うべき仕事に臨時、非常勤職員が配置されているという状況があります。さらに業務の外部委託となり、行政に携わる重要な仕事を担いながら民間のパート職員という位置づけになっているケースも増え続けています。

保育園の分野では四百二十五名の非常勤職員が勤務をしています。非常勤職員の方で週五日間、毎日二時間のパートで月五万一千円、一人で暮らす必要最低年収は三百万円と言われていますが、月二十五万円の総支給額を得るには労働日数で二十二日、一日十時間余り働かなくてはなりません。年間二十日間の有給休暇はあるものの、祭日が入ると子供の少ない土曜日出勤は気がひけると、有給休暇で休むことになり、実質二十日間の有給休暇は保障されていません。そのほかの社会保障、二〇〇一年度の契約保障も一切なしという労働条件では、品川区自ら低賃金と何の保障もない労働をつくり出していることになります。

今年三月まで保育園で朝夕二時間ずつ働き続けていた方は、昼は本屋さんでパートをし、お子さんを育てながら生活をしています。ところが、非常勤職員に切り替えてからは朝夕どちらかしか働けず、これでは生活をしていけないと大好きな仕事をやめ、ほかの仕事に移っていきました。とても残念なことです。

品川区は、非常勤職員取扱要綱で任用や勤務条件を示していますが、ここに短時間労働者の権利を奪う問題点があります。

第一には、第五条の任用期間を一年とした有期雇用契約です。先に挙げた保育の分野は事業の拡大によって非常勤職員の任用がなければ成り立たない事業となっています。区民の要望が大きいとして行われた事業です。一年で消滅する事業でもないのに、有期雇用契約とし、働く者に社会保障の権利を与えようとしないのは、法のもとにおける平等という精神から逸脱したものです。

第二には、年次有給休暇の問題です。要綱の十一条にあるとおり、法律によって規定された祝日を事実上有給休暇によって消化せざる得ないという状況は改善すべきものです。週五日勤務の規定はあるものの、平日勤務が日常の勤務形態となっている以上、祝日は正規職員と同じく出勤したものとして扱うべきです。

第三には、賃金と保険など社会保障の問題です。パートタイム労働法は、その目的で役割の重要性、適正な労働条件の確保をうたい、短時間労働者の福祉の増進を図るために必要な施策を推進するよう努めることを自治体の責務と定めています。人件費削減の手段として短時間労働者を活用するのではなく、役割の重要性に見合った労働条件を提供する見本を自治体自ら見せることを求めています。勤務時間の細分化や一年間の有期雇用契約で賃金を抑え込み、社会保険に加入することのできない条件をつくっていることは、こうした役割を真っ向から否定するものです。

行政需要の増大にもかかわらず正規職員を減らし、その仕事を安い時給と社会保障もない臨時、非常勤職員に押しつけ、さらには外部委託、こうした措置は不安定雇用の増加、失業者の増加に行政自ら手をかしていることになります。

昨年十一月に自動車部品メーカーの丸子警報機に働く臨時職員が、賃金差別は不当だとして起こした裁判の判決で、賃金、一時金、退職金も含め正社員の八割以下とするのは公序良俗に反するとした同一労働、同一賃金の立場を司法の立場で示しています。

一九九四年に制定されたILO第百七十五号、パートタイム労働に関する条約は均等取り扱いに対する規定が設けられています。基本賃金についても単にパートタイムで働いているという理由からフルタイム労働者の基本賃金より低く受け取ることがないように保障措置をとるとしています。フランス、ドイツ、スペインなどではパート労働者とフルタイム労働者の均等待遇の原則を法律で明文化しています。オーストラリア、イギリスでは週当りの最低労働時間要件を満たすパート労働者について、一般労働法上の保護が適用されます。イタリア、ベルギー、スイスなど多くの先進国がパート労働者の権利を保障する体制をとっています。

日本では九三年にパート法を制定しましたが、ILOパート条約には批准せず、就業の実態、通常の労働者との均衡などを考慮して適正な労働条件の確保に務めよと述べるだけになっています。労働条件は結果として各企業に任され、劣悪な労働環境が横行するという事態もあります。住民サービスが一番の仕事である地方自治体として、自治体に働く短時間労働者の就業条件を改善する。このことが何よりも今求められているのではないでしょうか。

ここで質問をします。

  1. 同一労働・同一賃金こそ短時間労働者の権利を守る世界の流れです。正規職員と同等の労働を行う臨時職員、非常勤職員を低い賃金で働かせることを是とするのでしょうか。このままパート労働者が増加するなら、二十一世紀に入っての品川の税収などは大きく落ち込み、社会保障制度への加入の低下、消費支出の低下が一層進むことは明らかです。
    こうした事態に対する見解を伺います。
  2. ILO条約に沿った思い切った労働条件の改善を、まず行政から進めるべきと考えます。とりわけ有期雇用契約によって職を奪われることがないように、期間のない雇用にすべきと考えますが、いかがでしょうか。

以上をもちまして終わります。


答弁

区長(高橋久二君)

飯沼議員のご質問のうち、初めに非常勤職員の報酬の問題でございますが、非常勤職員の給与の均衡を考慮いたしまして、非常勤職員の報酬および費用弁償に関する条例第二条に基づき定めてございます。

その際、報酬額につきましては職種に応じ時給、日額、月額など東京都、近隣区の支給状況や民間の支給額も考慮して定めており、決して低い額ではございません。

一方、臨時職員の賃金につきましても同様の考え方で定めておりまして、ハローワークのデータなども参考にしておりますので、低賃金とは言えないものと考えております。

区における非常勤職員等の活用は、多様な就業形態を希望する方々にとって就労のチャンスとなるものでありまして、その意味で雇用機会の拡大にもつながるものと考えております。

なお、区税収入に与える影響でございますが、区税は減税を初めとする税制改正に影響されることが多く、ご指摘のようなパート労働者の増加が直ちに税収の減収に結びつくとは考えておりません。

次に、雇用期間についてでございますが、職員は常勤勤務するか否かによって常勤職員と非常勤職員に区別することができます。非常勤職員につきましては、地公法上、特別職に位置づけされるものでございまして、雇用関係に当たっては労働基準法の規定が適用されることになりまして、雇用期間を定めて任用しております。

なお、採用に当たりましては、労働基準法の規定により一年を超える期間は禁止をされております。長期間雇用を保障することは法の趣旨からもできませんが、非常勤職員で雇用期間満了後に引き続き勤務を希望する場合は、新たな申し込みを受け、選考の上採用しております。

その他の質問につきましては、担当の部長からお答え申し上げます。

福祉部長(小沼毅君)

私からは、中延保育園における下痢・嘔吐集団感染についてのご質問にお答え申し上げます。

初めに、今回発症されました在園児や家族の方々につきましては、心よりお見舞い申し上げる次第でございます。

このたびの中延保育園での園児の嘔吐・下痢症は感染源不明の小型球形ウイルス(SRSV)、スモール・ラウンド・ストラクチャード・ウイルスによる感染性胃腸炎によるものであり、食中毒ではありませんでした。遺憾ながら感染源や感染経路については特定することが不可能であり、原因究明ができない旨保健所長から報告がありました。

今後の対策につきましては、集団生活における感染症予防についての手洗いやうがい等の履行を徹底するとともに、衛生知識や予防情報等の適宜な提供等常に注意の喚起を行ってまいります。

二点目に、保護者への対応についてお答えします。

まず経過について述べますと、十一月二日から三日にかけて在園児十八名が吐き気、嘔吐、また数人は下痢、発熱の症状が出ていることがわかりました。区としましては、速やかに東京都衛生局と連絡をとりながら、可能な限りの検査手段等を駆使し、原因究明に努め、その結果、食品および調理従事者についてはすべてにおいて陰性でありましたが、発症児とその家族や保育園職員の検便から、先ほど申し上げました小型球形ウイルス(SRSV)が発見されたものでございます。これら疫学調査の結果および地域における流行状況等を検討し、品川区保健所は感染性胃腸炎によるものであると判断した次第です。

この間の保護者の方々には、二次感染予防を含め最新の情報提供や区としての対応につきまして、個々に文書でお配りし、また、保護者会の席上でも配布説明するなど十分周知できたものと認識しております。

具体的には、発症児が確認された後は、通常の予防対策に加え、保育室や遊具等のふき消毒を徹底しております。さらに、各ご家庭に対しましても十一月三日は休日でしたが、全世帯へ電話での照会、翌四日には前日の状況や調理場所の変更について、園内三カ所にお知らせを掲示しました。六日には現状を個々にお知らせし、七日には小型球形ウイルスが発見されたことにより、二次感染予防策についてのプリントをお配りするとともに、現状についてお知らせいたしました。さらに、翌八日には臨時保護者会を開催し、状況の報告やご質問にお答えいたしました。また、当日の欠席者や区内の保育園、関係小学校などに対し正確な情報提供や感染予防等のプリントを送付した次第です。

なお、感染予防マニュアルについては今後関係機関とも協議して対応してまいります。

三点目の、この間の中延保育園における調理業務に関してですが、多数の嘔吐、下痢症状確認後は念のため検査結果判明まで調理室の使用や調理員の業務従事を差し控えることといたしました。しかし、園児に対する給食の提供は保育サービスの一環であることから、いかなる環境においても最善を尽くすことを念頭に検討した結果、品川区保健所の調理実習室を活用し、本課栄養士を含め他園の調理員の応援により、通常保育に支障なく給食を提供することができました。この選択肢は最善の方法であったと判断しております。また、調理実習室や調理器具等の事前の消毒等衛生管理を徹底したことは言うにおよびません。

四点目に、保護者の方の信頼回復についてお答えします。

保護者の皆様には、先ほど来申し上げましたように、保護者会や文書により十分な説明や情報提供に努めてきました。ただ一つ残念なのは、この間にあって一部の方々が発行しているニュースやインターネットにより正確な検査結果や保健所長の判断がなされる前に「中延保育園で食中毒」などと保護者の皆様の不安をあおり、また、保育園運営に不信感を抱かせるような内容で区民の皆様に情報提供されたことです。

このため、保育園関係者やさまざまな方から、区立保育園で食中毒が発生したらしい。状況を教えてほしい旨の問い合わせが各施設を通じ相次ぎました。

したがいまして、保護者の皆様には、今後事実に基づいた正確な情報をもとに迅速に報告、説明をするとともに、通常の保育の中身においても保護者の信頼が回復できるよう職員一丸となり、より一層職務遂行に努めてまいる所存でございます。

最後に、集団感染の責任の所在についてお答えします。

先ほどから答弁していますように、感染源や感染経路につきましては、遺憾ながら特定することが不可能でありました。しかし、多くの園児や家族の方が発症していることから、集団生活における感染症予防について、さまざまな点から今後もより一層配慮していかなければならないと考えております。


再質問

飯沼雅子君

ご答弁ありがとうございました。自席から再質問させていただきます。

まず、原因、経路がわからない。けれども対応は十分にしてきた。このようなご答弁でしたが、それだったらば、なぜここまで被害が広がったのでしょうか。この被害が広がった原因は一体何だったんでしょうか。私は先ほど質問の中でさせていただきましたが、台東区の谷中保育園でも全く同じような状況で食中毒症状が発生いたしました。この場合も品川区と同じ食材の中から菌も、ウイルスも発見されませんでした。また、従事者の中からも発見されませんでした。

ところが、品川区との違いは三日間でぴたりと二次感染を止めた、発生が止まったんです。品川区の場合は一週間かかっても増え続け、ようやくおさまってきたという状況です。この辺、二次感染に対する認識がどうだったのか。私はここまで広がったのはやっぱり区の対応のまずさだったと思います。その点に対して一つお伺いいたします。全く本当に二次感染対策がとられていなかった、機能しなかった、そういうふうに思っております。その点一点お伺いします。

また、今回の構えなのですが、「食中毒」、この言葉を非常に避けていた。そのことでここまで拡大をしてしまったのではないかということで一つ例を示したいと思います。

東大和市においても今年度、SRSVの集団感染が起こりました。ところが、この東大和市も食材から発見されなかった。そして調理員からもない。でも、東大和市は食中毒と断定をしました。これはなぜなんでしょうか。この判断が、私は食中毒ではないと判断したのは一体どういう内容から判断をされたのかというのをお伺いしたいと思います。

東大和市では、保健所の職員が園児を診断した医師を全員訪ね、状況の説明をし診断を仰いでいます。そして、一日目、二日目に急激に発生をした。そして患者の共通食はこの園での食事のみということで食中毒と断定をしています。食材からも調理従事者からもSRSVが検出されないのは品川と同じ条件ですが、これでも食中毒と断定しているわけです。私はこのことではSRSVが食材の中から検出をされるのが今までの集団発生の中では一件もない。今の検査技術からするとSRSVは食材から発見するのが非常に難しい。こういったことが専門家の中から言われています。

そういった意味では、私はこの点でなぜ食中毒ととらえなかったのか。何で食中毒ととらえたらまずいのか。食中毒ととらえることで一般の方は気をつけていかなければいけないという認識を持つことで拡大を防げることがあるわけです。だから拡大を防ぐ、被害を広げることを防ぐことを大事にするのか、それともこの食中毒が歩いて印象を悪くすることを恐れるのか。私はそのどちらかを取るのか、そこのところが問題と思います。

次は、父母への対応についてお伺いします。

父母にも十分説明をしたということですが、私は患者の親である父母に対して説明責任を十分果たしたのかどうか。不安の解消ができたかどうか、この点についてお伺いします。

あちこちからいろいろマニュアルをいただきましたが、北療育医療センター、ここでの食中毒発生時の対応について、この中に食中毒発生時の対応の中には患者や家族に対し適時適切な説明を行うことが何よりも重要である。あいまい、不誠実な対応、不確実な情報は患者に不信感を抱かせるとあります。私は結果が出るまで親に説明をすると不安をあおってしまう。このことが結果的には親の不安を招いたのではないかと思います。やはり適時適切な説明を十分行うこと、このことができていなかったと思います。この点についてお答えをいただきたいと思います。


再答弁

福祉部長(小沼毅君)

飯沼議員の三点にわたる再質問につきましてお答え申し上げます。

まず、一点目の二次感染対策についての問題でございますけれども、これは先ほどご答弁申し上げましたように、私どもこの報に接しまして後、文書、その前に電話等での確認を含めまして文書、あるいはそれを受けての園舎への掲示、それから保護者会というような中で、それ相応の私どもで考えられる限りの対応をとらさせていただいたつもりでございます。

それから、二点目の食中毒の使用を避けているというようなご指摘、あるいは食中毒でないと判断した理由でございますけど、先ほどご答弁申し上げましたところとまた重なるわけでございますけれども、いわゆる疫学調査の結果、それから地域における流行状況等を検討し、品川区保健所は科学的な視点から、これは食中毒ではなくて感染性胃腸炎ということでの判断をしたものでございます。決して避けていると、そういうようなことはございません。

それから、父母への対応の三点目でございますけれども、先ほど議員自ら北療の例を出されてございました。その中で不確実な情報はだめですよと。まさしく私どももこれが不確実な情報をすること自体が事態を混乱させるわけですし、また、アカウンタビリティと申しますか、説明責任を果たしたことになりませんので、それが確定するまでそれ相応の対応をとらさせていただいたと、こういうことでございます。


再々質問

議長(須藤安通君)

飯沼雅子君、再々質問ですので、簡略にお願いいたします。

飯沼雅子君

区長にお答えをいただきたいと思います。

私はこの調査に当たって、他の自治体に調査のご協力をお願いしましたところ、とても丁寧に説明をしていただきました。資料もたくさん送っていただきました。きょう時間がないのがとても残念です。反面、品川区は情報の公開が大変遅れていると思います。情報隠しとも言える今回の保育課の対応でした。広く情報を公開して客観的判断、評価を仰ぐ姿勢が大切と思います。

この点と、もう一点は区民の皆さんから大切なお子さんを預かっているわけです。子供たちの命を何よりも大切にする行政が今求められていますが、今回の事態は大変反省すべきものがあると思います。私は区長に謝罪を求めますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。


再々答弁

区長(高橋久二君)

再々質問にお答えを申し上げます。

情報の問題でございますが、特段この問題につきましても情報は隠しておりません。

それから、謝罪の問題でございますが、私はこういうふうな感染症、これは風邪の問題も私は同じだと思います。お見舞いは申し上げます。しかし、そのような問題がうちの区で起きたという問題でございませんので、見解の相違でございます。以上です。

以上

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