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沢田英次区議01年第1回定例会「青年雇用」「区民住宅」「大崎地域開発」

2001.03.16 沢田 英次 区議

一般質問項目

  1. フリーター対策の実施と、青年の雇用拡大を
  2. 西品川1丁目区民住宅の建設にあたり住民の声を尊重して推進を
  3. 千代田生命が中心となった大崎2丁目8・9番地開発の中止を

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一般質問

日本共産党を代表し3点にわたり質問します。


フリーター対策の実施と、青年の雇用拡大を

はじめは「フリーター対策の実施と、青年の雇用拡大を」についてです。

いま雇用をめぐる状況は戦後最悪となっています。その中でも青年の状況は深刻化しており、就職難は超氷河期といわれるほどです。大卒の就職率はこの10年間で80%から55・8%に。東京労働局の調査では90年と99年の高校の卒業生に対する求人数は、27万3,000人から4万6,000人に激減しているのであります。このような状況のもとでフリーターは激増、労働白書によれば「フリーター」は97年では、全国で151万人もおり10年前と比べ2倍、15年比では3倍も増加しています。フリーターの多くは低い賃金、長時間労働に加え、社会保障の加入もできない、など無権利状態のままに置かれております。

フリーターの平均月収は週5日働きわずか月12万円前後ですから、青年の自立した生活は大変困難といわなければなりません。

先日、青年のグループと話したのですが、「コンビニで働いていたが、明日からこなくていい、といきなり言われた」「社会保障もなく将来不安、このままでは結婚できないのでは」「ハローワークにいっても職がない」。また中には「私は正社員だが3時間の残業はざらで残業手当は払われていない」などの声も出されました。

学校を卒業し、社会に巣立つ出発点で、仕事につけず、また低賃金で過酷な労働条件に苦しめられ、将来の希望を持てなくなっている青年、これは青年の問題であると同時に、日本の経済と社会にとっても一大事であり解決が急がれる問題であります。青年たちの現在の状況が続けばどうなるでしょうか。

第1は、日本経済を支える技術が次の世代に継承されず、いずれ日本の産業の衰退につながるという点です。朝日生命のリポート「経済月報は『若年労働者の減少は、実務経験を通じて将来必要な職業能力を習得、技術を形成する機会を逸する』『わが国経済のもつ潜在的な生産力において質・量の両面でマイナス』と警鐘を鳴らしているのであります。

とりわけ金属加工業が集積する、品川の工業にとって後継者、技術の継承問題は解決が迫られる焦眉の課題といえると思います。

第2は、青年の低収入は消費を縮小させ、区にとっても税収不足の不安、さらに社会保障に未加入者の増大は年金など社会保障の土台を崩しかねません。

第3は低賃金、不安定雇用は晩婚化につながり、少子化をいっそう進める、不安もあります。

私は、日本の未来の主権者である青年たちの現状打開は政治の待ったなしの課題だと思うのであります。

さて、青年の就職難やフリーター問題がなぜ、深刻になったのか触れたいと思います。

一部には「青年の甘えだ」「いまどきの若い者は…」との声もありますが、労働白書によれば64・7%が「将来、定職につきたい」としており、多数の青年は正社員を希望するが正社員の仕事がない、これが実態だと思います。

フリーター問題の背景には経済界が目先の利益を優先し、リストラを進め、最小限の人件費で最大の利益追求。その結果、新規採用を手控え、とりわけ青年の雇用を困難にしているのであります。

こうした傾向は、企業だけではありません。地方自治体でも「行政改革」の名で正規職員を競い合って削減、パート化やパートをベースにした民間委託を推進、新規採用が極端に縮小しています。品川区の新規採用でみると10年前の平成4年は123名が、13年度は0となっています。

区内の中学校の教員は平成8年の平均年齢39・4歳、平成12年度では41・1才で5年間に1・7歳も平均年齢が高くなっています。民間ばかりか、当区でも職員の年齢構成の逆ピラミッド化が進行しており、このままいくとどうなるか大変不安であります。

もう1つは、政府が産業再生法などを制定しリストラを支援してきた、問題です。

ヨーロッパ諸国では青年失業者への生活保障と特別の対策があります。たとえばイギリスでは若年失業者に職業訓練を制度化し、雇用支援のための政府、産業界、NPOが協力して再就職斡旋を実施。フランスでは97年に「5年間で35万人の若年雇用を公共部門で創出するための法律を制定、青年失業者には職業訓練を受けることを条件に一定の所得保証をしています。ヨーロッパ諸国と比べ、雇用拡大を言いながらリストラ支援をする日本の政府の対応はあまりにも違う、といわなければなりません。

あらためて青年たちのためにも、日本の21世紀を希望ある世紀とするために、青年に安定した職と働き甲斐のある労働条件を、国、地方自治体、社会全体がこの問題解決のために取り組むことが重要だと考えます。

そこで質問します。

  1. 青年たちの間に広がるフリーターや失業の増加、厳しい労働条件など指摘しましたが、区長はこの現状を、どのように考えるかお答え願います。第3次長期計画に青年の雇用問題を盛り込むなど、計画的に区としてできることを行うべきだ、と考えますがいかがでしょうか。
  2. 品川区としての雇用拡大策、たとえば青年向けのパソコン教室や介護のためのホームヘルパー講座の開設、青年の雇用に関する相談窓口の設置はできないでしょうか。
  3. 先ほどの北野議員と関連しますが、区長として青年たちのためにも、当区の職員の募集に当たり、新規雇用を拡大すべき、と思いますが、いかがでしょうか。

西品川1丁目区民住宅の建設にあたり住民の声を尊重して推進を

次に「西品川1丁目区民住宅の建設にあたり住民の声を尊重して推進を」について質問します。

品川区は区役所前、三菱マテリアル、三菱建設の用地に地上25階、132戸の区民住宅の建設を進めています。すでに昨年12月には前記2社が区民住宅を建て、土地つきの建物の購入を議決しています。

わが党は、区民住宅の建設は倍率が7〜8倍になっており、区民の願いに沿ったものであり賛成をしました。一方、今回の計画に対し「住宅地になぜ25階もの高層住宅を建てるのか」「なぜ早い段階で住民の声を聞こうとしなかったのか」などの声が近隣の方から出されています。わが党はこの計画の問題点について、総務・建設委員会で述べてきましたが、あらためて3点にわたって指摘したい、と思います。

第1の問題は、地上25階、高さ78・5メートルにも及ぶ超高層ビルが、住宅地の南側に建設され、近隣には日照、風害など多大の被害を与えることに対する考慮が不十分、と思われる点であります。

区側は、「当初の計画は7〜8階、80戸程度であったが、直近の北側の方には甚大な日照被害を与える。あらたに三菱建設の用地を購入、一体化の上、スリムな建物とすることにより日照は大幅に改善される」と説明してきました。確かに北側直近の被害が軽減されることは事実ですが、高層化することにより、日影を及ぼす範囲は著しく拡大することには触れていません。

「都市生活においてこの程度の日影は受任の限度内」というが果たしてそうでしょうか。あるお年寄りと暮らしている方は「私の家は午前中の1時間半しか陽が当たっていません。区民住宅が建てば、そのわずかな陽が奪われ、1日中真っ暗になってしまいます」と語っています。しかもこの地域の北側は土地が低くなっており、高層にしたことにより、終日太陽が当たらなくなる家は少なくないのであります。

第2は、計画建物の北側は平屋もしくは2階建てでそろっており、25階は町並みを壊す都市計画上の問題です。周辺で一番高い建物は区役所の8階であり、10階以上の建物はなくあまりにも不調和といわなければなりません。幹線道路沿いや駅前の商業地ならいざ知れず、この場所での25階建てることの正当な理由はどこにあるのでしょうか。

区がこのような町並みを破壊する超高層建物をたてるなら、民間建設業者は「品川区が町中で25階を率先して建てているではないか」、こんな口実で住宅地での乱開発が進むことを率直に心配するものであります。

第3は、区民住宅をつくるのに実態は三菱マテリアルと三菱建設主導の計画ではないか、という問題です。

区の説明では、三菱建設用地の購入の条件として、「設計、施行を三菱側に任せる」が付けられたとしています。これが事実とすれば、三菱が利益を上げようとすれば、近隣と不調和であっても、計画見直しの声があっても出来るだけ高く大きなものを建てることになります。

住民のみなさんは「ふるさとを守る会」を結成し、困難な中で計画建物の設計変更を求めています。競争入札なしに区が55億円もの購入をすること自体問題だと思いますが、私は、よりよい区民住宅の建設と周辺の住みよい住環境のために、三菱任せにせず区としてイニシアを発揮し、住民との話し合い、三菱との交渉をする必要があると思います。

そこで質問します。

  1. 今回の区民住宅の計画は昨年9月に首脳部会議で決定しながら、なぜ、11月27日の第1回説明会まで、住民のみなさんに説明し意見を聞こうとしなかったのか、お答えを願います。あらためて用地購入から、25階建てになった経過をお尋ねします。
  2. 今回の計画に対し、地域の皆さんは規模の縮小、設計の変更を強く求めています。住民の声を聞きながら可能な計画変更をおこなうよう求めますが、いかがでしょうか。三菱側と規模縮小の話をしたことがあればお答えください。

千代田生命が中心となった大崎2丁目8・9番地開発の中止を

最後に「千代田生命が中心となった大崎2丁目8・9番地開発の中止を」について質問します。

来年度予算案は大崎2丁目8・9番地の再開発補助金として1億3,200万円を計上、区は今年、秋に都市計画決定をおこなう、としています。これまで大崎駅周辺での再開発は、ニューシティ、ゲートシティ、東五反田2丁目第1地区、大崎駅東口第3地区がすすめられ、8・9番地の開発は5番目となります。区側の説明によると8・9番地の開発は千代田生命、フジタなどが中心となり、地権者は83名。大崎副都心の複合市街地ゾーンとして位置付けソニー、明電舎など西口四街区と一体化。現在300%の容積率を550%に引上げる、などとしています。

わが党はこれまでゼネコン・大企業が主体となる大規模開発の問題点を指摘、見直しを求めてきましたが、大崎2丁目8・9番地は、これまでの開発の中でも特異であり、大きな問題を抱えております。

第1の問題は、開発地予定地の圧倒的部分が、千代田生命の違法な迂回融資が原資となり地上げされた土地だ、という問題です。

昨年12月、毎日新聞は「千代田生命、違法迂回融資100億円、旧経営陣、焦げ付きの隠匿、系列使い『地上げ』」との見出しを掲げました。その概要は「千代田生命は100億円を系列のビル管理会社を経由してアズマ建設企画に融資、同社は89年から93年にかけ、「地上げ」を実行。ところがバブル崩壊とともにアズマ建設企画は経営破綻。アズマ社の破綻により違法融資が発覚されないよう金利分の追加融資を実行していた」と報じています。

保険業法では各社が保険金運用の規則「財産利用方法書」、大蔵省に提出を義務付けているが、規則では、再開発組合以外の融資は禁じられていた、としています。

千代田生命は、8・9番地の失敗も一因となり昨年10月、更生特例法を申請し、事実上の倒産となったのであります。

私は、バブル経済当時、「地上げ」がどれほど多くの住民を苦しめたのか、思い起こす必要があると思います。開発を目的に暴力団まで暗躍して「地上げ」が頻発。住みなれた地を泣く泣く立ち去る住民、地価は暴騰し、マイホームの夢は無残に打ち砕かれ、固定資産税や相続税が払えず途方にくれる状況も急増しました。やがてバブルがはじければ、金融機関には不良債権の山が築かれ、それによる不況はいまだに回復せず国民にのしかかっています。金融不安解消を理由に税金70兆円を投入して銀行支援を行う、のですから多くの国民が「こんな政治おかしい」と思うのは当然であります。

区の開発計画に乗って濡れ手に泡の利益をもくろみ、しかも違法な手段で地上げに走る、そんな千代田生命の土地にいかなる理由で税金を投入して開発を進めるのか、区民の多数は決して納得しないと思います。

第2の問題は、区民住宅の問題と共通しますが、大崎2丁目8・9番地は駅前の商業地区でもなく住宅地だ、という都市計画上の問題です。

施設計画案では地上10階と20階の業務ビルを2棟、住宅は地上38階、地下1階の1棟を建てるとしています。延べ床面積で見ると、業務棟5万1,116平方メートル、住宅は3万804平方メートル、典型的な住宅地に都心と見まがうような業務ビル中心の開発であります。

明電舎やソニーと隣接しているとは言うものの、工場の移転跡地でもなく純然たる住宅地、百反坂に面した近隣商業地でさえ2階で軒を連ねているのであります。もし、明電舎やソニーの開発が行われるとするなら、区がおこなうべきは住民がすみ続かれるよう住宅地としての環境を守ることをおこなうべきではないでしょうか。何故このような巨大開発をおこなうのか、不可解という他ありません。

あらためて千代田生命やフジタなど大企業が中心となり、町並みの破壊、不当な地上げを後押しする開発を直ちに中止するよう求め、質問に移ります。

  1. 大崎2丁目8・9番地の開発目的についてお答えください。また違法な融資により、地上げをした開発をなぜ推進するのかお答えください。
    あらためて大崎2丁目8・9番地開発の中止を求めますがいかがでしょうか。
  2. 千代田生命による地上げの実態について伺います。地上げは何件、何平方メートルに及んでいるのか、また、10年前の居住者および地権者と現在の居住者と地権者の推移をお尋ねします。また8・9番地の総事業費、補助金の予定額はいくらか、お答え願います。

以上

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