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桜井恵子区議01年第1回定例会代表質問
「企業・団体献金」「第3次長期基本計画」「子育て」「教育基本法」「介護保険」

2001.03.29 桜井 恵子 区議

代表質問項目

  1. KSD汚職、「機密費」問題の真相究明を、企業・団体献金の禁止を求める
  2. 低所得者福祉からの撤退、大型開発優先の第3次長期基本計画について伺う。くらし、福祉優先、住民参加の区政を
  3. 子育ては社会の責任、総合的子育てプランについて
  4. 少人数学級の実現で学ぶ喜びを、「奉仕活動」「出席停止」を盛り込む教育基本法の改正を問う
  5. 23区で一番高い品川の介護保険料、取り過ぎた分は保険料を引き下げて、区民に還元を求める

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代表質問

日本共産党を代表して質問を行います。


KSD汚職、「機密費」問題の真相究明を、企業・団体献金の禁止を求める

まず、KSD汚職、「機密費」問題の真相究明を、企業・団体献金の禁止を求めます。

KSD汚職、「機密費」問題について、国民の間で真相究明を求める声が広がっています。まちを歩くと、KSDの会員の方から「詐欺に遭った気持ちだ」「党員の名前を明らかにしてほしい。自分の名前が載っていたら、訴えたい」「不況で商売も大変だけど、地元の信用金庫の方から熱心に勧められたので入ったけど、何の特典もない」「これまでの汚職事件の中でこれくらい汚く、腹立たしい汚職はない」など、怒りの声でいっぱいです。

KSD汚職については、本日、疑惑の中心人物の村上参議院議員の証人喚問が行われています。何といっても問題は、不況に苦しむ中小業者の皆さんの身を削って納めた掛金を自民党に吸い上げられたということですから、前代未聞の事件です。この事件は、自民党の小山前参議院議員の賄賂から発覚したのですが、個々の政治家への賄賂だけでなく、政党のあり方、国会議員の議席を業界・団体が丸抱えする政治のあり方が問われています。

公益法人だから、政治献金はもちろん、政治活動も禁じられているので、KSD豊明会というトンネル団体を通じて、自民党の豊明支部にお金が入る。さらに幽霊党員と党費の肩がわりをし、わかっているだけでも、91年から99年までの9年間、総額18億円に上っています。1月30日の毎日新聞の社説では、公益法人の金と票に群がり、その見返りとして役所に圧力をかける「構造的腐敗」と指摘されているとおりです。政治家としても、政党としても鋭く問われる問題と言えます。すべての関係者の証人喚問を行い、真相の究明を行うべきと考えます。

共産党は、企業や団体から献金を受け取りません。今、国民の信頼を回復するには、すべての党が企業や団体から献金を政党は受け取らないことを明言すべきであり、法律を改正して禁止すべきと考えます。

「機密費」の問題も、重大です。政府は、松尾元室長が個人的に流用したとして、個人的な犯罪であったと処理しようとしましたが、とんでもない事実が明るみになってきました。内閣官房長官が使っている「機密費」は、内閣官房に計上された額だけではなく、外務省から上納されており、財政法上違反の疑いもあります。

総額72億円以上の金が自由に使える「機密費」とはどういう仕組みになっているのでしょうか。歴代の官房長官の証言が相次いでいます。細川内閣の竹村官房長官は8億円使ったと述べています。また、村山内閣の野坂官房長官は「最も多い使い道は、国会議員の海外視察に行くときのせんべつ代に使った。共産党は取りに来なかったが」など証言しています。領収書も要らない、監査もない、税金のこんな使い方は到底許せるものではありません。

さらに問題なのは、政権党が悪法を通すため国会対策として党略的に使っていることです。昭和63年の消費税の導入の際、1日に1億円も出ており、その年は内閣分1億円、外務省4億円が増額されており、税制改正のための特別の扱いと書かれている内部文書が明るみになり、その文書作成者はほぼ特定されています。

今、国民からは、自分たちには厳しい税金の取り立てをしながら、その税金を使って議員の海外せんべつや消費税を通すために使うなんてとんでもない、税金を返してもらいたいと怒りの声でいっぱいです。「機密費」の全容の解明とともに、削減を求めるものです。社会保障制度の連続改悪により、国民は食費さえ切り詰めています。医療費の負担増で病院に行くこともちゅうちょしています。暮らしや営業の大変さに心配りができず、血税を勝手放題に使っている政治に厳しい批判が集中するのは当然です。政治を根本から正していくことが求められています。

そこで、質問いたします。

  1. 区長、KSD汚職や「機密費」の問題は、国の政治にかかわる問題ですが、品川区は中小企業のまちであるゆえ、KSD会員はたくさんいます。区民の声を代表して、政府に対し真相究明を求めていくことを要請いたしますが、お考えをお聞かせください。
    また、汚職を正していくにも、企業や団体からの献金は禁止すべきと考えます。区長は、企業も社会的存在だからといって献金を容認してきておりますが、見解を改めて伺います。

低所得者福祉からの撤退、大型開発優先の第3次長期基本計画について伺う。くらし、福祉優先、住民参加の区政を

次に、低所得者福祉からの撤退、大型開発優先の第3次長期基本計画について伺う。くらし、福祉優先、住民参加の区政をに移ります。

政府は「景気は緩やかな改善が続いている」と言い続けていますが、昨年1年間の家計消費もマイナスで過去最悪を更新、8年連続の減少を記録しています。大企業がバブル期に迫る大もうけを記録しているのに、家計はリストラで一向に暖まらないどころか、火の車です。さらに、今年1月からお年寄りの医療費に1割の定率負担を導入され、高齢者に1人当たり年間約1万円もの負担増になると試算されています。失業、倒産による生活の破綻、子供の教育の問題、環境悪化による健康被害など、政治の貧困さが国民生活を苦しめ、青年たちも将来に希望が持てないでいます。

住民に最も身近な地方自治体として、こうした区民の生活や営業を守るために、その大きな役割があり、期待も大きいものがあります。現在策定中の第3次長期基本計画が果たして区民の願いに沿ったものと言えるでしょうか。以下、3つの問題点を述べたいと思います。

第1は福祉の後退、とりわけ低所得者福祉からの撤退の点です。第2次長期基本計画では、「個人の努力をもってもやむを得ず低所得者に移行せざるを得ない人々がいることも確かである。国および地方公共団体は、低所得者を含む区民全体が健康で喜びを持って生きられるまちを実現していかなければならない」と明記し、低所得者や生活保護世帯への支援などを位置づけていたのに対して、第3次長期基本計画では削除されています。明らかに低所得者施策の撤退と言えます。

現在、区内の生活保護世帯は、昨年3月時2,380世帯となっています。この2年間で約400世帯増えています。また、自殺者も、95年以前では東京でも年間2,000人を超えたことがなかったのに、98年からは増えており、品川でも72人の方がみずから命を絶っています。この背景には失業、倒産の急増があると思われます。自治体の役割が大きいのに、当区は昨年、高齢者福祉手当を6年間で打ち切ることを決めたり、平成18年度には高齢者の家賃補助の打ち切りも実施しようとしています。住宅事情が一層厳しくなるにもかかわらず、区営住宅の建設は1戸もありません。

さらに、医療費助成の縮小に加え、心身障害者の福祉手当にも所得制限を導入、600名の方が打ち切られるなど、障害者にとっても冷たい区政となっています。区長はしばしば「高齢者は金持ちではないか」と述べられているようですが、当区では、65歳以上の方で62・2%が住民税非課税で、決して高齢者は金持ちだと言えない状況です。低所得者福祉の充実こそ、自治体の基本精神ではないでしょうか。

区長は、基金も積んでいるし、財政は健全だと誇っていますが、さてその実態はどうでしょうか。高齢者のための常勤ヘルパーの削減、保育園での障害児等のための保育士の削減、学校現場からは施設の改善をしている主事さんの削減、地域センターの職員を削減した結果ではないですか。結局、子供たちが楽しみにしている運動会や遠足もなくしてしまう。区民まつりも困難にしている。財政が豊かになっても、子供たちの喜びや高齢者の福祉を削っては、何のための、誰のための政治なのかと言わなければなりません。

第2は、国が進める大規模開発を率先して進め、区内産業やまちの生活環境を大きく変えている点です。品川区の大規模開発計画は、28のプロジェクトに及び、その面積は160ヘクタール、全国でもトップクラスとなっています。

これまで完成した開発を見ても、御殿山では森ビル、大崎駅東口では三井不動産や東京電力、大井町では丸井やイトーヨーカドー、天王洲では三菱商事、大森駅東口ではいすゞなど、大企業がずらりと並んでいます。品川区は、これらの開発には15年間で423億1,715万円の補助金を投入。今年6月に竣工予定されている大崎駅周辺の東五反田2丁目第1地区開発の地権者は、三井不動産、フジタなど大手地権者12社のオフィスビル街です。実に49億円もの補助金を投入。総事業費274億円の18%にも上っています。

区内には2万6,000社を超える事業所がありますが、区の予算は増額したとはいえ9億円余。補助金49億円の5分の1にもいきません。大規模開発の結果、工場地帯は失われ、巨大なビル群と大型店の出店です。既に小売店舗の売り場面積に占める大型店の割合はおよそ65%になっています。今年4月、市街地整備基本構想を策定しますが、これまでの開発の反省がないどころか、一層の推進を目指しています。

区は、国からの補助金を取ってきたから、区民の税金は使っていないと述べていますが、都の財政調整による交付金は、もともとその半分は区民の税金ではありませんか。国と地方を合わせて666兆円という財政破綻の現状を見ると、区の責任も一端あると思います。国の進める開発はどんどん率先してやるというのでは、区民の住めるまちというよりは、財界のためのまちづくりではないですか。

長野の田中知事は、今年1月30日、脱ダム宣言を行い、「国からの手厚い金銭的補助が保証されているからとの安易な理由で、ダム建設を選択すべきではない」と述べ、注目されています。今、無駄な公共事業の見直しが全国的に世論となっているときに、当区では相変わらず推進しています。大規模開発をやめ、災害に強い、住民が住み続けることができるまちづくりを求めます。

第3に、住民参加が後退している点です。第3次長期基本計画の審議に当たり、初めて区民からの公募を行い、公開の場で審議されるなど、住民参加も一歩前進かと期待していました。しかし、基本計画では、「住民参加」が「区民との信頼の架け橋」に変わり、後退しています。区の説明では、情報のネットワーク化を図り、区民の参加、協働の場、機会の一層の拡大を図るとしていますが、情報公開は有料となったままであります。東京23区中21区が無料なのに、全く改善をしようとしておりません。情報の共有なしに区民との良好なコミュニケーションは成り立ちません。

私は、ここで2つの事例を挙げて改善を求めたいと思います。1つは、最近行われた(仮称)中央公園の設計や建設に当たっての住民説明会での区の対応です。詳細は省略しますが、計画に反映させるために開催された説明会で、参加者から「広場は天然芝にしてほしい」「夜間開放についての考慮を」「施設の改善をしてほしい」「再度の説明会の開催を」など、たくさんの意見が出されておりました。区の回答はことごとく「無理です」「説明会はもうやりません」ということでした。2ヘクタールという区民にとっては久々に大型公園です。何のための説明会なのか、形だけではないかと思わざるを得ません。区民の意見を聞いて、丁寧に繰り返し説明会を重ねながらつくり上げていくことが大切ではないでしょうか。

もう1つは、今回新しく発足する保育園PTA設置に関してです。当区は、突然6年前に園長あてに通知を出し、公立保育園父母の会に対して事実上の園舎使用を禁止し、その後、連絡板も撤去、園内での連絡も禁止してきております。今は子供たちのことで話し合うことさえ園長に気兼ねしながらの状態と聞きます。父母たちからは「自分たちの自主的な活動を規制しておいて、今回の保育園PTAは区が補助金を出してつくる。父母の会つぶではないか」と、厳しい批判の声が寄せられています。区は、直ちに父母の会の排除をやめ、活動を保障させ、話し合いができる関係に立ち戻るべきと考えます。

最後に、平成13年度から実施される行政評価システムについて述べます。行政評価というのは、区の施策が区民にとって望ましい内容で行われているのかどうかということです。区は、事業についての評価は職員が行う、その結果を住民に説明すると言ってきました。しかし、重要なことは、サービスを受ける区民自身が評価をする基準を決める段階から参加し、どんな基準で見ていくのか、住民の意見を聞きながら行うことが重要と考えます。また、政策の評価は第三者機関を置いて評価してもらうとしていますが、公募も行い、各層や女性の参加も含め公開で審議することを求めたいと思います。

区政の主人公は住民です。事業を継続、廃止、新規に行うかは住民自身が決めていくことではないでしょうか。区民が今政治に何を求めているのか、暮らし、営業が成り立つために何が必要かということから出発することではないでしょうか。重要な施策は住民投票で決めていく時代に入っています。沖縄では基地問題が、新潟の巻町では原発問題で、吉野川では可動堰問題など、住民自身が積極的に発言し、政治の流れを変えていっています。第3次長期基本計画策定に当たり、21世紀、名実ともに住民こそ主人公、住民自治、地方自治が花開く区政への転換を求め、質問に移ります。

  1. 低所得者福祉の項が計画から削除されています。福祉の後退ではないでしょうか。区民生活と子供への影響は大です。削除した理由を明らかにされたいと思います。福祉優先を基本方針にすべきと考えます。いかがでしょうか。
  2. 大規模開発優先で、区内産業も大きな影響を受けています。区は国からの補助金を取ってきたと言いますが、国の財政破綻の一翼を担っていることについて、改めて区長の見解を求めます。
  3. 住民参加について伺います。第2次長期基本計画に述べられていた「住民参加」が削除されています。その理由を伺いたいと思います。行政評価システムは情報公開と住民参加が欠かせません。区長の考えを伺います。

子育ては社会の責任、総合的子育てプランについて

第3に、子育ては社会の責任、総合的子育てプランについて質問いたします。

少子化が急速に進み、「2100年には日本の人口は半分になる」という衝撃的な推計が出ています。育児不安、仕事と子育ての両立の困難さや経済的負担の増大など、子育ての障害を取り除き、「子供を育てることは社会の責任」ととらえ、国や地方自治体が本気で取り組むことが求められています。1人の女性が一生の間に出産する子供の数の平均が2・08人にならないと人口が維持できないのですが、品川区は0・87人と深刻な状況です。保育体制の充実、子育て家庭への支援とあわせ、男女がともに子育てに責任が果たせるような労働環境改善も必要です。以下、4点にわたり提案を行います。

第1点は、仕事と子育ての両立を支援する保育園の増設についてです。この間、父母や職員、関係者の長年にわたって運動を進めてきた病後児保育、休日保育、延長・夜間保育など実現。厳しい労働条件の中で苦悩する子育て世代を助けるものとなっています。党区議団は、実施に当たり十分に職員の配置を行い、子供の安全を第一に考えて体制を整えることを求めてきたところです。また、私立幼稚園での乳幼児保育の開始は、保育園に入園できない待機児の対策として期待されています。

しかし、今日の保育需要の増大、多様化に応えるには、本格的増設が強く求められているところです。今年1月1日現在の待機児は総数339人、そのうちゼロ歳児は225人です。ゼロ歳で入園している子供は357人に対し、保育園に入れない子は225人いますから、待機児は63%と深刻な状況です。年度途中で生まれた子供たちは保育園に入れないのが現状です。

ゼロ歳のお子さんを抱えたお母さんから「子供を預けないと働けないのに、既に仕事をしていないと入園は難しいと言われ、途方に暮れた」「年度途中で保育を必要としていても、無認可保育園もいっぱいで、田舎の祖父母のところに預け、週末しか会えない」、こういう親子もいます。

品川区は、待機児対策として定員枠の拡大をし、園児を受け入れていますが、ゼロ歳、1歳児は定員の既に112%から115%を保育しています。保育室は飽和状態であり、既に限界を超えていると思います。早急に建設計画を立てられたいと思います。加えて、新しい保育園建設に当たっては、ショートステイ、子育て相談事業など、文字どおり地域子育て支援センターとしての機能を備え、子育て家庭をさまざまな角度から支援できる、公的責任をしっかり踏まえた総合施設の提案をいたします。

第2点目は、家庭における子育て支援策として、現在児童センターに設置され、大変好評の「親子サロン」の拡充についてです。先日、党区議団として3カ所の親子サロンの現状を視察してきました。南ゆたか児童センターでは、幼児クラブの後自主的にお母さんたちが集まり、アトピーで苦労しているお母さんの発案で、たんぱく質を除去したお菓子づくりに取り組んでいました。10数人のお母さんたちが子供たちと話し合っている場にお邪魔してお話を伺いました。「親も子も友達ができ、気軽にいろんなことを話し合ったりして楽しい」「子育ての悩みも、一緒にいて互いに学ぶことができる」と喜んでいました。乳幼児専用の部屋であり、学童保育クラブの子供たちが来るまで、学童保育クラブの育成室や図書室などを活用しています。

核家族化が進み、育児不安が広がり、専業主婦の7割が「育児に自信がなくなることがある」と答えています。12年度中に12カ所の「親子サロン」が開設されますが、全児童センターでの開設、区有施設の利用も含めての設置を求めます。また、児童センター職員とのかかわりの中で、子供の食事、健康、しつけなど、子育て相談も行われていました。相談業務の充実もあわせて求めたいと思います。

第3は、総合子育てプランについてです。「子育ては社会の責任」と位置づけ、自治体として応援をしていくためには、住民参加のもと、総合子育てプランが必要です。今日、大変深刻になっている児童虐待は、その背景に母親の生育歴や、複雑な家庭や地域環境など、さまざまな要因があります。保健所、児童センター、保育園、幼稚園、学校など子供にかかわる分野に限らず、行政全体や社会の総力を挙げて取り組むことが大切です。

4点目には、育児休業制度の拡充についてです。働きやすい職場づくりを進めるには、企業において産前産後休業、育児時間、育児休業などの制度を拡充し、気兼ねなく利用できるようにすることです。労働基準法に定められた制度にもかかわらず、都の労働経済局の調査によると、育児休業取得者がいた事業所はわずか3割と、利用しづらい状況と言えます。少子化に歯どめをかけた北欧では、男女ともに育児休業を有給で取得できる制度、労働時間の短縮などを実現し、出生率を回復しています。国にも、自治体にも、先進国に学び、あらゆる対策をとることを求めます。

ここで、質問に移ります。

  1. 仕事と子育てを支援する保育園の増設を求めます。多様化する子育て要求に応えるため、地域の子育て支援センター機能を備えた保育園づくりを進められたい。
  2. 家庭における子育てを支援する「幼児クラブ」の充実と、「親子サロン」をすべての児童センターで事業として位置づけ、施設の改善も求めます。
  3. 住民参加のもと、総合子育てプランを作成し、各関係機関がネットワークを形成し、子育て支援に総力を挙げることを求めます。
  4. すべての企業で育児休業制度の実施がされるよう、国や都に対し要望をされたいと思います。

少人数学級の実現で学ぶ喜びを、「奉仕活動」「出席停止」を盛り込む教育基本法の改正を問う

第4点目の質問に移ります。少人数学級の実現で学ぶ喜びを、「奉仕活動」「出席停止」を盛り込む教育基本法の改正を問う。

今日、小学生から大学生に至るまで学力低下は深刻だと言われています。今回は、学力低下をどう解消させ、子供たちに学ぶ喜びを与えることができるか、品川区の積極的な姿勢を求めて質問します。

2年前に、国際教育到達度評価学会が実施した数学と理科の国際比較調査で、日本の子供が取った数学の得点は5位、理科は4位だったにもかかわらず、好きかどうかを問われて、数学を好きだと答えたのは48%、理科は55%と半分程度しかなく、順位も下の方でした。この結果は「テストはできても、勉強は嫌い」ということであり、大きな波紋を呼びました。

文部省は、この結果を見て「学力はおおむね良好」と発表しましたが、果たしてそうでしょうか。子供たちは勉強が本当に嫌いなのでしょうか。学ぶということは、新しい世界を知ること、物の道理を知ることです。成り立ちがわかれば一層興味が広がっていくものです。だからこそ、成長発達の段階に合わせて学習することが大事と言えます。

ところが、今の子供たちを取り巻く現状は、学習指導要領の繰り返しの改悪で、そのことにより成長・発達に即しない学習内容と、進む速度も速いために、理解できないうちに次々に覚えなくてはならず、学ぶことが苦痛でしかない子供が増えています。ある中学3年生の子の事例を紹介します。高校受験を控えたときに、小学校5年生で習った分数がずうっと理解できないままできてしまい、個別指導の塾で丁寧に教えてもらって、やっと理解できるようになったそうです。子供は「お母さん、分数の仕組みがわかったよ。簡単なことなんだね。何で5年生のときに教えてくれなかったんだろう」と、理解できた喜びを語ったそうです。お母さんは「うちの子はそれ以後随分変わり、明るくなった」と話してくれました。

その子は克服できたからよかったものの、ずうっとわからないままゆううつな生活を続けている子供は少なくないと思います。それがいじめや不登校、学級崩壊につながっていることではと心配します。こういう実態を放置しておくわけにはいきません。すべての子供が学習することに喜びを感じ、理解できるようになること、学力がしっかり身につくようになることが緊急の課題となっています。そのためには、わかるまで教えられる体制をつくることです。教員の数を増やしたり、少人数学級に編制したりすることは欠かせない条件です。

政府が、少人数クラスや少人数指導が可能になるよう、法案を通常国会に準備していることが、ことしの1月29日付朝日新聞に報道されました。その内容は、まず都道府県の判断で、より少人数の学級のグループをつくることを認めることであります。加えて、通常の学級とは別に、教科によって20人程度のグループに分けて、授業を行うための教員を加配するという内容です。

いかに少人数学級が子供たちにとって効果的かどうか、現場の教師の声を紹介します。「以前勤めていた小学校では38人のクラスだったのが、転勤後受け持ちになったその小学校2年生のクラスでは22人。授業中も1人2回まで発言できるし、1人1人見てあげられる余裕もできて、丁寧に見られます。少人数はやっぱり大切」と実感を持って話しています。

我が党はこの間、30人学級の実現を求めてきました。今回の少人数学級への対応は一歩前進と受けとめたいと思います。そこで、区教育委員会としてこの内容を各学校に積極的に知らせ、少人数学級による教育ができるよう指導すべきと考えます。すべての子供に基礎的な学力を保障することは行政の責務と言えます。区としての積極的な対応を求めます。

次に、教育基本法の改悪の動きについて、教育長の見解を伺います。森首相の指摘諮問機関の教育改革国民会議は、昨年12月に17項目から成る最終報告をまとめました。内容は、奉仕活動を義務化したり、習熟度別学習、中高一貫校の拡大、小学校の通学区域の弾力化、大学に飛び級導入、道徳の教科化、問題を起こす子供の出席停止などを盛り込んでいます。これらは競争をさらに強いて、できる子、できない子の選別を進めるだけでなく、管理統制を進めるなど、大きな問題がはらんでいます。今国会に学校教育にも奉仕活動などを盛り込もうとしている教育改革関連法案を提出しています。

憲法、教育基本法は、戦前天皇制のもとで戦争への道を歩んだ苦い教訓から、戦後民主的な国家を建設しようと定められています。その前文には「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」とうたわれ、教育行政は、国家権力に不当に屈することなく、国民の教育権を尊重することを第10条で定めています。

「出席停止」によって子供たちの学ぶ意欲を失わせ、教育を受ける権利を保障しない。そういうことならば、国民の期待する教育の豊かな発展とは大きくかけ離れるものとなります。今また戦前の教育勅語を是とし、再び国民を戦争への道に駆り立てる「奉仕活動」のねらいは明らかと言えます。憲法、教育基本法の精神を生かし、1人1人の人権が尊重され、すべての子供たちが生き生きと成長できる教育行政を求めるものです。

そこで、質問に移ります。

  1. 少人数学級による教育効果が高いのは共通の認識です。文部省が基本教科で20人授業を打ち出しました。区教育委員会としても積極的に実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  2. 「奉仕活動」や「出席停止」などを盛り込んだ学校教育法や教育基本法の改正の動きは、子供と教育の権利を著しく侵害するものと考えます。教育長の見解を求めます。

23区で一番高い品川の介護保険料、取り過ぎた分は保険料を引き下げて、区民に還元を求める

最後に、23区で一番高い品川の介護保険料、取り過ぎた分は保険料を引き下げて、区民に還元を求めます。

今回の第1回定例会に、区長より保険料の低所得者に対する減額の条例提案が行われました。我が党は、介護保険制度開始前より、議会のたびに条例提案や質問で取り上げ、繰り返し低所得者に対する保険料・利用料の軽減措置を求めてきました。品川区はこれまで「国の制度を基本に対応」「見直しは3年後に実施する。現在は考えていない」、こういうふうに答弁をされてきましたが、制度創設に踏み切ったことは、区民の切実な願いに応えるものであり、歓迎します。この上に立って、私は、さらに介護保険制度の改善のために2つの点について質問いたします。

第1は、介護保険料そのものの引き下げについてです。区は先日、補正予算の修正案を発表、今年度の介護保険特別会計の総事業費の大幅な減額修正を行う内容です。それは、基準額3,300円の保険料を決めるもとになったときの、初年度の総事業費122億円から32億3,000万円の減額修正となっています。さらに区は、今年度だけでなく来年度の総事業費からも36億円の減額をするとしております。初年度と2年度の2年間で合計68億3,000万円の減額となりました。3年目の総事業費が減額されず計画どおりとなったとしても、当初の3年間の総事業費の合計からは68億3,000万円減額されることになります。現在の3,300円よりも200円以上保険料を減額できるのではないかと試算できます。

我が党はこれまで、品川区の保険料を押し上げている要因に、療養型病床群の過大な見積もりがあることを指摘し、適正に見直せば保険料は下げられると提案してきました。区は、来年度の介護保険会計の予算で療養型病床群の計画を500から250に半減させる考えを示し、結局見直しせざるを得ない状況となっています。また、当初予算を大幅に減額修正。保険料の取り過ぎが明確になっているわけですから、引き下げは可能と言えます。何よりも介護保険料の引き下げは区民の切実な願いです。

高齢者に対して、この1年間だけでもシルバーパスの有料化、マル福や寝たきり手当の段階的廃止、医療費の1割定率負担、年金の切り下げと、次々にその負担が増しています。そして、介護保険料はことしの10月からは倍額の負担となります。高齢者の生活実態は3年間待てるゆとりはありません。保険料は一刻も早く事業費の実態に合わせて引き下げるべきと考えます。

また、サービス利用が区の見込みまで達しなかったのは、その背景として1割の利用料負担が重過ぎて、必要なサービスを受けることができなかったのではないでしょうか。我が党は今議会に再度、低所得者のための利用料を3%に引き下げる条例案を準備していますが、区民の切実な実態を改善する上にも、低所得者への利用料の軽減措置は、区の上乗せ分を拡大し、緊急に行うべきではないでしょうか。

23区の中でも独自に低所得者利用料を大幅に軽減しているところがたくさん出ています。ヘルパーの新規利用まで行っている区が渋谷、千代田、また港、中央区に上っています。他のサービスまで拡大している区は世田谷、江戸川、そして最近では目黒、墨田と大きく広がっています。保険料引き下げとともに、利用料の3%への引き下げを強く求めるものです。

2つ目には、特別養護老人ホームの増設を求める問題です。現在、300人を超える方が待機しています。いずれの方もいつ入れるかと待ち望んでいます。先日、相談に見えた家族の方を紹介します。本人は82歳で、30年前からリウマチや糖尿病があり、この20年ほとんどベッドの中での生活で、食事から入浴、着がえ、通院介助まで家族で行ってきました。特に中心になっていた次男の妻にとって、仕事をしながらの介護はもう限界と思った矢先、昨年暮れ脳梗塞で倒れ、要介護5の全介助となったため、今回の申請を行ったというわけです。

しかし、窓口では「優先順位に入れるとは言えない。理由は、82歳は特別養護老人ホーム入所の年齢としてはとても高齢とは言えない。介護サービスを利用していなかった」、こういう理由とのことでした。介護者が80歳を超えて、さらに病気を持っているという方も厳しい状況なんです。こんな切実な方が入所できないのが実態です。品川区は特別養護老人ホームはもう計画がない、こういうふうに言っておりますが、区民の切実な実態を解決する上にも、また希望するサービスを選択できるという介護保険制度の趣旨からいっても、増設すべきと考えます。

そこで、質問に移ります。

  1. 減額した事業費をもとに保険料を算出し直し、保険料を引き下げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
  2. 必要なサービスを十分受けられるようにするためには、低所得者への利用料の軽減策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
  3. 特別養護老人ホームの建設は、区民の切実な願いであります。ぜひ増設をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

以上をもちまして、日本共産党品川区議団を代表しての質問を終わります。ありがとうございました。


答弁

区長(高橋久二君)

桜井議員のご質問のうち、初めにKSD汚職と「機密費」問題でございますが、いずれも現国会における政治倫理の論点であり、当局の捜査段階にございます。したがいまして、今後、捜査により真相が究明されるよう願うものでございます。

次に、企業・団体からの政治家個人に対する献金は、ご承知のとおり既に平成12年1月、政治資金規制法の改正により禁止をされております。なお、政党に対する企業・団体からの政治献金は従来どおり認められており、これが秩序あるものである限り、企業・団体も社会的存在としての1構成員であるとする考え方に変更はございません。

次に、長期基本計画についてお答えを申し上げます。第2次長期基本計画では、「低所得者福祉」として生活保護を中心に貧困対策に重点を置いてきましたが、相談内容の多様化を受け、生活全般に視野を広げ「生活福祉」として位置づけたものでございます。「低所得者福祉」から「生活福祉」に展開し、21世紀に向けて、従来の福祉の概念を超えて生活をサポートしていこうというものであり、従来からの福祉優先行政を発展させるものでございます。また、この「生活福祉」の用語については、都を初め他区においても使用されており、今後定着されるものと思われます。

次に、大規模開発の見直しに関するご質問にお答えを申し上げます。区は、これまで居住機能と商工業、オフィスが調和した、安全快適なまちづくりの実現を目指すとともに、産業はもとより、福祉、教育、文化など、区民生活を支える施策全般にわたり、その着実な進展に取り組んでまいりました。この点、区議会はもとより、区民の皆様にも十分な理解とご支持をいただける内容であると自負をしているところでございます。

ところで、再開発事業は、安全快適で活力にあふれた品川区のまちづくりを実現する上で、大きな効果を期待できる事業手法の1つでございます。また、何よりも当該地域における関係権利者の発意と合意があって、初めて進められる事業でございます。こうした点から、地域住民の自発的、主体的な取り組みを真摯に受けとめるとともに、その実現に向けて必要かつ可能な支援措置を講じることは、区として当然になすべき責務であると考えております。

さらに、その一環として、良好な都市環境の整備を目的とした国の補助制度を有効に活用することは、至極当たり前のことと承認をしているところでございます。なお、国の一般会計予算に占めます再開発関係の補助金の割合は例年0・05%程度であり、この点からいたしましても、国の財政破綻の一翼を担っているというご指摘は当たらないものと考えているところでございます。

次に、第3次長期基本計画におきます住民参加の考え方についてお答えを申し上げます。現在、策定作業を進めております第3次長期基本計画素案の第3部「計画の実現に向けて」の中に「区民との信頼の架け橋」の項目がございます。この項の現状と課題の中でも記述しておりますように、住民参加・協働のしやすい区政運営を図ることの必要性や、区民が行政へ参加・協働できるシステムの整備が求められていることを、区としても十分認識しているものでございます。さらに、第3次長期基本計画の施策の体系におきましても、区民の参加・協働の推進を掲げており、決して第3次長期基本計画の中で住民参加を削除したものではございません。

次に、行政評価はまず情報公開と住民参加で行うべきとのご質問でございますが、昨年第3回定例会でもご答弁いたしましたように、国の報告による全国の市町村のうち、既に導入済みと試行中を合わせまして3%で、そのうち72%がいまだに評価結果を公表していない状況になっております。理由といたしまして考えられるものは、準備からモデル実施、内容の確定、制度の定着まで一定度期間を要するのが実態だと考えております。

区におきましても、来年度より指定する事業につきまして事務事業評価を実施し、できるだけ公表を早めたいと考えておりますが、具体的には今後の区の取り組み状況により判断していきたいと考えております。

なお、住民参加ですが、行政評価のうち政策評価につきましては、外部評価委員会の中に公募区民を考えておりますが、事務事業評価は、あくまで行政みずからの責任において自己点検をする仕組みでございまして、評価結果を区民に公表し、行政の説明責任を果たすもので、評価作業の中で住民参加は特に考えておりません。

その他の質問につきましては、担当からお答えを申し上げます。

教育長(若月秀夫君)

教育にかかわるご質問にお答えをいたします。

まず、文部科学省が打ち出しました20人授業の実施についてですが、これは従来の学級規模の基準であります40人を維持しつつ、教科や学習内容に合わせて柔軟に学習集団を編成することを可能にしたものでございます。

本区では、こうした国の動向に先駆けて、今年度より教育改革「プラン21」において、基礎・基本の定着を目指し、指導助手を活用した「個別学習推進校」を設けております。これは、国語、算数などの基本教科を中心に、学級の枠にとらわれない習熟度に応じた少人数指導を実施しているものでございます。来年度は、さらにこの「個別学習推進校」を拡大するとともに、指導助手も増員し、1人1人の習熟度に応じた学習の充実を図っていく予定にしております。

次に、「奉仕活動」につきましては、先ほど三上議員のご質問にもお答えをしましたとおり、学習指導要領でも定められており、既に小中学校においては、清掃活動や高齢者施設での活動など、多様な活動が既に展開されており、自己や社会を理解する上で大変意義のあるものと認識しております。

また、「出席停止」についてでございますが、子供の問題行動については、学校と家庭が緊密な連携を図りながら、未然防止、再発防止に取り組んでいくことが基本であると考えております。しかし、問題を起こす子供がほかの子供たちの教育を乱す場合には、その指導をあいまいにせず、時として毅然とした姿勢を示すことも必要であり、「出席停止」も1つの方策であると考えております。

教育基本法の改正につきましては、現在、国でさまざまな議論がなされているところであり、今後もその動向を見守ってまいりたいと考えております。

福祉部長(小沼毅君)

私からは、子育てに関係するご質問についてお答え申し上げます。

初めに、保育園の増設についてのご質問でございますが、先の松澤議員への質問にお答えいたしましたように、区立保育園の増設は考えておりません。

また、地域の子育て支援センター機能を備えた保育園づくりとのご提案でございますが、子育ての相談につきましては、現在、児童センターや保育園で実施しており、さらに、14年度に開設を予定しております「ひまわり荘」には、育児の援助を行いたい人と援助を受けたい人の会員組織である、いわゆるファミリー・サポート・センターや、児童虐待への対応など、子供と家庭のさまざまな相談にも応じることができる「子ども家庭支援センター」の設置を計画しております。その中で子育ての総合的な支援事業の展開を図ってまいります。

次に、幼児クラブの充実でございますが、在宅の乳幼児や母親などに対する支援策は、児童センターを初め、保健所などにおいても、健診機会や母親の育児グループづくりの支援などを通じまして、育児不安や育児の孤立化の解消に努めているところであり、十分に充実した事業が展開されているものと考えております。

また、全児童センターに「親子サロン」をとのことでございますが、児童の遊び場としての機能を損なわない範囲で、旧管理人室などの施設を有効に活用しつつ、乳幼児や母親同士の交流を図りまして、子育ての楽しさを共有できる専用スペースとして設置してまいりました。来年度につきましては滝王子児童センターに設置する予定であり、今後も施設状況や利用動向、財政状況などを勘案しながら、設置を検討してまいります。

3点目の総合的な子育てプランの作成についてでございますが、区では現在、第3次長期基本計画を策定し、その中で5つの都市像の枠組みを超えて体系化しました「子育ての楽しさをひろげる品川プラン」を今後の少子社会への対応の道しるべとして受けとめておりますので、これを総合的なプランとして認識しておりますところから、現時点で別途作成する考えはございません。

最後に、育児休業制度についてでございますが、昨年8月、区長会といたしまして、育児・介護休業制度の普及、定着に向けた事業主への指導の強化について、国・都への要望を実施したところでございます。

高齢者部長(新美まり君)

私からは、介護保険に関するご質問にお答えいたします。

第1点目の、保険料を算出し直し、引き下げるべきとのご質問でございますが、保険料は3カ年を1期として見込んだ保険給付費をもとに設定するものであります。区といたしましては、この原則を堅持することが肝要であり、制度導入1年目の現時点での見直しの考えはありません。準備基金につきましては、将来想定される保険料の改定の幅がよりなだらかなものになるように、貴重な財源として活用すべきものと考えております。

次に第2点目の、サービス利用促進のために低所得者への利用料軽減策を実施すべきとのご質問ですが、今回の保険給付費の減額補正の主たる要因は、療養型病床群の介護保険施設への転換が進まなかったことにあります。一方、在宅サービスの利用状況を見ますと、訪問介護や通所介護など着実な伸びを見せており、利用料負担が利用抑制につながっているとは受けとめておりません。したがいまして、ご質問のような利用料軽減については実施の考えはありません。利用料についての低所得者対策につきましては、引き続き利用者の状況を把握しつつ検討してまいります。

第3点目の特別養護老人ホームの増設についてでございますが、区は、これまで高齢者のための施設整備につきましては、長期基本計画に基づき、地域にバランスよく計画的に整備してまいりました。その結果、区内の特別養護老人ホームは7カ所572床、区外を合わせると約900床が確保されております。また現在、新たなニーズに対応した新しいタイプの介護専用施設として、全室個室で少人数によるケアを適切な自己負担により提供する「(仮称)ケアホーム西五反田」の整備を荏原市場跡地で進めているところでございます。

今後の入所型の介護施設の整備につきましては、入所ニーズの動向を見据え、特別養護老人ホーム単独ではなく、老人保健施設や療養型病床群およびケアホーム等新しいタイプの入居施設等、それぞれの施設の特性を踏まえて、バランスよく施設整備を進めていく考えでございます。


再質問

桜井恵子君

再質問いたします。

区長には3点、まずお伺いいたします。第1点は、KSDの問題で真相究明を求めていくという点については評価したいと思います。しかし、企業・団体献金……(「言っていないんだよ、そんなことは」と呼ぶ者あり)真相究明を願うと言っていましたよね。よろしくお願いいたします。再発防止のために企業・団体献金の禁止というのは、もうここは欠かせないことだ、これはKSDの問題も含め、これまでの汚職の数々が示しています。

区長は、企業も社会的な存在だと。社会的存在であること自体は別に否定するわけではありませんけれども、要は政治参加の仕方なんですね。結局企業のもうけた利益で政治を買う、あるいは政策を買う、ここが一番の問題なわけです。ですから、そのことについて、私は改めて再発防止には欠かせない、この点は指摘しておきたいと思いますけれども、改めて再発防止のための区長の考えをお伺いします。

第2点目は、低所得者福祉の関係なんですけれども、これは大規模開発との関係でもありますが、お尋ねしたいのは、区長は今、区民が暮らし、福祉については満足していると、要するにもう満ち足りているというふうに考えているでしょうか。それとも、厳しい状況にあるというふうに考えているでしょうか。私は、これは聞きたいのは、区税収が2極分化していますよね。かなり高く所得を得ている方、税金を高く納めてきている方、一方で非常に低所得者、そういう2極分化をしていますよね。私たちは、福祉優先という考え方は、やはり低所得者福祉、そこに地方自治体の役割があるというふうに思うんです。これについては改めてお伺いします。

それから、開発問題で区長は0・05%だと。少ないよということなんでしょうが、私が申し上げたように、1つの東五反田2丁目第1地区、ここに補助金を49億円ですよね。中小企業2万6,000社ある品川の年間の9億円の予算は、5分の1にも満たないと指摘しました。要するに中小企業の5倍。ですから、区長は小さく小さく見積もっているかもしれませんけれども、実際のやはり区民の目から見るとそうではないというふうに、ここは指摘したいと思います。

それで、改めてお聞きしたいのは、開発については関係地権者が合意しているからと、自主的だとおっしゃっていましたけれども、このすべての開発は、ほとんどの開発の中の地権者は三井不動産であり、三菱商事であり、フジタ、まあ大手ゼネコンですよね。こういう方がもちろん合意しているから、だから補助金をするというのは、これはちょっと区政への願いとは違う。むしろ、もし区政のやるべき点というのは、やはり区営住宅、あるいは特別養護老人ホーム、区民の願う施策を行ってこそ、私は区政の役割だと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

住民参加について。先ほど区長は72%が評価基準を公表していないというふうに、行政評価の問題でおっしゃいましたけれども、私は、やはりこの点で情報公開を率先して、別にほかの区がやらないからといってやらないというのではなくて、率先して区長が言うようにやっていくということが私は必要だと思うんですけれども、情報公開問題です。

加えて指摘しておきたいのは、先ほど質問の中で申し上げました保育園PTAの問題なんですね。私はちょっと区長に加えてお聞きしたいんですけれども、住民参加の問題で指摘をしたわけですが、父母の会の活動は、さっき福祉部長が、署名をやったり、請願をやったりするからけしからんというふうなお話ですけれども、憲法16条では請願権は何人も認められていますよね。そして、これまで署名を進めてきた、そういう自主的な団体として父母の会があるわけです。それに対して、そのPTAを今度はつくるというこの動機というのは、要するに署名活動もしない、区の言うことを聞く、こういうPTAをつくるという考えなんでしょうか。お聞かせください。

それからあと、教育長にお尋ねします。これまで少人数を品川区は率先してやってきていると。だから、国が20人のグループを、教員を加配すると言っているけれども、もう品川区はやっているからいいよということなんでしょうか。実際に今現実に国から、東京都を通じてでしょうけれども、20人学級への加配というのは何名来ているでしょうか、教えてください。

私は、基本的には30人学級、常に定数そのものの改善を求めるわけですけれども、ここは大分教育長とは違うんですよね。私はやはり積極的にもう一歩二歩進める、そういう点では30人学級を求めたいと思いますけれども、これは要望で結構です。

それから最後に、介護保険問題でお尋ねします。高齢者部長は、3年を1期に見込んで保険料を考えていくということですが、先ほど自民党の議員さんの質問のときに紹介をされた、厚生労働省の考え方の中に、確かに保険料は3つの角度から指摘をされています。考え方を示していますけれども、保険料を変更する場合にはこういうふうにしなさいということも示されていますよね。給付の見込みの違いの原因を明らかにすると同時に、必要な手続を経て介護保険計画を変更し、給付の見込み額を適切に見直すことが適当であると。これは保険料の見直しの点についても言及しているわけですけれども、このことについてどのように区としては考えているでしょうか。

これまで利用料の問題について、既に400を超える地方自治体が改善をしてきています。私はこの流れというのは大きいものがあると思うんです。利用料のやはり負担軽減、このことによってだれでも本当に気軽に必要な人が介護を受けられる、こういう制度を積極的につくることを求めたいと思います。

以上で質問を終わります。


再答弁

区長(高橋久二君)

桜井議員の再質問にお答えを申し上げます。

大変いっぱいございますので、落ちていましたらご指摘をお願い申し上げます。

まずKSDの問題でございますが、これは求めるのではなく、そう願うものでございますので、ご訂正のほどお願いを申し上げます。

それから、その構成員の問題、政党に対する企業・団体からの政治献金の問題でございますが、それが秩序あるものである限りと申し上げておりまして、すべてのことを申し上げているものでございませんので、不純な考えは持っているものでもございません。

それから、現在の国民の暮らしが2極分化になりつつあるというご指摘でございますが、そういうものを2極分化にならないような施策を講じていくのも区の務めだと思っております。住宅の問題を取り上げますと、今うちが区民住宅に力をなぜ入れるのか。やはり2極分化の中の中間層に品川区に住んでいただこうという意欲のあらわれだというふうにご理解ください。低所得者に対しましては、私は、公営住宅、東京都の持ち分でつくっていただきたい。その少し上のクラスについては、品川区がその分担をして住宅をつくりましょうと、こういう考えでやっておりますので、その努力をしていることはお認め願いたいと思います。

それから、再開発の問題につきまして、これは合意が前提でございます。したがいまして、この再開発の手法はいろいろございますが、現在、品川区がとっております再開発は合意型をとっております。その団体はゼネコンが入っている云々というふうなお話がございますが、そこに住んでいるすべての者の合意が必要でございまして、西大井駅前南地区の再開発がなぜあんなにおくれたかということは、合意をとることの難しさが如実に出ているわけでございますので、合意が前提だということをまずお認め願いたいと思っています。

それから、行政評価の業績評価の問題につきまして、全国で72%の団体がこれは公表がまだされていないということで、住民参加とか、情報公開というものでございません。結果の公表がされていないということでございまして、それと今申し上げました住民参加とは別でございます。私の方も、このような状態がありますので、この評価を公表することは大変難しいわけでございますが、できるだけ早く公表し、住民の皆様方のご意見をお伺いしたい、こういう物の考え方でございますので、ご理解願います。

それから、保育園のPTAと父母の会の問題。私たちは何も父母の会を否定しているものではございません。父母の会があって、その団体がやはり区に対していろいろ要求をする、要請をする、それについて私どもはしてはいけないということは言っておりません。それはご自由でございます。だけれども、保育園でその保護者と保育園とが協働して仕事をしていく、そういう団体も必要だと、こういうふうに考えているだけでございますので、よろしくお願い申し上げます。

教育長(若月秀夫君)

桜井議員の再質問にお答えをいたします。

まず第1点目でありますけれども、品川区は国に先駆けて少人数学級の指導を既にしている、決してこれでいいということではなく、先ほどご答弁をしましたとおり、来年度もこれをさらに拡大して充実を図っていくというふうに申し上げたところでございます。よろしくお聞き取りいただければと思います。

それから、2点目の少人数の加配についてでございますけれども、来年度、本区には8名の教員が配属をされております。小学校が2名、中学校6名の計8名が少人数学級のための加配で当区に来ております。

以上でございます。

高齢者部長(新美まり君)

保険料の変更についての国の見解について承知しているかという再質問でございますが、特段直近の見解があるか否かは承知をしておりませんが、再質問にありました給付費用を適切に見込んで保険料を改定すべきという考え方につきましては、先ほど三上議員のご質問にもお答えいたしましたとおり、第2期の保険料改定に向けての考え方として、当然そのような考え方があることは承知しております。

以上

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