2001.11.21 飯沼 雅子区議
一般質問項目
日本共産党を代表し一般質問をおこないます。
はじめは「高齢者・障害者にとってやさしいまちをめざし、総点検を」について質問します。
「障害者の社会参加と平等の実現」をテーマにした国際障害者年から20年が経ちました。この間、障害者施策は、大きく前進したと言われていますが、障害者の立場から見て、現状はどうなっているのでしょうか。「1人でまちに出たい。安全に外出がしたい」この要求を受け、国と自治体は、高齢者・障害者にやさしい"バリアフリーのまち"実現のため、全力をつくすことが求められています。
車椅子利用者と視覚障害者からの聞き取り調査を行いましたので紹介します。
はじめに車椅子利用者の方々の声です。
「エレベーターのない駅は利用できない。設置を切望する」「ノンステップバスは、限られた路線しか走っていない。もっと増やしてほしい」など交通機関に対する要望。また、「道路が狭くて危険な上、路上駐車、駐輪が妨げになって車椅子が通れない」など道路の安全性に対する声。また、「トイレの場所を確かめないと外出ができない。公園トイレは、ほとんどが和式で、手すりすらついていない。車椅子対応に変えてほしい」など要望は切実です。
次は視覚障害者の声です。歩行の4つのバリア「落ちる・ぶつかる・つまずく・迷う」この解消を訴えています。「仕事のため毎日外出する全盲の仲間は、9割がホームからの転落を経験している」「点字ブロックは、30センチ幅の道と考えてほしい。そこに放置自転車があり、何度もぶつかりけがをしている」「音響式の信号は、横断歩道の場所を知らせると共に、向こう側までまっすぐに歩く大事な役割を持っている。設置場所が少ないため、勘を頼りに歩いている」など聞かせていただきました。ホームからの転落を防止するホームドアの設置すらままならない現状に対して、視覚障害者が言われた言葉は、私の胸に刺さりました。「バリアフリー法が出来ても、私たちにとって、安全に歩行、移動できる駅・まちづくりは、まだ夜明け前の状況です」私は、この言葉を受け止め、高齢者・障害者の方々の意見を十分に聞き、実態調査を早急にすべきと考えます。たとえば駅のエレベーター設置は、区内35駅でホームから地上までエレベーターがつながっている駅は一つもない状況です。公共施設では、投票所であり、災害時の避難場所となる学校の段差の解消、トイレの改善、エレベーター設置などの意見も出ています。地域の安全を確保する上で必要なものと考えます。以上交通機関、道路、建物、公園などの総点検と改善のための計画を求めます。
ハード面より遅れているのがソフト面の対策ではないでしょうか。ガイドヘルパー、福祉タクシー・福祉マップを利用しやすく改善してほしい等課題もいただきましたが、「やさしいまち」をめざす上で、一番遅れているのが、「周囲の理解」ではないでしょうか。高齢者・障害者が困っている時、「何かお手伝いすることがありますか」と気軽に声がかかる関係が出来てこそ「やさしいまち」です。このことは、公共施設の職員の対応にも、地域住民にも求められるもので、今後の課題と考えます。
ここで、地域住民の理解を広げる一つの提案をします。今目黒線沿線でまちづくりの論議が起きています。目黒線立体交差事業が進んでいますが、この事業で、生活道路(洗足ガード下道路)が閉鎖され、まちの安全が損なわれることがわかりました。東京都もこのことは「問題あり」と認めています。立体交差事業は進めるべきですが、地域からは、高齢者や障害者にとって「やさしいまち」をつくる上でも、道路を通行可能にしてほしい。鉄道が地下になった後の土地利用は、防災のためにも、緑道など空地を確保してほしい等意見が出されています。区は、「中延複合施設周辺のやさしいまちづくりプラン」作成の時に、地域に協議会をつくり、まちに出て調査し改善を図っています。調査をされた地域の方は、障害者と共にまちを歩いたことで、「日ごろ気づかない点が見えてきた」と、相互理解の場の必要性を強調していました。この試され済みの協議会を、ぜひ目黒線沿線にも設置していただきたい。
そこで質問します。
次に「介護保険・ゆき届いたより良いサービスのために、民間中小事業者にも情報提供と支援を」について質問します。
わが党はこの間、介護保険ではさまざまな問題を取り上げ、改善を求めてきましたが、今回は民間事業者を、区が行う情報提供から排除している問題について質問をします。
品川区は、介護保険の情報提供や研修について、在宅介護支援センターに対しては月1回の連絡会や必要な研修会を行うなど連携も密にしながらきめ細やかな対応を行っています。その一方、支援センター以外の事業者に対しては、介護保険が始まってからこの1年半、区側から一切の情報提供も研修も行ってきませんでした。
ある事業者からは「介護保険が始まる前日、ファックスで『明日から介護保険が始まりますのでよろしく』との紙が1枚流れてきただけで、その後は一片の情報もこなかった」と怒りの訴えが寄せられました。区からの情報が一切ないため、区内の事業者は大田、目黒、世田谷など他区の連絡会や研修会に参加をしたり、インターネットなどを通して厚生省から出された運用の変更などの情報を収集せざるをえませんでした。しかし国や都の情報は入っても品川区独自の運用については区に聞かなければわかりません。保健高齢事業部長は決算委員会で、「問い合わがあれば十分個別に説明、対応している」と答弁しています。しかし実態は、準備された説明会と違い、その時々の窓口の担当者によって言うことが違います。資料は要求しなければ出さないなど、1回で的を得た情報はほとんど得られず、一つの問題で3回も4回も区に足を運ばなければなりませんでした。
私は今回、近隣の大田、目黒、世田谷、港の4つの区を調査しました。大田区では定期的に連絡会を行い、その対象は介護支援センターと区内全事業者、その他大田区での事業展開をしている区外事業者全てです。ショートステイの運用、住宅改修、成年後見人、緊急時の対応などや区の保険福祉事業についても詳しく説明しています。研修は区全体が年5回、4箇所の福祉センターの計画と合わせ年間42回行われ、どの研修会にも全ての事業者が自由に参加できるようになっています。内容も、利用者の権利擁護や住宅改修、医療連携、困難ケースのケアプランなど多彩です。目黒・世田谷・港各区も大田区とほぼ同様です。いずれの区も「介護保険の趣旨に則り、地元事業者を育成すると言う観点でやっています」とのことでした。品川区のように区内事業者までその対象からはずしている区は一つもありませんでした。
東京都にも聞きましたが、都は「今年三月に国や都の情報はインターネットで提供できる仕組みを立ち上げたが、これだけでは不十分なので各自治体に連絡会や研修会の開催の協力をお願いしている」とのことでした。
保健高齢事業部長は決算委員会の答弁で「品川区なりの運用があるから区として十分説明したい」と情報提供の必要性は認めながら、その対象は「区の方針等にご協力いただく方」と限定し、「それ以外の方」は自分で情報収集をおこなえばいいと言っています。このように事業者を差別選別している自治体はどこにもありません。
品川区の方針とはどういうものでしょうか。介護保険法では、ケアマネージャーやサービスを利用者が自由に選べることになっています。ところが、品川区は法の趣旨に反し、ケアプラン作成を在宅介護支援センターが独占する仕組みをつくりました。その結果、介護支援センターがケアプラン作成の9割以上を占めています。介護支援センターは今回新たに4ヶ所増設しました。そのうち2か所はダスキンとマザースの大手シルバー産業に委託し、介護支援センター17ヶ所中、大手シルバー産業への委託は5ヶ所に増えました。その上介護の要と言われるホームヘルプサービスは、介護支援センター17ヶ所中、14ヶ所にベネッセやニチイ学館、コムスンなど大手シルバー産業のヘルパーステーションを併設し、そこに利益率の高い身体介護を独占させています。他区に例を見ない徹底した大手シルバー産業優遇の仕組みと言わざるをえません。情報提供は、この区の方針に協力するかどうかで決まります。これが公平、公正であるべき自治体としてのやり方でしょうか。
区民が選択した事業者に対して、一切の情報を提供しないということは、事業者を差別しているだけでなく、介護支援センター以外の事業者を選んだ区民を差別していることになると考えます。全事業者に必要な情報を提供することは、保険者としての当然の役割と考えます。
そこで質問します。
最後に「ホームレス対策は排除ではなく、自立に向けた支援を」について質問します。
はじめに、今年8月に東京都が発表した「ホームレス白書」を紹介します。主な内容は「23区内のホームレスは5700人で5年前と比べ1.7倍に急増している」「大半が50歳〜64歳の中高年の単身者である」「かつては安定就労をしていた人が6割で8割が就職を希望し、7割以上が求職活動をしている」「ホームレスになったきっかけは解雇、倒産、病気が7割を占めている」などです。
今年8月の調査では、品川のホームレスは70名とされています。この調査は、日中の公園、道路、河川などを目視でおこなったもので、職探しや仕事中の人は除外されているので実態はこの数倍と思われます。
厳しい冬はそこまで迫っています。私は、長引く不況のもとで働きたくても仕事がなく、やむなくホームレスになっている人に、行政として出来る限りの、自立に向けた支援をおこなうことは、緊急の課題と思います。
ここで、どうしても触れざるをえないのは、先日の決算委員会でのホームレス対策についての区長の発言です。
区長は自民党委員の質問に答えて「本人が住めるところがあるから施設に入りたがらないんで、住めるところをなくすような状況をつくる。そうすれば施設に入るという気持ちを起こさせるような強力な施策が必要だ。品川区が住みづらければ他区に行っていただける。そういう方法も考えないと、ホームレスの問題は解決がつかないと思っています」と発言をしています。
この発言は、あまりにも冷たい、また行政の長として不適切な発言といわなければなりません。私は二つの問題を指摘します。
一つは「施設に入らないのが問題」と言いますが、施設利用が消極的であるという問題です。先日、23区と都で共同して進めているホームレスの自立支援センター台東寮を視察しました。台東寮は昨年11月に開始し、「仕事につきたい」と希望する方に、仮の住まいと生活を支援し就職斡旋する所です。これまで23区全体で429人が入所していますが、品川はわずか6名、現在は1人も入所していません。他区ではいずれも二桁の利用なのに品川が少ない背景には、ホームレスの方に対し自立支援ではなく、排除する区長の考えが、投影されていると思えてなりません。
もう一つは「品川区から他区へ出て行ってもらえば」というホームレス排除の姿勢では、新たなトラブルを別の場に移すだけで解決にはならないという点です。確かに公園や図書館などにおいての利用者とのトラブルは緊急に解決が迫られています。しかし、解決に必要なことは、排除や、住家を奪うのではなく、ホームレスの方自身が、自立できるよう支援することではないでしょうか。
私は、区長の排除の姿勢は「人権蹂躙というだけでなく、問題の解決を困難にするだけ」と思います。
ここで聞き取りをしたAさんの例を紹介します。
Aさんは、日中焼いも屋の仕事をしていますが、事実上ホームレスで、陸橋下で生活しています。Aさんは「社会から見放されることが一番怖い。だから4日に1回カプセルホテルに泊まり風呂に入り迷惑をかけないようにしている」と語っています。
ホームレスの中には長い路上生活で身も心も疲弊、労働意欲を失っている方もいますが、Aさんのように「職と住まい」を切望していて、近隣に迷惑をかけないよう配慮をしている方も少なくないのです。「ホームレス白書では8割が就職を希望している」この事に着目すべきだと思います。
倒産やリストラにより住まいを失い、貯えを使い果たせば、ホームレスになる不安はかなり広くあるものと思います。あらためてホームレスの方に「排除」ではなく住いと当面の生活を保障し、仕事の確保など自立支援をおこなうよう、強く求めます。
そこで質問します。
ホームレス対策でございますが、過日の決算委員会で申し上げました内容は、「公共の福祉の観点から公園は公園として区民の方に利用していただけるよう管理すること、施設に入っていただくこと」いうことでありまして、特に公園などでは、地域からホームレスへの強い批判があることから申し上げたわけでございまして、「住みづらくして・・」と言うことではございません。したがいまして、発言については訂正する考えはございません。
また、お尋ねのホームレスの対策についてでございますが、過日発表されました調査では、特別区内には5000人を超える路上生活者が公園や道路、河川敷等で生活しており、大きな社会問題と受け止め、この間、本区では、都区共通の問題とされた経緯の基づきまして、都区間で合意事項や役割分担による自立支援センターや緊急一時保護センター、さらにはグループホームなど、ホームレスの方々のその時その時の状況や健康状態などに応じて、支援を講じているところでございます。
調査についてのお尋ねでございますが、23区の路上生活者につきましては、東京都と23区、鉄道事業者によりまして、平成7年2月より毎年8月と2月の2回、目視によります「路上生活者概数調査」を実施しております。その都度、施設入所や生活保護の適応を含めた相談等を行う等必要に応じ対応をしておりますので、現時点では改めて特別な調査をする必要はないと考えております。
区は、これまでやさしいまちづくりにつきましては、他区に先駆け「建築物の福祉に関する整備要綱」を制定し誰でもトイレの設置や身体障害者秒駐車場の設置など、建築物のバリアフリー化を推進すると共に、高齢者や障害者が安心して歩ける歩行空間を確保するため、道路の段差解消、歩道の段差解消、歩道の平坦化解消、誘導ブロックの敷設など積極的に進めてまいりました。
また、平成9年には、区のやさしいまちづくりの基本方向と具体的な推進方策や体制を明らかにするために、「品川区高齢者や障害者にやさしいまちづくり推進計画」を策定いたしました。策定に当たりましては、高齢者・障害者の立場から見たまちの問題点を把握することが重要であると考え、高齢者や障害者、商店街や地元住民と共にまちを歩き、まちの中での障害や門題をより身近なものと認識し、支障となる課題を見つけ、解決方法を多面的に検討してまいりました。この推進計画を推進していく組織として、鉄道、バス事業者を含む「品川区やさしいまちづくり推進協議会」を設置し、鉄道駅舎へのエレベーターの設置やノンスッテップバスの導入などを働きかけ、これまで成果を上げてきたところでございます。今後も、これまでの実績を踏まえ、推進計画に基づきやさしいまちづくりを推進してまいります。
また、公衆トイレや公園トイレにつきましては、改修時期に合わせ、可能な限り車椅子対応となるよう検討してまいります。
この間、ハード面における法的整備が整い、不特定多数の方が利用する新設施設につきましては、バリアフリー法が義務付けられております。目黒線立体交差に伴う駅舎、駅前広場につきましても「東京都福祉のまちづくり条例」等の法にのっとった整備がされます。区といたしましては、更に利用しやすく具体的整備については、行政、鉄道事業者間できめ細かな調整の場を定期的に持ち、調整を図っているところでございます。今後、基本計画・設計の段階で説明会など様々な機会をとらえ、地域住民のご意見をお聞きしながら検討を進めてまいります。
これまで、大規模改修等の関連工事において段差の解消を行ってきたところです。今後の校舎改築におきましてはバリアフリー化を視野に入れて検討を行ってまいります。
区民によりよい介護サービスを公平に提供するために重要なことは良質なサービス提供者の確保とそれらの総合的な相談・調整体制の確保であります。このような観点から要介護高齢者対策が特別区を含む市町村の責務として位置付けられたのは、介護保険制度に先立つ平成2年の「高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略」いわゆるゴールドプランにおいてでありました。以来、品川区は他の自治体に先駆けた在宅介護施策の充実を推進してまいりました。在宅での介護を継続的に支援していくためには、サービスを総合的に相談・調整する組織が必要であるとの認識のもとで平成3年から在宅介護支援センターの整備に取り組み、以後、計画的に、各地域センターに1箇所配置の体制を築いて、平成12年、介護保険制度のスタートに望んだわけでございます。
在宅介護支援センターの活動は、ケアマネージメントそのものであり、介護保険でいう居宅介護支援事業であります。また、ホームヘルプサービスにつきましては、平成2,3年当時は介護型のホームヘルプサービスの提供体制の充実が緊急の課題であり、在宅介護支援センターに介護型のヘルパーチームを併設し、民間企業の参入も進め、在宅介護の支援体制の強化を図ってきたものでございます。このように、在宅介護支援センター提供体制の整備は、各区が地域特性を踏まえ、創意工夫をしながら築き上げていくものであります。
サービスを利用する区民にとって大切なことは、安心して介護サービスが受けられることであり区民の信頼が得られるサービス提供者を用意することが行政の責務であります。本区の場合、介護保険導入と言う大きな制度改革期にあっても、区民の期待に応えるものと認識しております。今後もこの方針を基本にすることは変わり、同時に要介護高齢者が増加する中でサービスを安定的に供給していくためには、質の高いサービスを提供する事業者の拡大・多様化を図っていく必要があると考えます。既にケア協議会等地元訪問介護事業者に対しましては、従前から定期的な連絡会を開催しており、また支援センター業務の委託を行うと共に、居宅支援事業者としての紹介、身体ホームヘルプの拡大を行ってきております。
ご質問のその他の民間事業者への情報提供や支援と言うことでございますが、これまでも制度についてのお問い合わせや個別ケースの対応についての相談など、適宜行ってまいりました。今後につきましては、来年早々に民間事業者への説明会を開催する予定であります。
事業者への情報提供にインターネットの活用にとのご提案ですが、幅広い区民の方を対象とした品川のホームページに、今月から各事業部ごとのサブページを設けたところでございます。保健高齢事業部のホームページでは、介護保険制度や介護施設、各種の報告書等を掲載しております。したがいまして、現時点では事業者向けのインターネットの設置は考えておりません。
以上