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2002年度予算要望書

2001年11月30日
日本共産党品川地区委員会
日本共産党品川区議会議員団

品川区長 高橋久二 殿

アメリカへの同時多発テロに対して、アメリカ軍によるアフガニスタンへの軍事報復が続けられています。テロは絶対に許されない犯罪であり、地球上から一掃しなければなりません。そのためには軍事報復ではなく、世界が団結してテロを許さない国際世論を形成すること、国連を中心とした法にもとづく裁きを与えることこそ必要と考えます。

小泉内閣は、テロ対策を口実に自衛隊を海外に派兵しましたが、軍事報復に便乗し、改憲に導こうとする姿勢は言語道断といわなければなりません。憲法九条を持つ国として外交面でのテロ一掃のイニシアチィブを発揮が求められています。

長引く不況は、完全失業率が5.4%と戦後最悪になり、路上生活者も急増、中小企業の倒産はいぜん高水準にあり国民のくらしと営業に一層深刻な状況を生み出しています。

ところが、小泉内閣は、「改革断行」の名の下に、医療制度を改悪、サラリーマンや高齢者に対し負担の増大を明らかにしています。一方、経済再生の柱として「不良債権の早期最終処理」を進めています。この方針は大量の失業と中小企業を倒産に追い込むものであり、消費を落ち込ませ、日本経済の破滅に導くことが心配されています。

品川は九十九・七%が中小企業で占める、典型的な中小企業のまちです。小泉「改革」がすすめられれば区民と中小企業に与える否定的影響ははかり知れません。

いま、品川区に求められていることは、住民のいのちとくらしを守るために、地方自治体の本来の任務を発揮すべきときです。

品川区政の問題点について決算審議でも指摘してきしましたが、「生活保護世帯への入浴券支給と見舞金削減」、「高齢者福祉手当廃止」「高齢者家賃助成制度の廃止」「勤労者生活資金の廃止」「奨学金貸付制度の見直し」など、戦後、区民運動で築き上げてきた福祉制度を全面的に後退させようとしています。

一方、大崎駅東口の再開発はゲートシティ、オーバルコートに続き、不動建設など大手ゼネコンがすすめる第3地区開発に100億円もの税金を投入し、すすめようとしています。

地方自治体はゼネコン大企業の代理店ではありません。いま区に求められているのは、危機に直面する区民に対し福祉の充実、区営住宅の建設、中小企業に対する支援などの区民の切実な要求に取り組むことであります。大企業のための開発優先の区政から区民のくらし、福祉優先の区政への転換を求めます。

なお、品川区は、本年11月に「産業振興マスタープラン」を策定しました。中小企業振興に向け計画的、系統的に支援しようとするこの計画は画期的であり、区の努力は評価するものです。産業空洞化、長期不況、大型店の進出などのもとで困難に直面する中小企業にとって有効な施策となることを期待するものです。

わが党は、来年度予算案作成にあたり、品川区が以下の立場を貫くよう申し入れます。

 

1、地方自治法第2条で述べている地方自治体の第一の任務「住民および滞在者の安全、健康、福祉を保持する」立場を貫くこと。とりわけ低所得者の支援を重視すること。

2、大規模開発計画を抜本的に見直すこと。

3、長引く不況下、区内産業の主役である中小企業に対する支援を思い切って強化すること。

4、「区民こそ主人公」の立場から情報を公開し、住民参加を徹底するとともに住民の声を生かした区政運営を行うこと。団体により面談を拒否する差別行政を改めること。

5、区民の福祉、地方自治を守る立場から、国や東京都に対して積極的に要望、働きかけをすること。

以下、108項目にわたり具体的要望を掲げます。ぜひとも来年度予算案に反映していただきますようお願い申し上げます。

1.中小企業を区内産業の主役と位置づけ、支援すること

1、貸し渋りなどの実態調査を行うとともに、中小企業融資については貸付限度額拡大と返済期間の延長など、より利用しやすい制度に改善すること。また、零細業者を対象とした直貸し制度、生業資金を復活すること。

2、狂牛病対策については、政府に対し情報公開を求めるとともに、区としても影響を調査し相談体制をつくるなど必要な支援を行うこと。

3、区内製造業者の仕事確保対策として受発注情報交換会を開催すること。

4、品川区の発注する物品購入や公共事業を、可能な限り区内中小企業へ発注すること。ゼネコンが独占する大規模な公共事業は分割発注とし、区内建設業に仕事をまわすこと。

5、産業振興マスタープランに基づく事業の推進にあたっては、中小商工業関係者とよく協議してすすめること。

6、これ以上、大型店を区内に進出させないために必要な規制措置をとること。空き店舗対策、共通商品券の積極的活用、「元気出せ商店街」事業の継続など商店街の振興をはかること。

7、工業集積地域活性化支援事業を継続し、枠を拡大すること。

8、商店街装飾灯電気代補助を増額するとともに、商店のそで看板・日除けなどの道路占有料を免除すること。

9、勤労者生活資金融資斡旋を継続すること。信用保証制度を改善し、必要な融資を受けられるようにすること。

10、大企業の身勝手なリストラ・合理化を止めさせるため関係企業や政府に働きかけること。

11、小泉内閣のすすめる構造改革、特に「不良債権早期最終処理」による区内業者への影響を調査し、必要な対策をとること。

2.区民の生命とくらしを守る福祉の充実を

〈介護保険制度〉

1、事業費を実態に合わせて算定し、一号被保険者の介護保険料を引き下げること。

2、低所得者への保険料減免は、条件を緩和し利用しやすくするとともに、利用料の減免を拡大すること。あわせて国に対しても減免制度実現を求めること。

3、特別養護老人ホームと老健施設の増設などサービス基盤の整備をすすめること。

4、在宅介護支援センターでのケアプラン作成、大手シルバー産業への身体介護などの独占的委託を改め、地元事業者にもケアプラン作成や身体介護の委託をすすめること。

5、地元事業者に対して必要な情報を提供し、事業を支援するとともに、懇談や定期協議、連絡会議など地元事業者との連絡、連携を強化すること。情報提供はインターネットなどの活用も検討すること。

6、民間ヘルパーの労働条件の実態を調査し、改善すること。

7、要介護認定および介護サービスの公平性を確保し、制度を監視するため、福祉オンブズパーソン制度を実現すること。

8、困難なケースに対応するために公務員ホームヘルパーを復活すること。

〈お年寄り〉

1、給食サービスは、昼・夜とも回数を増やすこと。

2、病院が紙オムツを指定し、区支給のオムツが使用できない場合は、現金支給すること。

3、歩行困難な高齢者にシルバーカーを支給すること。

4、高齢者・障害者家賃補助制度の所得制限など、条件を緩和すること。また、住宅設備改善のための助成は利用しやすくすること。

5、高齢者世帯の家具転倒防止対策に助成制度を創設すること。

6、バス停へのベンチ、雨よけを可能な限り設置すること。「お休み石」を増やすこと。

7、出会いの湯はプログラムへの参加強制はせず入浴だけの場合でも無料にすること。無料入浴券方式を復活すること。

8、緊急通報システムのペンダントは防水にすること。

9、駅前のタクシー乗り場に屋根を設置するよう鉄道各社に申し入れること。

10、高齢者住宅にエレベーターを設置すること。既存住宅にも計画的に設置すること。

〈障害者〉

1、障害者世帯の家具転倒防止対策に助成制度を創設すること。

2、心身障害者および精神障害者のグループホームや生活支援センター、作業所の建設をすすめ、補助金を増額すること。

3、障害者へのホームヘルパー・ガイドヘルパー派遣を増やし、精神障害者も対象とすること。また、女性ヘルパーか男性ヘルパーかを選択できるようにすること。

4、既存のJRおよび私鉄の各駅舎、公共施設にエレベーター、エスカレーター、車椅子用トイレを早急に設置するよう関係機関に働きかけること。

5、リフトバス、ノンステップバスを増やすよう関係機関に働きかけること。

6、福祉タクシーの増車と福祉タクシー利用券の支給を増やすこと、また、老健施設などへの無料の送迎用福祉タクシーを増やすこと。

7、鉄道のホームに可動式柵の設置をすすめるよう関係機関に働きかけること。

8、聴覚障害者のために、音響式信号機を増やすとともに、音声誘導システムの開発にあたっては利用者の意見が反映するよう関係機関に働きかけること。

〈低所得者・生活保護〉

1、生活保護は本人の申し出によりただちに申請を受け付けるとともに、事実上の「白紙委任」同意書はやめ、申請者のプライバシー保護に十分配慮すること。

2、医療券は医療証に改善すること。

3、生保世帯の入浴券や見舞金支給など法外援護は削減しないこと。

4、ホームレス対策は、人権を十分尊重するとともに生活保護の適用、自立支援センターの斡旋を積極的にすすめること。ホームレスの実態調査を面談をもとに行うこと。

5、ケースワーカーの増員できめ細かな相談、支援を行うこと。

〈国民健康保険〉

1、国民健康保険料の減免制度を積極的に適用すること。負担金、交付金引き上げを国と都へ積極的に働きかけること。

2、医療を受けにくくする国民健康保険の短期医療証、資格証明書の発行にあたっては、実態をよく調査し慎重にすること。

3、国保財政を危機に立たせる医療保険改悪に反対し、政府に申し入れること。

〈子育て支援〉

1、乳幼児医療費助成制度は所得制限を撤廃すること。

2、保育園などでの食中毒・感染症の予防と対策を徹底すること。事故が発生した場合の情報公開、被害の拡大防止対策をつくること。

3、保育園での給食調理業務の民間委託は中止すること。

4、子どもたちの楽しみを奪う行事の縮小・廃止はしないこと、保育園の行事は父母の意向を反映させること。運動会は継続、お泊まり保育と学童保育クラブのキャンプを復活すること。

5、希望者全員が入園できるように保育園を増設すること。また、定数弾力化や延長夜間、年末、一時、休日、病後児保育など事業拡大にあたっては、正規職員の増員や施設など体制を整備すること。

6、「父母の会」の保育園園舎および学童保育クラブ育成室の使用を認めるとともに、保育園・学童保育クラブ運営に当たり、園と「父母の会」の定期協議をすること。

7、保育問題協議会、学童保育連絡協議会、保育園父母の会連絡会に対する話し合いや情報提供を拒否するなどの差別的扱いはやめること。

8、必要な地域には学童保育クラブを増設すること。

9、学童保育クラブのすべての育成室にクーラーを設置すること。

10、保育および学童保育クラブの障害児保育に正規職員を配置すること。

11、学童保育クラブは常時複数専任の職員体制をとること。児童センターを運営する職員の増員を図ること。

12、児童虐待防止のために、専門相談窓口を設置し関係者との連携を強め、早期発見・防止のためのネットワークをつくること。

13、平塚幼稚園の定数ワクを拡大すること。

14、私立幼稚園の保護者負担軽減と幼稚園への援助を強化すること。

3.ゼネコン型大規模開発でなく、住宅・環境・安全を中心にしたまちづくりを

〈大規模開発・まちづくり〉

1、大崎駅・大井町駅周辺などの大規模再開発事業を根本的に見直すこと。

2、集中豪雨対策の抜本的強化をはかること。総合的な治水計画を策定すること。

3、「品川区中高層建築物に係る紛争の予防と調整に関する条例」に基づいて、住民説明会の報告書を住民に情報提供すること。また、相談者には住民の立場にたって親切な対応をすること。

4、補助163号線の拡幅にあたっては、住民の意向を尊重すること。商店街が存続できる「まちづくりプラン」を持ってすすめること。

5、中央環状高速品川線は、地域住民に交通量の増大および大気汚染悪化、目黒川周辺のマンションなど建物への影響の不安がある。情報を公開するとともに住民合意を得るよう慎重にすすめること。

6、密集住宅市街地整備促進事業は、戸建住宅も対象にすること。また、指定地域外でも要望があれば整備計画を立て補助の対象にすること。

7、東急目黒線洗足架道橋下の道路閉鎖については住民合意を得ること。

8、都市計画審議会を公開すること。

〈住宅〉

1、住宅マスタープランに区営・高齢者住宅および障害者住宅の年次計画を盛り込み、計画的にすすめること。世帯向けの高齢者住宅建設も促進すること。

また、新設はもちろん既存の住宅にもエレベーターを設置すること。

2、民間家賃助成制度(ファミリー・新婚世帯向け)を創設すること。

3、区内マンションについて、管理組合、長期修繕計画などの実態調査を実施するとともに、専任の職員を配置し、マンション相談日の設定など相談窓口の充実をはかること。また、マンション管理士の制度化にあたり支援体制をつくること。

4、マンション・戸建住宅の耐震診断へ助成を行うこと。

5、区民住宅の新規入居者の家賃は前入居者の家賃を継承する現行方式を見直すこと。

〈リサイクルと環境改善〉

1、住民の健康に深刻な影響を与えるダイオキシンの発生を抑制するための条例を制定すること。また、簡易・小型焼却炉の使用禁止とその徹底、撤去費用の補助など支援をすすめること。

2、二酸化チッソ測定など区民の自主的な運動を支援し、区民と行政が一体となって地球環境保全にとりくむこと。

3、屋上緑化に対する支援制度を実現すること。

4、目黒川の清流化をめざし、落合処理場の処理水導入量の増大をはかること。

5、ゴミの発生抑制、リユース、リサイクルをすすめるにあたり、製造者責任を制度に盛り込むよう国に求めるとともに区民の参加・協力をすすめること。

〈区民の健康〉

1、区民健診にあたっては他区との相互乗り入れを実施すること。また、胃ガン検診のレントゲン検査は一般の医療機関でも受けられるようにすること。

2、区民健康審査にC型肝炎の検査を入れること。

3、エイズや薬物対策として啓発、相談などの体制を強化すること。

4.子どもの人権を尊重し、ゆきとどいた教育を

1、三十人学級の早期実現をはかること。その財源を国、都に負担するように働きかけること。

2、学校の施設、指導内容について、学校間の格差が出ている。格差解消のための対策を講ずること。地域と学校との連携を密にし、共同して学校つくりをすすめること。

3、学習指導が困難になっている、いわゆる「学級崩壊」クラスに指導助手を配置すること。また、個別学習推進校を希望する学校には指導助手を配置すること。

4、子どもの権利条約を教育行政の中で徹底するとともに、いじめ、体罰の根絶めざした取り組みをすすめること。

5、子ども、父母、教師などからの相談を受けるスクールカウンセラーを全校に早急に配置すること。また、教育相談センターにソーシャルワーカーを配置すること。

6、夏季のプール授業に当たっては子どもたちの安全を重視して補助員を配置すること。

7、就学援助の基準を引き上げ、卒業アルバムや遠足などの父母負担を軽減すること。中学校の制服購入の父母負担軽減をはかること。

8、学校・幼稚園の行事等での『日の丸』、『君が代』の強制をやめること。

9、障害児学級の各学校への配置および肢体不自由・弱視・難聴など各障害児学級の新設をすすめること。

10、学校図書室に司書資格者を配置し、子どもたちの図書室利用の拡大を図ること。図書購入費を増額して図書の充実を図ること。

11、小中学校の雨漏り対策、耐震用窓ガラス取り替え、普通教室にクーラーを設置すること

12、空き教室の利用に当たっては教育関係者との合意を前提にすること、また、教育活動に支障ないようにすること。

13、しながわ水族館、品川歴史館は小中学生利用を無料にすること。

14、区立図書館は、司書資格を含めた職員増を必要数配置すること。図書購入費の削減はやめ、区民要望に応えられるよう図書の充実をはかること。

15、文化センターを全面民間委託化による貸し館にはせず、職員を配置して相談や社会教育活動を支援する体制を確立すること。

5.区民への情報公開、区民参加の区政運営を

1、行政評価にあたってはすべての情報を公開して区民、職員の意見を反映させること。あらゆる分野で住民参加、職員参加を貫くこと。

2、情報公開制度の『手数料』は無料とすること。

3、区と関連のある企業・第三セクターへの幹部職員の天下りは中止すること。

4、同和事業は一般事業に移行し、総務部分室の「解同」品川支部の事務所化、同和生活相談員を廃止すること。

5、政策決定へ女性の意見を反映させるため、各種審議会、行政委員会に女性を積極的に登用すること。「男女共同参画社会をめざす第3次行動計画品川プラン」で掲げる女性の登用比率四割目標を早期に達成すること。

6、区施設使用料は区民が利用しやすい低廉な料金とし、学校、児童センターは無料にすること。

7、第三庁舎の会議室、ホールは、区民および区内団体へ貸し出しすること。

8、雇用拡大のためにハローワーク、商工会議所、工場協会などと連携し合同面接会など取り組むこと。

9、フリーター問題の解決にあたっては、パソコン教室やヘルパー養成講座など教育の場の充実をはかること。

10、非常勤、臨時職員の賃金、休暇、社会保障など労働条件は正規職員なみに改善すること。

11、品川新聞による記者控室の独占的使用をやめさせ、区費による品川新聞の購入などの便宜はやめること。

12、学校、保育園、児童センター・学童保育クラブなどの区諸施設の耐震診断を行うとともに、必要な改修を行うこと。

13、スケートボードなど青年の様々なスポーツ要求に応えるため、スケーティングエリア、3オン3バスケットコート、オフロード自転車走行路、壁打ちテニスウォール、フリークライミングなどの施設をそなえたスポーツ広場を設置すること。

以上

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