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海外視察(調査)は区民に役立つのでしょうか・自民党の自画自賛に一言

2002年02月06日

はじめに

品川区議会は昨年12月、海外視察を実施しました。今回の海外視察は自民党の提案に公明、民主、合同(社民、生活者ネット、無所属などで構成)が賛成し実施が決まったもの。日本共産党は実施に反対しました。海外視察は、最近でも長野県議会の海外視察がマスコミで取り上げられました。「大名旅行」などと批判が集中し、全国の自治体で相次いで中止しています。こうしたなかでも品川区議会は今年も実施。23区で実施したのは品川区と千代田区、目黒区の3区だけです。

自民党は海外視察実施後、地方紙(品川新聞)に意見広告を掲載し「さまざまな理由をつけて反対した政党もありますが…実り多き調査」だったと自画自賛しています。しかし、問題は多額の税金を使う海外視察が区民に役立つのか、区民の理解が得られるのかということです。日本共産党は海外視察の抜本的見直しを求めてきましたが、ここで一言述べたいと思います。

福祉削減推進の一方で多額の税金で海外調査・急ぐべきは暮らしと営業の支援

今回の海外視察は、行政評価システムと公教育の調査を目的に米国のポートランドなど3都市の調査が目的で12月9日から17日までの9日間の日程で実施。自民党5名、民主党と合同(社民党)が各1名と区議会事務局長の計8名が参加しました。費用総額はおよそ560万円(予算一人あたり70万円)でした。

海外視察の目的である「行政評価システム」と「公教育」の調査は、なぜアメリカでの調査が必要なのでしょうか。日本国内にも参考にできる自治体はあるのに、なぜ事情の異なるアメリカなのか理解に苦しみます。さらに、現在はインターネットの発達によりわざわざ現地に行かなくてもかなりの調査、学習が可能となっていることもあります。

今回の海外視察はこれまでより予算を絞ったとはいえ一人あたり70万円もかかりました。こうした税金の使い方は、この不況の中で大変な思いをして税金を納めている区民感情として理解されません。

区政の最大課題は不況のなかで頑張る中小企業と相次ぐ福祉切捨てに苦しむ区民の暮らしを応援することです。区議会与党は大型開発に多額の税金を使う「無駄遣い」は温存、区民の大切な福祉の削減に賛成してきました。今回の海外視察の実施は、区政と議会の役割を忘れ区民の暮らしと営業には目を向けない与党の姿勢を表しているものではないでしょうか。

「提言を出す」というが…介護保険での「提言」は区民に役立ったと言えません

自民党は意見広告のなかで、調査で学んだことを積極的に行政に提言していくと述べています。これはこれでどういう提言が出てくるのか注目していく必要がありますが、ここで1999年の海外視察後の「提言」について指摘したいと思います。この海外視察は共産党以外の与党全会派が参加して介護保険の調査を目的のひとつに実施(参加12名、費用総額840万円)、視察後、調査団として区長に提言を提出しました。

しかし、この提言で「適正な保険料の設定」を求めているにもかかわらず、与党各党は品川区が保険料算定の際に、療養型病床群(いわゆる老人病院)の利用を必要以上に見込んで事業費と保険料を算定した介護保険料「水増し」対しても、介護サービス不足に対しても「問題なし」という態度でした。これではとても海外視察が区民に役立ったと言えません。

海外視察 見直しをすすめた日本共産党と逆戻りさせた与党

品川区議会の海外視察は、前期まで2期目以上の議員が4年間の任期中に1回参加できるとして視察先と内容は後で決めていました。「海外視察先にあり」でした。日本共産党は、海外視察の目的が不明確で「観光旅行」的色彩が強く住民の批判が高いこと、不況のなか多額の税金を使う海外視察は住民の理解は得られないこと、高い費用をかけてまで事情が異なる海外での調査が必要なのか疑問―などを指摘し、海外視察の根本的見直しを求めてきました。日本共産党のこうした主張が実って前回区議選を目前に控えた98年度の海外視察は中止、区議選後、議会各会派が一致して「海外視察は必要時に実施」と改めました。

ところが、与党は99年度に「介護保険調査」を口実に海外視察を復活。2000年度は自民党の提案に与党からも賛成が得られず実施しませんでしたが、2001年度(今回)には与党の賛成多数で実施しました。

「必要時に補正予算を組むのは難しい」という口実で海外視察費用を当初予算に計上、海外視察実施は、行革特別委員会(行政評価システム)でも文教委員会(公教育)でも海外視察の必要性さえ議論されないのに議会運営委員会で実施を決定。その後結成された調査団から各委員会に調査項目があれば寄せてくれと要請しましたが、これでは後から言い訳をつけるようなものではないでしょうか。

海外視察の見直しについて、すすめてきた日本共産党と逆戻りさせた与党という区議会で果たしてきた役割は明確です。日本共産党は、海外視察の抜本的見直しのために引き続いて奮闘します。

以上

参考:品川区海外視察一覧

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