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福祉を削り、大規模開発をいっそう拡大
日本共産党品川区議団の2002年度予算に対する意見表明

2002年03月22日

3月22日、予算特別委員会の最終日、予算案の採決がおこなわれました。品川区が提案した、5件の予算案はいずれも可決されました。日本共産党は予算案に対し一般会計、介護保険特別会計は反対、国民健康保険事業会計、老人保健医療特別会計、用地特別会計には賛成しました。日本共産党を代表し沢田英次団長が、次のような意見表明をおこないました。


日本共産党品川区議団を代表し、2002年度各会計予算案に対する意見表明を行います。

はじめに予算案に対する態度ですが一般会計、介護保険特別会計は反対、国民健康保険事業会計、老人保健医療特別会計、用地特別会計には賛成します。

以下、一括して反対の理由を述べます。

1.福祉、住民サービスを各所で削減・生活保護入浴券10枚削減、勤労者生活資金廃

第1は、未曾有の不況のもとで、区民の福祉やサービスを後退させている点です。予算案では、これまで90枚あった生活保護の入浴券を70枚にし、来年度さらに60枚に削り、今後見舞金を含めた法外援護すべてを廃止する。寝たきり手当は昨年の予算を半減、保育園9園の給食の民間委託で職員17名を削減、中小企業に働く労働者の唯一の施策、勤労者生活資金融資斡旋制度の廃止など、福祉、住民サービス切り捨てが目立っています。勤労者生活資金は東京23区で、21区が実施していますが、廃止したのは品川区のみとなっています。利用実績が少ないことを理由にしていますが、それならば信用補償制度の見直しなどより借りやすい制度にこそすべきであり、福利、厚生など厳しい条件のもとで働く中小企業労働者にとって余りに冷たいといわなければなりません。

来年度予算案は行政評価システムを導入して初めての予算ですが、区民の評価排除のもとですすめられました。この制度は経済性・効率性、コスト主義を前面に出すことにより必然的に、区民の福祉、とりわけ給付型福祉が見直しの標的となったのであります。

2.大崎駅東口第3地区と西口中地区など再開発・日本一の再開発に税金65億円も投入

第2は、福祉・住民サービスを削る一方で、大規模開発を新たに拡大し、ゼネコン大企業奉仕の性格をさらに進めている点であります。

来年度予算案の開発予算はその関連も含めて65億円余を計上。あらたに大崎駅東口第3地区と大崎駅西口中地区の再開発を本格化、さらにソニー、明電舎を中心にした大崎駅西口街づくり促進業務委託も盛り込まれ西口全体を開発する計画を明らかにしています。

大崎駅東口第3地区は大林組,不動建設、三井不動などいずれも大企業、来年度は1億6800万円を計上、最終的には100億円の税金投入を予定しています。

もう1つの西口中地区開発は千代田生命を引き継いだAIGスター生命とフジタが中心で、今年度1億1200万円を計上。最終的には47億円もの税金投入を見込んでいます。

区は「再開発への税金投入は国の財政破綻を加速する。見直すべきだ」との我が党の指摘に「区の一般財源は投入しない。国の財政破綻とは関係ない」と答弁。しかし、全国的に税金を公共事業に湯水のように注いだ結果が700兆円の借金、財政破綻となったことは明瞭であります。都市再生の名のもとに日本一の開発をこの狭い品川で進めることは、形を変えた公共事業であり、見直しを求める国民の声に反するものといわなければなりません。一般財源は投入してないといいますが補助金の半分は23区共通財源、財調交付金であります。

不況のもと住宅難が深刻化、都営住宅の競争倍率は最高で1200倍を越えているのに高橋区長は「区内には公営住宅が4000戸あり、足りている」と区営住宅建設を頑なに拒否してきました。また特養ホームの待機者は521名もなり、毎年増え続けているのにこちらも「足りている」と建設を拒否。大規模開発ビルには100億円単位の税金投入をしながら、区民の生きるために基本となる住宅や特養ホームは建設しようとしないのであります。これはいのちと暮らしを守る自治体を大企業ゼネコン奉仕に変質させるものであります。大崎周辺のニューシティ、ゲートシティ、オーバルコートに加え来年度に盛られた第3地区、中地区を加えると税金投入は337億7千万円にも登り、これを区営住宅に当てれば1400戸分、現在ある区営住宅を倍化することができるものです。このような開発を推進する自治体は全国でも当区ぐらいしかありません。

大不況の中でこそ福祉、住宅、中小企業など住民のいのちと暮らしを守る政治が必要であり、そのためにも大規模開発計画を見直し、自治体本来の立場に立つよう強く求めるものであります。

3.エリート教育をすすめ公教育の根幹を歪める小中一貫校・心配される第1日野、第3日野、第4日野小の統廃合

第3は、エリート教育をすすめ公教育の根幹を歪める小中一貫校問題です。

若月教育長が朝日の2002年2月号、「論座」で小中一貫校問題を取り上げ「小学校の学習を5年で終われる子には終わらせてあげて、中学校の先取りといったものを少しづつさせていくことはできる」と述べています。この発言は小中一貫校の目的が私立と競い合って一部のエリートを育るものであることを示すものです。小中一貫校は不登校や学級崩壊、いじめ、学力の低下など広範に広がる直面する課題に答えるものではなく、教育における不平等を限りなく拡大するものといわなければなりません。

同時に、日野中を第2日野に移築し9年制の一貫校をつくれば、中学になって一貫校に原則として入れないわけですから、否応なしに五反田・上大崎地域の子供は一貫校に集中する。そのことが、第1日野、第3日野、第4日野の過疎化をもたらす。地域では「統廃合につながるのでは」との不安が広がるには根拠があります。「日野中が1.5kmも先に移転する」「地域の小学校がなくなるかもしれない」との不安がっているのに、教育委員会は事前に議会や学校・地域の関係者になんの報告もしませんでした。そればかりか「第4日野小学校のPTAは要請がなかったから説明会は行っていない」と答弁。品川区政の主人公は区民ではなかったのでしょうか。

学校選択制を導入した際、深沢教育委員長は「ブロック化については、受験校化する、格差が生じる、背景に統廃合があるのではないかといった不安や疑問がある。学校関係者だけではなく、地域・PTA・保護者の理解や納得を十分得られるような方法や姿勢を持って欲しい」まとめで述べていますが、一貫校をすすめるに当たって、この忠告が生かされていない、いわなければなりません。

住民を無視してトップダウンで施策を進める姿勢は、行政評価システム、再開発、保育行政でも一貫しており、住民参加の区政を否定する姿勢は23区の中でも際だっています。

私はかつての和田教育長が当委員会での質疑で「子供の内面に迫った指導を」と繰り返し答弁したことは忘れることはできません。若月教育長は「特色を持った学校づくり」「学校選択制」「学校外部評価」「小中一貫校」などを打ち出し、子供の現状や内面からの出発するのではなくどれも形作りばかり。ある町会長はテレビを見て「若月教育長は教育者ではない。経営者だ」と語っていましたが、こうした声は決して一部のものではありません。我が党は、子供たちを取り巻く問題を解決するためには30人学級の実現をおこなうべき、と考えます。

4.格付けBBを買った反省なしーアルゼンチン債購入問題・なぜ、「区民に謝罪しない」ー問われる高橋区長の態度

第4は、区政運営にあたり、経済性、効率性加え「いかに収益を上げるか」を前面に出している問題、品川区を品川株式会社に置き換える政治姿勢の問題であります。

その姿勢が端的に現れたのがアルゼンチン債購入問題です。

低金利のもとで「利子収入をえたい」と3億1千万円も外国債に財団の資金を注ぎ込む。しかも「ディフォルトリスクが高い」とされる格付けBBに手を出したのであります。アルゼンチンやメキシコなど危ない債権には手を出さないのが、区民の常識であります。経済性、収益性を競い合う、そんな風潮の中で外国債に手を出した。トップダウンの行政手法がチェック機能を麻痺させ、大事な区民の財産を紙くずの危機にさらしたのではないでしょうか。

なお、本件の集中審査を経ての明らかになった問題、いろいろありますが2点を述べます。

1つは区長が理事長として関与しているのでは、との疑惑が強まった点です。アルゼンチン債購入にあたって、係長、次長、事務局長が稟議を回して組織的に購入しているのに、高橋理事長のみが知らなかった、というのは、あまりにも不自然。もし知らなかったとするなら理事長は監督責任どころではなく理事長としての任務放棄が問われる問題といわなければなりません。

2点目は、格付けBBの債権を買ったことの反省が「調査報告」にも区長の答弁にもありません。「運用基準」に円貨建外国債は買えることになっていることをもって「アルゼンチン債購入は問題ない」としていますが、問題の核心は返済能力に不安のある格付BBのアルゼンチン債を買ったことにあります。

以上、アルゼンチン債購入問題の解明は一定部分されましたが、以上述べた核心部分は解明も反省もされていません。あらためて行政側、議会側がそれぞれそれぞれの立場で究明するよう求めるものであります。

なお、区民の財産を1億6千万円も危機にさらし、「理事長としておこなったことであり区長として区民に謝罪する必要なし」とする、区長のこの立場を32万区民の行政の長としての資格が問われる、ことを指摘しておきます。

次に、介護保険会計について述べます。

介護保険会計は、月額3300円の23区1高い保険料は療養型病床群の見込み違いが原因であることはこれまで述べてきました。来年度も介護保険の介護給費準備基金は1億3千万円も積み増し計画、基金合計は13億円にもなります。

あらためて取りすぎた保険料の引き下げ、減免制度の拡充など区民に還元することを求めます。

なお、低所得者の保険料減額制度は評価しますが、当初見込みの1000名に対し申し込みは213名、減免を受けられた人は148名に留まっています。低所得者が安心して利用できるよう思い切った利用条件の拡大を求めるものであります。

以上で、各会計予算案に対する日本共産党区議団の意見表明といたします。

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