品川区議会議長 林宏 様
(財)品川文化振興事業団は、創立以来区と連携を図りつつ事業を推進し、区民の文化的な要望に応えてきた。
しかしながら、今般その財産運用において、円貨建てのアルゼンチン共和国債1億6千万円を購入し、それが同国の公的対外債務一時支払停止宣言によって事実上の凍結状態となったことは極めて遺憾であり、現下の状況では、同事業団の損失は相当な程度に上り影響が避けられない見通しとなっている。
こうした事態を招いた原因は、(財)品川文化振興事業団が安全・確実な方法によるべき財産運用の基本を軽視したことによるものであり、その際に看過できないことは、その決定が本来理事会の議決および評議員会への諮問を経て理事長が行うべきところを、当時の副理事長の独断によって行われている点である。その背景には、同事業団の意思決定が、内部規定に準拠しないまま、権限のない幹部の意向によって行われる慣習や慣行、風土がある。また、このような傾向は、他の外郭団休においても同様ではないかとの危惧を持つものである。
品川区議会は、第1回定例会における代表質問とそれに続く総務委員会での長時間の審議、さらに予算特別委員会の集中審査および総括質疑をとおして、(財)品川文化振興事業団に関する一連の経緯をつぶさに明らかにしてきたところであるが、低格付債券の購入は不適切と指摘せざるを得ない。なぜ購入したかなど疑問が残るものである。
よって品川区議会は、外郭団体が自主・自立の方向をもって運営されるべきものと考えるものではあるが、区が一定の影響力を行使できる立場にあること、および行財政改革を推進すべき立場にあることに鑑み、このような事態の再発防止に向けて、各外郭団体の財産運用が安全・確実に行われること、および区の財政援助団体の監査を強化することによって、将来に禍根を残すことのないよう、万全の措置を強く求めるものである。
以上、決議する。
品川区議会