5月24日、日本共産党品川区議団は、高橋区長に「有事法制を慎重に審議するよう関係機関に働きかけを求める申し入れ」を行いました(全文を下記に掲載)。
高橋区長は「この件は国政問題であり、国会の中で論議をつくして欲しい」と述べるにとどまり、「政府など関係機関に働きかけることについては考えていない」と表明。なお、有事法制について区長は「国、都から何の説明も受けていない」ことも明らかにしました。
この日の申し入れは、党区議団8人全員が出席、区からは高橋区長、古川総務課長が出席しました。
政府は、「武力攻撃事態法案」など有事法制関連3法案を提出し、今国会での成立をめざしています。
政府は、有事法制が日本を外国の武力攻撃から守るための備え、とのべていますが、防衛庁長官は「日本が武力攻撃される危険はない」と明確にのべています。アメリカの強い要求で1999年につくられた「周辺事態法」は、アジアでアメリカが軍事介入したとき、自衛隊が米軍支援をおこなう法律でしたが、「武力行使はしない」と、されてきました。
ところが、こんどの「武力攻撃事態法案」は、アメリカが海外で介入戦争をはじめたとき、自衛隊が武力行使を含めて参戦できるしくみをつくるものです。日本が武力攻撃を受けなくても、海外での武力行使を可能とするものです。
しかも有事法制は、こんな戦争に国民を強制的に動員し、自由と人権までしばろうとしています。法案は、すべての国民に戦争協力を義務づけ、NHKなどの指定公共機関や医療、輸送、建築・土木などの関係者も強制的に協力・動員を求めています。国民は、戦争に必要だ、と判断された家屋、土地、物資を差し出すよう要求され、そのための調査を拒否したり、保管をおこたると、犯罪者として処罰されます。
周辺事態法では自治体へ強制力を持たない、としていましたが、「武力攻撃事態法案」は自治体への「指示」をおこない、従わない場合は「直接執行」という権限が明記されています。
有事関連3法案は二度と戦争をしないと誓った憲法9条に明確に違反するものです。
この法案について、高知県の橋本知事は「事態の定義があいまい。緊急性がない」と表明、長野県の田中知事は「阻止せねばならない」と反対を表明、中国地方知事会は「有事法案の議論が不十分」として地方の意見を尊重するように国に求めていくこと、を確認しました。東京・国立市長が憲法、地方自治法との関係をただす「質問書」を首相に送付するなど、自治体の首長からも相次いで「懸念」や「慎重に」との声が出されています。
有事法制法制についての世論調査によるとNHKで7割が「議論をつくせ」、朝日新聞では有事法案について6割が「内容知らない」、7割が「説明不足」とのことです。
以上の立場にたって有事関連3法案について、以下の点を求める次第です。
区長は、憲法、地方自治法を守る立場で、有事関連3法案が国民に広く知らされ慎重に審議がされるよう関係機関に働きかけられたい。
日本共産党品川区議団
品川区長 高橋久二殿