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菊地貞二区議04年第1回定例会「特養ホーム」「中央環状品川線」「アルゼンチン債」

2004.02.26 菊地 貞二 区議

一般質問項目

  1. 700名余の声に応え、特別養護老人ホームの増設計画と、当面、都南病院跡地利用を
  2. 財政・環境悪化をもたらす中央環状品川線建設は中止を
  3. 品川区のつくった文化振興事業団の損害について

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一般質問

日本共産党区議団を代表して一般質問をおこないます。


700名余の声に応え、特別養護老人ホームの増設計画と、当面、都南病院跡地利用を

始めに「700名余の声に応え、特別養護老人ホームの増設計画と、当面、都南病院跡地利用を」の質問です。

わが党区議団は、幾度かに渡って都南病院跡地に特養ホームを建設するよう要望してきました。区は「利用計画は白紙だと聞いている。推移をみまもる。」という答弁に終始してきましたが、昨日、他会派の代表質問で、病院跡地を利用して高齢者施設を設置する旨の答弁がありました。私も施設の充実が進む事はおおいに歓迎をするものです。しかし、特養ホームが圧倒的に不足しているという現実が変わる訳ではありません。とりわけ、ケァホームのような高額の受益者負担を強いる施設では、多くの区民は入所が困難です。施策を更に前進させ、多くの区民が望み、待ちわびている特養ホームの増設を求めて区民の皆さんからお聞きした介護の経験と、現状について述べたいと思います。

まず、老健施設や病院を数ヵ月ごとに転々としている方のケースです。この方は現在84歳でひとり暮らし、年金は約13万円です。リューマチのために平成8年頃からヘルパーを利用し、近くに住む長男夫婦が入浴や食事の介助をしてきたそうですが、平成10年に自宅で転倒し、入院したことを契機に身体状況は更に悪化したそうです。以後、老健施設と病院を数ヶ月ごとに変わっていく生活をしてきました。現在の施設を退所し、新たな施設に入所しなくてはならない時期が近づくと、ストレスで症状が悪化をすると言います。家族にとっても胸が痛くなる辛い情況です。当初、特養ホームに入所を希望し、春光福祉会に問い合わせをしたそうですが、「入れません」という冷たい返事だけで必要な手続も知る事が出来ずにあきらめ、今回、初めて入所手続きをおこないました。現在は、肺炎で病院での療養となっていますが、差額ベット代などで12月の請求が23万6000円。他にオムツ代などがかかります。経済的にも支える事は不可能な情況といえます。

そして、今すぐに入所させてほしいという緊急性が求められるケースもあります。要介護者は90歳で収入は老齢年金のみ。介護度は4です。介護者自身が透析と、喘息治療のために週4日間通院し、母親の介護をしています。透析時間は5時間におよび、一日いっぱい家を空けることになります。そのため、要介護者は自力でトイレに行こうとして倒れ、家族に発見されるまで動く事も出来ない状況にありました。施設入所をしなくては共倒れになってしまう事から、緊急に特養ホームへの入所を希望しましたが、調整会議まで不可能だといわれ、やむなく地方の有料老人ホームに入所させました。費用負担が困難なため、比較的安い所をさがしたものの300万円の入所料金と15万円という月額利用料です。収入も目減りをしていく情況で、いつまで支えられるか不安の日々を送っています。

こうした実体からも明らかなように、施設入所はギリギリの所まで在宅介護を続けた結果です。区では、「入所希望者は、必要度の高い順番で入所できている」といいます。その、必要度をはかるための、特養ホーム入所調整規準は、第一に介護度3以上であること、第二に年齢が80歳以上であること、第三は、在宅介護情況として、一年以上の在宅介護であることやサービス上限額の2割以上を利用している場合、そして、第四に、介護の困難性をあげ、介護者が70歳以上、複数の要介護者を抱えている、また、介護者が病弱であったり、就労しているなどの、四規準を目安として点数がつけられています。第八回入所調整会議では721名が審査対象となりましたが、このうち434名が病院、老健、その他の施設入所者です。こうした施設入所者は、調整会議にかかる点数規準から言えば低いものとなり、入所は更に困難になります。しかし、先の事例からも、多くの待機者が高い必要度を有しているといえるのではないでしょうか。こうした情況が拡大されているのは、区内571床に半年間で約60名、区外を合わせても90名ほどしか入所不可能という、少ない収用人員が最大の要因です。これに対し区では、特養ホームに変わる施設だとして月額利用料25万から30万円のケァホームを開設しました。定員81名に対し辞退者を除くと119名の応募。二次募集までおこなって入所者を集めましたが、介護度3以上の入所内定者は54名しかいません。特養ホーム入所規準で見ると定員にさえ満たない施設ではありませんか。区はケァホームの開設で選択肢を広げた、サービスの幅を広げたと言いますが、規準も費用負担も特養ホームに変わる施設どころか、まったく質の違う施設であります。東京23区で、平成16年6月までに新設される特養ホームは10施設。建設計画は17区が持ち、計画を持っていないのは、品川区を含め5区にすぎません。介護者、要介護者が共に命の危険にさらされるような事態がある以上、行政が担うべき役割りとして、所得水準に左右されない特養ホームの増設以外にないではありませんか。

また、生活密着型の特養ホームの建設は地域経済や雇用にも大きな影響を与えます。

平成12年に建設された春光福祉会・ロイヤルサニーはショートスティを含め66床、14億6800万円という建設費で、小規模な区内建設業者が十分受注できる4階建ての建築物です。開設後に必要な食材や日常生活用品を、近隣商店街で調達するシステムをつくることで、不況にあえぐ商店の再生となります。雇用の問題でも、介護福祉士の資格をもちながら働く場のない青年が増えています。未来に大きな希望を抱え、専門技術を学んだ青年に仕事を提供していく事にもつながります。ますます高まる必要性やこれらの波及効果を見ても特養ホームの建設は最優先課題といえるのではないでしょうか。

そこで質問します。

  1. 721名の特養ホーム入所希望者は、在宅介護にせよ施設入所者にしろ共倒れの可能性を抱えての介護が続いているとは思いませんか。考えをお聞かせください。
    また、希望者のうち区内で60名、区外を合わせても90名しか入所できない現状でありながら特養ホームは十分整備したという、その根拠を示してください。
  2. 先の事例、2件の方は入所出来るのか、出来ないのかをお聞かせください。
    また、施設入所者の加点が低くなるシステムを改善するよう求めますがいかがでしょうか。
  3. 都南病院跡地を利用して、入所が収入に左右されない特養ホーム増設を図るべきと考えるがいかがでしょうか。
    また、区内の国有地、都有地、区有地を利用した特養増設に向けた基本計画をたてるとともに、老健・グループホームの整備を更に推進するよう求めますがいかがでしょうか。

財政・環境悪化をもたらす中央環状品川線建設は中止を

次に「財政・環境悪化をもたらす中央環状品川線建設は中止を」の質問です。

私は、平成14年一定でこの問題を取上げましたが、環境影響評価の地元説明会がおこなわれる状況下であらためて質問させていただきます。中央環状品川線は、地下30メートルの深いトンネル構造の高速道路で、渋谷・大橋から目黒・五反田・南品川・八潮北までの9・4キロで、10年後の2014年に共用開始をめざして計画を進めていますが、建設費および環境の両面から見て、大きな問題点を抱えています。

以下、問題点を述べ、計画の中止を求めます。

第1は、建設費用の問題です。王子・新宿・品川、3路線の建設費は実に2兆円という膨大なものです。新宿線などは1メートルに1億円もかかり、無駄な道路建設だという世論が広がりました。国の財政危機の原因も道路建設を公共事業として推し進めてきた結果で、国民から道路4公団の管理運営の見直しが強く求められました。東京都が、首都高速道路公団に対し、出資した総額は平成14年度末で1822億円。無利子貸付は2817億円にのぼります。総額で4600億円を超えるという大変な額です。無利子貸付金の財源は、14年度だけで見ても都債が192億円。一般財源で88億円と、都民の借財として背負わせ、税金でやりくりをするという、とんでもない財政支出をおこなっています。しかも、首都高速道路公団の役員は理事長、副理事長、幹事、各1名と理事5名の8名で構成され、副理事長と理事一名は都OBの天下り役員です。理事の月額報酬は92万2千円。2年在職すると退職金は690万円という、驚くべき報酬となっています。一方で、都財政は深刻な危機にあるとして、来年度予算で、公立保育園補助分の92億円を削減する等、都民施策を大幅に切り捨てています。このような中で高速道路建設を進めるのは納得できるものではありません。

第2は、昨年11月に、発表された環境影響評価準備書の内容です。

交通量予測を見ると、大井ジャンクションでは、現状が13万7000台に対して2014年には17万1000台に増加。すぐ脇を通っている国道357号線は2万6000台が5万1000台になります。そもそも品川区では、大崎を中心とした大規模開発がひんぱんにおこなわれています。その中で、将来の交通量を予測する事そのものが意味をなしません。過去の道路建設をみると、1990年当時の外環大泉の予測は3万5000台でしたが、建設後の通過量は5万4293台、首都高有明の予測は3万6000台が5万3758台と予測をはるかに上回りました。

こうした状況下での大気汚染も深刻です。建設予定の路線上にある測定地点の二酸化窒素の数値をみると、健康センター屋上は98年0・077ppm、02年0・081。八潮小学校屋上の数値は、98年0・067、02年0・064といずれも0.06ppmの環境基準を上回っています。浮遊粒子状物質も測定値は環境基準を超え、住民団体が実施しているカプセル測定でも、同様の結果がでています。品川線の沿線には西五反田保育園をはじめとする、子どもや高齢者が日常的に利用する公共施設がたくさんあります。区の公害認定患者は、93年696名だったのが98年には1283名と倍化しましたが、学校の健康診断でも、保健所の検診でも呼吸器系に関する疾患の有無などのデーターは取られていません。区民、とりわけ子どもの健康状態など現状を正しく知ることや大気汚染の実態や分布状況も掴む必要があります。

計画では大気汚染を解消させるために45メートルの高い換気塔を造るとしていますが、実験によると、換気塔から排出されたSPMなどは水平距離75m付近で地上に達するとしています。このままでは、健康被害が増加することは明らかではないでしょうか。

もし、新宿線に続いて品川線の工事が強引に推し進められるなら、健康被害を絶対に拡大させない措置が重要なものとなります。目黒区大坂橋交差点では脱硝装置の設置が、ほぼ本決まりになっていると聞いています。しかし、品川区内は集塵機能だけです。電気式・土壌式の脱硝装置の設置、緑化などは最低限の要求として具体的に求めていくべきであります。

そこで、質問します。

  1. 都は財政が極端に厳しいことを理由に、市町村への各種補助金を大幅にカットしています。このような時に、中央環状品川線建設に財政支援をするよりも、暮らしを守る福祉の充実にこそ支援するべきと考えますがいかがでしょうか。
    また、財政・環境の両面から見ても悪影響のある中央環状品川線の建設は中止を求めるべきだと思いますがいかがでしょうか。
  2. 二酸化窒素やSPMなどの有害物質について、都の説明は「何も問題ない」というものですが、区の認識をお聞かせください。
    また、電気集塵・脱硝装置と土壌脱硝装置など最新設備を同時設置する事や、徹底した緑化対策など複合的な対策を、具体的に要求すべきと思いますがいかがでしょうか。
  3. 計画路線上の大気汚染状況は、区の測定局でも、住民の測定運動でとった数値でも0.06を日常的に上回っていますがこの実態についての認識を伺います。
    また区民検診、学校や保健所での健康診断に検診項目を掲げて定期的に実態の把握をする必要があると思いますがいかがでしょうか。

品川区のつくった文化振興事業団の損害について

最後に、「品川区のつくった文化振興事業団の損害について」、あらためて区長の見解を伺います。

昨年の12月17日、文化振興事業団が保有するアルゼンチン国債1億6千万円分のうち1億円分の償還期限を迎えましたが、利息はもちろん元本もただの1円も戻りませんでした。アルゼンチン政府は、元本の75%削減を柱とする再編案を発表しましたが、この通り実行されると「利息分を含めると元本の削減幅は実際には90%以上になる」と報道されています。残りの6千万円を含め、1億6千万円の不良債券を保有し、事業団にとってたいへん大きな損失となりました。この問題について品川区議会は平成14年第一回定例会において低格付債券の購入を不適切と断じ、なぜ購入したのか疑問が残るとした決議をおこないました。償還されなかった新たな事態にたって、改めて区長としての見解をお聞きします。

この問題を考える上でいくつかの点を指摘したいと思います。

第一に、文化振興事業団は1985年に品川区の意向で設立されたものです。高橋区長が今回の問題で辞任するまで事業団の理事長を務め、副理事長は区の助役と教育長、事務局長は助役が副理事長と兼務、あるいは区の部長級が定年退職後に天下りしています。また、監事は区の収入役があたるなど、事業団の要職はすべて区の役員が占めていました。事業団の財政は基本財産5億円のうち4億7千万円は区民の税金からの出費であり、毎年2億円前後の補助金、同額ていどの管理委託金が投入されている外郭団体です。人も、お金も、仕事も、品川区と一体の団体であるのが実体です。

第二は、区長の指示で行われた区の調査会の「調査報告」では「事業団の寄付行為という規定に『この法人の資産は理事長が保管し、基本財産のうち現金は、理事会の議決を経て、安全かつ有利な方法により保管する』とされており、処務規定では、2千万円以上の契約を締結する時は、理事長が決定手続きを行うこととなっている」ところが、「アルゼンチン国債は、相見前副理事長の指示により星野新事務局長が購入の決定をおこなっている。これらの手続きは、寄付行為および処務規定に違反している」といって、相見氏や星野氏の行為を「違反」行為と断じています。

第三は、アルゼンチン国債の購入に関して数々の違反行為が重ねられ、しかも不良債券となっているのに、相見氏らの違反行為を告発もせず、事業団は予定されていた利息分は貸し倒れ引当金で処理し、元本の損害も確定次第、欠損処理を行うなど損害をまるまる事業団が請け負うという決定をおこないました。「調査報告」や議会であきらかになった、主な違反行為をあげると、1つは、相見元助役らが、文化振興事業団の基本財産を理事長や理事会に諮らず、かってに処分し、債務不履行の危険を承知で区長の印鑑を無断で使ってアルゼンチン国債を購入したこと。2点めは、公益法人の財産運用のルールを全く無視して、基本財産も、運用財産もなんの区別もなく、都教育委員会の承認もなく、資金運用が乱脈を極めていたこと。3点めに、事業団の財産目録に、あたかも日本国債を購入したかのように「国債」とだけ記入して偽り、アルゼンチン債購入の事実を隠したこと。なぜ、虚偽の目録をつくる必要があったのか。たいへん疑問です。4点めには、事業団の監査で、寄付行為や処務規定に重大な違反する行為があったのをなぜ、チェックできなかったのか。さらに、資産の保管義務をもつ理事長が、違法な財産運用を1年間も「知らなかった」というのは、きわめて異常です。このようなズサンな事業団運営の結果が、今回のアルゼンチン国債問題です。当時の理事長の責任は重大です。

第四に、不良債権となった1億6千万円は区民生活にとって大切な財産です。例えば、一人2万円が貸し出される応急小口資金は、予算が無くなると1万5千円まで減額されるようですが、困窮した区民にとって最後の砦となる資金貸付です。1億6千万円という金額が資金となれば多くの困窮者を救済する事ができます。2月13日付け、読売新聞にアルゼンチン大統領が「債権者はカジノにいったのだ」と発言した記事が掲載されましたが、そのカジノのツケを区民に押し付けることは絶対に許せるものではありません。自らの不始末で重大な損失を発生させながら、1億6千万円が失われても事業に支障がないといっている事業団に、なぜ区民の貴重な税金を投入する必要があるのでしょうか。

そこで質問します。

  1. アルゼンチン国債の1億円分が1円も戻ってきませんでした。この事態をどう受け止めているでしょうか。補助金を出す品川区の区長としてのお考えをお聞かせください。
  2. 区長は、この問題について区民に直接語ることを拒んでいます。区が調査会で「報告書」までつくり、区議会では時間もかけて集中審議なども行なわれました。しかし、区長は「区議会に報告したから区民への報告は必要ない」とか、「アルゼンチン国債問題は事業団の問題」といって区の広報にさえ一回も掲載せず、区民への説明責任を果たしていません。主権者である区民に全容を説明すべきと思いますがいかがでしょうか。

答弁

高橋区長

菊地議員のご質問のうちアルゼンチン国債についてお答えします。

品川文化振興事業団におかれますアルゼンチン国債の問題につきましては、平成14年2月26日の議会運営委員会の決定によりました。3月4日総務委員会で事実経過を報告し、予算特別委員会におきまして審議本会議で**に関する決議がなされました。財団ではその決議にのっとり諸規定の整備や手続きの明確化などただちに実施をしました。

なお、同国債の現状につきましては、財団の理事会や小委員会で報告し了承されることでございまして、毎度申しあげておりますが、この問題の取り扱いにつきましては、文化振興事業団の評議委員会・理事会において決定されるべき問題と考えております。

保健高齢事業部長

私からは、特別養護老人ホーム(以下、特養ホームで統一)に関するご質問にお答えいたします。

まず、「特養ホーム入所希望者の介護者を含む状況について区の考えは」とのことですが、高齢者を介護されているご家族には心身両面でご苦労が多いことと認識しております。このような現状に対し、区ではケアマネージャーが可能な限り相談にのる体制をとるとともに、介護者の心身の健康にも留意し、介護負担軽減のため、デイサービスやショートステイの活用による休養の確保を行うほか、介護者教室や激励事業などを実施し、介護するご家族への支援活動にも力を入れているところであります。

次に、特養ホームの入所状況ですが、年間180人程度の新規入所の実績があり、必要度の高い方にはほぼ6ヶ月以内で入所がなされるよう調整につとめております。今年4月からは『ケアホーム西五反田』の運営が始まることにより、81人の定員拡大がなされます。また、3月からは区内で初めてのグループホームが大井6丁目で民間事業者により開設されますが、品川区民を優先するかたちで運営が行われます。さらに、17年度にはしゅんこう福祉会がグループホームを開設致します。このように、区では時代のニーズに対応すべく、トータルに入所型の施設サービスを着実な拡充を図っております。

次に、事例にあげられたお二人の場合ですが、入所可能かどうかの判断は直接ご相談を受け、事情を把握しなければ判断できるものではございませんので、この場ではご答弁できかねるものでざいます。また、病院や老健といった施設入所中の場合と在宅で介護している場合との判定基準の考え方ですが、特養ホームの入所判定基準には五つの要素がありますが、このうち、要介護度、年齢、在宅看護期間、在宅サービスの活用度の四つについては施設入所者と在宅生活者で差はございません。残りの介護の困難性について、在宅で介護中であれば加点をされますが施設入所中は加点されないこととしております。在宅介護中の家族が高齢であったり、病弱であれば入院中の場合と比べて優先度が高いと考えられるからであり、入所調整会議においても妥当なものと判断されております。

次に、「都南病院跡地に特養ホームを」とのことですが、特養ホームについては一定の水準に達していることから、今後の入所施設の整備につきましては特別養護老人ホームに変わるものとして、ケアホームやグループホームなど新しいタイプの入居施設が必要と考えております。都南病院跡地につきましては、昨日、伊藤議員の代表質問にお答えしましたとおり、グループホームならびに地域の方々が利用されるデイサービスやショートステイといった在宅介護支援施設を整備する方向で検討をしております。

環境清掃部長・清掃事業部長

それでは私からは、中央環状品川線に関するご質問にお答えします。

まず、建設の必要性についてでごさいますが、都内の都市高速道路は東京圏における交通の大動脈として生活を支える重要な役割を担っております。東京都では自動車交通の円滑化など、高速道路本来の機能を今後さらに発揮させるためには、首都高速や中央環状線などの環状方向の路線を重点的に整備することが必要であり、このことが環境改善に寄与するとしております。

次に交通量の増加による環境面での影響の問題ですが、この計画案は中央環状品川線の供用によって、環状六号線を利用している通過交通を高速道路に転換し環状六号線の交通量を現状より概ね一割から二割程度減少させると共に、併せて渋滞の緩和をはかることとしております。その結果として、この周辺の環境改善がはかれるものと考えております。また、換気塔設置に伴う排ガス浄化対策などにつきましては、三月下旬に東京都が開催します公聴会での状況も踏まえ、環境影響強化準備書の中で総合的な観点から意見を述べてまいります。

次に、計画路線上の大気汚染状況につてでございますが、区は平成8・9年に大崎郵便局前、平成14年に居木橋交差点、その他毎年度区内の使用幹線道路の交差点数カ所で自動車排ガス測定を実施しておりますが、いずれも二酸化窒素は環境基準を上回っております。この原因は、自動車交通量の増加、慢性的な渋滞などによるものですが、この計画により自動車交通の分散、渋滞の緩和がはかられることにより環境の改善につながるものと考えておりますので、今後改めて実態把握のための区民検診などを行うことは考えてございません。


再質問

菊池区議

自席から再質問させて頂きます。

まず、最初にお答えくださった品川文化振興事業団の問題でありますけれども、相変わらず「内部問題である」というお答えでしたけれども、区長は選挙公約の中で『タウンミーティング』を開くということで先日開催をされましたけれども、このメッセージの中で、「より自由な立場で率直なご意見をうかがう場として設けた。」というふうにおっしゃっていました。ところが区民の中で、この問題について区長にお聞きをした方がいらっしゃって、その方には今私にお答えくださったような極めて簡潔なお答えをくださったわけですけれども、区長が「より自由な立場で区民の声を聞くんだ」ということであれば、区民が出した声に対して、きちんと、反省をすべきところは反省をする。今後の問題については今後の問題として語る。という姿勢が必要なのではないかと思います。そういう意味で言えばこの問題というのは、1280億円という巨額な財政を運用するという立場の長としては信頼できるものではありません。いずれにしても「事業団の内部問題だから」ということでこの問題が済まされるものではないということが区民の意見として申し述べておきたいと思います。

特養ホームの問題については、「一定の水準に達しているので特養ホームは建設をしないんだ。」ということでありますけれども、先ほど西五反田が81人という話も出されていましたけれども、ケアホームが特養ホームに変わる新しい施設なんかでは決してない。(「そうだ」の声)というのは応募実態などからも明白になったと思うんですね。特養ホームであればほとんど入所不可能な方27人が入居の内定をしているわけですから。実際にこういうみなさんを入居させなければうまらなかったわけですよね。「ケアホームが特養ホームに変わる施設だ」というのは今回のことで完全に破綻をしたと思います。(「そうだ」の声)先ほど私が事例であげた方は300万円という入所料金を借財でまかなっているんですね。やっぱりこういう実態をきちんと押えておいていただきたい。そういう上に立って改めて特養ホームの建設計画・整備計画というものを持っていくべきだというふうに思います。一定の水準に達したと言っていますけれども、実際には23区を見ると、これからの建設計画を含めますけれども、23区中18番目だということですから、「充分に整備をしてきた」ということは言えないと思います。この点について改めてお聞かせを願いたいと思います。

それから、中央環状線の問題であります。「これを建設することによって円滑化をはかるんだ」「環境改善をはかるんだ」ということでありますけれども、首都高速道路の年報というものがありまして、これを見ますと1965年に32.8qだった高速道路が、1992年には220q。7倍に距離が広がったんですね。しかし、距離は広がったけれども渋滞時間というのは1965年が19時間、1992年になると209時間、11倍へと増加をしている。つまり建設の倍の速度で渋滞がどんどん増加をしていっている。こういう年鑑があるんですね。

それから準備書のなかみですけれども、このあらましの中に「STM、予測可能な物質、一次生成物質を対象とした。」というふうに書かれているんですね。一次生成物質ということは車の排ガスそのものを基準としているというふうになりますけれども、実際に環境省などの指針を見ますと、「STMの予測マニュアルというのは排気以外の2次生成物質や粉塵といった多岐にわたる測定をしなくてはならない。」というふうに書かれていまして、国土交通省の環境アセスメントの技術指針にも「汚染源のみで計測をして良い」とは一切書かれていないんですね。これはまさに環境基準の問題からも中止を求めていきますし、財政上の問題で言えば、先ほどお話をした数字ですけれども、年間首都高速に無利子で貸し付けるお金を有利子で借りて、平成11年度で61億円の利子を払っている。61億円の利子があれば、これまで東京都が「財政難だ」と言って削ってきた施策を充分に復活をさせることができると思います。こういった理由からも建設中止を求めていく充分な理由になると思います。お聞かせください。


再答弁

保健高齢事業部長

特養ホームに関わる再質問にお答えします。

まず、「西五反田に開設するケアホームが、特養ホームに変わる施設ではない。」とのご質問でございますが、私どもがこの間、今後の新しいタイプの入居型の施設としてケアホームを特養ホームに変わる施設ということで計画をしてきた内容は、特養ホームもケアホームも基本に食事等の生活サービスと介護のサービス、そして住まいの機能の三つのサービスを一体的に提供する施設であるということにおいて、同じ機能同じ目的であると言うことを申しあげているものでございます。

それに対してそれぞれ具体的に違うものは、特養ホームは何人のスタッフで介護をするかという基準により介護報酬が決まっていますが、基本的には四人部屋を基本にしたケア体制を想定しているのに対し、ケアホームについては居住性を配慮した今後の施設の姿として個室タイプを整備していくというものでございます。したがって、業者とも介護保健の対象ではありますが、それぞれケアホームはケアハウス制度を老人福祉施設の基本の施設として適用し、介護の部分を介護保健の給付を与える。という、制度上の支える仕組みが若干違うということはございますが、介護・食事・住まいのサービスを一体的に行うことにおいて同様の主旨だということで計画を立てているものでございます。

それから特養ホームが一定の水準であると言うことでございますが、これまでも繰り返しご答弁申し上げていることように、50年代後半からの20数年の区の整備努力によりまして、現在七つの施設が区内にございます。現在、介護保険事業計画の特養利用者の計画値を900人というふうに掲げておりますが、平成15年度上半期で900人を若干上回る利用者が利用をして頂いているということでございます。この水準につきましては、詳細な数値は持っておりませんが23区の中で一定上位の中にあると私どもは認識をしております。(共産党から「下から6番目だよ」との声)

環境清掃部長・清掃事業部長

菊地議員から何点かのご質問とご意見がございましたけれども、ご意見があった旨を事業主催であります東京都にお伝えをしてまいりたいと思っています。(場内騒然)(共産党から「うちだけ言わないでよそにも言ってよ」との声)


再々質問

菊地区議

いま答弁いただきました特養ホームの問題でありますけれども、目的が同じだということですけれども、最大の要因になるのが受益者負担。ようは、「利用する人は自分でこのお金を払ってくださいよ。」ということで成り立っているわけですよね。そこは特養ホームとはまるっきり違う。私が事例で挙げたみなさんもそうですけれども、「経済的には絶対不可能なんだ」というみなさんの事例を挙げたわけですから、今の部長のお話で言えば実際に700人の待機者のみなさんは絶対に入ることはできないわけですよね。

最後にお聞きしたいんですけれども、それでは部長はいったい何人の待機者ができれば新しい特養施設の増設計画もっていくのか。ここだけお答えください。


再々答弁

保健高齢事業部長

特養老人ホームの今後の増設はどういう状況かというご質問でございますが、特養老人ホームを含む入所型施設、あるいはその他のハード基盤の整備につきましては、ご案内のとおり3年ごとに見直しをします介護保険事業計画を含む高齢社会福祉総合計画の中で5年間の計画を決めるものでございまして、そういった中での議論の中で、今後どのような施設をどのように整備していくかを決めて方向性が決まっていくものというふうに考えております。

以上

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