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2004年第3回定例議会一般質問(なかつか亮区議)

質問
>>「競争教育・つめこみ教育の小中一貫教育は見直しを」
>>「教育委員会は、区民にも議会にも情報の公開を」
>>「青年に仕事と生きがいを 早急な雇用対策の実施を求める」
答弁
再質問
再々質問


日本共産党品川区議団を代表し、一般質問を行います。始めに教育ついて2点にわたり質問します。まず一点目は

競争教育・つめこみ教育の小中一貫教育は見直しを

についてです。

品川区は、2006年大崎地区の日野中学校と第二日野小学校を一緒にした小中一貫校を開設。翌年には大井地区の伊藤中学校と原小学校で2校目の一貫校を開設します。さらに2006年度から2つの一貫校と同じ教育内容を区内すべての公立小・中学校で実施をめざしています。

教育内容については今年8月27日、教員を対称に小中一貫教育に関する説明会を開催。翌日の新聞報道では、朝日新聞「国語は3,4年生で授業時数を現在の学習指導要領より年間50時間増やす」、東京新聞「中3までに習得する漢字1945字を7年生(中一)までに前倒しする。算数・数学は小学校で年間125時間、中学校で43時間増やす」と報道しました。

小学校低学年から、算数・国語の時間割を週1〜2回ほど増やし、方程式や負の概念など中学校の内容を小学校へと前倒し。さらに5年生からのステップアップ学習は異学年による習熟度別学習。9年生は、高校の内容も取り入れるとしています。

このような一貫教育について、子ども達がしっかり学び成長していけるのかどうか、父母や地域の方から不安の声が寄せられています。2点指摘します。

第一点目はたのしく授業が学べるのかという点です。ある保護者の方は「小学校2年生から毎日、毎日、1日31文字の、漢字プリント学習の宿題が出される。わが子は、1日の授業だけでもぐったりなのに、家に帰っても宿題の山。なぜ、ここまでやらせなければいけないのか」と話していました。

また、小学校では、授業実数の確保のために、低学年から午後の授業が行われています。始業式や終業式も給食を行い、午後まで授業をする学校も品川区では珍しくありません。今年は、開校記念日や都民の日に授業を行い、土曜授業参観の振替休日もないという学校も生まれています。

ある小学校の先生は「金曜日の4時間目ともなると、子どもは一週間の勉強疲れがピークに。算数の授業の時は、子どもたちは眠たそうな目で黒板をボーと眺め、ジッと耐えるように座っている。とても授業に集中できる状態ではない」と話していました。

1998年9月に文部省が発表した「国民の健康・スポーツに関する調査:自分が不安に感じている原因」によると「授業がわからない」と挙げている小学6年生は47・7%、中学3年生52・1%。小中学生のおよそ半分が、「授業がわからない」と答えています。品川区は、学力を高めようと、これでもかと、つめこみ、競争教育を進めた結果、子ども達は勉強、勉強でくたくたに、さらに半数もの子どもが「授業がわからない」と訴えていることを直視すべではないでしょうか。

2点目は習熟度別学習による弊害についてです。品川区教育委員会(区教委)はこうした子ども達の現状に対し、一貫教育では「習熟度に応じた学習集団に分けて指導を行う」「教科、あるいは単元ごとに習熟状況に応じ、学習集団を編成し一人ひとりにふさわしい指導を行う」とする習熟度別学習の徹底で問題なしと説明します。しかし、習熟度別学習の教育効果についての研究は、1970年から80年にかけて、アメリカを中心に世界中で行われ、カルフォルニア大学のジョニー・オークス氏は「小学校、中学校における習熟度別学習によって学力が向上したという実例はない」とし、特に下位の「できない子」には強い劣等感を与え、危険だと指摘しています。

わが党はこれまでも、習熟度別学習の無効性と危険性を度々取り上げてきましたが、世界規模の研究結果は習熟度別学習が、いわゆる「できる子」にとっても「できない子」にとっても否定的な教育効果を示されています。一貫教育の実施が子ども達の深刻な学力低下を引き起こすことは、明らかではないでしょうか。

以上2点述べましたが、日本の教育は世界的にも、強く批判されています。今年1月の国連子ども権利委員会は政府に対し、日本の教育が「子どもの肉体的及び精神的な健康に否定的な影響を及ぼし子どもの最大限可能なまでに発達することを妨げている」と前回に続き2度目の是正勧告。国際的にも、強く批判されている、現行の学習指導要領をさらに上回る他に類を見ない品川区の一貫教育が、いじめ、不登校、学級崩壊の引き金を作りだし、子ども達の将来に取り返しのつかない事態を招くことは必死です。

最後に、競争教育から、協同の教育へ、30人学級の導入に足を踏み出すことを求めます。学校が抱える問題、いじめや不登校、学力の低下などを克服する教育改革として、進められた少人数学級は現在全国42道府県に広がりました。来年度から実施する所を含めると、いまだに40人学級を続けている自治体は香川県と東京都だけです。一刻も早い導入が待ち望まれています。30人学級が学力や人格の形成に効果が期待できることは、もはや疑いのない事実です。9月14日、わが党都議団が東京都教育委員会に行なった30人学級導入の申し入れに対し都教育長は「個々の自治体が、自分の財政負担で30人学級をやるというなら、尊重する」と発言しています。わが党の試算によると、小中一貫校及び小中一貫教育にかかる費用は、総額で約190億円。品川区が独自に30人学級を10年間行う費用は約159億円。今こそ、品川区は小中一貫教育を見直し、30人学級の導入こそ実施すべきだと思います。以下質問します。

  1. 先生と子どもが触れ合う時間が減り、つめこみ・競争教育を柱とする小中一貫教育の内容は、いじめ、不登校、学力低下など深刻な事態を招くと思いますがいかがでしょうか。
  2. カルフォルニア大学のオークス教授の研究など、世界規模の教育研究が習熟度別学習の無効性と危険性を示しています。このような国際的な教育研究について、品川区は、いつ、どのよう検証を行い、小中一貫教育に反映されているのでしょうか。
  3. 小中一貫教育の内容は、国連子ども権利委員会が、今年一月に出した是正勧告に反すると思いますがいかがでしょうか。
  4. 全国42道府県に広がる少人数学級の教育効果を、なぜ、品川区は否定するのか。今こそ、小中一貫教育を見直し、30人学級を実施すべきと思うがいかがでしょうか。

続いて、教育についての2点目の質問は、

教育委員会は、区民にも議会にも情報の公開を

についてです。

小中一貫教育は、教育の中身の問題と共に、進め方にも大きな問題があります。いくつかの具体的な事例をあげ、区民にも議会にも開かれた教育委員会へと強く改善を求め質問を行います。

区教委はこれまで、一貫教育の教育内容について、「詳しいことは現在検討中である」と繰り返し答弁し、決して説明することはありませんでした。

8月18日付東京新聞は「小中一貫教育の準備を進めている品川区教育委員会は17日までに、具体的なカリキュラム内容の中間報告をまとめた」「今月27日には、区立校の教員らに、中間報告の説明会を実施する」と報道。私は説明会への傍聴を申し入れましたが「今回の説明会は教員の研修会を兼ねたもの。参加対象は教員と限られているので、議員の参加はご遠慮願いたい」と回答、参加できませんでした。

しかし、驚くことに、区教委はマスコミに対し事前に「小中一貫教育の説明会を開催します」「各カリキュラムの検討内容の概要について説明する」「本件についての報道関係の方からの問い合わせは、教育改革担当課長または小中一貫教育担当までお願いします」と通知。当日の説明会には、朝日新聞、東京新聞、読売新聞、産経新聞が参加していました。なぜ、マスコミには公開し、区議会議員には非公開としたのでしょうか。説明会の内容は、3日後の文教委員会でも報告がありません。区教委はあまりにも議会を軽視しています。

教育委員会事務局による、このようなマスコミ先行、議会軽視の姿勢は、今回だけではありません。1999年の学校選択制導入の際には、9月28日の第9回教育委員会定例会で審議する3日前に、朝日新聞が報道。当時の教育委員長は「委員会での結論が出る前に新聞に掲載されたことは、委員会運営にも問題を残す」と発言しています。

また、2002年の小中一貫校新設の際も、議会への報告の3日前に朝日新聞が、委員会開催の当日の朝にはNHKが報道しました。当時の文教委員会委員長は「本来であれば、まず委員会で報告をいただいて、それからマスコミに対する記者会見等で発表するというのが一つの筋」と発言しています。このように、区教委は教育行政の重要な決定に際し、区民そして議会をあまりにも軽視しています。

区議会議員の本会議質問を作る際の、行政からのデータや資料の提供も同様です。区教委はプラン21の中で「開かれが学校づくり」を掲げ、教育情報の積極的な開示を進めるとしながら、すまいるスクールの学校平面図や教育委員会における小中一貫校審議の委員会及び議事録など情報は一切公開していません。行政の都合で、情報の公開の有無を決定することは絶対に許されません。

私が区議会議員になったのは「住民の生の声を直接政治の場に届けよう」と思ったからです。しかし、区政の実態は「検討中なので話せません」「決定事項ですのでご理解ください」これでは、区の決定に際し、住民の生の声を直接政治に届けることができません。

今年3月の予算特別委員会、情報提供について、高橋区長は「決して情報を隠匿(いんとく)するわけではございません」「私のほうでは、その問題は出すのはやめようじゃないかとか、そういうみみっちい考えで言っているわけではございません」と答弁しています。自らのさじ加減で情報の公開に制限をかける、区教委の姿勢は区民の信頼を大きく崩し、区長との発言とも反すると思います。

そこで質問します

  1. なぜ、8月27日の「小中一貫教育に関する説明会」は、マスコミには公開し、区議会議員には非公開としたのか。その理由を示してください。
  2. 8月27日の説明会の傍聴や、すまいるスクールの平面図、教育委員会定例会の小中一貫校に関する審議の非公開等は、高橋区長の発言「決して情報を隠匿するわけではございません」と相反すると思いますが、区長の見解を求めます。

つづいて、

青年に仕事と生きがいを 早急な雇用対策の実施を求める

についてです。

今年7月の総務庁の調べでは、完全失業者数318万人に対し15歳〜24歳が62万人、24歳〜34歳が92万人と、完全失業者数の48%が若年層で占められています。青年の雇用状況は「失業者の2人に1人が若者」という前代未聞の深刻な事態です。

私は、今年の夏の就職活動の様子を伺いました。ある大学4年生の方は「一社ずつ、会社の第一印象、自己PRを丁寧に書き、資料請求。これが今年に入って40社。一次面接、二次面接、やっとの思いで、たどり着いた、最終面接は1社のみ。しかし、面接では、自己アピールもするまもなく、親の職業を聞かれ、不採用に。夏の暑い中、黒のリクルートスーツを着て歩き回った、苦労が一瞬で水の泡。大学生活の最後の一年間、夏休みの友達との約束も断って面接会場に行ったのに、ゴールの見えない就職活動に毎日が、かきまわされて」と話していました。

また、昨年大学院を卒業し、製薬会社の研究室に就職した方は「やっとの思いで就職したこの会社。少しのことではへこたれないと自分に言い聞かせてがんばりました。新人は12人。しかし、まともな新人研修もなく「大学院まで卒業して、こんなこともできないのか」と毎日のように怒鳴られ1ケ月で同期は半分に。社長は「最初から2人ぐらいが残ればよいと思っている。いやならやめて結構」と新人がやめていくのを待っている様子。こんなことで負けてたまるかと思い2ヶ月がんばりましたが、毎日の罵声と、無理な残業で体はボロボロ。夜寝ていても社長の声が耳から離れない。ある朝、全身に湿疹がでて、顔もはれ、そのまま入院。会社を退社しました」。

こうした事例は決して特別なことではありません。一人の人間が、まるで、ものように扱われ。健康保険書もなく病気になれば全額自己負担。雇用保険にも入れず、失業と共に、収入がゼロに。国民年金は未加入。将来にわたって、生活の保障が全くありません。一人の社会人としての生きる道を絶たれている現実を、高橋区長はどのように思うのでしょうか。こうした事態を黙認することは許されません。

青年の雇用状況を作り出した背景について、品川区は「就職や労働に対する若者の意識の多様化」などを挙げ、青年に多くの安定した雇用の場を提供するのではなく、青年の就職意識を変えて、現状の雇用・失業状況に適応させようとしています。政府もまた、若者の就職意識の低さを理由に挙げています。

しかし、青年自身のやる気がこうした、戦後最悪の就職難を作ったわけではありません。大企業の身勝手な雇用政策、これを応援している政府が、バイト、派遣、請負といった不安定労働者を作りだしているのです。品川区もまた、効率化の名の下に非常勤職員へと雇用を流動させています。若い力が発揮されない社会に未来はありません。

青年雇用対策の実施は、各区に広がっています。世田谷区では産業振興部がハローワーク渋谷と共催し、合同就職面接会を開催。また、区内高校の生徒が区内企業で就職体験を行う、インターシップ事業も行っています。江戸川区では生活振興部がハローワークと共催し、若年者就職面接会を開催。「ほっとワークえどがわ」の名称で、若年者から高齢者までの、フルタイム、パート、内職の職業相談、紹介事業を開始しています。

私は東京仕事センター、労働相談情報センター(旧大崎労政事務所)で話を伺いました。東京仕事センターでは「労働行政は国と都の仕事だが、区からの具体的な相談には、積極的に応じていきたい」と話していました。労働相談情報センターでは、現在、管轄(かんかつ)地域が品川区、目黒区、大田区、港区、世田谷区と広がり、労働相談の担当者は「1人で一ヶ月、100件を越す相談。もっときめ細かく対応したいが、次の相談が入っているので打ち切ることある。きめ細かい対応のためには、品川区の産業振興課や男女共同参画事業など様々な事業と連携が必要」と話していました。品川区は早急に国や都との協力体制を整え、青年雇用対策を実施すべきです。以下質問します。

  1. 社会への始めの一歩が踏みにじられ、一人の社会人としての生きる道を絶たれている青年の雇用実態を黙認することは許されません。早急な青年雇用対策の実施を求めますがいかがでしょうか。
  2. 平成15年第3回定例会のわが党の質問に対し「品川区として何ができるかということを検討してまいりたい」と答弁しているが、区として何ができるのか、今日までに、いつ、どのような検討がされてきたのか具体的に示してください。
  3. 他の区は既に実施していますが、品川区も国や都と連携をとり、就職相談会や労働相談会などを開催することは可能だと思いますがいかがですか。

以上で一般質問を終了します。ご静聴ありがとうございました。


答弁

高橋区長

中塚議員の「青年の雇用対策」に関するご質問にお答えを申し上げます。

先日公表されました労働経済白書におきまして、働く意欲を持たない「ニート」と呼ばれる若年無業者の問題が多くクローズアップされているように、若者の雇用問題の背景には、社会、システム上の問題のみならず、若者の意識の多様化など様々な要因が複雑に絡んでいる事は正規の事実でございます。

こうした中で政府は本年度から、昨年取りまとめた「若者自立・挑戦プラン」を基に、各省庁の連絡による総合的な雇用対策に本格的に着手を致しました。東京都におきましても、昨年の雇用・就業対策審議会答申を基に、東京都の実情に即した対策に乗り出しており、本年7月には、きめ細かな就職支援ノンストップサービスで行う「東京仕事センター」の開設をしてきたところでございます。また最近では、ハローワークの求人情報が、インターネットや携帯電話で得られるほか、規制緩和により民間の就職支援会社の企業活動が活発化するなど、様々な取り組みが展開をされてきております。

このように、若者の雇用問題の解決に向けまして、その対策もこれまでに無く多方面にわたり、急速に進展しつつあるものと認識をしているところでございます。

次に品川区の取り組みについてのお尋ねでございますが、ただいま申し上げましたように、現在、国や東京都を中心として、若者向けの雇用・就業対策が急ピッチで進みつつあります。その内容も、情報提供から相談、カウンセリング、能力開発、斡旋に至るまで、就職支援に関わるメニューが網羅されているものとなっております。

このように、状況の変化が激しい中にあって、区と致しましてはまずなによりも、国や東京都の取り組みの推移を確実に見極めること、そして、権限や役割分担をふまえつつ、内容の充実に向けて、区として補完すべきもの、身近な区が実施した方が効果が得られるもの等を的確に把握をし、区ならではの取り組みの方向性や具体策を練り上げていく事が肝要と考えております。以上の観点に立ちまして、現在検討を進めてるところでございます。したがいまして、各種相談の開催等につきましても、只今申し上げました品川区としての取り組みの検討状況を踏まえまして、総合的に判断すべきものと考えております。

教育長

私から小中一貫教育についてのご質問にお答えいたします。

まず、「授業時数を増やす事が、いじめだとか不登校、学級崩壊の引き金になる、そういう要因を作り出すのでは」というご懸念でございますけれども、こうした問題については、授業時数が多いから勉強が嫌いになるとか、いじめ等の引き金になるというように、短絡的に捉えられる問題ではなくて、様々な要因が存在するものと考えております。

また、議員が示されました「子どもの自宅学習についての報告」でございますけれども、これも授業時数との直接の関係を明らかにしているようには思えません。勉強嫌いから自宅学習が減少している現状や、学ぶ事の意味がわからない、学ぶ事から逃げ出す子どもたちの姿、こうしたものを打破するためにこそ、小中一貫教育の中で、個に応じた学習を行い、子どもたちに学ぶ事の喜びや楽しさを実感できるようにしたいと考えています。そのための教育計画に基づいて、必要時数を算定したものであり、週当たり1時間から2時間程度の増を見込んでおります。従いまして、これを決して「詰め込み教育」というご指摘は当たらないと考えております。

また、「先生と子どもたちとのふれあいの時間が減る」というようなご懸念でございますけども、小学校の教科担任制の導入によりまして、複数の教員と子どもがふれあう機会が多くなります。さらに、少人数指導や個別指導での関わりを含めますと、教員と子どものふれあう時間は、かえって今よりも増えるものと考えております。

また、次に指導方法についてですが、習熟度学習につきましては、1年生からではなく3年生から導入したいと考えております。これまでも再三お断りしておりますが、「品川区における習熟度別学習」については、一人ひとりの子どもたちに合った教育を行うことを主眼としておりまして、議員が根拠とされる報告とは、根本的な視点が異なっております。あくまでも習熟度別学習は、学習活動の中でのひとつの方法であり、全てではないことを理解いただいた上で、小中一貫教育全体を評価していいただきたいと思います。

なお、習熟度別学習が効果を挙げているということは、文部科学省が提出いたしました「学校教育に対する意識調査」の速報の結果でも、76.6%の校長・教員が「効果があった」と回答していることからも明らかでございます。

次に、「国際的な日本の競争教育への批判」についてですが、何を根拠に「小中一貫教育が現行学習指導要領をさらに上回る、他に類を見ない競争教育を子どもたちに押し付ける」と指摘されるのか、私どもには全く理解できません。教育委員会としましては、小中一貫教育によって、品川の子どもたちの確かな学力と豊かな心が育めると確信しております。小中一貫教育では市民科の新設などを通して、子どもの精神面の発達を十分サポートするとともに、小学校から中学校への接続によって生じる心理的負担を軽減した、ゆとりある教育環境の下で、系統的な教育活動を行うものです。従いまして、国連子どもの権利委員会の勧告にある、「競争的な教育制度」にあたるものでは、全くございません。

最後に「30人学級」についてですが、これも何度となくお断りしております通り、現在「学級編成等に関する法律」によって、東京都は「1学級40人」と定められております。各校では少人数指導を取り入れながら、習熟度別学習等を実施して十分に効果を挙げており、今後とも学習や生活の様々な場面、ねらいに合わせて、多様な学習集団を編成し、一人ひとりの生きる力を育んでまいりたいと考えております。

教育次長

私からは教育についての2点目の質問にお答えいたします。

まず、8/27に開催した「小中一貫教育説明会」についてのお尋ねでございますが、この説明会は現時点での教科・カリキュラムの検討状況について、区内小中学校の教員に説明をし、共通理解を図るとともに、任命権者を同じくする都内の教員にも、小中一貫教育に対する意欲と関心を持ってもらうことを目的として、開催したものでございます。

「なぜ区議会議員には非公開としたのか」というお尋ねでございますが、公開・非公開という問題とは異なり、会議にはその目的によって、どなたでも参加していただけるものと対象者を限定するものがあります。今回の説明会はあくまでも、教員を対象とした研修の一環として実施したものでございます。従いまして、中塚議員からは「区議会議員が参加できない、おかしい」との申し入れが教育委員会にありましたが、説明会の性格をお知らせした上でお断りをしたしだいです。報道に対しては、都内の教員への事前周知を図る目的で、教員対象の説明会を開催することにパブリシティーを行ったのであり、当日申し込みがあったものについては取材を受けたのでございます。区議会に対する説明につきましては、これまで必要なつど報告をしてきておりますが、小中一貫教育の教科・カリキュラムの検討状況につきましても、適切な時期に文教委員会へ報告をする予定でございます。

次に「情報提供の姿勢」に関するご質問ですが、所管の委員会等に提出している行政情報に加えて、さらに、議員個人が資料提供を希望される場合には、「品川区情報公開個人情報保護条例」に基づき取り扱うことを原則としております。情報が公開対象文書であり、かつ、一般的に公表または資料化されているものについては、情報提供という手続きにより対応させていただく場合がございます。従いまして、その他の文書については、通常の公開手続きによることをお願いしておりますが、これらの取り扱いは、議員が資料提供を希望する場合の手続きに関し、本年3月の予算特別委員会で、区長から答弁申し上げた趣旨とはなんら矛盾するのではないと考えております。


再質問

中塚亮区議

自席より再質問をしたいと思います。

一貫教育についてですけれども、詰め込みや競争教育ではないというお話がありまして、個々に応じた教育をしていくんだという説明でしたけれども、一貫教育では現在の授業時数より何時間増えるのか、9年間で418時間も増える事になります。また、漢字では、小学校3年生の時点で、小学校4年生の習う200字の漢字を85字、3年生に前倒し、小学校4年生では、小学校5年生で習う185字をそのまま4年生に前倒し、今小学校5年生では、小学校6年生で習う181文字をそのまま5年生に前倒し、これがどうして詰め込み教育にあたらないのか、私には全く理解できません。上級学年の内容を前倒しして、難しい内容を教え込む。算数では、方程式や負の概念、これを小学校でやる。こうした詰め込み教育が、今現場では何が起こっているのか。先程小学2年生の宿題の例を話しましたけども、小学校2年生から毎日毎日漢字のプリント学習、31文字の宿題が出されている。また学校では、始業式も終業式も午後授業が行なわれ、開校日も都民の日も、土曜参観日の振替休日も無い。これはまさに、子ども達に苦痛を与えているものでしかないと思います。こうした苦痛が、いじめや不登校、学級崩壊の引き金となるとは思わないのでしょうか。なぜこうした詰め込むことが「楽しい」と感じる学校になるのか、説明していただきたいと思います。

2点目の30人学級について一言述べさしていただきたいと思いますけども、30人学級の実施は、先程紹介したように現在42、来年では40人学級をやるのは香川県と東京都だけです。しかも国はですね、30人学級に対する必要な教員の加配はもうすでに認めております。また東京都も、「区がやりたいなら尊重する」、こう言っているんですね。ずばり品川区は30人学級を否定する理由として、何が一番ネックになっているのか、30人学級の効果が無いのか、それとも財源が無いのか、それとも30人学級より一貫教育のほうが素晴らしいのか、一体何が実施をしない一番の理由なのか、これを教えていただきたいと思います。また、教育委員会の公開の問題についてですけども、教員対象の説明会、なぜマスコミに事前に「やりますよ。取材をしたい方は連絡して下さい。」、こういう通知を出すのですか。そして議会に対しては、「これは教員対象ですから説明会には参加できない、参加しては困る。」、これは区長が話している、「決して情報を隠匿するわけではございません。決してみみっちぃ考えで言っているわけではございません。」、これに反すると思うんですね。私はこの点については高橋区長の見解を伺いたい。教育委員会の学校選択制から始まり、小中一貫校の朝日新聞がすっぱ抜いた一面、こうした姿勢は高橋区長の見解と相反するのではないかと思いますので、その点については、区長に一言ご見解いただきたいと思います。最後に青年の問題ですけれども、3年間全く同じ答弁が続いています。国と都の動向を見守っていく、こうした事態で働きたくても働けない、若い力が活かされない社会に、僕は未来は無いと思います。きちんとこういった深刻な実態を受け止めているのか伺いたい。そして、あらためてこの3年間、具体的などんな検討をしてきたのか、担当部はどこなのか、課長はどこなのか、どんな検討をしてきたのか、全く僕には見えてきません。あらためて今後どんな風に進めていくのか説明していただきたいと思います。以上です。

高橋区長

中塚議員の再質問にお答えいたします。

教育委員会の問題で情報公開の問題、それぞれの部局におきまして具体的な取り扱いを率いたい(?)と思います。従いまして、その取り扱いにつきましては、それぞれの部局、特に教育委員会につきまして、その権限を持っておりますので、そちらの方に委任しているものでございます。それから、青年の雇用対策の問題でございますが、毎年毎年同じ答弁だという風なご意見でございますが、同じ答弁だけではございません。やはり前向きに考えているとの事実がございます。「しばらく待っていただきたい」という風にお話をしているところでございます。ご意見等は十分承りました。以上です。

教育長

中塚議員の再質問にお答えをさせていただきます。

時間数が増えて詰め込み、こういう発想なんですけれども、時間数が増えるから詰め込みなんでしょうか。少しでも子ども達にゆとりを持って、一人ひとりの子ども達にわかるように丁寧に学習をしていこう。何もかも一生懸命詰め込んで、そのために時間を増やすと言っているんじゃないんです。子どもたちの一人ひとりの学習をより合った形で丁寧に教えていく。そのために時間数は増えていく、こういうことなんです。ですから、時間数が増える、すなわちゆとりという、ワンパターンなものの考え方はちょっと変えていただきたい。具体的な例を申し上げますと、前の学習指導要領で例えば、前の学習指導要領と今の学習指導要領で小学校の1年生は、授業時数が68時間減りました。68時間減りました。今度小中一貫校で作るカリキュラムでは、34時間今よりも増えたわけです。ちょうど前の学習指導要領と今の学習指導要領、中間を取っている。これで、子ども達により良い学習をさらに定着させていこう、こういう事でございますので、決してつめこみではないという事をぜひ理解をいただきたいと思います。また先程も、「都民の日も土曜日も」とおっしゃいましたけども、都民の日は子どもの授業はございません。これは私どもがいただいている教育過程届でも、はっきりと申し上げられることでございます。それから、30人学級の件についてでございますけども、都は加配の教員で認めているというようなご趣旨の発言がございましたけども、これはですね、都の方ではまだそういったことをはっきりとですね、態度表明はしておりません。従いまして、現行の教員定数配置基準によって、品川の場合には教員を配置しているわけであります。また、実態としてもうすでに品川の場合にも、先程ももうしあげたように、習熟度別学習だとかあるいは少人数学習といったような事で、様々な実態で、少人数学級というものは、すでに実施されているということでございます。またこの件につきましては、様々な都とのやり取りもあろうかと思います。そうした推移は見ていきたいと、こう考えております。


再々質問

中塚亮区議

私は改めて小中一貫教育見直し、30人学級導入は絶対求めていきたいと思います。最後にですね、こうした小中一貫教育、保護者の方にはいったいどのような説明を今後していくのかどうか。今ちょうど学校選択の時期でして、来年小学1年生に入る、入学予定されている方は、自分の入った小学校がその後どうなるかどうかわからない、こういった話もよく伺います。今後、保護者についてどういった説明、保護者に対して各学校で説明会を実施すべきではないかと思います。そして、保護者の意見に耳をかたむけるべきだと思います。それから、30人学級についてですけども、ずばりですね、何がネックで30人学級を品川区は導入しないのか。先程の教育長の発言では、東京都の、ということは東京都がやると言ったら、品川区もやるのですか。今東京都は、「それぞれの区がやりたいうのなら、尊重する」と言っているのです。で結局、財源なのか、それとも品川区はそもそも、「30人学級は効果が無い40人学級で十分なんだ」、こういう見解なのか、どっちなのか、一体何がネックになっているのか、ずばりと答えて下さい。以上です。

教育長

これから小中一貫教育、あるいは小中一貫校についてのPRということでありますが、従来も、この小中一貫校、あるいは教育についてのPRというのは、区の広報、あるいは教育委員会の広報誌、それから説明会、あるいは各学校のホームページ等々で、できる限りその広報に努めているところでございます。今後もこうした機会をとらえまして、さらに区民の方々に、この一貫教育、一貫校の情報を適時にご提供申し上げていきたい、このように考えているところでございます。また、30人学級につきましてですが、都の方がやればということではなく、もちろん30人学級、私は30人学級そのものがいいとは思いません。品川区の場合にはすでに、その子どもたちの実態や状況に応じて、様々にグループ編成をして、今学習活動をしているんです。従って、実態的には、30人学級という固定した、形式的なものは、今東京都の場合にはとっておりませんけども、品川区は実態として様々な少人数学級をやっているんだというとこ、ここを一つご理解をいただきたいと思います。

議長

以上で中塚亮君の質問を終わります。

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