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給食調理民間委託、学童保育クラブ廃止、図書館窓口業務民間委託による
職員定数条例「改正」の反対討論

2005.3.29 鈴木

日本共産党区議団を代表して、第10号議案「品川区職員定数条例の一部を改正する条例」に反対の立場から討論を行います。

本条例は、品川区の職員定数を2,832人から2,759人に73人減じるものです。減の主な内容は、学校給食調理を3校民間委託することにより調理員を12名、学童保育クラブを10館閉鎖し指導員を20名、区立図書館6館の窓口業務委託により21名などの削減です。

以下反対の理由を述べます。

第1は学校給食調理の民間委託の問題です。

区は、今年4月1日より荏原第五中、戸越台中、台場小の3校において、初めて学校給食の調理業務を民間委託します。今議会での審議を通じて改めて民間委託の問題点が浮き彫りになりました。最大の問題は民間委託で安全が守れるのかということです。 

折しも議会の最中の2月12日に、区が戸越台中と荏原第5中に委託契約をしたシダックスフードサービス株式会社が、葛飾区の老人保健施設で46名のノロウイルスによる食中毒事故を発生させ、6日間の営業停止処分が行なわれました。シダックスはインターネットで調べただけでも、去年から今年にかけて何度も食中毒による営業停止処分を受けています。去年4月2日に大阪府堺市で、7月22日に鹿児島県で、今年に入っては1月31日に横浜市で、さらに2月12日に滋賀県彦根市で食中毒事故を発生させました。今回の葛飾区を含めると実にわずか2年の間に5件の営業停止処分を受けていることがわかりました。「企業の実態を調査したのか」とのわが党議員の質問に対して、区は「都内の情報を調査した」と答弁しましたが、全国展開している企業だと説明しておきながら、このように全国でいくつも起こしている食中毒事故の実態をろくに調査もせずに委託契約していたことが明らかになりました。しかも議会では、民間こそ安全な給食を提供できると断言していたのです。財政効率を優先し、安全管理は二の次、まったく背筋が寒くなる思いです。

シダックスは、調理員募集の広告に時給750円という条件を出しました。「区の委託料から考えると人件費は多く見積もっても6割程度、4割は企業利益となる。企業に儲けさせるための委託ではないか」とのわが党議員の質問に、課長は「企業の利益率には興味がありません」と答弁しました。時給750円で働かせるこの労働条件にこそ、調理員がくるくる替わり定着しない問題の根本があるのに、これに「興味がない」というのでは、学校給食の安全性の確保や衛生管理、味などの調理技術の継承を保障することはできません。

区は「保育園で調理業務を民間委託して、なんら問題がないから学校給食に広げることは当然」と答弁しました。しかし、2000年11月、中延保育園で民間委託して半年後、ノロウイルスの集団感染が発生し、その事実を隠そうとしたため、食中毒調査マニュアルに沿った対応をせずに、2時感染、3時感染を広げ、その結果49名もの感染患者を出すという最悪の事態を引き起こしたことへの反省がまったくないものといわなければなりません。

さらに品川区は民間委託にあたり栄養士の配置をしないとしています。品川区以外の22区は委託校のすべてに配置しています。民間委託するのであれば、子どもたちの安全を守るため、最低限栄養士の配置を求めます。

すすめ方についても一言指摘します。品川区は、検討委員会もつくらず、決定前に区民に一切の情報提供もしなければ意見を聞くこともない、さらに決定後も広報へも掲載せず、区民や父母への説明会も開きませんでした。これほど区民無視のすすめ方をしているのも23区の中で品川をおいて他にありません。検討委員会の設置と区民、保護者への説明会を求めます。

以上より、学校給食調理業務の民間委託は中止すべきと考えます。

次に学童保育クラブ10館の閉鎖に伴う20名の職員削減の問題について述べます。学童保育クラブのすまいるスクールへの移行が始まり、1年が経過しますが、学童保育に通うべき子どもがすまいるスクールに通えていないことが最大の問題です。「小学1年生の息子が『すまいるに行きたくない』と家でゲームばかりしている。仕事をしていても心配で仕方がない」という声が何人かの父母から寄せられています。すまいるスクールが学童保育の代わりにはなりえないことを示しています。あらためてすまいるスクールの検証を求めます。品川区は子育て支援を第1に柱としながら、23区どこでもしていない保育料の値上げと学童保育クラブの廃止を行いました。働く親と子に冷たい姿勢があらわれています。学童保育クラブの廃止は中止し、廃止した学童保育クラブも復活させるべきと考えます。

最後に図書館の窓口業務委託を4館から全10館に拡大し、21名の職員を削減する問題です。公共図書館のサービス目標は、いつでも・どこでも・だれでもが知る権利・学ぶ権利を保障し、本を始めとする資料や情報を提供していく機関です。図書館は図書館法に基づき専門職員・司書を置くように求めていますが、品川区はこの間、長期経験者、司書資格を有する職員を次々に異動させ、更に窓口業務委託で職員の専門性を低下させています。経験ある職員は、利用者がより豊かな資料に出会うきっかけを作ります。レファレンスサービス等窓口業務低下を招く窓口委託はやめるべきです。

今、日本中で正規雇用から、劣悪な労働条件・無権利状態の非正規雇用に置き換える雇用の流動化が大問題になっています。人間らしい働きや生活ができない人々を大量に生み出し、貧困化を進め、さらに年金や医療、介護の支え手を失い、少子化に拍車をかけています。品川区は本来、自治体として雇用を促進する立場で取り組むべきです。ところが反対に、先頭に立って正規職員を削減し、民間委託をすすめています。そして委託先で働く人たちの労働条件に「興味がない」と答弁するにいたっては、人権をどう考えているのでしょうか。スウェーデンやヨーロッパでは均等待遇が当たり前です。品川区も安ければいいと劣悪な労働条件・無権利状態の労働者を拡大するのでなく、自治体として社会的な責任を果たすべきと考えます。

以上で反対討論を終わります。

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