日本共産党区議団を代表して一般質問を行います。
まず初めに
侵略戦争を「正しい戦争だった」とする「つくる会」の歴史教科書について見解を問うについてです。
この夏、来年から使用する中学生の教科書を決定します。私は4年前の本会議一般質問で、「新しい歴史教科書をつくる会」メンバーが執筆、扶桑社が発行した歴史と公民の教科書は、教科書としてふさわしくな いと指摘しましたが、あらためて「つくる会」の歴史教科書について教育長の見解を伺います。
いま、中国・韓国などアジア諸国と日本の関係が非常に険悪になっています。その原因の日本側の問題 として、日本の憲法改悪の動きと小泉総理の靖国神社参拝、文科省が「つくる会」の歴史教科書を検定に合格させた問題があります。あらためて「つくる会」の教科書の問題点を指摘します。
太平洋戦争は、日本国民だけでなく、韓国・中国をはじめアジア各国の人々に大きな苦しみを与えました。ところが、「つくる会」の歴史教科書の論調は、日本の国を守るための戦争であり、アジア諸国の独立を促進した戦争だったというもの、日本が起こした侵略戦争に対する反省も謝罪もまったく感じることができません。
主な内容では、まず、戦争の名前は、戦争を進めた側の「大東亜戦争」を使用し、韓国の併合は正当だったという主張です。日中戦争では日本のかいらい、満州国建国に至る日本の侵略の事実は記載せず、日中戦争の責任が「中国の排日運動」にあるかのように描いています。また、戦争での犠牲者、中国1,000万人、朝鮮20万人、台湾3万人、ベトナム200万人、インドネシア400万人、フィリピン111万人などアジア諸国の犠牲者数は、「つくる会」教科書には記載されていません。広島、長崎の原爆犠牲者数さえありません。しかも、植民地の韓国や台湾での同化政策の強要や731部隊による人体実験、強制連行、従軍慰安婦など日本の加害の事実にはほとんど触れず、南京大虐殺についても、真意不明の論争問題と扱っています。
結局、「つくる会」の歴史教科書は、日本の侵略戦争の加害の事実に目を塞ぎ、戦争を反省するどころか、日本は正しい戦争をしたという論調で塗り固められているのです。終戦の際、日本は膨大な資料の証拠隠滅を行い、戦後60年経って戦争体験をした人が少数になったことをいいことに、あれは聖戦だったと言っても、肉親を失い、国土を破壊されたアジアの人たちは決して忘れることはないでしょう。
さらに、公民教科書は改憲論を強調する記述がめだっています。
いま、日本での改憲の動きに多くのアジア諸国から「日本軍国主義の再来」というきびしい批判がおこっています。実際、靖国神社参拝を肯定し、侵略戦争を美化、歴史をわい曲した歴史教科書をすすめる勢力の先頭にたっている政治家の多くが、憲法9条改定の中心的役割を担っています。侵略戦争美化と憲法9条の改憲はまさに一体ですすめられているのが実態です。日本がふたたびアジアに災厄をもたらすのではないか、アジア諸国民の批判は当然ではないでしょうか。4月のアジア・アフリカ首脳会議で小泉首相が表明した「戦争への反省とお詫び」とは両立しません。
先日、日中韓三国の研究者らが共同編集した歴史教材『未来をひらく歴史』が発刊されました。日本側代表大日方純夫・早稲田大教授は、「東アジアに平和な未来を開くには、歴史認識の共有が前提」と語っています。文科省が、4年前に続いて、今回も「つくる会」教科書を検定で合格させた文科省の責任はきわめて重大です。
4年前、「つくる会」の教科書は、都教委が障害児学校で採用するなど全国的にごく一部で採用されたものの、品川区教委含めほとんどの自治体は採用しませんでした。これは日本国民の良識を示したものです。今回の教科書採択にあたって品川区教委の良識が問われていることを指摘し、質問します。
<質問>
1、教育長は日中戦争、太平洋戦争について、侵略戦争だったと考えているか、正しい戦争だったと考えているのか、また、この戦争を子どもたちにどちらの立場で教えるのか、伺います。
2、 侵略戦争と植民地支配への反省とその誤りの清算は、戦後日本の出発点であり、同時に、日本がアジアの中で生きていくための絶対条件ともいうべきものです。歴史観が違うなどの口実でごまかせる問題ではありません。それを「日本は正しい戦争を行った」と主張する「つくる会」の歴史教科書は、子どもたちに教える教科書としてふさわしくないと考えますが、教育長の見解を伺います。
日中戦争、太平洋戦争について、政府見解は、「植民地支配と侵略によって、アジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」とのべています。侵略戦争と植民地化を肯定する「つくる会」の歴史教科書は政府見解と矛盾するのではないか教育長の見解を伺います。
日本共産党は、これまでも繰り返し少人数学級の実施を求めてきました。少人学級は今年に入り、3県が増え、合計45道府県に拡大しています。いまや、全国で、東京の子ども達だけが取り残されています。我が党が行なった区民アンケートでは、30人学級について、賛成は62.3%、反対はわずか5.8%でした。実施を望む声はまさに多数です。
国の段階でも新しい動きが起きています。2005年3月29日、中央教育審議会会長は、「30人学級を中心とした手厚い教育、これが日本に必要であることはもう申すまでもございません」と国会で明言、その後、5月10日の中教審では、少人数学級は学力改善や不登校件数の減少といった教育効果があると、同審議会では少人数学級を求める意見が多数を占めました。審議会当日の配布資料では、少人数指導を実施している学校への学級編成人数を引き下げた方が効果的である」との質問に、「とてもそう思う」、「そう思う」を合わせて、小学校82%、中学校86%にのぼり、少人数指導を取り入れる教育よりも学級規模そのものを小さくする少人数学級の方が、学習効果はもちろん、生活習慣も改善されていることが明らかにされました。
今や、教育界において、少人数学級を否定する教育関係者は、ごく一部です。しかし、若月教育長は「40人学級を崩すべきではない」、私は30人学級そのものがいいとは思いません」と少人数学級を否定、一方で、教育改革プラン21のもと、学校選択制、小中一貫教育、習熟度別学習の徹底など、競争教育を推進してきました。これは親と子の願いだけでなく、全国の少人数学級の流れ、世界と日本の教育研究にも反するものです。
昨年、文教委員会に付託された30人学級の実施を求める請願が、わが党を除く会派が反対し、不採択となりました。本当に残念と言わなければなりません。
OECDのピサ調査の結果を受け、世界的にも注目され、評価されているフィンランドは20人学級で、その特徴は、競争教育を排し、子ども達が共に学びあう共同の学びを実現しています。国内でも全国で初めて少人数学級を始めた愛知県犬山市では、現行の法律の枠内で、少人数学級を進め、子どもたちの学びを実現しています。
あらためて品川区が、国や東京都の動きを待つまでもなく、一刻も早く少人数学級導入にかじを切りかえ、子どもたちに行き届いた教育環境を整えるよう求めるものです。そして、少人数学級の条件を生かした授業改善の研究に踏み出すべきと考えます。
質問します。
1、教育長は40人学級が適切との答弁を繰り返してきましたが、今でもそう考えているのでしょうか。少人数学級に対する教育長の見解を伺います。
2、改めて、1日も早い少人数学級の実施を求めます。同時に、少人数学級を生かした、子どもが学習の主人公となる授業改善の研究を始めるよう求めますが、いかがでしょうか。
東京都と首都高速道路公団は、来年度早々に中央環状品川線を着工するとしています。品川線は目黒区の青葉台、品川区八潮の9.4kmを地下トンネルで結ぶものです。以下、問題点を述べます。
第1の問題は、品川線が沿線住民の健康に与える影響、環境問題の不安です。
区内には五反田、南品川、八潮北の3箇所の排気ガスを放出するための換気所が計画されていますが、周辺に与える影響ははかり知れません。五反田換気所周辺は中高層ビルやマンションが立ち並んでいます。五反田周辺は地形的に低地であり、狭いエリアに山手通り、高速2号線、国道1号など幹線道路が集中、五反田喘息と呼ばれ呼吸器疾患が多発しています。東京都と近隣町会連絡会との交渉の場で「あなた方は喘息患者をもつ家族の実態を知っているのか。発作が起これば呼吸ができない本人の不安、家族は救急車を呼び、点滴と酸素吸入、まさに家族中がパニックになる。目と鼻の先の換気塔は命にかかわる問題だ」との発言がされました。
西五反田だけではありません。南品川、北品川の換気所の高さは五反田より15m低い30m。周辺には住宅が密集している上、少し離れた高台には城南中、品川小、浅間台小があり、子どもたちへの影響が心配されます。
八潮北換気所周辺は、大井火力発電所、品川清掃工場に加え、コンテナ船への積み込み用大型トレーラーの集中などで区内では最大の大気汚染地域となっています。今回の換気所により、さらに大気汚染がすすむ恐れがあります。
東京都及び品川区は「排気ガスが放出されても、大気中に高速で放出するため、希釈され、環境への影響はない」としてきました。しかし、現在工事中の中央環状新宿線沿線の住民が中落合換気所を環境総合研究所に依頼、最新の技術を駆使し、排ガスの拡散をシミュレーションの結果は、都の主張を完全に覆しました。
北風4.6mの場合、換気塔から50mの地点で地上に大きく落下、100mで地表面に達する、としています。これでも環境に影響がないというのでしょうか。同研究所は、自治体の仕事をする権威ある研究所です。その結果は、都の環境アセスメント全体のずさんさを示すものでもあります。
第2は、財政危機に直面する都が、公団が負担すべき品川線に1250億円、国負担分を合わせると2500億円も財政投入する問題です。
従来の基準だと、品川線4000億円の事業費だと都負担は出資金として500億円、今回は「公団が民営化されると建設がすすまない恐れがある」として巨額の税金投入することになりました。理不尽そのものといわなければなりません。東京都は財政危機を口実に、福祉予算は4年間で856億円も削減。47都道府県で福祉予算を削減したのは東京都だけであります。
第3は、事業の進め方、住民の理解と合意がないまま進める住民参加、民主主義上の問題です。
「五反田の喚起塔および出入り口設置反対」の11町会、3万2千人もの署名が添えられ知事宛て、また都議会に請願が出されました。今でも周辺には「子や孫に大気汚染を残したくありません」とする横断幕が各所に掲示されています。沿線住民の意思は現計画に反対であることは明白です。沿線だけでなく区内全域でも「無駄な公共事業だ」「環境悪化するから」などの理由で反対が多数派となっています。合意が得られないまま見切り発車する、などということは許されません。
以上3点のほかにも、10年にもわたる長期間の工事のため沿線住民に与える影響、新宿線とあわせ地下20kmの世界最長の高速道路であり、地盤の悪い目黒川直下を通過する品川線が、地震に耐えられるか、自動車事故の際、火災や安全性はどうか、などの問題もあります。
私はここで、各党、各都議がこの問題でとった態度を述べます。
自民・公明・民主の都議は、請願の紹介議員とるなど、近隣町会連絡会の運動に加わったことは周知の事実であります。ある都議は「目の前に45mの排気塔ができれば誰だって頭に来るよなー。…大丈夫です。これからです」と激励していたのです。しかし、昨年10月の東京都都市計画審議会では、自民、公明、民主の3党は、知事の提案に丸ごと賛成。来年着工の道を開きました。これは住民への背信行為そのものです。住民の前では良い顔をし、議会・審議会では、知事の顔色を優先、住民への約束を反故にするというのでは、議員、政党が何のためにあるのか、その存在が問われると、いわなければなりません。
質問します。
1、品川区は「品川線の環境への影響は少ない。むしろ改善する」と述べてきましたがその根拠を述べてください。
2、本来であれば道路公団が負担すべきところを、総事業費4000億円に対して、東京都の税金投入を、従来方式であれば500億円のところ、2.5倍1250億円に増額することとしました。これに対する区長の考えをお聞かせください。
3、わが党は、沿線住民、環境問題、財政問題の専門家による検討委員会を設置し品川線計画の見直しをすべきと思うが、区長の考えをお聞かせください。
昨年12月、突然、東急大井町線中延駅隣接地の葬祭場建設問題が起こりました。地域では、商店会、町会あげた大きな反対運動となり、4150名の署名を添えた「住民の理解なしに建設しないよう対応を」と求めた区議会への請願は全会一致で採択されました。品川区には、「葬祭場設置に関する環境指導要綱」があり、近隣住民に対し説明会などで周知し、理解を得るよう努めよと定めています。しかし事業主は、2回の「説明会」だけで、なんらまともな説明をしないまま、工事を強行しました。地域では驚きと怒りが広がっています。あらためて、区が住民の立場に立って、事業主に対して指導要綱にもとづく説明会を開くよう強力な指導をすることを求めて質問します。
今回の事業主は、大阪の貸金業鰍ウくら相互。この会社の土地の所有は1/1000のみ、999/1000は京都の大手互助会組織の潟Zレマでした。この2つの業者は一体で、現在兵庫県芦屋市、杉並区富士見が丘、そして、京都市では15ヶ所の葬儀場を建設、計画をしており、各地で住民との激しい紛争を引き起こしています。
葬祭場は人生の最期にお世話になるところであり、必要な施設です。近くにあったら便利だという声も聞きます。しかし、葬儀場ができることで地域に様々な問題を引き起こすことも事実です。
今回計画されている中延駅隣接地は葬祭場建設の場所としてあまりにも不適切と言わざるを得ません。まず第一に周辺の道路は幅4〜6mと狭く、交通事故の危険が増大する問題です。特に駅前は大井町線と都営浅草線とで1日4万6000人からの乗降客と商店街の買い物客とで混雑し、今でも車はのろのろ運転、歩行者は危険な状況です。区は「斎場の将来需要予測と規模の検討」で1荘家の通夜時の車両は約50台と試算しています。ここから計画すると、通夜の時間帯となる18〜19時の現在の通行車両は30台から130台に、4倍以上に増えることとなります。隣接の道路は通学路であり、周囲には医療機関が集中しています。
2つ目には商店街やまちが壊される問題です。毎日霊柩車が遺体を運び、中延駅や荏原中延駅から喪服姿の弔問客が降り、駅前通商店街やアーケード街を往来するようになります。黒文字のちょうちんや案内板が街角に立ち、町全体の雰囲気が暗くなるのではと心配です。
荒川区尾久では、商店街の真中に葬儀場が建ち、6年間の裁判闘争の後、葬儀場は撤退しました。
その訴状では「参列する黒づくめの服装の人が数十人、百人と商店街を通過する光景は異様で、商店の常連客も減っていき、130店舗あった商店が、70店舗に減ってしまった。近くのアパートは20世帯中19世帯が転出、家賃の値下げ要求も出されている」と述べています。
品川区は桐ヶ谷斎場の周辺に葬祭場が集中する問題で発生し、住民や議会からの要望を受け、全国に先駆けて「葬祭場の設置に関する環境指導要綱」を制定しました。要綱は、その目的に「事業主への協力を求め、近隣住民との紛争を未然に防ぎ、良好な住環境の形成に資する」ことをかかげ、要綱の5条4項では生活環境に及ぼす影響と対策、管理運営体制など6項目を具体的に示し、近隣関係住民等に対し説明会などで周知し、理解を得るよう努めよと定めています。しかも要綱では、「建築確認申請を出す前に区長との協定書を締結する」としています。
しかし、事業主が2回で完結したとする説明会は、会社概要の説明もなく、説明資料の不備、周辺住民への周知不徹底、事業説明会のはずが工事説明会の告知看板を設置するなど、不誠実きわまりないものです。要綱5条4項に定める内容は一切説明されておりません。全く説明会に値しないものです。さらに区長との協定書も締結されていません。要綱が守られてないまま、事業主は、一片の通知をごく一部の近隣説住民に配布しただけで工事を強行したのです。
葬祭場建設問題について、品川区は、桐ヶ谷葬祭場問題だけでなく、町会会館での葬儀式場としての使用を援助し、区立の葬儀場なぎさ会館、5区の海斎場建設にと区民要望を受けて取り組んできました。また、現平塚橋会館に葬祭場をつくる場合にも、区は15回を超える説明会を行い、さらに骨葬しか取り扱わないなどの条件を提示し、住民合意に努力しました。
このように品川区は葬祭場問題では、近隣住民との合意を大事にしてきたと思います。今回の中延葬祭場問題で、事業主がまともに説明会も開かず、工事を強行し、しかもこの無法を品川区が容認すれば、行政に対する区民の信頼を根本から崩すことになるでしょう。品川区の責任は重大です。品川区が指導要綱の精神に立って、事業主への強力な指導を行うよう求め質問します。
1、駅前やアーケード街の商店街があり、入り口側は閑静な住宅街、周囲は狭い道路に囲まれ中延駅の隣に葬祭場を建設するということに対して、区として街づくりの観点からどう考えるか、お聞きします。
2、品川区が、指導要綱に基づいて事業者に対し、要綱で定められた住民への説明会を開かせるための強力な指導を求めます。杉並区では、区が事業主に対して何度も住民への説明会を求める要請文を出したり、住民集会や説明会にも担当職員が参加し、実態をつかむ努力がされています。
3、京都では中高層条例を改正し、高さに関係なく劇場や葬儀場などを対象とし、説明を義務付けました。荒川区では、平成7年に事業主と住民との協定書締結の条項を入れ、住民合意を前提とした葬祭場設置の指導要綱を策定、その後、一件も葬儀場建設計画は起こっていません。品川区としても住民合意のための強力な指導ができる条例や要綱改正を求めますが、いかがでしょうか。
以上で、一般質問を終わります。(拍手)
答弁
○助役(濱野健君)鈴木議員の質問のうち、沿線住民が反対する首都高速中央環状品川線計画の見直しをにつきまして、ご答弁を申し上げます。
中央環状品川線の環境への影響につきましては、国の環境影響評価制度の中で、事業者である首都高速道路公団の作成した方法書および評価準備書がございます。これに対する品川区の意見は、平成13年12月と16年4月に回答しております。回答内容でありますけれども、1番として、沿道および周辺環境にさまざまな影響を及ぼすことが考えられるので、十分な地元説明を行い、理解と協力が得られるよう最大限努力されたい。2番目として、換気所出入り口周辺の万全の大気汚染対策、特に最新技術を用いた脱硝装置および防じん装置を導入されたい。3番目、換気所近傍における汚染濃度を高めることも予想されるので、短期的な予測などきめ細かな予測、評価を追加されたいなどであります。これらが実現されることで改善されるものと考えております。今後とも地元意見を反映するよう東京都に働きかける考えでございます。
次に、品川線の建設事業は、首都高速道路公団と東京都の事業でございます。都費の投入云々につきましてでありますけれども、都議会で議決された東京都の予算の組み方について、品川区としてこれに対して見解を述べる立場にはございません。
また、委員会を設置して見直しをすべきとのお話でありますけれども、東京都の事業計画について、区がこれを見直すような立場にはございません。ご了解をお願いいたします。
いずれにいたしましても、品川区の最大の任務は、最新の技術によって周辺環境に万全の配慮をするよう要望し、また、働きかけていく、このことが最も重要なことだというふうに考えてございます。
○教育長(若月秀夫君)私からは、初めに、歴史教科書についてのご質問にお答えいたします。
まず、日中戦争、太平洋戦争についてのお尋ねでございますが、昭和初期から第二次世界大戦終結までの学習につきましては、国の学習指導要領では、我が国の政治・外交の動き、中国などアジア諸国との関係、経済の混乱と社会問題の発生など、戦争に至るまでの経過と戦争が人類全体に惨禍を及ぼしたという事実を理解させることになっております。したがいまして、本区におきましても、この学習指導要領の趣旨に基づき指導を行っております。
次に、歴史教科書についてでございますが、これらの教科書は、文部科学省の教科書検定において、教科書調査官による調査のほか、大学教授や小中学校、高等学校の教員など各分野の専門家で構成される教科用図書検定調査審議会でさまざまな基準で厳正に審査されて合格したものであり、これを通った教科書は学習指導要領の趣旨に基づく内容になっているものと認識しております。
なお、国の検定を通った個別の教科書について、政府見解と矛盾するかどうかをコメントする立場にはございません。
教育委員会といたしましては、検定を通った教科書であることを前提に、本区の教科用図書調査検討委員会が作成した資料に基づき、公正かつ適正な手続のもと、あくまでも教育論で教科書を採択してまいる考えでございます。
次に、少人数学級に対する見解ということでございますが、中央教育審議会でさまざまな議論があることは十分に承知をしておりますが、学級の規模を論ずるに当たりましては、生活集団と学習集団の違いが、いかがでしょうか。
いを踏まえることが必要であると考えております。学習集団において大事なことは、30人や40人と学級を固定的にとらえるのではなく、学習の内容や方法、子どもたちの学習の習熟度に応じて柔軟な構成ができることが大切であると考えております。したがいまして、本区では、これまでも加配教員や指導助手を活用して、多様な学習集団と学習形態を工夫することで、個や学習内容に応じた指導の充実に努めてまいりました。現在この考えに変更はございません。
また、少人数学級のもとでの子どもが学習の主人公となる授業改善の研究ということでございますが、今述べましたように、本区ではさまざまな形で子どもたちの実態に応じた学習形態の工夫と研究に既に取り組んできているところでございます。また、その中で子どもが学習の主人公という名目により、本来教師として行うべき指導を軽視し、子どもたちから学ぶ意欲や力を引き出せないという教員の傾向も明らかになってきております。したがいまして、各学校において、多様な学習集団を構成できる体制を充実させながら、教員の抱える課題の克服と授業改善とを進めていくことが教育の質的充実に向けて何よりも大切なことであると考えております。
○まちづくり事業部長(福田法光君) それでは、中延駅隣の葬祭場計画に関するご質問にお答えいたします。
まず、葬祭場建設に対する区の考えについてでございますが、現在の都市計画の用途地域におきましては、当地区に葬祭場を建設する、このことは制限をされておりません。しかしながら、区は住民の皆様との紛争を未然に防止する、このようなことのために、「品川区葬祭場建設に関する環境指導要綱」に基づきまして、事業主に対して、周辺地域の環境への配慮と住民説明会の開催などについての協力を求めてきたところでございます。
次に、指導要綱の精神に立って事業主へ指導をすべき、このご質問でございますが、ただいま申し上げましたとおり、区は既に同要綱の遵守を事業主に要請してきており、当事業主はこれを受け入れてまいりました。さらに、区は、これに加えまして、近隣住民の皆様からの要望を受け、また、議会の請願採択を踏まえまして、住民の皆様と事業主との話し合いの場を設けるなど、この間題の解決に向けて、この間最大限の努力を図ってきたところでございます。今後も双方による自主的な解決が図れるように支援してまいりたいというふうに考えております。
最後に、住民合意を前提とした条例や要綱改正のご質問についてでございますが、建築行為や事業運営に伴う近隣紛争は、当事者による話し合いによって円満に解決が図られる、このことが最も望ましいというふうに考えてございまして、その合意を法的に義務づけること、このことは逆にそれを阻害するということも考えられますし、また、事業主にとりましては、受忍限度を超える一方的な規制となるおそれもある、このように考えるものでございます。したがいまして、ご質問に沿うことは困難であるというふうに考えております。
○鈴木ひろ子君 まず、沿線住民が反対する環状品川線の問題ですけれども、区長要望ということで品川区が出されていますけれども、実際に来年度から着工というふうな現状の中で、区長要望としては最新技術を用いた脱硝装置を各換気所に導入ということと、土壌脱硝装置についても再考されたいということで要望されていますけれども、これが現時点でどういうふうになっているのかということをお聞かせいただきたいと思います。
それと、もう1つ、先ほど国の報告書とか云々というふうなことで出されましたけれども、交通量は山手通りは減ったとしても、品川線と合わせると2.2倍にふえてしまう。こういうふうな状況の中で、脱硝装置もなければ、大気汚染がふえてしまうということが明らかだと思うんですけれども、そこのところの根拠を改めて示していただきたいと思います。
それと、教科書の問題ですけれども、これは戦争の惨禍を及ぼした事実を学ばせるということが指導要綱の中身だということで今、教育長から答弁ありましたけども、私、先日、品川図書館で教科書の展示を見てきました。扶桑社の教科書というのがほかの7社と完全に違うという中身なんですね。例えば「中国への侵略戦争」というのが、ほかの教科書ではそういうタイトルとしてつけられているわけですけども、扶桑社の教科書では「侵略」という言葉そのものが教科書の中に入っていない。こういう中で戦争の惨禍を及ぼした事実を扶桑社の教科書の中で学ばせることができるのか、改めてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
それと、少人数学級の問題ですが、生活集団と学習集団は違う、それでは生活集団として少人数学級に対しての教育長の見解がありませんでしたので、改めて生活集団としての少人数学級、これに対しての見解をお聞かせいただきたいと思います。
最後に、中延の葬祭場の問題です。事業主は要綱を受け入れてきたと、そういうふうな説明が今、部長の方からありましたけども、5条4項に定める6項目の説明というのは、全く説明会の中でされていないんですね。それなのに事業主は説明会は2回で完結した、要綱に基づく説明会はもうやらないというふうに言っています。この問題で区として要綱に基づく説明が完結したと考えているのか、それともまだ不十分だと考えているのか、要綱に沿ってまだ説明会をすべきだと考えているのか、その根拠を示して説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○助役(濱野健君) 環状品川線の問題につきまして、私からお答えいたします。
私ども品川区が要望している環境に対する対応ということが現時点でどのようなものになっているかというお尋ねだと思います。
ご存じのように、この工事は非常に長い年月を要して完成する工事でございます。周辺の環境に対する対策というのは、工事の末期において行われるものでありまして、今の段階でこういう装置をつけるということが決まっているという状態ではございません。こういった機器類につきましては、日進月歩で進歩しているものでございます。その予算の計上の時点で最もよいものをという考えで対応するというふうに考えてございます。
それから、改善の問題でありますけれども、当然のことながら、先ほど申し上げましたような要望の実現によって改善されますし、また、この工事によりまして渋滞の解消ということが図られます。ご案内のように、一番排ガスが出るのはとまったり走ったりする、そういう低速運転の状態で最も多く燃料を消費し、したがって、排ガスが出るということで、渋滞が解消されるということは、その面が改善されるということでありますので、最もその点での効果が期待できるということであろうというふうに思つております。
いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、区といたしましては、環境に対する配慮を万全の機器類によってされたいということを働きかけていくことが一番の任務だというふうに考えてございます。
以上です。
○教育長(若月秀夫君) 再質問にお答えいたしますが、まず1点目の再質問でございますけれども、先ほど来お答えしておりますように、今、本区におきましては、教科書採択におきまして、さまざまな期間、多くの先生方のご意見を聞きながら、これから採択を進めていくところでございます。私1人で決めるものでもありません。したがいまして、今ここで、この教科書についての個別のコメントを言えと、これは私には到底お答えすることはできない、教育委員会で審議をしていきたい、かように考えております。
それから、2つ目の生活集団における少人数学級の考え方でしょうか。少人数学級と少人数指導とは別の概念であります。したがいまして、特に生活集団での指導ということは、主に生活指導等々が中心の内容になろうかと思います。個別の少人数で指導しなければならない場面もありましょうし、大きな集団の中で一定のルールといったようなものを徹底するという場面もございます。したがいまして、この場合にはこういうのがいいという決定的な理由というものはない、こういうふうに理解をしております。
○まちづくり事業部長(福田法光君) 5条4項に関する説明会の件でありますが、私ども、少なくとも事業主側につきましては、事業内容の説明をしようと、そのような意思があったというふうに見るのが妥当ではないかというふうに思っております。その根拠でありますけれども、まず1回目の説明会の際に、説明用の資料――これは十分かどうか、そのような評価は避けさせていただきますが?-が、配付されました。さらに、地域住民有志一同の皆様がおつくりになりました10項目の要望および質問事項、これがございます。この中には要綱5条4項の事項が含まれてございます。これに対しまして、住民の皆さんの求めに応じて区が要請いたしました2回目の説明会が開かれました。その際にこの10項目の要望および質問事項の文章で事業主側は回答しております。
このような点を考えあわせますと、5条4項の説明会は行われているというふうに区は認識してございます。
○鈴木ひろ子君 1点目の品川線の問題ですけども、脱硝装置とか土壌脱硝装置をつけるというふうなことが決まっているのかどうか、このことを改めて聞きたいと思います。働きかけるが、その結果、つけるかどうかはわからない。結局できてみたらついていなかった、これでは住民は納得いかないと思います。つけることが決まっていて、それが最新のものになるというふうなことがもう決められているのであれば、それはそれでいいと思いますけれども、そういうふうな状況になっているのかどうか、それを改めてお聞かせください。
それと、少人数学級に関しては、文科省の方でも来年度から小学校1、2年生35人学級を始める方向で検討しているということで報道されていますけれども、そういう中で40人学級は子どもたちにとって適切な学級規模なんだということで、品川区はそういうふうな方向でやっていくのかどうか、改めて少人数学級に対しての見解というのがはっきりと聞かれなかったので、そのことをお聞かせください。
それと、「つくる会」の教科書なんですが、私は「つくる会」の教科書で子どもたちに教えられたら、本当に子どもたちにとって大変だなというふうに思いました。
ドイツのワイツゼッカー大統領の「過去に目を閉ざすものは現在にも盲目になる」、これは有名ですけれども、戦後ドイツが過去の反省を徹底して行い、被害者への謝罪、国家補償を繰り返し行ってきたことが今、ドイツのヨーロッパでの地位を占めていると思います。日本がアジア諸国と友好、連帯を築くためには、これからしっかりと子どもたちが過去の日本のアジア諸国への侵略と植民地支配、この歴史を学ぶことが大事だと思います。これができる教科書選定をしていただきたいと要望します。
それと、最後に、葬祭場の問題ですけれども、これは5条4項に定める6項目の説明がもう済んだ、こういうふうな認識だというのに本当に驚きました。これは全くされていないというのが住民の思いです。指導要綱の精神で指導してほしいというのが繰り返し住民が求めている中身なんですけれども、ここのところが認識でどうするのかということで変わってきますので、その中身は説明されていないにもかかわらず、もう済んだと認識している。その意思があったかどうかじやないんです。この中身が説明されたかどうか、このことに対しての判断、これを改めてお聞きしたいと思います。
それで、中延の町が大きく変えられよう、こういう状況の中で、ここに住んでいる住民に今、この業者は説明会さえも拒否している状況です。そういうふうな中で、説明会のルートをつける、これに品川区として全力を尽くしてほしいというふうに思うんです。土の決意を改めてお伺いしたい。
それと、同時に、説明会が終わるまでは工事は着工させない、こういう指導もあわせてしていただきたいと思いますけど、これに対してもお願いします。
○助役(濱野健君) 鈴木議員の再々質問に対しまして、お答え申し上げます。
機器類、どういうものをつけるのかということが今決まっているかというお話でありますけれども、これは決まっておりません。まだそういうことを決める段階にないということであります。したがって、その段階が来た時点でどういうものを取りつけるか、これは最善のものを取りつけていただきたいということをお願いしているところでございます。
それから、ご質問の中で、大気汚染の可能性のお話の中で、環境総合研究所の結果が公団の結果を覆すものだったと、だから汚染の危険性が大きいんだというお話でありますけれども、ご承知かと思いますけれども、環境総合研究所の結果につきましては、風速10メートルという要素を抜かしての発表ということでありまして、それを加味したものにつきましては、公団のデータが正しいということを新宿線の沿線の方々も認めておられるということを聞いております。申し添えておきます。
以上です。
○教育長(若月秀夫君) 再々質問にお答えいたします。
少人数学級、少人数指導についてですけれども、中教審で今、審議されている、これは事実であります。ただ、少人数学級につきましては、さまざまな課題もありますし、財政的な問題もあるようであります。これは国の動きとも当然関連をしてくることであります。そうした議論は十分に注意していきたいと思います。
本区の今の立場としては、小人数指導をさらにこれからも充実させていきたい、このように考えております。
なお、これはご質問ではございませんが、「つくる会」の教科書につきまして、鈴木議員の考えはよくわかりました。教育委員会としては、教育委員会で教育論を中心に考えていきたいと考えております。
○まちづくり事業部長(福田法光君) 5条4項に関する説明会の件でありますけれども、全くなされていないか、それとも完全に5条4項の説明が行われたか、こういうような丸かバツかというふうに私どもは考えておりません。土の説明会、いろんな状況がございまして、当初の任務をすべて終わったというような性格のものではございませんが、先ほど申し上げましたとおり、事業者側がそれを努力しなかったかというと、そうではないということも加味いたしますと、区としては、2回の説明会が終わったというふうに申し上げたものでございます。
しかしながら、区は住民の皆様が5条4項などに関するいろんなご心配ごとがあるというふうに認識しております。だからこそ、この間、都合3回のあっせん会議とでも申しましょうか、そういうような会議を区が用意してまいりました。その点を含みおきいただければ、ありがたく思います。
それから、説明会のルートでございますが、2回目のあっせん会議に臨む際に、区として何とか説明会が一定のルールのもとに行うことができないかというような考えを持ちました。しかしながら、事業者の方は、要綱に定められている説明会については終わっていると、このような認識でございました。
しかしながら、区はできるならばルールを定めた上で説明会、そのようなことも視野に入れているものでございます。
それから、その説明会が終わるまでは工事をやらないようにということでございますけれども、建築確認申請が既におりておりまして、説明会と関連づけることは困難でございます。
○議長(原雅美君) 以上で、鈴木ひろ子君の質問を終わります。
会議の運営上、暫時休憩いたします。
○午前11時30分休憩