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宮崎克俊区議05年第3回定例会「耐震補強」「アルゼンチン国債」「郵政民営化」

2005.09.21 宮崎 克俊 区議

一般質問項目

  1. 大震災に備え、地域別調査と住宅の耐震化を急げ
  2. 損害が確定したアルゼンチン国債の責任を問う
  3. 郵政民営化は百害あって一利なし。区長の見解を問う

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一般質問

日本共産党区議団を代表して一般質問を行います。


大震災に備え、地域別調査と住宅の耐震化を急げ

まずはじめは、大地震に備え、地域別調査と住宅の耐震補強を急ぐ問題です。

今年2月、中央防災会議は、東京湾北部を震源とする首都直下地震により、木造密集地で火災が多発、65万棟が焼失し倒壊による死者の2倍、6200人が火災で亡くなるとの被害予想を出しました。特に、品川区をはじめとしたJR山手線から環状7号線までのドーナツ状の木造密集地では住宅の倒壊・出火の危険性を指摘しています。

日本列島は地震の活動期に突入したといわれ、今年に入っても7月の千葉県北西部、8月は宮城県沖と新潟県中越地方など震度5強を超える地震が相次ぎました。中央防災会議の溝上東大教授は「M8クラスはまだ100年以上の余裕があるが、首都圏はM7クラスの直下型地震が起きる時期に入っている」と警告しています。これは7月のM6千葉県北西部地震の数十倍、首都が壊滅するような規模の地震です。地震対策は緊急課題、まったなしです。

千葉県北西部地震で首都の交通機関がマヒし、エレベーター6400台が停止。また、昨年の新潟県中越地震では、200キロメートル離れた東京の六本木ヒルズでエレベーターのワイヤーが切れるなど重大事態が発生、長周期地震の巨大ビルへの影響など都市における地震対策の新たな問題も浮き彫りになりました。この問題は別の機会にして、今回は木造住宅の耐震化を緊急課題として取り組むことについてうかがいます。

品川区は、地震に強い街づくりとして「密集住宅市街地整備促進事業」を、これまでの戸越1・2丁目、荏原北など各地区に加え、中延、豊町、二葉、西大井にも拡大。併せて、昨年から木造住宅の耐震診断費用12万円の半額助成、今年度から補強工事への融資あっ旋と、住宅の耐震診断と補強工事に支援を開始ました。高橋区長はこれまで「自分の財産は自分で守れ」といってきましたが、耐震診断と補強工事への支援はこの考え方を乗り越えたもので、大いに評価します。しかし、規模と内容はどうでしょうか。

品川区内には昭和56年に改正された震度7に耐えられる耐震基準以前の住宅が22,000から23,000棟といわれているのに、耐震診断の実績は昨年度40件のみ。今年度予算も耐震診断40件、補強工事の融資あっ旋5件だけです。住宅の耐震化が叫ばれている中で、あまりに貧弱。あまりにも実態とかけ離れているといわざるを得ません。

マスコミでも、東京新聞6月23日つけが「進まぬ防災対策」の記事で、品川区二葉の木造住宅密集地を取り上げていました。また、朝日新聞8月26日つけは、「木造住宅76%耐震『不適格』」の記事で、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合・木耐協の診断結果を紹介。同組合は2000年から毎年、診断結果を発表しているが改善の兆しはなく「早急な診断と適切な対策」をと警鐘を鳴らしています。住宅の耐震化は時間との勝負、スピードアップしなければなりません。

そこで私は、木造住宅の耐震化をスピードアップするため三つの提案をします。

まず一点目は、区内住宅の耐震性の実態調査と耐震化の方針をつくることです。

現在、日本全国にある4700万戸の住宅のおよそ25%、1150万戸が「震度7」の耐震基準を満たしてないといわれています。中央防災会議は今後10年間で耐震基準を満たす住宅を90%に引き上げる方針を掲げました。そのためには毎年10万戸から15万戸の改修、45万戸から50万戸の建て替えが必要だといわれています。

品川区内でも早急な耐震化へ地域ごとに実態を把握し、方針化する必要があると思います。

また、先ほど紹介した朝日新聞は、「古い住宅の居住者は耐震診断の受診割合が低い。耐震意識の啓発が重要だ」と指摘しています。意識啓発をすすめるために職員体制の強化も必要ではないでしょうか。

二点目は、耐震診断40件、補強工事の融資あっ旋5件という予算ワクと、支援対象も抜本的に拡大することです。

木耐協が発表した「木造住宅耐震診断 診断結果調査データ」では、平成14年からの3年間に実施した耐震診断52,746件のうち、実に76%が危険と診断。ところが、そのうち昭和56年の新耐震後の住宅でも62%が危険と診断されているのです。木耐協は、比較的新しい住宅でも耐震診断・補強工事の必要性が高いと指摘しています。

また、一階が駐車場などのピロティ形式のマンションは耐震性に問題があるといわれています。区長は耐火性のあるマンションは対象外といいますが、耐震性の面からマンションも耐震診断の助成対象にすべきです。

三点目は、補強工事への公的支援の実現、高齢者や障害者世帯への家具転倒防止器具設置への支援です。

木耐協の調査では、耐震診断後、実際に補強工事を実施したのは25%にとどまっています。「耐震補強工事費用の希望と実際に差がある」ことが原因だと指摘しています。木耐協組合員が施行した補強工事の金額は50万円〜100万円未満が45%、ついで100万円〜200万円未満が32%。平均が120万3千円余です。しかし、家主が補強工事にかける費用は50万円〜100万円未満が40%、ついで50万円未満が30%。また、補強工事を考えない方の一番多い理由は「経済的」で48%。工事費用の額がネックになっています。

豊町に住む89歳の女性は娘さんと二人暮しです。住まいは30年前に中古で購入しました。ともに年金暮らしのため建て替えはあきらめていますが、地震がきたら確実につぶれると心配、補強工事を希望しています。しかし、費用は木耐協調査の平均額120万円はとても負担できないといいます。年金暮らしに銀行は融資しません。目黒区、台東区などで高齢者世帯・障害者世帯に対する耐震補強工事の補助制度をつくっています。

いま、阪神大震災以降、地震など自然災害で壊れた住宅の再建に公的支援をする自治体が広がり、国も制度化に動こうとしています。地震で倒れた住宅の再建に支援するが、倒れないように予防することに支援できない理屈はありません。住宅は個人財産だからと公的資金を投入しなければ耐震化はすすみません。国にも制度創設を求めていただきたいと思います。

以上、三点を提案しましたが、住宅の耐震補強工事は町の工務店など建設業者の仕事確保としても重要です。一刻も早く住宅の耐震化がすすむことを期待して、質問します。

  1. 地域ごとに新耐震以前の住宅がどれくらいあるかなど実態調査と、実態に合わせた耐震化の方針つくりを求めますが、いかがでしょうか。
  2. 耐震診断40件、耐震補強工事融資あっ旋5件の予算ワクの拡大。また、新耐震の住宅でも希望する住宅には耐震診断の助成をしてはいかがでしょうか。
  3. 高齢者など融資を受けることが難しい方には、補強工事への助成制度を設けていただきたい。あわせて、国に制度創設を求めることについて区長の考えを伺います。
  4. 人命第一の立場で高齢者世帯や障害者世帯に家具の転倒防止器具設置を求めますがいかがでしょうか。

損害が確定したアルゼンチン国債の責任を問う

次に、アルゼンチン債問題について質問します。

品川文化振興事業団は、今年2月、新光証券を通じて「元本削減債」受け入れをアルゼンチン政府に回答しました。これは、アルゼンチン政府が、元本を3分の1に削減して「元本削減債」と交換しなければ、当初の国債は無効にすると強攻策にでてきたためですが、「元本削減債」受け入れによって購入のため支出した1億6千万円が返ってこないことが確定したわけです。しかも、交換した「元本削減債」でも返済が30年もの長期。結局、大損害をこうむったのであります。

アルゼンチン債問題とは、1999年にアルゼンチン政府が発行した年5.4%の高利だがダブルBという低格付けの国債を、2000年に品川文化振興事業団が1億6千万円分購入。ところが翌2001年、同国政府が突然「債務不履行・デフォルト宣言」を行ったため、今回の事態となったのです。

そもそも品川文化振興事業団は、理事長を高橋区長、副理事長に相見当事の助役、事務局長には天下りが就任。さらに、基本財産5億円のうち4億7千万円の区民の税金を投入し、毎年5億円の委託金、補助金を支出してきた区丸抱えの外郭団体です。区長は「理事長辞任で責任を取った」としていますが、区民には通用しません。

私は、アルゼンチン債の損害発生が確定したこの時点で、あらためて経過と現状、その責任と損害賠償について、高橋区長の考えをうかがいます。

まずはじめは、結局、損害額はいくらになったのか明らかにしていただきたい。報道によれば、「元本削減債」の額面は、4月以降に確定するとのことでした。1億6千万円が最終的にいくらに削減されたのでしょうか。

アルゼンチン債問題は、品川区の歴史上かつてない不祥事です。しかし、不正購入をした当事者である相見元助役からは、区民への説明も謝罪もありません。区長として、この間の経過と現状を区民に説明し、あわせて区民の財産に大損害を与えたことに謝罪すべきであります。

次に、その損失はいったい誰が負担するのか、について伺います。

アルゼンチン債の購入は、正規の手続きもなく不正に行われました。それなのに、高橋区長は、「よかれと思ってやったこと」と相見元助役をかばい、責任を問おうとも、損害を請求しようともしない。それどころか、事態が明らかになった後で事業団理事会がアルゼンチン債購入を事後承認したのです。これは、損害を事業団がかぶるというもので、最終的に区民にツケがまわってくることになるのです。これでは、まったく筋がとおらない。不正購入の当事者相見元助役に損害を賠償させるべきであります。

2002年3月22日の区議会予算特別委員会で、当時、品川文化振興事業団理事長だった高橋区長は、わが党菊池議員の質問に対して「違法の方法であるならば、いくらでも負債の責任をとりますが、合法的な方法で買った。ただ、買う手続きが適当でなかった。ただ、それだけの問題ですので私の財産を投入して負債を埋めるという考え方は、いま持っておりません」と答弁しています。しかし、高橋区長の「合法的な方法で買った」という言い分は通用しません。

それは、第一に、アルゼンチン債は当時の相見助役・事業団副理事長による独断の購入だったということです。高橋区長は「私なら買わない」と明言しています。適正な手続きが行われていたら、アルゼンチン債の購入はなかったのです。

第二は、購入資金を捻出するため、相見元助役が事業団の財産を理事会の承認なしに勝手に売却していたことです。

第三は、相見助役による独断購入という事態を知った高橋区長・理事長が、理事会に事態の報告をせず隠し通そうとしていたことです。

高橋区長は、財産目録にも「アルゼンチン債」とではなく「国債」と記載、あたかも日本国債を購入したかのようにウソの表示、粉飾決算をしていました。結局、アルゼンチン政府がデフォルト宣言し、事態が明らかになるまでアルゼンチン債の購入そのものを隠し続けてきたのです。

しかも、財団の監査は現物も確認せずに当然のチェックさえせず、区監査委員による監査も行われていませんでした。これでは、高橋区長と理事会が一緒になって「不正隠し」してきたといわれても仕方ありません。それでも、高橋区長は「合法的な購入だった」といいはるのでしょうか。

アルゼンチン債購入に充てた1億6千万円という金額は、例えば、わが党の「出産祝い金」ひとり5万円支給する提案が十分まかなえる金額。区民の貴重な財産です。「良かれと思ってやったこと」などという言い訳は通用しないことを厳しく指摘するものです。

そこで、質問します。

  1. 結局、1億6千万円のアルゼンチン債は最終的にいくらに削減されたのか、損害額はいくらになったのか明らかにしていただきたい。
    あわせて、この間の経過と現状を広報誌や区民チャンネルを通じ区民に説明し、謝罪すべきです。区長の考えをうかがいます。
  2. 損害を、不正購入した相見元助役に請求すべきと考えますが、いかがですか。
    相見元助役に請求しないのなら、高橋区長はじめ当時の事業団の役員などが損害を補填するのでしょうか。それとも、区民にツケを回すつもりでしょうか。うかがいます。

郵政民営化は百害あって一利なし。区長の見解を問う

最後は、郵政民営化について区長の見解をうかがいます。

去る衆議院選挙の重要争点の一つが郵政民営化でした。小泉内閣は、選挙後の臨時国会に郵政関連6法案の提出を明らかにしています。

郵政問題は国政問題ですが、全国47都道府県のすべてで、前国会に慎重審議あるいは民営化反対の決議、意見書提出に表れているとおり、住民生活に直結する問題だからです。

小泉総理は、「民営化できるものは民営化する」「民営化によりサービスは向上する」と述べてきました。果たして民営化でサービスの向上、国民のためになるのか。私は二つの点から国民にとって取り返しのつかない事態になることを指摘したいと思います。

一つは、不採算の郵便局が閉鎖され、全国に張り巡らしたネットワークが崩壊しかねない問題です。

現在、全国に2万4000ある郵便局は、どんな離島や山間部でも国民が等しく利用できるユニバーサルサービスを提供しています。民営化されれば、不採算部門、赤字の窓口閉鎖は必至です。これは、この6年間で民間銀行が全国約4千の窓口を閉鎖した実態を見れば明らかです。民間金融機関の店舗のない市町村は全国554自治体に上るのであります。

毎日新聞は、総選挙の最中「船やヘリで運ぶ最も非効率の村」「不採算廃止が心配」との見出しで東京都青ヶ島村の状況を報じました。東京の南370kmの青ヶ島村の人口は197人。郵便局が唯一の金融機関となっています。海が荒れれば、船は接岸できずヘリコプターで郵便物を運ぶ。菊池村長の「1自治体に一つは残すと言うが採算が合わなければ廃止されるかも知れない」との声を紹介しています。

国会審議でも、我が党の「ネットワークは維持すると言うが、民営化法案のどこに困難な郵便局を維持する義務規定があるのか」の質問に、「義務規定はない」との答弁でした。

もう一つの問題は、郵便局の無料もしくは低料金の各種手数料が、銀行に並みに有料化、値上げが必至となる問題です。

夜間、休日のATMの利用料が、銀行105円、郵便局は無料。両替も銀行は315円の手数料、郵便局は無料。UFJ銀行のオールワン普通預金では、残高50万円未満の小額預金者は月額630円の口座維持手数料となっていますが、郵便局は無料です。郵便局が口座維持手数料を取れば低所得者は口座維持さえ困難、弱者を金融から排除することになりかねないのであります。

さて、小泉首相は選挙中、郵政民営化によって、法人税等が入る、公務員を減らせると主張してきました。しかし、郵政公社は利益の50%を国庫に納付しています。民営化された場合、政府の試算でも2016年の時点で法人税などが3245億円入るが、一方、公社のままなら国庫納付金などの負担は3836億円と、公社の方が600億円近く多く国の財政に貢献するのです。しかも、民営化された郵貯局が赤字になれば、国に納める税金はゼロになってしまうのであります。

また、郵政事業は独立採算で、昔も今も一円の税金も投入されていません。「民営化すれば26万人の郵政、国家公務員の税金投入がなくなる」と、ウソを百も承知で小泉首相は財政軽減論を振り回してきたのであります。

郵政民営化は国民からでた要望ではありません。これほど重大な問題があるにもかかわらず、遮二無二押し通そうとする背景にアメリカ政府や日米の銀行、保険業界などからの圧力が明らかになりました。

米国側は、保険分野の「規制緩和」として簡易保険の「改革」を一貫して要求。2000年代からは「簡保と民間との競争条件を同じにする」など、郵政民営化そのものを強く要求してきました。日本の銀行や保険業界も、自分たちの商売の障害になるからと、郵貯・簡保の縮小・廃止を求めてきたのです。政府の郵政民営化準備室が、昨年4月以降、米国政府や民間の関係者と18回も意見交換を重ね、そのうち5回が米国の保険関係者との会合であったことが、国会審議で明らかになったのであります。

小泉首相は「民間にできることは民間で」と言いますが、その民間はいったい何をやってきたでしょうか。銀行、保険会社は、バブル経済のとき先を争って顧客の預金を土地投機に投入。バブル崩壊で不良債権の山を築きました。どれほど国民の暮らしと日本経済への打撃をもたらしてきたことか。挙句の果てに不良債権処理に35兆円の公的資金を投入、そのうち10兆円が焦げ付いた。これが民間銀行、保険業界の実態です。だから国民の多くは、預金を銀行から郵便貯金に転換したのです。

その銀行が郵便局の民営化を執拗に要求する。そんな資格がどこにあるのでしょうか。我が党は、郵政民営化は「国民にとって百害あって一利なし」、おこなってはならないことを強調するものです。

そこで質問します。

品川区議会は昨年第4回定例会で、「郵政事業の民営化に関する意見書」を全会一致で採択。意見書は「採算性を重視した民間へ移管されると都市部と不採算地域との間で料金格差が生じ全国均一料金制度を維持することが困難になる」として、民営化を拙速に進めることのないよう求めています。「郵政民営化」に対する区長の見解を求めます。

以上で、一般質問を終わります。


答弁

高橋区長

宮崎議員のご質問のうち、郵政民営化についてお答え申し上げます。昨年区議会が採択した意見書は「国民への理解を積極的に求めるとともに、民意を十分に反映するよう強く要請いたします」とあり、今般行なわれました衆議院議員選挙によって民意が明らかになったものと理解をしております。いずれにいたしましても、郵政民営化につきましては、改めてこれから国会で審議されるところであり、国民全体の利益という視点からよりよい方策について論議されるものと認識しております。したがいまして、区長としての見解は差し控えさせていただきます。以上です。

福田まちづくり事業部長

それでは震災対策に関する一連のご質問にお答えいたします。まず、地域ごとの旧耐震住宅の実態調査と方針つくりについてでございますが、東京都が行なった第5回地域危険度測定調査結果には品川区を含む都内5073町丁目につきまして、建物倒壊危険度や火災危険度あるいは避難危険度などが表示されておりまして、このうち建物倒壊危険度につきましては、地域ごとに建物を構造別、建築年次別、あるいは階数別などに分類し、これを評価したものにございます。区と都はこれらを共通認識といたしまして、防災に関する街づくりを進めてきておりますし、また区が独自に策定いたしました市街地整備基本方針におきましても、地区別に方針が掲げられているところでございます。したがいまして、改めて地域ごとに住宅の実態調査や方針作り、これを行なう考えはございません。

次に耐震診断と補強工事融資斡旋の予算枠の拡大についてでございますが、昨年度の耐震診断助成の実績は40件でございました。今年度は8月末現在でございますが27件でございます。直今年度に新たに創設いたしました補強工事の融資斡旋事業の実績は残念ながら今のところございません。以上のように本事業の実績は概ね予定件数に沿っているところでございますが、今後さらに申請の動向を注視してまいりたいと思っております。なお新耐震の住宅でも希望する方に診断助成をしてはとのご提案でございますが、この診断助成事業は旧基準で作られた建物につきまして、診断結果をふまえて耐震改修や補強への動機付けを行い、新基準に近い強度を持たせるために行なっているものでございますので、新基準以降の建物までを対象をすることは考えてございません。

次に、高齢者などに対して耐震補強工事への助成制度を設けるとともに国に制度の創設を求めてはどうかとのご質問でございますが、区が本年度から実施しております耐震工事への融資斡旋事業は、その前提である耐震診断の助成によって区民への動機付けを行い、その結果区民自らが補強工事を行なう場合には、それを融資斡旋によって支援するものでございます。このように現在行なわれているこの2つの事業は連続して事業でございまして、その意味は公的な責任によって区民の耐震対策への発意を促すことと個人の責任によって私有財産の管理を行なうこと、この2つの調和を図ることにございます。これはこの2つの施策の基本的な考えに関わることでございまして、ご提案がありました助成制度を補強工事にまで拡大することとは両立しないものと考えております。なお、「国に制度の創設を要望しては」とのことでございますが、現在国におきましては、中央防災会議におきまして建築物の耐震化の推進に関する議論が行なわれているなどの動向がございますので、これを注視してまいります。

最後になりますが、「高齢者や障害者世帯への家具転倒防止器具の設置」についてでございますが、まず区民自らが災害に備える自助の意識を持ち、家庭でできる防災対策を実施することが防災の基本でございます。したがいまして、これまでもご答弁申し上げてきた通り、家具転倒防止器具の設置につきましては地震に対する備えとして居住者みずからが購入し、設置すべきものと考えておりまして、区は販売の斡旋や区民へのPRに努めてまいります。

山田区民生活事業部長

私からはアルゼンチン国債に関してのご質問にお答えいたします。品川文化振興事業団におけるアルゼンチン国債券の取り扱いにつきましては、これまでも事業団の理事会、評議委員会において審議及び決定が図られているところでございます。したがいまして、毎回申し上げてございますが、ご質問の件につきましては、事業団において対応されるべき事柄であると考えております。


再質問

宮崎克俊君

自席から再質問させていただきます。まず郵政民営化の問題なんですけれども、これは国政問題だけれども、私は区民生活に非常に影響がある問題だということを指摘いたしました。特にいろいろ試算の中では今の2万4000局が7000ぐらいまで減るのではないかと、そういう試算もあります。実際に民営化されたドイツでは2万9000が1万3000まで減っている。特に都会のところでも郵便局が減るのではないかという風に言われています。そうすると、例えばこの郵便局で年金を受け取っているお年寄りだとか非常に影響を受けることは必至だと思うのですよ。そういう問題をやっぱり本当につかんでいるのかなという風に思います。ついでに、今「民意が明らかになった」というお話でしたけれども、マスコミでも「これはそうじゃない」という風に言っていますよ。自民党48%の得票で73%の議席と、これはまさに小選挙区の選挙制度によって得ている議席だと、これは国民の民意ということからいけば、委任をしたということは到底いえないという風に思います。国政の問題だということで、区長の見解を差し控えるということだったのですけれども、区民生活に与える影響というのは大きいと思うのですが、こういうところを調査する気はないのかどうかですね、私はそういう問題も国政の問題でも、やっぱりちゃんと住民生活に与える影響はどうなのかということをぜひつかんでいただきたい。その上で国政の問題だという風に言うのだったらまだわかりますよ。初めからそういう風に国政の問題だというのは私は納得できない。

次に地震の問題ですけれども、これは答弁を伺っていて、私は非常に危機感を覚えたのは、震度7クラスの直下型地震はいつ来てもおかしくないと言われているんですよ。この危機意識が今の答弁から全く感じられないということなんですよね。東京都のいろいろ基準が違って若干被害想定は違います。でも共通しているのは、直下型地震が来たらこの品川区はかなりあぶない地域、もうトップクラスなんですよね。それにどうするのか、どういう風に耐震化をすすめていくのか、この危機意識が全くなってないということなんですね。今、例えば高齢者・障害者の家具転倒防止の問題でも、結局自助、自分で何とかしろということじゃないですか。私はこれだけの危険性が叫ばれている中で、それにあった手を打たなければ私は人災といわれても仕方がないと思いますよ。今、アメリカのハリケーンの「カトリーナ」の被害でもまさにその点が指摘されて世論が沸騰しているわけなんですよ。この今の危機意識に対して、それに見合った計画を作る気があるのかないのかですね、そこの所をもう一回聞きたいと思います。

アルゼンチン債の件ですけれども、「アルゼンチン債は事業団が対応する問題だ」と一言で終わりました。私は区民の財産を投入している、そこの責任、それに対して区が何ら責任がないのかということですよね。一体いくら事業団が損害を出したのか、この金額さえ報告できない、これは一体区民の財産を考えているのかという基本問題ですね。大体そうすると事業団が説明しなければ、区民には一切説明なしということなのかどうなのか、ここを聞きたいと思います。大体区の基本的な姿勢、例えば第三次品川区の長期基本計画、ここでもですね、例えば区民への掛け橋というところでは、区民の区政への関心を高めると、より理解を促進するためにいろんな媒体を活用して提供を進めていくんだと、こういうことを書いていますよ。ところが、このアルゼンチン債の問題は全く区は関与しない。お金を貸している相手がこういう不祥事をやっても全く関知しないということなのかどうなのか、改めて伺いたいと思います。


再答弁

高橋区長

宮崎議員の再質問にお答えいたします。郵政民営化の問題でございますが、先般の選挙は「郵政民営化、是か非か」との論争のもとに選挙が行なわれたものと思っております。結果はご承知のとおりでございます。今日から召集されております特別国会におきまして、郵政民営化の問題につきまして優先的に議会に上程をし、論議されると聞いております。したがいまして区のほうでは、いろいろ郵便局の問題について調査する考えはございませんし、また現在の特別国会で論議し新しい結果が出れば、それに郵政民営化の問題が国において施行されていくものという風に理解をしております。以上です。

濱野助役

アルゼンチン国債のご質問について、再質問にお答えを申し上げます。今、宮崎議員の方からアルゼンチン国債は区民の財産で購入されたというお話でございますが、アルゼンチン国債は区民の財産で購入されたものではございません。財団が独自に資金運用をして得た利子収入を充てて購入したものでございます。それからさらに、各会派、宮崎議員も所属する会派からも評議委員を文化振興事業団の方にお出しになっております。したがいまして、この問題につきましては、まず評議委員会において議論されてしかるべき問題という風に考えてございます。先ほどの答弁のとおりでございます。以上です。

福田まちづくり事業部長

地震の件でありますが、危機意識はどうなんだと、こういうご質問でございますが、区は危機意識があればこそ昨年から診断助成、この事業を新たに展開いたしました。また、今年度に入りましてからは、補強工事等への斡旋事業も開始をいたしました。また、ご質問にもありましたように、密集住宅市街地促進事業等につきましては、広範な事業でこれまでも計画的に進めてきているところでございます。これはすべて危機意識の現われという風に認識しております。


再々質問

宮崎克俊君

再々質問をさせて頂きます。結局アルゼンチン債は区民からすれば都合の悪いことは言わないということを宣言しているとしか聞こえません。区民の財産ではないと言いますけれども、あれを買ったのはこの基本財産から利用したわけでしょ。でも、この基本財産5億円のうち4億7千万円は区民の税金で出しているじゃないですか。これは財団が勝手にやったということをね、私は通用しないと思う。しかも結局不正購入、その責任者、不正購入をしたその張本人にも損害の賠償をしようともしない。これは全く区民からすれば、自分たちはくさいものに蓋を閉めて、通り過ぎるまで待つんだということしかないですよ。受けとれません改めてこれは、結局自分に都合の悪いことは隠すのかどうなのか、こういう姿勢としか見えないけれども、改めて聞きたいと思います。

それと地震の方なんですけれども、危機意識があるから今の取り組みなんだということであれば、逆に2万2000〜2万3000棟の旧耐震の建物があると、それではこれを一体いつまでに補強していくのか、その期限はいつなのかはっきりさせて頂きたいと思います。

アルゼンチン国債に対しての再々質問についてお答え申し上げます。区民の財産、これが基本財産ということでありますれば、財団における基本財産は元の通り1円もかけてございません。そういった意味で区民の財産に毀損はしてございません。また損害額等々につきましては、財団としての問題でございますから財団にお問い合わせいただくなり評議委員会の中でご議論いただくのが筋かという風に考えてご答弁申し上げているところでございます。以上です。


再々答弁

福田まちづくり事業部長

いつまでにいくつやるのかと、こういうご質問でございますが、私どもが展開しておりますこの事業につきましては、区民の発意を促す、いわば呼び水と申しましょうか、あるいは波及効果、こういうことを狙いをしているものでございます。また議員ご自身のご質問にもありましたように、朝日新聞の記事では「啓発が重要だ」と、こういう議員からのご指摘もございました。私どももそう考えております。なにせ相手があることでございますし、発意あるいは啓発、こういうことが重要でございますので、いつまでにいくつやると、こういうような計画に馴染むものではないという風に考えております。

以上

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