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宮崎区議
日本共産党区議団を代表して質問

格差社会を広げた小泉「構造改革」について高橋区長の見解を問う>>>
財界の求める大規模開発優先をやめ、区民の命を守る防災対策を>>>
民間「丸投げ」の外部委託拡大は見直しを>>>
子どもたちに競争強いる小中一貫教育は見直し、「協同の教育」に転換を>>>
「格差」が広がるなか、区営住宅・高齢者住宅の建設を>>>
住民が反対する29号線道路計画は見直しを>>>

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格差社会を広げた小泉「構造改革」について高橋区長の見解を問う

宮崎区議

日本共産党区議団を代表して、高橋区長に質問します。

はじめに、 格差社会を広げた小泉「構造改革」について、見解をうかがいます。

耐震強度の偽装、ライブドア問題、格差の広がりと貧困の増大。いま、「官から民へ」、「小さな政府」の小泉「構造改革」、規制緩和の害悪が次々と明らかになっています。日本経済と国民生活の深刻な矛盾に、与党のなかからも「小泉改革の光と影」と批判の声があがっているのです。

貯蓄ゼロ世帯は 23.8%と5年で倍加。生活保護は97年の60万世帯が100万世帯に激増、品川も同じ時期におよそ2千世帯が3千世帯へと1.5倍。1月3日付け朝日新聞は「就学援助4年で4割増」と伝えました。経済的理由で文房具や給食費などの援助を受ける児童・生徒が急増。東京は需給率24.8%と大阪府に続いて全国第2位の高水準、品川区は28.6%とさらに深刻です。

国際比較でも日本の貧困化は顕著。昨年の経済協力開発機構・OECD報告書では、日本の貧困率は 15.3%。メキシコ、アメリカ、トルコ、アイルランドに次ぐ第5位、OECD平均の10.2%を大きく上回っています。最新の国民生活基礎調査データによる計算では16.7%と、さらに上昇しています。

私の知人は収入が落ち込み息子さんに大学進学をあきらめさせました。「親の都合で子どもの夢を断つことは断腸の思い」とのべ、「お金がなくて大学に行けない、大学に行けずいい仕事に就けなくなったら一生貧乏のままかも…」と心配しています。

 貧困が広がる根底に、大企業のリストラと新規採用抑制、正社員から派遣やパート、アルバイトなど非正規雇用に置き換えてきたことがあります。 2001年に3600万人だった正規労働者が、2005年に3300万人へと300万人減り、パート・派遣が200万人以上増えた。生涯賃金が正規労働者の4分の1くらいの非正規労働者が増えて格差が広がっている。労働者の三人に一人、若者の二人に一人は不安定雇用の低賃金・無権利状態といわれます。これを可能にしたのが小泉内閣の「労働法制の規制緩和」でした。

相次ぐ税制改悪、社会保障の改悪も貧困と格差拡大に拍車をかけました。新年度は、高齢者の医療費2割負担、 75歳以上から新たに保険料徴収、介護保険料値上げ、年金は0.2%減額し掛け金は値上げ。高齢者の非課税措置廃止など庶民直撃のメニューが目白押し。さらに、消費税と所得税の増税計画。これでは、格差をいっそう広げることになります。

 ところが、小泉内閣は法人税減税を繰り返し実施。法人税の税収は半分に減っています。大企業はバブル期を上回る利益を上げているのに、おかしいではありませんか。日本経団連は、さらに、法人税の減税、社会保険料など企業負担をなくすことまで求めているのです。財界・大企業は自らの負担を減らし、その穴埋めを庶民に押し付ける、断じて認められません。

一方、税金のムダ遣いはまったく止まらない。先週、神戸空港がオープン。さらに、政府の国土開発幹線自動車道建設会議が赤字路線を税金で建設する計画を決定。高速道路整備計画 9342qをそのまま推進しようというのです。民営化すれば不採算の道路はつくらなくなるという宣伝は一体、何んだったのでしょうか。

結局、小泉「構造改革」は、大企業の利益を最優先にして、規制緩和、市場原理主義を持ち込んだ。これが、「濡れ手で粟」の錬金術を生み出す一方で、耐震偽装で国民の命を危険にさらし、格差と貧困を広げてきたのです。弱肉強食が当たり前の社会をこのまま続けていいのか。この問題がいま政治に問われているのではないでしょうか。

 そこで質問します。

高橋区長は、不安定雇用と失業者を増やし格差を拡大した小泉内閣の「構造改革」「官から民へ」の路線をどう評価しているのでしょうか。あわせて、区民の暮らしをどうみているか認識をうかがいます。

財界の求める大規模開発優先をやめ、区民の命を守る防災対策を

宮崎区議

つぎに、施政方針説明と予算案に関連して質問します。

高橋区長は施政方針説明で、@新しい学校教育と少子化対策、A都市型災害への対策、Bにぎわいと活力ある地域づくり―の三本柱を強調しました。

しかし、「新しい教育」とは、学校選択制で学校ごとに児童・生徒獲得を競わせ、小中一貫教育の名で子どもたちも競わせる、学校教育への市場原理と競争の持ち込みです。

また、都市型災害への対策というが、やってきたのは大企業の巨大ビルづくりへの支援、住宅の耐震化にはまったく不熱心でした。さらに、大規模開発にあわせて大型店を誘致、不況で苦しむ商店街に打撃を与え「シャッター通り」といわれる事態を加速したのが高橋区長ではありませんか。 小泉内閣の「構造改革」を品川区に率先して導入。その結果、区民の中に不公平と矛盾を拡大したのです。私は、大規模開発、民間委託、教育、住宅について区長の見解を伺います。

はじめは、大規模開発を優先し、住宅の耐震化を遅らせてきた問題です。

高橋区長は大規模開発に莫大な税金を注ぎ込んできました。新年度予算は「都市再生事業」も含め大崎駅周辺開発に 114億円を組みました。これは一般会計の8.5%を占めるもの、常軌を逸した大規模開発偏重の税金のムダ遣いといわなければなりません。

これまでの主な開発は、大崎ニューシティ、ゲートシティ、東五反田オーバルコート。さらに、現在進行中の大崎駅東口第三地区、西口中地区、東五反田 2丁目第2地区。今後予定の広町開発、一本橋地区など大規模開発計画が目白押し。計画も含め 500億円を超える 税金が開発に投入されることになります。

区はかつてこうした開発を「日本一の規模」と自慢しました。しかし、大規模開発の優先が、街づくりを歪め、急ぐべき地震対策を遅らせたのです。

 区長、 大規模開発を最優先するやり方は見直し、住宅の耐震化など地震対策に街づくりの方向を切り替えるべきです。見解を伺います。

また、 中央環状品川線計画に近隣 11町会が反対の署名運動に取り組み、東五反田2丁目、北品川3丁目の超高層マンション計画、武蔵小山の「しゃれ街」でも住民に反対が広がっています。 区長は、大規模開発への住民の反発をどう受け止めているのか伺います。

 次に、住宅の耐震化推進について伺います。

首都直下型地震はいつきてもおかしくないといわれています。先週 16日、東京都防災会議が中間発表した首都直下地震の被害予測は、マグニチュード(M)7.3の東京湾北部地震により、全壊13万棟、半壊35万棟、火災消失は31万棟。死者4700人というものです。一方、中央防災会議は、首都直下地震で死者の8割は建物の倒壊によると予想。朝日新聞は昨年末、東京23区などを調査、耐震診断助成利用は対象のわずか2%、改修工事実施は危険と診断された1割にとどまったと伝えました。住宅の耐震化が遅れているのです。現在、区内には「震度7」に耐えられない旧耐震基準で建てられた住宅が2万2千から2万3千戸と予想されています。これらの耐震化をどうすすめるのかが問われているのです。

さて、新年度予算に木造住宅の耐震補強工事への助成が盛り込まれました。阪神淡路大震災以後、日本共産党区議団が繰り返し求めてきたものです。高橋区長はこれまで「自分の財産は自分で守れ」との答弁を繰り返してきましたが、いよいよ行政が個人住宅の耐震化支援に乗り出したことは大いに評価したいと思います。

しかし、今回予算化されたのは、耐震改修の工事費上限 150万円の半額を助成するものの、わずか5棟分。対象は荏原地域の住宅密集地で倒壊により道路を塞ぐ危険のある住宅に限定しました。これでどれほど耐震改修がすすむというのでしょうか。

住宅の倒壊が火災発生、大災害になったことは阪神淡路大震災の経験・教訓です。豊町6丁目の 80才の女性は「年金暮らしでお金がない。地震がきたら家がつぶれてどうせ死ぬんだから…」と補強工事をためらっています。こうした、「あきらめ」は高齢者に共通しています。放置できません。大地震がきても一戸の倒壊も火事も出さないという構えと取り組みが区に求められていることを強調したいと思います。

そこで、住宅耐震化について二点提案します。

第一は、住宅耐震化の目標と計画をつくってすすめることです。区長は施政方針説明で、国・都の被害想定に対応し、品川区地域防災計画を改定すると述べました。現在、2万2千から2万3千戸ある旧耐震の住宅を耐震化する目標と計画を、地域防災計画の見直しとあわせてつくっていただきたい。

 

第二は、補助の対象とワクの拡大です。耐震化助成が5戸分だけとはあまりにも貧弱。補助対象を区内全域の旧耐震基準で建てられたすべての住宅とし、ワクの抜本的拡大を求めます。仮に、 150万円の半額、75万円を2万戸に助成しても150億円、大規模開発への補助金よりこちらを優先すべきです。答弁を求めます。

民間「丸投げ」の外部委託拡大は見直しを

宮崎区議

次は、「官から民へ」「小さな政府」の品川版、民間「丸投げ」の外部委託の問題について伺います。

 マンションなどの耐震強度偽装やJR西日本福知山線の脱線・転覆事故など、「小さな政府」「官から民へ」の小泉構造改革は、結局、利益優先で安全・人命が後回しにされました。行政の責任放棄に他なりません。

高橋区長は、事業の外部委託を積極的にすすめ、新年度予算では学校給食調理外部委託を 10校に拡大、土木事務所を全廃し外部委託導入、住民基本台帳・ 区税・国保・介護保険システムのアウトソーシング、さらに 、指定管理者制度の本格稼動と 市場化テスト導入のための検討を盛り込みました。しかし 、区の事業を際限なく民間に「開放」することは大きな問題があります。

第一は、委託先のチェックの問題です。

4月から指定管理者制度が本格的に稼動。総合区民会館「きゅりあん」や総合体育館、区民住宅、特養ホーム、在宅サービスセンターなど区民の施設が、営利企業を含めた指定管理者に委託されます。

指定管理者制度は、区の施設を使用許可など管理権限まで営利企業を含めた民間業者に委託します。ところが、区の情報公開は委託先に及ばない、議会もチェックできない。施設の運営が住民・議会から見えなくなってしまいます。

高橋区長は施政方針説明で、「指定管理者評価の仕組み」をつくると述べましたが、委託する以上、安全や質など行政と議会、利用者がしっかりチェックできる仕組みにすべきです。見解を伺います。

第二は、不安定雇用の拡大です。

新年度も学校給食調理の外部委託、土木事務所の廃止。これが、非正規雇用など低賃金の労働者に置き換わります。指定管理者制度はこの流れを加速します。

いま、低賃金の非正規労働者の増加が、社会的格差を広げています。自治体が率先してすることではありません。

給食調理を外部委託した学校の生徒や先生から「味が落ちた」との声も聞かれます。また、給食調理の現場からは派遣される労働者がつぎつぎ替わるとの指摘もあります。劣悪な労働条件では安定した仕事は望めません。「安かろう悪かろう」でいいのでしょうか。

わが党は、同一労働同一賃金の考えから安易な外部委託には反対です。しかし、外部委託する場合、最低限、労働条件や実績を調査、把握すべきです。見解を伺います。

子どもたちに競争強いる小中一貫教育は見直し、「協同の教育」に転換を

宮崎区議

次に、子ども達に競争強いる小中一貫教育は見直し、「協同の教育」に転換を求めて質問します。

高橋区長は「新しい学校教育の展開」として、 4月、大崎地区小中一貫校「日野学園」の開校と小中一貫教育の全区実施。さらに、原小と伊藤中の大井地区に続き荏原西、品川、荏原東、八潮の各地区での小中一貫校建設計画を発表しました。 小中一貫教育は全国的にも先進例がなく、何ら実証や検証、評価もありません。この段階で子どもたちに押し付けるのは、あまりにも無謀ではないでしょうか。

 小中一貫教育の特徴は、ひとつは「小学校 5年生から週一回7時間授業」。国語は小学6年の配当漢字を5年生に。算数は小6の倍数・約数を小5へ、高2の虚数を中3へ、といった前倒しの教育。もうひとつは5年生から導入される習熟度別に学習するステップアップ学習です。つまり、子ども達に前倒しで詰め込んで、そこで生じた学力の差、つまり習熟度に応じてクラスを分け授業を行うというものです。

区教委はステップアップ学習を「基礎・基本の学習を徹底して身に付けさせるとともに、特定分野の優れた能力や学ぶ力を伸ばす」と説明します。しかし、「できる子」「できない子」にクラスを分け、できる子はどんどん前にすすませる。これは、公教育の場をつかったエリート教育につながるものです。子どもたちの中に競争を持ち込み、勉強についていける子といけない子との学力格差と学校間の格差を拡大することが、非行、不登校など取り返しのつかない事態を招きかねないと心配するものです。

いま、教育界ではOECDの国際学力テストで教育水準の高さが証明されたフィンランドが注目を集めています。フィンランドの教育の特徴は「協同の教育」です。

「協同の教育」について、東京大学の佐藤学教授が日本教育新聞で 12回にわたって連載しました。ここで、その要点を紹介します。

静岡県の、ある中学校の数学の授業を紹介。「四角形の等積変形」の発展問題では、答えられる生徒はクラスに1人いるかどうかと予想されたが、一クラスを4人のグループに分け授業。その結果、数人の生徒が理解に難航したが、解らない生徒がグループ内の生徒に尋ねることによって、 15分ほどですべての生徒が理解できたというのです。佐藤教授は、「グループのテーマは一番できる子の少し上を設定。すると、できる子も懸命に勉強、理解できない生徒ができる生徒に尋ねる。子どもたちの学びあいこそ、できる子もできない子も伸びていく最大の条件」だと強調していました。

いま、求められているのは、子どもたちを競争させ一部のエリートを育てる教育ではなく、どの子にも学力を身につけ、全体を引き上げる「協同の教育」だと確信します。

子どもにとって一生に一度の学校生活。決して失敗は許されません。だからこそ、教育改革は、一歩一歩、確かめながら進めなければなりません。品川区にも、世界的な視野に立って優れた経験に学ぶ謙虚な姿勢を求めるものです。

そこで、質問します。

@小中一貫校の教育実践はいまだ行なわれていないのに、なぜ、全校実施、小中一貫校の6校拡大へと進めるのでしょうか。

Aなぜ、授業時間の増加や上級学年の前倒し教育が、「ひとり一人に適した学び方で学力を伸ばすこと」、「自らの生き方を主体的に切り開くための知識や知恵を身に付けさせること」となるのか。その根拠となる教育実践や論拠を示してください。

B小中一貫教育のステップアップに見られる教育方法が学校教育の向上に有効だという、国内及び国際的な教育研究、科学的根拠の結果があるのでしょうか。

Cなお、若月教育長は再三にわたり「本区における習熟度別学習は、能力別学習ではなく、子ども一人ひとりの能力を伸ばしていこうとするもの」と説明します。それでは、品川区の小中一貫教育では、子ども達の学力や能力、習熟度によってクラスを分ける方法はしないということか、説明を求めます。

「格差」が広がるなか、区営住宅・高齢者住宅の建設を

宮崎区議

次に、住宅政策について質問します。

高橋区長は、地方分権と自治権拡充のもと、「自治体間の競争が激しくなる」という認識で、最も力を入れてきたのが中堅所得層のファミリー世代の呼び込みでした。その結果、減少し続けていた品川区民は平成 10年から増加に転じ、高橋区長は「住宅と保育」政策の成果と自慢しました。しかし、一方で、低所得者向け住宅の増設計画がないという不公平と矛盾を拡大したのです。

 高橋区長の住宅政策の特徴は、ひとつは区が直接建設する公的住宅、もうひとつが大規模開発でのマンション建設です。平成 13年作成の「住宅マスタープラン」に、10年間で区民住宅630戸、高齢者対象の「安心の住まい」とケアホームをあわせて120戸の増設をそれぞれ盛り込み、ファミーユ下神明や「さくらハイツ西五反田」など建設しました。

 また、大規模開発でのマンション建設支援では、東五反田2丁目のマンション・オーバルコートに 47億円、一戸当たり770万円の補助金を支出。計画中の大崎駅東口第3地区や西口中地区のマンション計画にも補助金を予定しています。

 ところが、この住宅マスタープランには、区営住宅や高齢者住宅など所得の少ない方々向け住宅は一戸もありません。石原知事も都営住宅を建設しないため低家賃の公営住宅は一戸も増えていないのです。先日、 2月の都営住宅の募集は区内分わずか3戸。平成17年度、都営住宅は募集戸数3061戸に12万2095人が殺到。競争率39.9倍です。高齢者住宅も平成16年度174人が申し込み、入居できた人は16人だけでした。

 二葉二丁目のアパートに住む夫婦は、「都営住宅、区営住宅、全部応募したが、外れのはがきが 40枚になった。生きているうちに入りたい」と心待ちにしています。

区は、低家賃の都営・区営住宅を増設しない理由を、 4000戸余整備したからといいます。しかし、所得格差の広がり、貧困層の増大は品川でも例外ではありません。住宅マスタープランでは、品川区内で低家賃の公的住宅を望みながら、願いかなわず区外転出が多い実態が浮かび上がっています。世論調査でも88%超の区民が「品川に住み続けたい」と希望しているではありませんか。また、特養老人ホームも整備率は23区最低クラスになっています。

中堅所得層を呼び込む住宅はつくるが、いま困っている区民のための住宅はつくらない。これが自治体の住宅政策なのでしょうか。収入が少なく自力で住宅がもてない方々のための住宅確保こそ行政の責任です。

 

そこで伺います。低所得者向けの区営住宅と高齢者住宅、特別養護老人ホームの増設を求めます。不況で大変な思いで税金を払っている区民がどうなろうと心も寄せないという住宅政策は改めるべきです。答弁を求めます。

住民が反対する29号線道路計画は見直しを

宮崎区議

最後に、都市計画道路補助 29号線について伺います。

品川区は、地震に強い街づくりへ各地域でまちづくり協議会を立ち上げ、住民参加ですすめています。

 ところが、区は二葉3・4・西大井6丁目地域の計画に、突然「都市計画道路補助 29号線」を盛り込み、東京都に事業化を働きかけるとしました。新年度は事業推進、現況測量を予定しています。中延の計画では、住民とコンサルタントが共同で作り上げた計画を、都が拒否、道路拡張を盛り込んだ計画に作り直しを求めたと聞きます。地震に強い街づくりは、道路拡張に重点を置いてきているのでしょうか。

補助 29号線は、山の手通り大崎警察脇から大田区南馬込6丁目の国道1号線まで延長5,400m、幅20mの道路計画、昭和21年に戦災復興都市計画街路として決定されたものです。区は、29号線を「防災上、延焼遮断帯が有効」と説明しています。

しかし、防災といえばなんでも通るとはいきません。問題を2点指摘します。

第1は、住民は街を分断する道路を望んでいないということです。 29号線計画はこれまで住民が3度にわたり計画廃止の請願を区議会に提出、いずれも全会一致で採択しました。29号線計画を、まちづくり協議会のなかに持ち込むことは、住民のなかに分断と混乱を持ち込むことになります。区は「議会意思を尊重する」と答弁してきたのですから、29号線に頼らない地震対策をつくるべきです。

 第2は、地震はいつ来てもおかしくないのに、完成がいつになるかわからない道路計画を中心にすえること自体、非現実的です。しかも、 29号線は延焼遮断帯としても疑問。延焼遮断帯そのものの有効性は論を待ちませんが、29号線は国道1号線のバイパスとなって大量の車を呼び込みます。大規模火災では自動車のガソリンに次々引火、火災を拡大するとの指摘もあり、慎重にすべきです。

 そこで伺います。 29号線を中心に据えた二葉3・4丁目・西大井6丁目の街づくり計画は白紙に戻し、住民の納得できる地震対策につくりかえるよう求めます。

 また、事業計画を作成する豊町 4・5・6丁目には補助29号線は盛り込まない計画にするべきです。いかがでしょうか。

 

以上で、質問を終わります。


答弁

高橋区長

宮崎議員のご質問のうち、小泉内閣の構造改革についてお答えを申し上げます。民間ができることは民間へ、小さな政府を目指す一連の構造改革につきましては、国は将来の国民の負担となる多額の負債を抱えておりますので、歳入に応じた歳出にすべく様々な構造改革に取り組まざるを得ない状況にあり、その評価につきましては国政の場において十分論議されるものと考えております。

なお、一般的な意味での構造改革につきましては、品川区といたしまして、不断の行政改革を国に先駆けまして実行してきたものと認識をしております。その結果 23区でトップクラスの財政基盤を築き上げ、様々な先進的な施策の取り組みをできたものと確信をしているものでございます。

また区民の暮らしにつきましては、今後の税収ののび、区内中小企業景況調査等からも景気の回復傾向が見られ、全体としてよい方向に向かっていると認識しているものでございます。

若月教育長

私からは小中一貫教育についてのご質問にお答えいたします。まず「なぜ一貫校を拡大するのか」とのお尋ねですが、議員もご存知のとおり、日野学園への入学希望の数を見ましても、小中一貫校に対する保護者や区民の期待は大変大きなものとなっております。また 4月からは品川区小中一貫教育要領に基づく一貫教育を品川区全ての小中学校で本格的に始めます。従いまして、このための学習環境を整備する意味でも、また、一貫校に対する区民の期待に応える意味でも、六校構想を策定することは当然のことであると考えております。

次に、「詰め込み・前倒し教育で子どもたちの学力向上に役立つのか」とのご質問ですが、これまでもいろんな場で申し上げましているとおり、授業時数を無理のない程度に増やすことによって、ゆとりを持った学習活動を子どもたちに保障できると考えております。また、単純に前倒しと受け止められておられるようですが、子どもたちの上級学年での学習へのつまずきを防ぐために理解が困難な学習内容は時間をかけてゆっくり繰り返し学習するための工夫なのであります。

次に、ステップアップ学習に対するご質問ですが、小中学校の時間割をご覧になれば一目でお分かりになると思いますが、ステップアップ学習は多様な学習活動の一部に過ぎません。議員が推奨される「協同の学び」、いわゆる「学びあい」も学習活動の一形態として実践されております。例えば小中一貫教育社会科の研修に参加した先生からは、「新しいカリキュラムが学びあいを大切にしていることが改めてわかった」との感想も寄せられています。学習の場面に応じた様々な学習形態を組み合わせることによって、子どもたちが学力を向上させ、人格を形成する機会を与えていく、これが大事だと考えております。また、これも何度も繰り返しご説明させていただいておりますが、習熟度別学習は個に応じた指導を充実させる柔軟な一つの学習形態でございます。

最後に、「国内外の教育研究」、「科学的根拠」というお話が繰り返し出されておりますが、学説には様々なものがございます。議員ご指摘の説も数多くの学説の一つに過ぎません。もちろん教育研究や科学的データも参考にしますが、私どもの小中一貫教育は現に品川の子どもたちを教え、現状を知り、実践報告や研究成果を持つ現場の先生方を中心に作り上げてきたものです。品川の学校に通っている子どもたちをしっかりと受け止めたいからこそ、小中一貫教育に踏み切ったのです。現在、小中一貫教育の効果や成果を検証するための方法を研究しているところですが、小中一貫教育が品川の子どもたちにとってより良いものになるようこれからも努力を続けて参りたいと考えております。

福田街づくり事業部長

大規模開発と地震対策、区営住宅等と補助 29号線に関するご質問にお答えいたします。

はじめに大規模開発と地震対策についてでございますが、区は区民の皆様の期待に応えていくために、新しい学校教育と少子化対策、安心・安全な街づくり、さらに賑わいと活力のある地域づくりを三つの柱として、 18年度に様々な施策を展開することとしております。この基本方針に沿って、街の活力作りを推進するため大崎駅周辺地域などにおける開発整備事業について補助等を行ってまいります。

一方、安心・安全を高める品川プランを推進するため、震災対策として避難所となる学校施設の耐震補強工事の計画的実施をはじめ、木造住宅の耐震診断と耐震改修の経費助成など多面的・多角的に施策を展開してまいります。活力ある街づくりに資する再開発の推進も安心・安全な街づくりのための各種事業の実施もいずれも重要な施策であり、今後も積極的に取り組んでまいります。なお、中央環状線品川等についてでございますが、都市計画の制度を活用した事業につきましては、法令に基づき縦覧等により住民の意思をふまえて手続きを進めることとなっておりまして、特に中央環状品川線については地元の意見等を受け、これまで東京都に対し地元への十分な説明を行い、理解と協力を得られるよう努めてほしいと申し入れを行ってきたところでございます。

また、住宅の耐震化の目標等につきましては、今後都における耐震改修促進計画の策定にかかる動向を見極めながら適切に対応してまいります。

次に、区営住宅に関するご質問でございますが、当区には 17万1千100世帯に対して4千戸の公営住宅がございますが、これに対して目黒区や大田区などを含む城南ブロック全体では114万2千世帯に対して2万4千600戸でございます。これを比較いたしますと当区は城南ブロックの平均を300戸も上回っている、そういうことになります。また平成16年度には特別区で初めて都営住宅の立替時、移管をうけて、区営住宅を開設し、区民の応募枠を拡大するとともに、定数を4室増やすなどの対応をしてまいりました。以上の点を考え合わせますと、当区がさらに公営住宅を増設する状況とは思われません。なお高齢者住宅及び特別養護老人ホームにつきましても、一定の基盤が整備されておりますので、その中で適切に対応してまいります。

最後に、補助 29号線に関するご質問にお答えいたします。この道路につきましては廃止の請願が東京都議会では不採択になった経緯はございますが、品川区議会において三度にわたって採択されたことを重く受け止めております。しかしながら、この道路は都市交通網としての機能を持つだけでなく、大規模な市街地大火の延焼を防止する延焼遮断体の役割や被災者の救護・救援活動としての空間、安全な避難路、特に今後整備を予定している広域避難場所である戸越公園一帯地区への避難路としての役割を担うものでございまして、災害に強い都市構造を実現していくために重要な道路であると考えております。従いまして、今後も街づくりを進める中で、地域の皆さんにこの道路の必要性についてご理解を得ながら、二葉3・4丁目、西大井6丁目地区などの密集住宅市街地の整備、促進を図ってまいります。

新見企画部長

私からは外部委託についてのご質問にお答えいたします。外部委託は民間活力を活かし、専門性の活用や柔軟な対応による住民サービスの向上、さらには経済効率性を図ることができるものであり、区は民間事業者側の成熟度に合わせて順次拡大を行ってきました。施設管理につきましては、指定管理者制度に適するものは平成 18年度から指定管理者に移行し、各法人や株式会社により、適切な管理を行ってまいります。

指定管理者の評価の仕組みにつきましては、サービスの質の維持・向上を第一に考え、かつ効率化を図ることを念頭に指定管理者からの事業報告と改善指導の方法などサービスのチェック、評価、改善のための体制について、平成 18年度に検討してまいります。

次に、「外部委託にあたって事業者の労働条件や実績を把握すべきではないか」とのご質問ですが、まず労働条件につきましては、事業者が法令を遵守することが当然の前提となりますので、特段事前に把握する必要はないと考えております。また事業者の実績につきましては、官公庁等における一定の契約実績を把握し、必要に応じ補充調査を行っているところでございます。


再質問

宮崎

それぞれ答弁いただきました。自席から何点か再質問させていただきたいと思います。

まずはじめに、小泉改革をどう見るかというところでは、国政問題でいつもの形で、「あっちの問題だ」という姿勢なんですけれども、私はここで改めて伺いたいのは、区長は先ほど区民の暮らしがどうなっているか、そういう認識について「税収が増えている。全体でいい方向なんだ」というふうにおっしゃいました。しかし、私先ほど述べたときに、例えば就学援助あるいは生活保護、こういうところが全体として増えている。品川区も全都、全国の平均と比べても私はよくないと思うんです。一方で税収が増える、一方で所得の少ない人が増えている、これが今社会問題として言われているんじゃありませんか。この問題を区長はどう考えるのか。税収が増える、品川区の財政がよければいいということでは私はないと思うんですよ。そこの区民一人ひとりにどう心を寄せているのか、全体の収入が増えて税収が上がるんだ、それはいい。しかし、今問題となっているこの格差をどう考えているのか、この点は全く触れられておりません。私はこのところをもう一回伺いたい、この見解を伺いたい。

大体こういう認識だから住宅政策だとか他のところが全く気持ちが入っていないというふうに思います。 4千戸住宅を整備したと、城南ブロックの平均より多いんだ、4戸増やした、私、これが実際に今の区民の状況とあっていないと思う。私が先ほど紹介した倍率なども、どう考えるんだというふうに思います。住宅政策のところではやはり、収入の少ない方々への気持ちが入っていないというところなんです。これまで一生懸命働いて税金を払ってきても収入が落ちてアパート代が困る、住宅マスタープランでも区外転出の44%が区内に安い公共住宅を求めながら、それが叶わずに出ているではありませんか。全体として収入が上がっている、そういう風に言いますが実際に一人ひとりの区民を見れば、こういう状況にあるということを、この住宅政策にも出ていると思います。私改めて収入の少ない方々への対策をどうするのか、4戸でいいのか、4戸増やしたからいいというふうに答えるのかどうなのか伺いたいと思います。

耐震改修の点でも、今まで「自分のことは自分でやれ」というふうに言ってきました。住宅耐震改修への補助が実現できたことは前進だと思います。しかし、例えば大規模開発との関係で言えば、どうなんでしょう。大企業が作る、ゼネコンが作るビル、大崎駅周辺だけで今回114億円です。庶民の住宅の耐震化が進まない。昭和56年に耐震基準が新しくなりました。それまでの住宅というのは放置、そういうことなんでしょうか。「自分のことは、自分でやれ」ということなら、こうした大規模開発、大企業への補助金というのはどういうふうに考えるのでしょうか。このところもその考え方を伺いたいと思います。

もう一つ教育のところなんですけれども、「小中一貫教育の評価はこれから作るんだ」というふうに言いました。だから私は非常に無謀だと、なぜ世界の教訓に学ぼうとしないのか、というところなんです、一番心配なのは。小中一貫でありますから、当然他の小学校に行かないといけないとなると中学校から他の遠い中学校に行かなきゃ行けなくなる、そういうケースが出てきます。ですから当然、小中一貫校に希望が集中するのは、これは物理的に当然なんです。私はこの教育の内容も検証がない、そういうなかで住民の皆さんが希望しているのは、私は内容を見てのことじゃないということはっきりしている。だから私は、もう一度答弁を求めたいんですが、フィンランドで進めているこの「協同の教育」、「協同の学び」、これはもうかなり評価を受けていますが、品川区教育委員会はこの「協同の学び」というのをどういうふうに考えているのか、先ほど学説の一つだと一蹴しましたけれども、私はそれは非常に傲慢な考えじゃないかと思います。そして、小中一貫教育の教育要領、あの1300円なんかの本を読んでみますと、結局、公教育を学習塾に肩代わりさせていくような印象も受けました。そういうことはないのか、その点についても伺いたいと思います。

最後ですけれども、29号線の件ですけれども、これから豊町の方も街づくり計画を作ります。東京都に二葉町・西大井の地域の件で働きかけると言いましたけれども、当然あの計画だと豊町のほうにも出てくるんじゃないかと思うんですね。そうすると豊町のほうの意見がどうなるかということで、東京都への働きかけなんかも当然変わってくるだろうと思うのですけれども、そこの件はどうなのかというのを伺いたいと思います。以上。


再答弁

区長

宮崎議員の再質問にお答えいたします。先ほど私が申し上げましたのは、区民の暮らしでございまして、区民全体の暮らしにつきましては、今年度の税収ののび、区内の小中企業の景況調査等から景気が回復傾向に見られ、全体として良い方向に向かっているという認識を申し上げました。これは全体の問題でございまして、一面的なものの捉え方でございません。一面的な問題を捉えてあるならば、今回の施政方針の中でも、一例を挙げますと、すこやか児童手当につきましても国のほうでは所得制限を設けていますが、品川区におきましては所得制限を撤廃をして、この手当の支給を決めているものでございます。これもやはり低所得者対策の一つの例というふうにご認識をしていただきたいと思ってます。

教育長

再質問にお答えいたします。まず一点目でありますけれども、これは再三申し上げております。品川区でやっていく小中一貫教育は、今の国の学習指導要領をベースにおいてそれにプラスして小中一貫教育要領を作っているものなんです。従いまして、学習指導要領が基になっている以上、今までの実績というものを十分に活用し、さらにそれに上乗せをし、資質を高めるためのものであります。そこをまずよくご理解をいただきたいと思います。従いまして今回の一貫教育においても、区民の方々は内容を見てないと、これはやはり区民の方々に失礼じゃないかと思います。

二点目でありますが、協同学習についてということは、先ほども申し上げましたように、子どもたちの学習といった点で本区の中でも、「学びあい」の学習が大事だということは教員の中からもすでに感想がのっております。したがって、こういった学びあい、これを一貫教育のなかでも大事にしていくというのを、先ほどご答弁したとおりであります。

また、最後に学習塾とどう違うのかというようなご指摘だったと思うのですが、これも再三申し上げておりますように、子どもたちの基礎的な学力をきちんと身につけさせるということ、そして人格形成といった点において明らかに学校教育のねらいといったようなものをしっかり見据えたものが小中一貫教育であると、こんなふうにご理解いただければと思います。

街づくり事業部長

それでは再質問にお答えをさせていただきます。

まず大規模開発への補助金をどう考えるかということでございますが、ああした補助金につきましては、いわゆる大規模開発が相当高い公共性を持つことに着目したものでございます。例えば道路の拡幅・新設、それから公園の整備、公共空間の整備、場合によっては親水公園の整備、こうした地域貢献を伴う公共性に対する補助金でございます。

それから区営住宅でございますが、 4戸でいいかどうかということではございませんで、先ほどご答弁申し上げましたとおり、私ども品川区にはこの城南ブロック、いろいろ条件は違うかもしれませんが、そういう地域の中で、他区の平均をかなり上回っていると、こういう状況がございます。そうしたことも勘案しながら、自治体の住宅政策は展開されていくべきものだというふうに考えております。

それから 29号線でございますが、豊町のお話が出ましたが29号線につきましては当然豊町にもかかっておる都市計画でございますので、豊町の地域の皆さんにもぜひご理解を得ながらすすめていくべきものというふうに考えております。

議長

以上で、宮崎克俊君の質問を終わります。

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