日本共産党区議団を代表して、第 19号議案「品川区国民保護対策本部および緊急対処事態対策本部条例」および第20号議案「品川区国民保護協議会条例」に反対する討論を行います。
両条例は、有事法制関連、国民保護法に基づくものです。有事法制は、アメリカの戦争に自衛隊が武力をもって参戦、自治体と民間企業、国民を総動員。憲法をじゅうりんし日本を「戦争国家」に変えるものです。
有事法制は全体で7つの法律および条約などからなり、国民保護法はそのひとつ。「国民保護」の名で国民を統制・管理、自治体とメディアや運輸、医療機関など指定公共機関にその「責務」を課し、国民には罰則つきで協力を強要。自治体に「国民保護協議会」の設置と訓練の実施、平時から「戦時」への備えを求めているのです。区は、国民保護法を武力攻撃から国民の生命、身体および財産を保護すると説明していますが、実態は、米軍と自衛隊の海外での活動に自治体と住民を巻き込むものといわなければなりません。テロ攻撃を想定、訓練を実施した千葉県富浦町では小学生まで動員しました。
そもそも、政府が「武力攻撃」として例示している「弾道ミサイル攻撃」と「ゲリラや特殊部隊による攻撃」は予測すること自体困難です。しかも、「航空機や船舶により地上部隊が上陸してくるような攻撃」「航空機による攻撃」の可能性はどうか。政府の新防衛計画大綱「平成 17年度以降に係る防衛計画の大綱について」でも、「我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえると、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下」していると述べ、他国からの武力攻撃の可能性が非常に低いと指摘しているではありませんか。それなのに、なぜ条例を制定して国民保護の体制を整備するのか。それは、アメリカの引き起こす戦争に日本が巻き込まれる危険性が高まっているからです。
アメリカは米ソ冷戦後、一国主義、武力による世界支配を強めています。イラク戦争もそのひとつでした。アメリカはさらにエスカレート、今月 24日、統合参謀本部が発表した戦略文書は核兵器の先制使用まで盛り込みました。いま計画されている在日米軍の再編は、地球規模で米軍を迅速に行動できる体制をつくることです。アメリカの世界戦略に日本の自衛隊を組み込むなど断じて認められません。
さて、いま憲法9条が重大な局面を迎えています。衆議院の憲法調査特別委員会は今月 7日、改憲のための国民投票法案の論点整理を始めることを決定しました。自民党の改憲案をみれば狙いが9条の改変にあることは明らかです。改憲の動きが加速しているのは、アメリカが「日本が集団的自衛を禁止していることが、(日米)同盟協力の制約になっている」と、日本に改憲を求めてきたことが背景です。日米軍事協力の指針=ガイドラインにもとづく周辺事態法の制定やイラクへの自衛隊派兵をしても、憲法9条が海外での武力行使を禁止しているため、「武力は行使しない」「非戦闘地域での活動」という制約がありました。この制約を取り払えというのがアメリカの要求であり、これにそって自民・公明・民主が憲法9条改定の道に踏み出したのであります。だいたい、武力で平和をつくれないことは、アフガンやイラクへの攻撃とその後の事態を見れば明らかではありませんか。「力の政策」は根本から見直すべきです。
憲法9条は、2千万人を超えるアジアの人々と 300万人の日本国民の命を奪った戦争の教訓から、「二度と戦争をしない」、「武力を持たない」という平和の信念であり、世界への約束です。これを変えてはなりません。今、日本に求められていることは、戦争の危険を回避するための外交努力であります。それこそ日本国憲法と国連憲章の立場です。あわせて、自治体としてもその立場で可能な努力をすることです。このことを強調して両条例に対する反対討論を終わります。