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第3回定例会一般質問鈴木ひろ子区議

2006.9.21鈴木ひろ子

高齢者への増税、国保・介護保険料など雪だるま式負担増の中止を
高齢者を不安に陥れる、介護ベッドや車いすの取り上げをやめよ
障害者の自立を阻む自立支援法、利用料・食事代の負担軽減策を
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高齢者への増税、国保・介護保険料など雪だるま式負担増の中止を

鈴木ひろ子区議

73歳のAさんは、奥さんと2人で月17万円の年金だけでは家賃を払って生活ができないため、週5日働いて月10万円の収入を得ています。去年まで非課税だった住民税が今年4万500円となり、国保料が3倍、介護保険料は第2段階から第5段階跳ね上がりました。合わせて6万1800円から20万1000円に年に14万円も負担が増え衝撃を受けました。今年大病を患い、体調は思わしくありません。「これから医療費も上げられ、生活できない…」と途方にくれています。高齢者の怒りと悲鳴が町中にあふれています。

これは、定率減税の廃止や高齢者の年金への増税がおこなわれたためです。この改定により、住民税が新たに課税される人や、数倍から10倍もの負担増になる人が大量に生み出されました。そして、住民税にとどまらず、国民健康保険料や介護保険料、さらに医療費に連動し、高齢者に雪だるま式に増税と負担増がおそいかかっています。

国への負担増の中止、区として負担軽減のための独自策、さらに既存制度活用の周知徹底を求めて質問します。

今回の急激な増税・負担増になった原因は、03年衆院選で公明党が政党では真っ先に定率減税の廃止や年金への増税をマニフェストにも掲げて提案、04.・05年に自民・公明が国会で負担増を決定したことにあります。

増税と負担増は今回だけにとどまりません。これらは、「激変緩和措置」の名のもとに、来年も再来年も増税と負担増が決まっています。さらに、来年度から、住民税の所得割が一律10%にフラット化されることで、課税標準額200万円以下の方は5%から10%に、実に2倍の増税になります。それが住民税で決まる国保料に連動し、高額所得者は減額される一方、低所得者はとてつもない大幅値上げになります。その上、定率減税の完全廃止、医療費の値上げ。いったいどこまで搾り取るのかと恐ろしくなります。

庶民には増税と負担増、ところが史上空前の利益を上げている大企業や大資産家には減税という逆立ちが生まれています。法人税率は84年43.3%だったものが99年から30%まで引き下げられ、また大資産家の所得税の最高税率は75%から37%にまで引き下げられ、過去最低となっています。

こんな国の格差拡大の政治から、少しでも区民の痛みを和らげる対策をとることが地方自治体には求められています。しかし品川区がやってきたことは、その反対で、むしろ格差を拡大させてきました。

象徴的なのが、介護保険料の問題です。

23区では品川区を除く22区すべてが高額所得者の保険料率を引きあげ、低所得者の負担を軽減する多段階方式を取りました。ところが品川区だけは、国基準の6段階に固執し、所得200万円の人と、1000万円の人も、それ以上の人も同じ保険料額としたのです。しかも品川区は、第5段階と6段階の区切りの所得を250万円から200万円に引き下げました。そのため、税制改定とあわせて11000名の方が区分変更され、急激な負担増となったといわれています。

このように小額所得者に追い討ちをかけ、反対に高額所得者優遇の姿勢を露骨に示したのは品川区だけです。

今こそ、品川区が自治体本来の役割を取り戻し、高齢者・区民の生活を守る防波堤の役割を果たすよう強く求めるものです。

わが党は、8月9日品川区に対し、「国に対し増税と負担増の中止を求めることと、区独自の軽減策をつくるよう」申し入れました。応対した濱野前助役は、「国会で決めたことに、ものを言う立場にはない」と述べました。この発言にはたいへんおどろかされました。地方自治体とは、住民の福祉を守ることが第一の責務です。国のいいなりでいいのか、自治体としての根本姿勢が問われています。あらためて品川区が国に対して「増税と負担増を中止せよ」と申し入れるよう求めます。

次に、区として独自にできる対策を求めます。

その1つは、区独自の負担軽減策です。これに対しても濱野前助役は、「そんなことをしていたら区の財政が破綻する」と拒否しました。しかし、財政破綻どころか、住民税の増税による品川区の増収は今年だけでも14億円。さらに、来年も再来年もそれ以降も、区は増収となる仕組みです。国保料と介護保険料の増収分もさらに増大します。負担増で得た増収分は、区民の暮らし、福祉を守るために使うのは当然ではないでしょうか。

2つ目には、負担軽減のための既存制度の活用です。申告制であるために、今ある制度を知らないことにより、支払う必要がない多額の住民税や保険料を払っている場合があります。

高齢者非課税措置は廃止されても、寡婦や障害者、寝たきり高齢者は申告すれば非課税措置や控除が受けられること、その他に医療費控除の中身なども知らないために制度を活用できないということがないよう、周知徹底を行うべきです。

区が出した「主な改正点」の通知では、あまりにも小さな字がぎっしり書かれていて、高齢者が気づくことは困難です。

また、障害者手帳がなくても、福祉事務所長が「障害者に準ずる」と認定書を発行すれば障害者控除や所得125万円以下であれば非課税措置が受けられます。品川区は要介護4と5の寝たきりの高齢者以外には認定書を出していませんが、厚生労働省は「障害の程度が同程度であるものについては同じ税制上の障害者控除の取扱とすることが公平。手帳のあるなしで著しい不公平が生じないよう認定を行うことが必要」との業務連絡の通知を出しています。品川区でも「障害者に準ずる」人への認定書をこの通知に基づいて発行すべきだと考えます。

以下質問します。

1、増税や負担増の区民への影響についてお聞きします。

@高齢者への税制改定で増税となった人数。その中でも18年度新たに住民税が非課税から課税となった人数。
A住民税フラット化で住民税が増税となる人数。

2、国や都に対して以下の2点を求めていただきたいがいかがでしょうか。

@国に対して、高齢者への大増税と医療費の負担増の中止と、来年度の住民税10%フラット化で住民税増税となる人の、国保料に連動しない対策をとること。
A東京都に対して、来年度以降もシルバーパスの軽減措置を継続すること。

3、「税制改定」によって、新たな課税や急激な増税になる高齢者に対して区として独自の軽減措置をとることを求めますがいかがでしょうか。

@住民税や国民健康保険料の減免措置の拡充を図ること。
A介護保険料が、税制改定による区分変更で大幅値上げとなった高齢者に対して激変緩和措置では不十分です。区として負担軽減策を創設するとともに、来年度以降の値上げ計画を凍結すること。
B税制改定のために今年度新たに住民税課税となった人に対して、今年度の東京都のシルバーパスの対応と同様に、区の関連施策を従来通りの対応とすること。

4、既存の各種制度について。

@「障害者」「寝たきり老人(要介護4・5)」「寡婦(夫)」の方で非課税措置の手続きを行ったそれぞれの人数。
A「障害者」「寝たきり老人(要介護4・5)」「寡婦(夫)」の控除や非課税措置、医療費控除などの既存制度の活用法について、広報やホームページでの特集、ちらしを作成し回覧板でまわすなどを行い、周知徹底をはかること。節税対策の総合相談窓口の設置を求めたいがいかがか。
B「身体障害者・知的障害者に準ずるもの」の判定を、基準として示されている判定表に基づいて行い、認定証を発行すべきだと思いますがいかがでしょうか。

高齢者を不安に陥れる、介護ベッドや車いすの取り上げをやめよ

鈴木ひろ子区議

昨年6月に改悪された介護保険法によって、昨年10月から特養ホームなど施設の食事代と部屋代の全額自己負担が強行されました。また、今年4月から予防介護と称し、要支援1と2、要介護1の軽度の高齢者に対して、ヘルパー派遣の時間や回数を制限、さらにこの9月中にベッドや車いすを原則として給付対象から外すというサービスの取り上げが行われています。

一方、今年4月、品川の介護保険料は基準額が3900円に値上げされ、さらに、7月には、年金への増税のために7000名もの高齢者が区分変更され大幅値上げとなりました。

保険料や利用料の負担を大幅に増やしながら、制度開始時の「サービスを自由に選択できる」と大宣伝した看板を投げ捨て、「軽度者にはサービスを受けさせない」制度へと大きく変質させてしまいました。昨年の介護保険法の改悪に賛成した自民党・公明党、そして民主党の責任は重大です。

今回は、軽度の要介護者をかつてない不安に陥れている、介護ベッドや車椅子の取り上げ問題について、その対策を求めて質問します。

要介護1以下の軽度の方は、4月から原則として、車いすや介護ベッドのレンタルができなくなり、経過措置も9月末で打ち切られます。区内の対象人数は、3月時点で車いす596人、介護ベッド858人です。のべ約1500名の人は自費で購入するか、全額自己負担でレンタルするかしかありません。最後は、ベッドも車椅子もない不自由な生活に戻ることが迫られています。

2人の方の例を述べます。

83歳のAさんは、今年1月に転倒し、腰椎の圧迫骨折となり入院しました。2月に退院後、要介護3の認定で介護ベッドと車いすをレンタルして生活してきました。しかし、寝起き時に特に腰が痛み、ベッド柵や介助バーを使ってやっと起き上がれる状態です。痛み止めの座薬を使いながら車いすに移動し、ほとんど一日中を車いすで過ごしていました。

「良くなりたい」の一心でリハビリに励み、杖で少し歩けるようになっていた矢先に、この8月の認定調査で、突然ケアマネージャーから「要介護1になりそうだから、9月で車いすとベッドを引き上げる」と言われたそうです。

Aさんは「特殊マットのおかげで寝ることができるし、体に合う車椅子のおかげで一日中座っていることができるのに、それを取り上げられたら生活できなくなる」と訴えています。

80歳になる奥さんは、「これからいったいどうなるのか」と心配で夜も眠れず、食欲もなく体重も減ってしまいました。

なぜ高齢者にこんな思いをさせなければならないのでしょうか。

もう1人のBさんの場合は、交通事故の後遺症のため、両膝に人工関節を入れ、頚椎から腰椎までの広範囲脊柱間狭窄症で手足の痺れや麻痺があり、ベッドがなければ生活できません。無反発マットという特殊マットを使っても痛みがひどいため、1時間おきに目が覚めてしまうそうです。3月、本人の了解もなく「要介護1では使えなくなった」とベッドを引き上げられ、やむなく自費で購入したそうです。

そのほかにも党区議団に、「介護ベッドや電動車いすがないと生活できない。何とかならないか」といくつもの相談が寄せられています。

あるケアマネージャーは、「要支援であっても介護ベッドがなければ生活できない人がいる。厚労省通知で示している『起き上がりかできるか、寝返りができるか』だけで一律機械的に判断するのでなく、その人にとっての必要性を考えてほしい。特に腰痛の人は何とか助けてほしい」と言います。

すでに港区は、レンタル業者と提携し、区がベッドをレンタルし、500円の利用料、非課税世帯には無料で貸し出すという施策を打ち出しました。新宿区はレンタル料の半額を区が助成、生活保護世帯には全額助成を決めました。豊島や北区、板橋区も3000円のレンタル料の補助を行います。このように23区では5区が独自策を打ち出しました。

国が痛みを押し付ける「構造改革」進める中、品川区として国に対して機械的な厚生労働省の対応を改めさせるよう働きかけるとともに、区独自に高齢者や家族が安心して在宅生活ができる対策をとるよう求めるものです。

質問。

1、要支援1・2、要介護1で介護ベッドと車椅子をレンタルしていたのべ約1500人が、9月末までにどうなるのか。自費料金でレンタル、自費購入、今まで通り利用可能など、介護ベッド、車椅子それぞれの人数をお聞かせ下さい。

2、・厚労省が出している基準以外で介護ベッドや車いすが必要な方がいると思うが、区の認識を伺いたい。また、国に対して介護ベッドや車いすなどの福祉用具を厚労省が決めた基準で機械的に取り上げることをやめるよう求めるべき。

3、軽度の高齢者で介護ベッドや車椅子が必要な人が利用できる仕組みをつくるべきと考えます。区が、レンタルまたは、介護ベッドや車いすの自費料金への補助、生活保護者への全額支給などの独自策をとるよう求めますがいかがでしょうか。

障害者の自立を阻む自立支援法、利用料・食事代の負担軽減策を

鈴木ひろ子区議

障害者自立支援法が10月から本格実施となります。すでに4月から原則1割の応益負担が導入され、大幅な負担増により施設からの退所や、報酬の激減により施設経営の悪化など深刻な問題が噴出しています。このことを裏付けるように全国各地で軽減措置が次々に発表されています。県独自の軽減策を打ち出した大分県広瀬知事は,「県としても負担軽減策を出したが、国もけしからん。国に要望していきたい」と述べています。そもそも同法は、社会保障構造改革の流れの中、社会保障予算を削減するものであり、国民の自立自助をうたい、障害者と家族の生存権、就労権を侵すものです。国に法制度の抜本的見直しを求めると共に、自治体としてできる独自の負担軽減策を求め質問をします。

1点目は利用者負担増の問題です。

30代のAさんは、重複障害でありながら、毎日バスで施設に通いクリーニングの仕事をしています。一日も休まず働いても工賃は月2万円弱です。自分で働いて得た大切な給料を貯金し旅行に行くのを楽しみにしていました。ところが4月からは工賃を大幅に上回る37,200円の利用料を請求されました。

今年3月まで施設通所の95%から97%の方が無料で受けられていたにもかかわらず、4月の自立支援法で一挙に2万から3万円の負担となりました。区はこの間負担軽減策があると説明してきましたが、収入・資産認定が、本人から世帯単位に変わったために、多くの方が負担軽減策から排除されています。障害者本人の責任、生んだ親の責任、兄弟の責任を一生求めるのでしょうか。障害者が、障害を乗り越えて生きるための援助を「益」と考え負担を強いる「応益負担」の考えは、障害者福祉には相容れないものと考えます。

父母は、「今まで子ども達が『働きに』行っていると考えていたのに、これからは「預かってもらう」と考えなければならないのか。働くのに利用料を払うのはやりきれない。働く権利を保障し、働く喜びをもたせてほしい』また『給食一食650円は負担が大きく払いきれないため、通所を控える家庭も出始めた。これでは、引きこもりが増えてしまう。食費をせめて材料費だけにしてほしい』と訴えています。

2点目は施設の運営の問題です。

施設に対する報酬単価が4月から1〜1.3%引き下げられ、また支払い方式が月額制から日額制に変更されたため影響は極めて深刻です。厚生労働省が実施した自治体調査でも「毎月おおむね100万円を超える減収。施設関係者から『運営していけない状況である』と懸念の声が上がっています。困難に輪をかけるのが日額制です。利用効率を高めるために、毎日通いたくとも、体調が悪く休みがちな障害者が排除されるようなことがあっては、自立を支援する受け皿が奪われてしまいます。父母からは「中堅職員が減り、非常勤職員の入れ替えが激しい。職員は疲れているし、余裕がなくなっているように感じる。職員が安定していなければ私たちの子を見てもらえない」の声があがり、職員からは「このままだと福祉を志す若い人たちが定着しない。これは大問題。障害者も事業者もそこで働く人たちが安心できるようにしてほしい」と訴えが届いています。施設の報酬は月額制に戻すべきです。また区としても施設運営の安定のための支援を行うべきだ考えます。

3点目は10月から始まる地域生活支援事業への援助です。

地域生活支援事業は、区の裁量でできる事業であり、自治体によって大きな差が生まれるといわれています。人口比2割、実績8割で算定した厚労省の補助金内示額を見ると品川区は23区の中で最低です。予算をせめて他区並みに増やし充実が必要です。特に視覚障害者や、知的障害者の移動支援、ガイドヘルパーは移動のためになくてはならない支援です。…

4点目に財源の問題です。

応益負担導入により利用者負担の総額は、厚労省試算によると約860億円にものぼります。この分、国と自治体の財政負担は減ることになります。

さらに、新事業への移行に当たり、施設の事業に対する国、都、区の負担割合が変わります。荒川区では区の負担は5000万円減るとの試算が示されています。食事代徴収分の1000万円を加え、新たな6000万円のうち3000万円を負担軽減策の財源としています。荒川区では、在宅サービス利用者全員に利用料3%に、通所施設の食費を半額などの軽減策をとっています。また台東区では通所利用料をすべて無料するなど、国と都の軽減策では不十分であるとして大幅な予算を組んでいます。品川区の負担軽減事業月3000円は、施設入所者の福祉手当を削って得た財源の半分を使い、独自策としたもので極めて不十分です。区民負担増で浮いた財源や国、都、区の負担割合の変更で品川区が負担軽減となった財源を区民に還元すべきです。

質問

1.国に対して以下3点改正を求めてください
@応益負担を応能負担に戻し、世帯単位での収入・資産の認定を障害者本人にすること
A授産施設など、福祉的就労に対する利用料の徴収は障害者の就労意欲を後退させるものです。利用料負担を廃止すること

2.財源についてお聞きします。

@支援費制度から自立支援法に移行することで、利用者負担増分で国、都、区の財政が軽減されます。区の負担軽減額をお知らせください。
A新事業移行に当たり、国50%区50%から国50%・都25%・区25%に負担割合が変わることによる区の軽減額はいくらと試算されているか。

3.区独自の軽減策を拡充し、制度導入前の負担に戻すよう求めます。

4.「月払い方式」から「日払い方式」に改悪されたため施設運営が困難になっています。施設への運営費助成を求めます。

5.地域生活支援事業は、無料または応能負担とすべきと考えます。特にガイドヘルパーは自立になくてはならない支援です。手話通訳同様に無料にすべきと考えますがいかがでしょうか。

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答弁

区民生活事業部長(山田恵美子君)

私からは高齢者への増税などのご質問にお答えいたします。

今回の高齢者の非課税措置などの改正については、この制度が創設された昭和26年当時に比べ、年金制度の整備等により高齢者の方の経済力が向上してきたことから、少子高齢社会にあって、世代間の負担の公平の観点から、年齢だけを理由に高齢者への非課税限度額が現役世代に比較して高くなっている制度について見直しが行われたものと認識しております。

まず、増税になった高齢者の人数とのお尋ねですが、年度間の所得の変動や世帯の状況、所得控除の種類などが個々に異なっておりますので、人数の把握は困難でございます。この制度改正による新たに課税となった人数につきましては、6月末現在で約6,500人でございます。

次に、住民税のフラット化に伴い増税となる人数ですが、税率が現在の5%から10%となる課税標準額が200万円以下の納税義務者の割合は約50%でございます。しかし、このうち所得税がかからない場合には5%での税率の変更はございませんが、世帯構成や所得控除の種類などが個々に異なりますので、この方々の人数の把握はあらかじめすることはできません。したがいまして、税率が10%となる人数についても把握は困難でございます。

次に、国に対しての負担増の中止の申し入れについてですが、少子高齢社会が急速に進展する中、国民皆制度を将来にわたり持続可能なものとするため、医療給付の伸びと負担のあり方、また税の負担のあり方について国会で審議・決定されてきたものでございます。したがいまして、区として改めて国に対して申し入れをする考えはございません。

次に、シルバーパスの軽減措置につきましては、都として来年度以降、継続を予定していないと聞いております。区としましては、今後の状況を見守りつつ、経過措置という性格上、時限的なものとなることはやむを得ないものと考えております。

次に、住民税や国民健康保険料の区独自の減免措置につきましては、既に18年度からそれぞれ国制度に基づき軽減措置を講じているところですので、現段階では新たな減免措置を考えてございません。

次に、区として独自の介護保険料軽減策のお尋ねですが、まず、品川区の第三期保険料3,900円は、保険者として適切な給付に努めた結果、国平均より低く、23区の中でも低額になっております。今回、国の税制改正により保険料の段階区分が変更となる被保険者の方につきましては、国の示した経過措置で負担軽減を図っているところでございます。

ご指摘の区独自の軽減策につきましては、介護を区民相互で支え合うという保険制度の趣旨と介護保険制度の将来にわたる維持という点および保険料減免の3原則を踏まえますと、一律の減免あるいは凍結は妥当ではないと考えております。

次に、新たに住民税課税となった人に対し、関連施策を従来どおりにとのお尋ねですが、高齢者の関係では、影響が発生する所得層に対象者がいない事業が多く、実際の影響もそれほど見込まれないことなどから、特別な対応を行う考えはございません。

次に、各種既存制度についてのお尋ねのうち、障害者などを理由に非課税となった方の人数につきましては、6月30日現在、障害を理由とする方が1,600人、このうちいわゆる寝たきり高齢者として福祉事務所長が認定した方が6人、また、寡婦を理由とする方が約2,700人でございます。

次に、各種既存制度の周知についてですが、税制改正については、昨年の12月1日の広報しながわでの特集、ホームページへの掲載、ことしの1月には65歳以上の方へ申告書を送付する際、A3判のお知らせを同封いたしました。また、同様のお知らせを町内会での回覧を行っております。さらに、5月21日号の広報しながわで再度特集を実施した上で、6月の賦課通知書を送付する際にもチラシを同封したところでございます。今後も機会をとらえ、周知を図ってまいります。

また、節税対策の総合相談窓口のをとのご提案ですが、2月、3月の申告時期をはじめとして、日ごろから親切、丁寧な税務相談を実施し、適切な賦課に努めておりますので、節税のための相談窓口を改めて設置する考えはございません。

最後に、障害者控除の取り扱いについてのお尋ねですが、その対象者は、専門機関で知的障害と判断された方、身体障害者手帳等を有している方などが基本と考えております。いわゆる寝たきり高齢者については、常に就床を要し、複雑な介護を要する者として税法上特別障害者とされており、本区としては寝たきり期間が6か月を継続し、要介護4・5の方に手帳の発行がない場合にあっても認定書を発行しているところでございます。

ご指摘の障害者控除対象者認定申請書における判定表の活用の点でございますが、身体障害者等に準ずるものと示されている基準は、実際に当てはめる場合、要介護のような明確なスケールがないため、公平性を含め運用が難しい面があり、適切ではないと考えております。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

私からは、介護ベッド、車いすの取り扱いのことおよび障害者自立支援法のご質問にお答えいたします。

まず、軽度者に対する福祉用具貸与に関するご質問にお答えいたします。

初めに、今回の介護保険制度の改正により、要支援・要介護1といったいわゆる軽度者に対する福祉用具の貸与につきましては、要介護者等の自立支援に十分な効果を上げる観点から、その方の身体状況から見て−定の条件に当てはまる場合を除き、保険給付の対象外とするものでございます。

区といたしましては、ことしの1月以降、9月末日までの経過措置期間を視野に入れつつ、見直しの対象となる方が混乱しないように、荏宅介護支援センターのケアマネジャーを通じて、ご本人、ご家族への制度の改正趣旨の説明と代替案をお示ししながらご理解をいただいてきたところでございます。また、福祉用具貸与事業者説明会の場を活用し、事業者においても現実的な対応をするよう要請してまいりました。お尋ねの利用実績でございますが、区内の要支援1・2、要介護1で車いす、特殊寝台を利用されている方は8月の給付実績で車いす258人、特殊寝台305人でございます。特殊寝台においては、事業所にもよりますが、多くの方が買い取りをし、車いすについても買い取りが主となっております。

次に、これまでの軽度者の福祉用具利用者の中に国が示した利用が認められる例外以外のケースがあるかというお尋ねでございますが、まず、介護用ベッドである特殊寝台や車いすは、起き上がりができない、移動ができないような状態の方を介護する家族の負担を軽減するために導入されました。軽度者の多くは手すりがあれば起き上がりが可能な方がほとんどで、介護用ベッドである特殊寝台のような3モーターの重装備なべッドと必要とする状態ではないと考えています。

次に、車いすについては、地域包括支援センターおよび居宅介護支援事業所がサービス担当者会議を通じて、自立した日常生活を支える上で必要と判断した場合には介護給付の対象として貸し出すことができますので、個々の事例に応じて判断してまいります。

最後に、軽度者に対する介護ベッド、車いすが利用できる仕組み、自費料金への補助など区独自策をとのお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、ケアマネジャーを通じて対象となります利用者の方には代替案も示しながら対応しているところであり、また、今回の法改正の趣旨である介護保険制度の持続可能性を高めるためには、よりサービスの必要性が高い重度の方に対する支援を強化する必要があるという観点から、区独自策については必要はないというふうに考えております。

次に、障害者自立支援法に関するご質問でございます。

障害者自立支援法は、障害者の地域での自立した生活をめざし、障害福祉サービスをさらに拡充するとともに、持続可能性のある制度とするために制定されたものでございます。また、制度上所得の低い方には負担上限制度や個別の減免、社会福祉法人による半減措置など、きめ細かな軽減策を実施することで負担の軽減を図っているほか、収入の認定に関しては、多くの方の理解が得られるよう、保険や税の仕組みと同様に同一生計を営む世帯単位とされています。

したがいまして、ご質問の国への改正の要望につきましては、いずれも制度の根幹にかかわることでもありますので、考えておりません。

次に、区の負担軽減額のお尋ねでございますが、施設系サービスの負担割合が変わることによる区の軽減額は、総事業費が約16億円のうち約1億円強と見込んでおります。また、区全体の負担軽減額は、制度が実施されて間もないこと、都の補助金の動向も定かでないことなどから、現時点では正確に把握することは困難ですが、地域生活支援事業の実施や区独自の軽減策による歳出の増分もあることを考慮すると、大きな軽減額にはならないと思われます。

次に、区独自の軽減策の拡充をとのお尋ねでございますが、区の軽減策は地域での生活をさらに支えるため、ホームヘルプや通所系サービスで実施しております。ご質問にある制度導入前の負担に戻すことは、今後のサービス拡充と負担の公平性などの観点から困難です。

次に、区内法人施設の運営費助成とのお尋ねでございますが、基本的には各制度の中で良質なサービスをめざしつつ、効率的な施設運営に心がけることが法人としての役割であります。そのような中、区は、区の福祉施策の一層の充実を図るため、一定の枠組みの中で必要な支援をしております。今後とも区内法人の運営が適切に行われるよう支援してまいります。

最後に、地域生活支援事業についてのお尋ねですが、地域生活支援事業は、障害者自立支援法による総合的な自律支援システムを全体として構成するものであり、自立支援法の理念と利用者の公平性を考慮して負担を決定したもので、そのすべてを無料とする考えはありません。なお、地域生活支援事業と自立支援給付との負担合算上限額を区独自に設けるとともに、所得の低い方には3%の軽減措置を適用し、負担の軽減を図ってまいります。

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再質問

鈴木ひろ子区議

自席から再質問をさせていただきます。

まず、高齢者への増税問題なんですけども、今、国に対しても申し入れる考えはないというご答弁でしたけれども、私は今回の負担増というのは半端じやないというふうに思うんですね。今まで一人ひとりが若いときに頑張って働いて税金を納めて、年金の掛金を払って、そして何とか暮らしていけるかなというふうに思っていた人を崖から突き落とすような、そういう中身だと思うんです。

その区民の実態をまず区にわかっていただきたいというふうに思うんですね。

そして、今回だけで終わらないというところが恐ろしいところだと思うんですけど、私が先ほど事例に挙げた方なんですけど、課長さんに聞きながらちょっと試算してみたんですけど、17年度12万4,000円だった負担が2年後には37万円になってしまうという、こういう状況なんですよね。あまりにも異常だと思うんですよ。これでは生活できないという高齢者の声に対して区がどういう対応をとるかということだと思うんです。なぜこんな区民の状況に、この方は年金が20万円ですから、2か月分近くなくなってしまうような負担増に対しても国になぜ中止を求めないのか、改めてお聞かせください。

それと、もう1つ、区の独自策もとらないと、こういう答弁でしたけれども、改めて増税による増収がことしだけで14億円あるわけですね。この分をなぜ使えないのか、このこともお聞かせいただきたいと思うんです。

ちょっと川崎の例をご紹介したいんですが、川崎では課税所得限度額が112万7,600円以下で納税が困難な方は全額免除という制度ができているんですね。改めて自治体でこういう制度ができるんだ、やる気があるかどうかだということ思います。区が増収になった分があるわけですから、これで区の独自策をなぜとれないのか、このことをもう1つ教えてください。

それと、もう1つ、介護ベッドの件ですけれども、これは区の方からも介護保険サービスの変更のお知らせというのが出されていまして、ここには、今できることが続けられるように、また、個性に合った本人の意欲と効果を引き出すサービス、先ほどの部長さんの答弁でも自立支援に効果を上げるためにと、こういうふうなことで言われていますけれども、じや、現実はどうなのか。本当にベッドと車いすが取り上げられることで自立支援に効果を上げるのか、ベッドがなければ起き上がれないという人からベッドを取り上げてしまって、これで今できることが続けられなくなっちやうんじやないか。そして、取り上げられることで、多くの人が生きる意欲もなくしてしまうようなところにまで追い込まれているんですよ。そういうことで、言っていることと違うし、ここの中で区は「どうかご理解ください」と書いてあるんですね。私はこの言葉の中に、区として大変だというふうな思いがあると思うんです。改めて要介護1よりも軽い方で介護ベッドや車いすが必要な方がいると思われないのかどうなのか、その方に対して対応をぜひ検討していただきたい。もう一回お聞かせください。

それとあと、自立支援ですけど、これも本当に大変な中身で、国に対しても求めていかないということですけれども、私は改めてこのことに対して区の認識を伺いたいと思います。障害者の父母の皆さんからも、今回1割の応益負担になったということと、それから、今までは本人の収入で見られていたのに、今度は世帯の収入で見られることになったというふうなことで後退ですよね。この先どうなっていくのか、本当に払い続けられるのかというのが大きな不安になっているわけです。ここのところが最大の問題になっていると思うんですが、障害者福祉に対して、応益負担と世帯単位の収入認定に対する区の考え方、改めて聞かせていただきたいと思います。

以上4点お願いします。

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再答弁

区民生活事業部長(山田恵美子君)

税に関する2点のご質問にお答えいたします。

先ほどお話ししたとおり、国になぜ中止を申し入れないのかというご質問でございますが、少子高齢社会の中にあって、負担のありよう、これは税金が全体ベースになるわけですけれども、この社会の中で各種の医療制度、社会保障制度を維持していく中で、どれだけの負担またはそれぞれの世代間の公平性を保ちながら進めていくかということで決定されたものでございますので、総合的な観点から、私どもは今、国に申し入れをする考えはないということでご答弁させていただきました。

また、区の独自の施策をなぜ打たないのかというご質問でございましたが、議員もご案内のとおり、国民健康保険については、区民全体の中の45.7%の方がご利用されているわけですけれども、実際に国民健康保険に加入なさっていない方々の一般の財源の繰入金が約57億円ということで、17年度の決算になってございます。なぜ57億円をこのように支援しているかということについては、それぞれの国民健康保険に加入なさっている方の均等割だけの中でも非課税の低い方については、7割減額または5割減額という制度を設けております。また、保険料に関して、歳入に入れておりませんのは高額療養費でありますとか、出産給付金なども保険料に算定しないというような制度を持っていることから、全体のたたずまいとして一般財源を繰り入れているところでございますので、なお一層の負担を私どもは求めがたいというふうに考えてございます。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

私からは、介護用ベッドと障害者自立支援法に関する再質問にお答えいたします。

まず、介護用ベッドの方々でそのようなべッドが必要な方がおられないのかどうなのかということでありますけれども、通常要支援1あるいは要介護1の方の高齢者の状態像を想像していただきますと、3モーターのような重装備な介護用ベッドは必要がないだろうと思われます。多くの状態像としては、やはりひざが痛いとかいうような方々が多いということでございます。そういう意味では、個々的にはいろいろな方がおられると思いますけれども、私どもとしては、1月というかなり早い時期からケアマネジャーを通して代替案も示しながら、あるいは福祉用具の事業者の協力もいただきながら、現実的な対応をしていただけるように努めてきたということでございます。

それから、障害者自立支援法の定率負担あるいは世帯で見るという部分についてでございますけれども、障害者の施策について、私どもも今後とも充実させていくということが基本的な姿勢でございます。

そういう中では、例えばホームヘルプについて負担されている方がごく数%あるいは全体の事業費の中のご負担が数%というような現実を多くの方の理解をいただくには、改正の必要性というのが今後のためには必要だというふうに思っているところであります。そういう中で現実的な対応をということで、私どもとしてはホームヘルプ10%定率負担を3%都の補助に拡大して実施しておりますし、ご指摘にありました適所関係のサービスについては、利用料について一律3,000円定額に減額するという取り扱いもしてきたところでございます。

したがいまして、今回の制度改正については、先々のことを考えますと、必要な改正であり、さまざまな議論の中で出てきたということで、私どもができる対応につきましては、私どもの方で判断で適切に対応させていただいているというふうに考えているところでございます。

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再々質問

鈴木ひろ子区議

1点だけ質問させていただきますけれども、私は今回質問させていただいた増税の問題でも、介護保険のベッドや車いす取り上げの問題でも、自立支援の問題でも、最も区民に身近な自治体が区民の実態に心を寄せる自治体としてどうあるべきなのかと、根本的な姿勢が問われているんじやないかと思うんですね。一番区民の実態をつかめる場所であるはずじゃないですか。それなのに、国に対しても物も言わない、そして独自策もとらない、大変な実態というのはどれだけつかんでいるのかと私は聞きたいと思います。

今、多くの自治体が国に対して、制度上の問題だと声を上げていますよ。そういうところでぜひ声を上げていただく自治体になっていただきたい、これが1つです。

それと、もう1つは、これだけ区民に負担増をするということは、その分が全部区に入ってくるということがあるわけですね。増税の問題でも、それから、介護保険の問題でも、障害者自立支援法でも、国保でも、全部区にも入ってくるわけですよ。特に住民税ではことし14億円、来年度は定率減税が完全廃止でさらにそれにプラス10億円、それからフラット化でどれくらいになるかわかりませんけど、数億円、こういう形で少なく見ても30億円以上は増収になると思うんです。この増収分を区民負担軽減に改めて使っていただきたい。そうでなければ、この分はどこに行ってしまうのか、このことを改めてお聞かせいただきたいと思います。

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再々答弁

福祉高齢事業部長(木下徹君)

私の方から再々質問の方にお答えさせていただきたいと思います。

福祉について、現場のことについては私どもも十分掌握しているところでございます。そういう中で今回の介護保険も、それから、障害者の自立支援法に関する制度改正もありました。例えば介護保険についていうと、この6年間で高齢者人口が13%伸びていますけど、給付は90%も伸びていると、そういう中で制度をきちんと持続させていくこと、それから、区民の気持ちとして高負担、高福祉ということは基本的に考えていないというところもあると思います。そういう中では妥当性のある制度の見直しと一定の負担を求めていきながら、制度について継続、持続させていくことが必要かというふうに思っております。そういう意味では、今回の見直しについては、必要な見直しだというふうに考えております。

ただ、個々的に今後生じてくる問題で、一定の調整とかあるいは見直しが必要な問題というのは出てくる可能性はあろうかと思います。そういうことについては適切に把握していきたいというふうに考えております。

それから、収入の関係でございましたけれども、今回の見直しと収入増の問題というのは、連動は必ずしもしないというふうに考えておりまして、区の方の1つの政策判断の中でその部分についてどう生かしていくかということは、また別の問題だというふうに考えているところでございます。

議長(塚本利光君)

以上で鈴木ひろ子君の質問を終わります。

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