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第4定一般質問飯沼雅子区議

障害者自立支援法の応益負担撤回区の負担軽減策の拡充を
認可保育園の増設で待機児解消を
武蔵小山駅東地区計画はガイドラインの見直しを
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障害者自立支援法の応益負担撤回区の負担軽減策の拡充を

飯沼雅子区議

障害者自立支援法が4月から実施されて7か月がたち、原則1割の応益負担の導入が障害者と家族の生活を直撃しています。8月には全国の障害者団体が一致して「早急な見直しを求める緊急要望」を厚生労働大臣に提出しました。また日比谷野外音楽堂では「見直してよ!「障害者自立支援法」10.31大フォーラム」が開催され、全国から15,000人が集まりました。

大阪から参加した家平さんは「自立支援法の応益負担、同一世帯の考え方を根本的に改善しなければ、障害者の存在は社会で価値のないものになり、家族の中で厄介者になるしかありません。生きる尊厳を奪い続ける悪法だと言わざるを得ない」と訴えました。全国から批判が集中している障害者自立支援法。深刻な事態解決のためには、国の抜本的な見直しを求めると共に、区としての支援策拡充が不可欠です。

区内でも負担増が顕著に現われています。施設入所のKさんは利用料が月3万600円から7万6000円に、一気に2.5倍に負担が増え、80歳になるお母さんは「大好きな映画にも、行きつけの床屋に連れて行くこともできなくなった。考えると夜も眠れない」と訴えます。

食事、トイレ、外出、コミュニケーション保障、就労活動、生命に関わる医療の利用など、受ける援助をなぜ「利益」と言うのでしょうか。憲法25条に保証された生存権の否定につながる応益負担は撤回するしかありません。

区は、「障害者以外の人の理解を得るために、持続可能な制度とするために応益負担が必要」と答弁していますが、区民の中に「応益負担を導入すべき」との声があったのでしょうか。もとに戻すために必要な予算は国全体で430億円。障害者福祉予算は年間約8000億円。国家予算の1%に過ぎません。少ない予算の増額こそ必要です。

次に、区としての負担軽減策の拡充を求めます。

荒川区では、全ての在宅サービス利用者の負担を所得制限なく3%に軽減しました。軽減の理由は「現在ほとんどの利用者負担が無料であることを踏まえると、国及び都の利用者負担軽減策のみでは、きわめて不十分」としています。台東区では、通所授産施設の利用料を所得制限なく無料とするなど大胆な負担軽減策を実施しています。品川区は、東京都がおこなった住民税非課税世帯へのヘルパー利用料3%への軽減策を均等割り世帯まで拡大し、通所施設の利用料を一律3000円減額としました。しかしこれでは大幅負担増には焼け石に水です。

通所施設に通うAさんは利用料無料でしたが、4月から合計3万7千円になりました。中でも食事代の負担は大きく、「せめて食材費だけにしてほしい」と訴えます。食事代補助は23区ですでに18区が実施しているほど切実な要求です。財源ですが、品川区の軽減策はトータルで2500万円。この額は、区が自立支援法実施と同時に廃止した施設入所者の福祉手当相当分でしかありません。自立支援法で浮いた区の財源は1億円。是非この1億円を障害者のために使うべきです。

最後に移動支援についてです。

「ガイドヘルパーを利用して外出するのにも懐具合と相談しなければならないなんて許せない1割負担は撤回すべき」日本盲人会連合の発言です。

知的障害者の父母からも「使いたくても窓口で断られて使えない。他区の様に改善してほしい」との声がたくさん寄せられています。

私は23区調査を行い、他区と比べ品川区の知的ガイドヘルパーの利用が極端に少ないことに驚きました。17年度実績でみると品川区での利用が11人で合計357時間。隣の港区、大田区と比較してみましたが、人数で5倍、利用時間数では20数倍と桁違いに多い利用です。荒川区、葛飾、中野、豊島、文京、板橋区と無料の方向に進んでいます。

厚労省のガイドラインで示されているように、他区と同じように柔軟対応を求めます。親から離れ、他人との経験でたくさんのことを学び、自立にもつながります。早急に利用しやすい制度に改善を求めます。

質問

1.障害者にとって福祉サービスの利用は、生きるための最低限の保障であり、断じて「利益」ではありません。応益負担について区の見解を伺います。

2.区は「障害者以外の人の理解を得るために、応益負担が必要だ」と答弁しています。「障害者に応益負担を導入すべき」との声がどこにあったのでしょうか。具体的に示してください。

3.障害者と家族を不安に陥れている根本原因である応益負担の撤回を国に求めるべきと考えますがいかがでしょうか。

4.通所施設利用料減額制度の3000円の大幅増額と、食事代補助を求めますがいかがでしょうか。

5.視覚・知的障害者の移動支援は、無料にすべきと考えますがいかがでしょうか。また、知的ガイドヘルパーを散歩や買い物、コンサートや野球観戦など会場での支援も含めて、社会参加を広げられるよう改善を求めますがいかがでしょうか。

認可保育園の増設で待機児解消を

飯沼雅子区議

働く父母にとって保育園はなくてはならない施設です。結婚後も、出産後も働き続けたいと願う女性にとっても同様です。区の公立私立認可保育園では4月現在4,140人の乳幼児を保育していますが、保育園不足は深刻です。4月認可保育園を希望し入れなかった子どもは182人。待機児の割合は23区の中でも上から4番目と大変な状況です。しかし区は、保育園増設に本腰を入れず、定員拡大と、民間事業者が経営する認証保育園に任せています。区内では大型マンション建設が進み保育需要が増大している中、認証保育園は9箇所に増えましたがすでに満杯です。待機児は10月現在250人と増えていますが、待機児のカウントから外されている認証保育園児も含めると550人を超える子どもが認可保育園入園を希望し排除されています。児童福祉法第24条に「区が、保育を必要とする全ての子どもの保育保障の責任を持っていること」また但し書きの中には、待機児が生まれないように区が保育所整備をする責任が書かれ、待機児がいること自体、児童福祉法に反する状態にあると言えます。

認可保育園に入れなかったケースを紹介します。

Kさんは、仕事を探しながら4月の入園を希望していましたが当時無職だったため入園できませんでした。女性が結婚や出産でやめざるを得ない状況は改善されず、一貫して仕事を続けられる女性は、たったの3割に過ぎません。Kさんのように一度仕事を止めると保育園には入れず、就職もできません。「夫1人の賃金ではとても2人目がほしくても産めない」と訴えます。在宅で子育てをしている母親の5割が、子どもを預け、仕事をしたいと希望している事に注目し、保育需要をしっかりとつかむべきです。

Mさんは、飲食店の経営を始めました。五反田駅周辺の0歳児の倍率が高く入園できず、仕方なく認証保育園に預けています。一日8時間の基本保育料は月7万円、30分の時間延長をするごとに500円追加となり自分の稼ぎより保育料が高くなり、貯金を取りくずして、認可保育園入園を待ち望んでいます。

認証保育園の名前は、認可保育園と1文字しか違いませんが、内容は大きく違います。都が進めている認証保育園は、待機児の受け皿として一定の役割をしていますが根本解決にはなりません。長年乳児保育を支えてきた保育室から移行したところもありますが、ほとんどが株式会社経営です。直接契約で、保育料は自由設定であり月5万円台から8万円を超えるなど、所得に配慮がされていないため低所得の子育て世代は利用できません。所得に応じた保育料が設定されている認可保育園を親が望むのは当然のことです。保育を必要とする子が、誰でも国と都と区が責任を持つ認可保育園を利用できるように、認可保育園増設は待ったなしの課題です。

昨年第4回定例会において私が保育園増設を求めた際、区は、「サービスの水準を維持するためには施設利用者の利便のみならず、費用を負担する多くの区民の理解と納得を得る必要がある」と答弁をしました。若い世代が保育園を利用することで子育ての楽しさを知り、2人目3人目を育てたいと希望が沸いてきたら、子育て支援も成功です。地域の子どもが増え元気な声が響く街づくり
は誰もの願いではないでしょうか。今こそ父母が求める認可保育園増設のために最善を尽くすべきです。

最後に国が進める「認定子ども園」について伺います。

ことし10月1日「認定子ども園」の制度が創設されました。「教育・保育を一体的に提供し、子育て支援を行う」と2つの機能を備える施設とし都道府県知事が認定する制度です。幼稚園と保育園の子どもを分け隔てのなく保育・教育を行なう幼保一体化の基本理念には賛成します。しかし「認定子ども園」に関しては、国会の審議の中で行政の公的保育の放棄につながる根本問題が明らかになりました。第1は、幼稚園と保育園の施設設備や職員配置などの現行基準を下回ることを容認している点。第2に認可保育園に特例をもうけ施設と利用者の「直接契約」の道を開き、保育料も現行の「所得に応じた負担」ではなく「自由料金」になるなど、児童福祉法に基づく認可保育所制度を崩す重大な問題です。

質問

1. 認可保育園を希望しながら、認証保育園で空き待ちをしている家庭、経済的に困難で認証保育園に預けられない家庭もあります。認可保育園の絶対数が不足しているため、保育に欠ける子どもがふるい落とされています。子育て世代の要求を聞き、需要調査も行ない、認可保育園の増設を求めます。

2. 国も都も区も公的保育制度を堅持するよう、予算を増額し、基準の引き上げを行うよう求めます。

3. 認証保育園保育料の負担軽減策を求めます。

4. 幼保一体化施設においては、子どもの利益を最優先にし、認可幼稚園、認可保育園双方の現行水準の高い方の基準を義務づけることを求めますがいかがでしょうか。

武蔵小山駅東地区計画はガイドラインの見直しを

飯沼雅子区議

武蔵小山駅周辺では「しゃれた街並みづくり推進条例」にもとづく再開発が進み、現在3.1ヘクタール計画地の一角Dブロックでは先行して大型マンション建設が始まっています。周辺住民から「19階建てはあまりにも高すぎる。武蔵小山にふさわしいまちづくりを一緒に考えてほしい」との声が上がっている事はこれまでも紹介してきました。区が本開発計画を地域に説明をしたのは、地権者対象の4回のみであり、周辺住民に対してはただの一度も説明を行なっていません。もめごとがあり中断していた開発が今年夏A,B,C,Gブロックが勉強会を再開し区が支援を始めたと聞きました。

改めて全体構想に対する区の役割と説明責任について伺います。

区はこの間、「住民有志から住民主体の街づくりを支援してほしいと要望が出されたので街並み再生方針(案)策定調査を実施するとともに、まちづくり協議会を支援していく」と答弁していました。

私は協議会の議事録を調べてみて驚きました。「しゃれ街条例」施行直後の2003年12月、ブロック代表者10名と区職員2名と意見交換会が行なわれ、担当係長から「区としては都の中で最初にこの条例を使っていきたい。急がないとタイミングを逸してしまう。一方であまりあわてると反発がある。」さらに「区が勝手に作ったというのでは困るので、できる限り意見をいただきたい」と発言しています。開発計画が住民の総意によるものだとするアリバイづくりのために協議会メンバーの意見を聴取すると言う態度を露骨に示しています。

今回の計画に商店主の方々は「自由が丘や目黒に流れた客をもう一度呼び戻したい」「日本一のビルを作り、日本一の武蔵小山にしたい」と期待を持っています。しかし、そのためには、パルム商店街など近隣商店街も含め広く、現状分析、人口の推移、将来予測など総合的な街づくりを練り上げる作業が必要です。開発による地価高騰は、店舗を借りての小規模営業を廃業に追い込み、あるいは自らは廃業し大型チェーン店に店舗を貸し出す方も生まれます。そうなれば個人商店は、チェーン店にかなうはずもありません。地域活性化どころか地元商店の衰退を加速させることは全国の経験が示しています。西大井駅前コアスターレ、Jタワー、大崎のゲイトシテイ、高いテナント料に空きスペースが目立ちます。この経験に学ぶべきではないでしょうか。

私は「まちづくり」とは、地区内はもとより、周辺住民も含め、徹底的な話し合いを通じ、一見相反する要望や利害についても、積極的に取り込み生かすような計画を見出すことが決定的に重要だと考えます。そうして始めて地域の歴史や文化を反映した個性的で魅力的な街の姿が形成されるのではないでしょうか。

本計画では、街に住む人々の望む将来像が見えてきません。全体計画の説明責任が品川区にあることは協議会とのやりとりでも明らかです。まちづくりに対する説明を区が責任をもって、幾度となく行い、あらためて意見の聴取をすべきです。

次にガイドラインの基となった街並み再生方針策定にかかわる問題です。

2003年11月の協議会では、当時の都市開発課長が「ガイドラインを策定のための調査を矢沢建築設計室に委託する」と説明し、この調査を基に街並み再生方針を策定しました。しかし、品川区と矢沢建築設計室が随意契約で取り交わした仕様書では、現況調査にとどまらず、再生方針素案策定と素案住民説明、その後の再生方針案策定までが委託丸投げの内容です。その後、矢沢建築設計室は協議会との金銭トラブルや資格についての虚偽申告を理由に協議会顧問、まちづくりNPO理事長を解任されています。策定方針は水泡に帰したといえます。「区は協議会を指導する立場」と説明しているにもかかわらず、協議会顧問である矢沢建築設計室が策定した方針を見直しもせず、そのまま推し進める品川区の態度はきわめて無責任であると言わざるを得ません。

質問

1.まちづくりとは様々な角度で検討を重ね、住民の総意で将来像を練り上げるもの。本計画にあたり、開発による人口変化、商店街の購買層、購買力変化などどのように見込んでいるのでしょうか。武蔵小山地域全域で住民アンケートを実施し、まちづくりに対する意見を聴取すべきと考えます。

2.住民主導としながらも数々の発言から区が主導的役割を果たしています。区の役割とは何か。事業の失敗などその責任の範囲を明確に示してください。また、区が計画策定を急いだ理由についてもお聞かせください。

3.区は近隣住民に対し説明責任を果たしていないと考えます。開発全体像を説明すべきです。

4.街並み再生方針策定の基となる調査の信憑性が疑われます。ガイドラインを見直すべきと考えます。いかがでしょうか。

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答弁

区長(漬野健君)

障害者自立支援法に関するご質問にお答えいたします。

障害者自立支援法は、障害者ができるだけ住みなれた地域で自立した生活を送れる社会の実現をめざして制定されたものでございます。この実現に向けて、障害福祉サービスをさらに拡充し、持続可能性のある制度とするためには、財源の確保が不可欠であり、国と地方自治体が責任を持って財政負担を行うとともに、サービスを利用する人も所得に応じた一定の負担を行うことは必要であると考えております。

次に、負担に関する区民の声とのお尋ねでありますけれども、障害者も一方的に支えられるだけではなく、支える側にもなるという自立支援法の考え方は、障害者施策に対する多くの区民の理解を生み、あわせて障害者自身が当事者としてサービスのあり方に関心を持っことにもつながるものと考えております。また、負担の撤回を国に求めることにつきましては、制度の一番の根幹にかかわることであり、その考えはございません。

次に、区の負担軽減策の拡充をとのお尋ねでありますけれども、区の独自の軽減策は制度の円滑な実施と障害者の地域生活を支援していく、こういう観点から、国の負担軽減策に加え、実施しているものであります。区の軽減策の拡充は、制度が本格実施されて間もないこともありますので、今後の推移を見守ってまいります。

最後に、移動支援についてのお尋ねですが、移動支援は地域生活支援事業の1つでありまして、さまざまな事業を全体として総合的な自立心支援システムを構成しているものであります。利用料に関しては、既に本区独自の軽減策を適用しているところであり、自立支援法の理念と負担の公平性の観点から無料にすることは適切ではないと考えております。

また、知的ガイドヘルパーを使いやすい制度に改善をとのお尋ねでありますが、区では、知的ガイドヘルパー事業を知的障害者の社会的な自立を促進する目的で実施しているものでございます。現在でも知的ガイドヘルパーの利用申請には十分おこたえしておりますが、今後、障害者団体等からの意見を踏まえつつ、制度の充実に努めてまいります。

児童保健事業部長(古川良則君)

私からは、認可保育園の増設等に関するご質問にお答えいたします。

まず認可保育園の増設をとのことですが、過去5年間で認可保育園の定員は413名の増となっております。これは待機児解消策の−環として区民の保育需要にこたえたもので、実質的には保育園は毎年1園ずつ増設したのと同じでございます。これに認証保育所や定員弾力化による入園可能数を加えますと、この間700名以上の増員を図ったことになります。引き続き保育事業の充実を図ってまいりますが、これからは単に保育施設の増設だけではなく、多様化する子育てニーズに的確に対応するため、短時間や一時的な就労支援のために幼稚園の預かり保育を充実したり、育児休業制度を活用した在宅子育て家庭を支援するなど、子どもを産み育てる喜びを実感できるような施策への転換が必要と考えております。

次に、公的保育制度の堅持にかかわるお尋ねですが、財源の確保を国や都に要望するとともに、区の責任と判断のもとに施設を活用し、地域の状況に応じた保育事業を実施することが重要だと考えております。品川区はこの間、保育サービスの充実に努めており、その内容は全国屈指の水準と自負しております。

次に、認証保育所の負担軽減についてですが、認証保育所の役割は、単に公的施設の補完あるいは代替ではなく、保育を必要とする保護者のニーズにこたえる新たな役割を担った都市型の保育施設です。施設の運営に当たりましては、経費の一部を東京都と区で助成をしておりますので、さらに区として上乗せすることは考えておりません。

次に、品川区が進める幼保一体施設は、認可幼稚園と認可保育園をベースに、それぞれが培ったすぐれた教育・保育の融合により、質の高い環境を提供するものです。既に開設した3つの施設は、それぞれの状況に応じ、幼保の垣根を超えて、ゼロ歳から5歳の発達段階と連続性を踏まえた乳幼児の育成に取り組んでおります。まさに認定子ども園の目的と基準以上の教育・保育活動を実践しており、高い評価を得ているものと考えております。

まちづくり事業部長(福田法光君)

ガイドラインの見直しについてお答えいたします。

初めに、人口や購買層の変化などの見込みとアンケートの実施についてでございますが、この地区では、土地の高度利用による住宅供給が行われることになりますので、一定の人口増が見込まれますが、B地区を除いては、どのようなタイプの住宅が建設されるのか、現在のところ定まっていないため、この地区全体の人口構成を予測することは困難でございます。したがいまして、購買層や購買力の見込みを立てることもできませんが、区の市街地整備基本方針は、この地区において、「既存の商店街の活性化をさらに推進する」としておりまして、区は地域経済の活性化を期待しているところでございます。

アンケートの実施についてでございますが、この地区が「町並み再生地区」に指定される際には、地権者のほか周辺地域を含む町会長や商店会長に対して「町並み再生方針」の説明が行われておりますし、地区計画の策定段階におきましても、同様に説明が行われております。また、都市計画法に基づく公告・縦覧や意見書の提出の機会を設けるなどの手続も適正に進められてきております。さらに、D地区の計画概要説明会の際には、地区計画全体の説明が地区内居住者や近隣住民に対して行われました。したがいまして、地域の皆さんの考えは十分把握されておりますし、この地区計画は区の市街地整備基本方針に沿うものでございますので、ご質問の趣旨のようなアンケートを実施する考えはございません。

次に、区の役割と計画策定の経緯に関するご質問でございますが、区の基本的な役割は、市街地整備基本方針に沿って、この地域を地域生活拠点にふさわしい魅力ある駅前空間に整備することによって、この地域におけるにぎわいの創出を支援することであると考えております。また、この地域は木造住宅が密集する地域を含んでいるため、防災上の課題がございますので、これを解消することも区の基本的な役割と考えております。

これらを踏まえた主な具体的な役割は、地域の皆さんに対して、活用の可能な制度を紹介したり、必要な手続に関する助言を行うことなどでございまして、こうした区の支援の結果として、共同化された建物などを地権者がどう活用するかは、地権者の自己責任であると考えております。

ガイドライン策定の経緯に関するご質問でございますが、区は以前からこの地区が「しやれまち条例」の長所を生かしやすい地区であると考えていたところ、この条例の施行と同時に、地域の皆さんから「しやれまち条例に基づく町並み再生地区・再生方針の策定および地区整備計画の策定」などについて、区の支援を要請する要望書の提出がございました。区は、この熱意を受けとめまして、できるだけ早くこの要望のかなめである「町並み再生地区・再生方針の策定」を実現すべく、地域の皆さんの意見の把握に努めたものでございます。ご指摘のございました職員の発言は、こうした区の姿勢のあらわれでございまして、その発言をとらえて、あたかも意見聴取が形式的なものであったとすることは、曲解と申し上げざるを得ません。

次に、近隣住民への全体像の説明についてでございますが、さきにお答えしたとおり、この「町並み再生方針」についての説明は十分に行われておりますし、適宜議会にも報告され、ご意見をいただいております。また、広報紙にも掲載され、都ではプレス発表も行われております。したがいまして、改めて全体像を説明する考えはございません。

最後に、「町並み再生方針」の見直しについてでございますが、この方針案に関する図書作成などの業務委託は、従前から行われていた地元での活動を通して、その状況を熟慮している設計事務所と契約したものでございまして、要所要所で区の職員も直接携わっておりますので、その信憑性を疑う理由はございませんし、いわゆる「丸投げ」とのご指摘も当たりません。したがいまして、ガイドラインを見直す考えもございません。

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再質問

飯沼雅子区議

自席から再質問をさせていただきます。

まず、武蔵小山駅東地区の問題ですが、説明も十分しているし、問題がないという、総称するとそういったご答弁だったと思うんですけれども、地権者に対しての区の説明は行われていますが、地域周辺の住民に対しては一度も行われていない、これは明らかな事実です。しっかりと認識をしていただきたいと思います。あと町会長さんたちにもご説明をしたという答弁がありましたけれども、町会長さんたち、あそこの大きな開発の実態、よくわからないと言っていらっしやいますし、D地区に60メーターが建っなんて全く知らなかったと、こういう声を多数いただいておりますので、区の認識はかなりかけ離れているものであると思います。

私は、この地域の商店街の皆さんが期待するのはとてもよくわかるんです。でも高層住宅をつくって人口をふやして、そこにブランド店を誘致して客を呼ぶ、そうしたことでこの町が本当に活性化になるのか、是非は、区としてはそういうところも含めて、本当に相談に乗っていただきたいなと思います。今、お何いしたら、ほとんど予測の計画をしていないということで、私はあまりにも無責任な区の姿勢であると思っています。このような計画が十分練り上げられていないまま、地域の住民のためだと言いながら、本当に開発先にありきで、ここに今、不動産業者も絡んでいますけれども、デベロッパーが必要な開発手法を次々に使っていけば、利益第一となって、本当にまちづくりではない、町壊しの開発になってしまうのではないか、こう思っています。地域の商店街の地権者の皆さんの中にも開発には反対だが、開発に乗りおくれたらビルの谷間に住むことになってしまう、判断が迫られ、不安を感じているという地権者もおられます。私はぜひこの点で時間をかけ、案を練り直すときではないかと思いますので、この点をもう一度お伺いします。

あと、保育園のところなんですけれども、認証保育園の保育料が高くて預け切れていないという実態をぜひ知っていただきたいなと思います。あと、私は働きながら子育ても楽しみたい、品川に住んで2人目、3人目と子どもを産みたいと、そう希望して移ってきている方もいらっしやるんですが、保育園に入れないんです。こういう方は本当に品川でどうしたらいいのか、改めてお伺いしたいと思います。

働く女性というのは、税金を納めて社会の制度を支えていく人です。この人たちが保育園不足のために働けなくて、子どもが産めない、これは私の社会の大損害であると考えています。労働条件の整備ももちろん大事ですが、だれもが利用できるのが認可の保育園なので、ぜひ未来への投資と考えて税金を投入して、認可の保育園を増設していただきたい、改めてこの点を質問いたします。

あと、障害者のところなんですけれども、知的障害者のガイドヘルパーは現在でも十分使われているので、今後も団体の意見を聞いて充実させていくというご答弁をいただきました。この間、聞いているのは、移動支援などで、行きと帰りのところしかなかなか考えてもらえていないようなので、真ん中のところもぜひ、例えばコンサートとか買い物とか映画に行って、会場内で支援が必要な方はぜひそこのところを支援していただきたいと思います。

あと、障害者のご答弁、私は全体的に障害者の方のことが実際わかっていらっしやるのかなと大きな疑問を抱きました。4月からの障害者の痛みをどうとらえていらっしやるのか、伺いたいと思います。負担増は明らかですし、賛成をしていた障害者5団体からも、あまりにもひどい負担増だという意見が届いています。国の悪法から区民を守る防波堤になっていただきたい、このことを区に求めますが、いかがでしょうか。

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再答弁

区長(濱野健君)

自立支援法に関するお尋ねであります。

先ほど申しましたように、この法律自体は、障害者の方が地域で自立して生活していく、それを支えるための仕組みということでございます。そういう意味では、近隣の方を含めて区民全体の理解というものは必要でありますから、そういった面でのいわゆる自己負担というものは、区民の理解を得る上で重要な意義があるというふうに思っております。

いわゆる軽減策につきましては、先ほどもお答えしました。法施行後間もない時点でありますので、今後の推移を見守ってまいりたい、このようにご答弁した次第でございます。

以上です。

児童保健事業部長(古川良則君)

それでは、再質問の中で認可保育園の増設をということで再びご質問いただきました。

実態は先ほど申し上げましたとおり、413名の定員増をしているという事実についてはご確認をいただきたいと、このように思ってございます。

それから、これだけ人口の密集度の高い都市部の中で、年間を通して待機児がゼロというのは不可能だろうと思ってございます。理想とするところは、すべての保育を必要とする方を受け入れるということが確かに児童福祉法の理念ではございますけれども、現実的には難しい中で、ただし書きにございますように、それにかわる施設として、東京都あるいは区が一体となって認証保育所を進めているわけでございます。ただし書きの中の1つの施設の形態として、この認証保育所は当然ありますし、先ほど待機児550名というご発言ございましたけども、現在約300名の方が認証保育所に入っていらっしやいますが、その中で認可保育園を希望されている方は約4分の1です。

したがいまして、すべての方が認可保育園を望んでいらっしやるわけではなくて、さらに申し上げれば、認証保育所には認可保育園にないさまざまな預ける側の自由度、柔軟な利用時間であるとか、利用料金の設定、さらにはさまざまな教育・保育の内容が十分に満たされている施設もございますので、そういう中で利用者の方々の選択があるのだろうと、このように考えてございます。

まちづくり事業部長(福田法光君)

案の見直しについてのご質問でございますが、そもそもこの町並み再生方針を策定いたしましたのは、地域の皆さんの要請に基づく、これが最初のきっかけでございます。それから、その後、多くの皆さんから積極的に推進したいと、こういう声も私ども直接把握させていただいております。それから、先ほどもお答えいたしましたが、区の大きなまちづくり戦略に当たる市街地整備基本方針に沿うものでございます。したがいまして、いずれの観点をとりましても、練り直す理由はないと思います。

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再々質問

飯沼雅子区議

再々質問をさせていただきます。

私は、今の開発のところなんですけれども、地域の要請、要望といっても、一部の方の要請、要望なんです。そこを間違えないでいただきたいと思います。まちづくりは区民が主役と思います。地域住民が交流し、意見をぶつけ合いながら深めてつくるもの、そう思っています。私は、武蔵小山周辺の今の開発、このままでは建物はできるけれども、人のつながりが壊れてしまうと思います。区の役割は開発周辺住民も参加させて、ともに考えていく、この仕組みづくりをしていくことが区に求められていることと思います。この点、ご答弁をお願いします。

あと、保育のところなんですが、8万円もの認証保育園の保育料を払える人がどれだけいらっしやるんでしょうか。あと、私は実際、今、認可保育園の入園申請をしていらっしやる方が550名を超えている、このことを把握いたしております。少なくとも550名を超える方が今、認可保育園に希望しているんです。明らかに足りないんです。ぜひつくっていただきたいと思いますが、このところ、子どもにかかわる事件が多発しています。子どもの姿というのは、大人の社会のゆがみを照らしているものだと思つています。人が大切にされない今の社会の中で、子育ては本当に大変だと思います。そういった意味では、認証保育園、認定子ども園、国が進めている流れは、国も自治体も税金を使っていかない、親の責任、個人の責任、そういったもので拡大していて、税金を使っていかない方向にあると思っています。子どもを大切にする品川区、これをめざしているのであれば、私は公的責任をしっかり拡大していく方向、今だったらば、親が求めている認可の保育園増設を切にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

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再々答弁

まちづくり事業部長(福田法光君)

仕組みづくりですが、その前に一部というご指摘がございましたが、私どもに要請がございましたのは、多くの方のご意見を背景としたその代表者の方9名による要請でございます。私どもはこれを必ずしも一部だとは思っておりません。

それから、仕組みづくりでございますが、これは先ほど申しましたが、都市計画法上の縦覧、意見の聴取、これらをまとめまして都市計画審議会に付議する、こういう一般的なルールがございます。それから、市街地整備基本方針につきましては、数回にわたる世論調査を行ったり、あるいは議会への報告を行ったり、そういうような対応もとっております。これらを総称して、私どもは品川区には十分ルールがあるし、それが活用されているというふうに思っております。

児童保健事業部長(古川良則君)

再々質問にお答え申し上げます。

認証保育所の保育料が高いのではないかということなんですが、認証保育所は現在9か所ございますけども、必ずしも高いとは一方的には言えないだろうと。何をもって価値を判断するかであると思ってございますし、認証保育所に今、298人の方々が子どもをお預けになっていらっしやいますけども、全体の所得層をどうとらえるかということとは若干離れてまいりますけど、少なくとも今お預けになっている方々は、認証保育所に一定の価値を見出している方々が大勢いらっしやると、このように考えてございます。したがいまして、8万円が高いか安いかという一慨的な議論はできないだろうと、こう思ってございます。

それから、2点目でございますが、待機児をどうとらえるかということでございますけども、国の方針によりますと、認証保育所のような施設あるいは品川でも若干ございますけども、保育ママのような制度を利用している方々は待機児とはみなさないという規定がございますので、私どもは二百二、三十名が現時点での待機者ととらえてございます。

私が先ほど申し上げましたのは、認証保育所の入所の方がすべて認可保育園への入園を希望していらつしやるわけではないと、4人にお1人ですよということを申し上げたわけでございます。

それから、公的保育制度の堅持に関連して申し上げますと、品川区の保育にかかわる予算、決算額でございますけども、80数億円という多大な財政を投入してございまして、国の制度をはるかに超えた制度を運用してございます。したがいまして、国の制度に対しての意見はともかくとして、分に保育事業を充実していると、このように考えてございます。

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議長(塚本利光君)

以上で、飯沼雅子君の質問を終わります。

 

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