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南恵子区議 07年第2回定例会「住民税」「年金」「高齢者医療」「八潮」

2007.06.21 南 恵子 区議

一般質問項目

  1. 住民税大増税に悲鳴負担軽減策を求める
  2. 「消えた年金」 区民の不安解消のため国に責任ある対策を求めよ
  3. 子どもたちに続き、高齢者の医療費無料化の実現を
  4. 八潮の街づくりは住民主体で

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一般質問

日本共産党区議団を代表して 一般質問をいたします。


まず、住民税大増税に悲鳴、負担軽減策を求めるの質問です。

品川区から、特別徴収の方は5月に、普通徴収の方は6月初めに住民税の納入通知書が届きました。多くの区民が昨年と比べ2倍を越える住民税大増税に衝撃を受け、怒りとなって噴き上がっています。品川区の税務課にはかつてない苦情や問い合わせが殺到、窓口は人があふれ、電話は鳴りっぱなしだったと聞きました。品川区が、区民生活を守るため、国への増税中止・定率減税復活と、区としてできる軽減策を行うよう求めて質問します。

今回の増税は、住民税の定率減税の廃止と税源移譲による住民税率の引き上げが同時に実施されるため大幅増となっています。

大井に住む34歳の方は月の手取りが21万円。7万5000円のアパート代、水光熱費、大学時代の奨学金を払うと、手元に残るのは10万円。それなのに住民税は、昨年の5万9600円から14万1000円に一気に2.4倍の8万1400円も上がり衝撃を受け,ギター教室と新聞をやめたと言います。

高齢者はもっと大変です。1か月15万円の年金暮らしの方。所得税・住民税・国保料・介護保険料の合計は、一昨年3万9300円から、今年は12万円に、2年間でなんと3倍を越え、年間8万円もの負担増がおそいかかることになりました。「毎日5円、10円を節約して暮らしてきたのに、今回の増税でいっぺんに持っていかれる。年寄りは早く死ねというのか」と怒っています。

わが党国会議員団の質問で、税源移譲だけでも負担増になる人が数百万人にのぼることが明らかになりました。品川区は、税源移譲により住民税は増税されるが、その分所得税がすでに減税されているので、負担増はないといっていましたが、昨年より所得が大幅に減少した人は、税源移譲だけでも増税になります。一部に救済措置がありますが周知されているのでしょうか。

街では「誰がこんな増税を決めたのか」と怒りが渦巻いています。今回の増税・負担増は、03年公明党が定率減税の廃止と年金増税を提案、その後自民・公明が国会で決定したものです。庶民には定率減税廃止で大増税を行いながら、大企業の法人税減税、大資産家の所得税最高税率の引き下げはそのままです。例えば、6大銀行の06年利益は過去最高の3兆1000億円なのに法人税は0。欠損制度で守られているからです。政府は、定率減税の廃止にとどまらず、参議院選挙後には消費税の大幅増税を進めようとしています。

深刻な負担増から区民生活を守るために、既存制度を活用して減税できますので、おおいに今ある制度を活用して負担軽減できるよう広く区民に周知徹底するべきです。

区は税制改定について何度も「広報」で特集をしてきたといいますが、それは税制改定の中身であり、既存の制度活用で減税できるというお知らせは、「寡婦や障害者、寝たきり高齢者は申告すれば非課税措置や控除が受けられる」と小さな字の「付け足し」で、制度の説明はありません。医療費の控除についてはいっさい触れてもいません。これでは既存の制度の周知をしていると言えません。

また、厚生労働省は2002年8月に「障害の程度が同程度であるものについては同じ税制上の障害者控除の取扱とすることが公平。手帳のあるなしで著しい不公平が生じないよう認定を行うことが必要」との業務連絡を出しています。23区でも軽度・中度の要介護者への認定証発行は、17区に広がりました。品川区も「障害者に準ずる」人への認定書をこの通知に基づいて発行するようあらためて求めます。また、品川区はすでに発行している要介護4と5の方への認定証についても、対象者全員に周知徹底を行うことを求め質問します。

  1. 住民税定率減税廃止の影響について、区民からの問い合わせ、苦情がどれくらい寄せられたか、窓口・電話それぞれの件数と内容についてお知らせください。 また、2007年度に住民税が増税となった区民の人数と割合。06年度、07年度の区への増収額はそれぞれいくらですか。
  2. 品川区で、税源移譲だけでも増税になる人はどれくらいか、そのうちどれくらいの人が申請によって救済措置を受けているか、救済措置のための周知はどのようにしているか、お知らせください。
  3. 大企業や大資産家への減税はそのまま継続し、定率減税だけを廃止する税制改定は不公平と思うが、区の認識を伺います。定率減税の復活を国に求めるべきですがいかがですか。
  4. 既存の各種制度についてうかがいます。
    @軽度・中度の要介護者への認定証発行をするべきですがいかがでしょうか。
    A現在認定証を発行している要介護4・5については、対象者全員に認定証発行の制度について知らせることを求めます。
    B障害者、寡婦(夫)の控除や非課税措置、医療費控除などの既存制度の内容・活用法について、広報やホームページでの特集、パンフレットを作成して配布するなど、周知徹底をはかるべきですがいかがでしょうか。

次の質問は 「消えた年金」 区民の不安解消のため国に責任ある対策を求めよです。 

老後の生活を支える大事な年金記録が宙に浮き、保険料を納めたのに減額や受給権が消滅するなど、国が詐欺をしているに等しく、国民の不安と怒りが広がっています。厚生労働省は、1997年に基礎年金番号を導入する際、厚生省・社会保険庁は「将来の年金などには、何ら影響しません」「手続きの必要はありません」と広報しました。そのため複数の年金手帳を持っている国民は統合手続きをとりませんでした。その後10年間も放置し、「宙に浮いた」ままや「消えた年金」になる事態を予測していながら手を打たず傷口を大きくしたのですから、政府と厚生労働省の責任は重大で、国政運営と管理能力の基本が問われます。

社会保険事務所でお会いした80歳の女性は、「働いていた昭和20年当時の記録がなく無年金。一緒に働いていた人は証明があるのに。少しでも受けられたらと調べに来た」、66歳の女性は、「昔、母親から国のやることだから、きちんと収めていれば食べていけると言われ、厳しい生活の中、パートをしながら払ってきた。漏れがないか確認に来た。」と話してくれました。大きな不安を抱える国民に、一刻も早い解決が求められています。

そこで、年金問題の解決は国が責任を持って5つの対策をとるよう求めました。

  1. 年金保険料の納付記録を、ただちにすべての受給者、加入者に送ること。
  2. 「宙に浮いた」年金記録の調査を限定せず、可能性のあるすべての人に情報を知らせること。
  3. 物証がなくても申し立てや証言などを尊重して支給すること。
  4. コンピューターの誤った記録をすべての手書き記録と突き合わせて修正すること。
  5. 社会保険庁の解体は国の責任逃れ。年金保険料の流用を止める、天下り禁止など抜本改革こそ必要。

国民年金は国の事務ですが、区は2002年3月まで保険料の収納事務をしていましたので、今回の事態について区の見解を伺いたく質問します。

  1. 「消えた年金」問題は、全て国に責任があると考えますが、区の考えをお聞かせください。また、不明な点の解明は国の責任で行うこと、全ての対象者の救済策を示すことを国に求めてほしいがいかがでしょうか。
  2. 年金番号統合当時、区は窓口で収納事務を行っていましたが、番号統合に当たり、広報はどのように行われたのか、対象者数、内容、返事が戻ってきた割合をお知らせください。社会保険庁の当時の取り組みに区として懸念はなかったのか、防止はできなかったのか、区の考えをお聞かせください。

次は、子どもたちに続き、高齢者の医療費無料化の実現をの質問です。

今年の第1回定例会本会議でも、わが党みやざき議員が質問しましたが、区の答弁は、来年4月から始まる後期高齢者医療制度は一定の低所得者対策がされるとして、高齢者の医療費無料化を国に求めることも、品川区で実施することも拒否しました。しかし、所得の少ない高齢者にとって今日ほど医療無料化を切実に求めているときはないと思います。子どもたちの医療費に続いて高齢者の医療費無料化に踏み出すよう強く要望します。

4月13日放映の日本テレビの人気番組「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中」で、江成一樹議員が「70歳以上の医療費をタダにします」と提案し、賛成、反対の二つに分かれて喧々諤々の議論をしました。自民、公明、民主、社民の各国会議員、厚生労働大臣経験者も出席。タダにすると「不良老人」が増える、若い人の負担が増える、公共事業を減らしていいのか、など反対意見。一方、賛成議員からは、医者にかかれず「孤独死」が増えている、負担増で治療の中断が増えている、先進国と比べ公共事業にお金をかけすぎている、などと反論。江成議員の「医療を優先する税金の使い方に変えるべきだ」との主張に賛成が広がり、賛成15、反対7で可決されました。一般視聴者の投票も賛成53%、反対47%でした。あらためて背景には国民、区民多数の願いがあることを知りました。

高齢者にとって住民税増税もそうですが医療費負担の大幅値上げは医療を受けられなくなるほどの深刻な実態です。来年4月にスタートする後期高齢者医療制度は75歳以上のすべての高齢者が加入しますが、保険料は厚労省の試算でも月平均6200円、介護保険料とあわせ年金から容赦なく天引きです。医療費の窓口負担も69歳までは3割、70歳から74歳は2割、75歳以上1割、また、70歳から74歳は外来と入院の窓口負担の上限額が12000円から24600円。40200円から62100円にとそれぞれ値上げ。加えて70歳以上の長期入院は、食費は全額、光熱水費も負担させられることになります。

戸越に住む78才の女性は、入院・手術の費用を工面するために年金を担保に銀行から借金しましたが、返済が始まるととたんに生活費が足りなくなりサラ金から借金。「こうなると分かっていたが入院のために借りざるを得なかった。医療を無料にしてほしい」と切なそうに話しました。年金支給額が減り続けているのに住民税増税になり、とても暮らせないという状況の上にこれ以上の負担増は止めるべきであり、区のやさしい救済策が求められています。

わが党区議団の試算では、70歳以上で住民税非課税の方全員を無料にするのに、年間およそ28億6,000万円必要になりますが、品川区の財政で十分まかなえます。なぜなら、毎年のように100億円を超える額を基金に積み増していること、また、大崎駅周辺などの開発にも100億円前後投入している状況からです。これらの4分の1で無料化は可能です。

大手不動産、大企業のための巨大ビル開発には巨額な税金を使いながら、区民の命、健康には税金を回さないというのは理解できず、区民の納得も得られないでしょう。高齢者の生活実態を区はどのように捉えているのでしょうか。

革新都政の誕生とともに70歳以上の医療費無料化が実現しましたが、当時、老人健診で病気が見つかってもお金が無くて治療を受けられないという事態の続出に運動が盛り上がり、その後、国も無料化しました。ところが、今日、国は医療費の増大を理由に有料化し、東京都も今年マル福を廃止しました。

千代田区は今年4月から高齢者の入院負担を軽減するための助成金制度を始めました。高齢者への配慮は大いに評価したいと思います。品川区も高齢者の医療費負担軽減へ可能なところから始めていただきたいと思います。

そこで質問します。

  1. 国民の医療費負担増を中止すること、高齢者の医療無料化を復活するよう国、都に働きかけるべきと思いますがいかがでしょうか。
  2. 品川区として高齢者の医療無料化を検討していただきたいが、いかがでしょうか。

また、品川区独自で老人医療費無料化を実施するのに必要な費用はいくらですか。

住民税世帯非課税者を対象にした場合もお知らせください。

  1. 千代田区のような入院助成を品川区でも導入すべきですがいかがでしょうか。
  2. 高齢者の受診抑制が指摘されていますが、区の認識をうかがいます。  

最後の質問は、八潮の街づくりは住民主体でです。

八潮団地は1983年に造られ24年経ちました。入居当初の人口は16310人が現在は13246人。年少人口は入居当時の4分の一になる一方、高齢者人口は4.2倍と逆転しています。

児童数だけをみても17〜18年前には八潮小学校に700人もいましたが、来年度からは3小学校と2中学校がひとつになってしまいます。八潮地域の特性に合わせた対策が求められます。

区は先ごろ、全住民に「八潮の街づくりに関する区の考え方」を示しました。その内容は、「地域特性に応じた街づくりを推進」し、学校施設、跡施設などの有効活用、また、住宅の住み替えや商業施設の再構築、「都市計画の見直しの早期実現」となっています。八潮地区の活性化策の検討を始めるに当たって行政のとるべき基本姿勢は、住民が主体的に取り組めるよう温かく見守り、情報提供や、専門家・講師の派遣など「側面支援」に徹することであり、けっして区の考え方を押し付けてはなりません。しかし、区がこれまでとってきた「まちづくり協議会」に対する姿勢をみると、住民が主体になっているとはいえません。例えば、豊町4・5・6丁目地域のまちづくり協議会では、区は住民が反対する補助29号線道路計画をまちづくり計画に盛り込みました。「協議会とは何なのか」と怒りの声が広がっています。

私はここで、兵庫県の明舞団地の取り組みを紹介します。住民がつくった「明舞街づくり協議会」に県が呼びかけて、住民と一緒に10年先までの企画をつくり、住民・NPO・県の分担を決めました。また、住民が中心になって街づくりワークショップを4回開催、その中で「団地の好きなところはどこか」などアンケートをとると、「若い人を増やすべきだ」とか「空き店舗をサロンにして」などの意見も出て住民同士、議論が進んだといいます。

自治体は長期間にわたって側面支援をしつづけていることなど、八潮の街づくりの検討をはじめるに当たって、学ぶべきところはたくさんあると思いました。

八潮自治会連合会は「街づくり検討会」の設置を住民に呼びかけ、自分たちの街は自分たちでつくろうという意気込みを感じます。区と議会は住民意思を超えるわけにはいきません。

なお、八潮地域内にあった銀行跡地に認知症高齢者グループホームが開設されますが、用途地域の変更が必要ですが、八潮全体の計画のなかで取り組まないと矛盾が出てくるのではないかと思い指摘をしておきます。

そこで質問します。

  1. 八潮地区のまちづくりは住民中心に協議・検討を進め、区は情報提供や講師派遣など支援に徹するべきです。見解をうかがいます。八潮の街づくりが、住民や自治体、研究者などの共同ですすめるモデルケースになるよう位置づけて取り組むべきですがいかがですか。
  2. 兵庫県の明舞団地のように、街づくりは住民合意に一定期間がかかりますので、区は住民意思を尊重して最後まで支援体制をとり続けるべきですがいかがですか。

以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。


答弁

濱野健君

八潮地区のまちづくりの進め方に関するご質問にお答えをいたします。

地域におけるまちづくりの基本というものは、言われるまでもなく、住民相互が、また住民と区が率直に意見を述べ合ってともに考え、よりよい町のあり方を模索し、実現することにあると考えております。

こうした考えによりまして、区はこれまで、八潮地区におきまして、連合自治会や区政協力委員会の会議で区の考えを詳しくご説明し、また住民の皆さんの意見に耳を傾けてまいりました。

住民の皆さんも区の考えを真摯に聞いてくださり、建設的な発言も多々ございました。また、私自身もタウンミーティングを通して、八潮の皆さんのお声を直接お聞きいたしました。

今後も必要な支援をさせていただきながら、これまで築いてまいりましたこうした信頼関係を大切にしてまいりたいと考えております。

その他の質問につきましては、各事業部長よりお答えさせていただきます。

区民生活事業部長(田中実君)

私からは、住民税に関するご質問にお答えいたします。

まず、区民からの問い合わせですが、納税通知書の発送以来、一般の税相談を含め、先週末までに窓口には約1,800名、電話では4,850件の問い合わせがありました。前年に比べ2割程度ふえているとの感触を持っております。

内容としては、ほとんどが税額の増に対する問い合わせであり、通知書の金額を見て内容をもう少し説明してほしいといったものでした。

次に、2007年度、定率減税廃止に伴い税額がふえた区民の人数・割合ですが、約18万9,000人、納税義務者全体の約97%となっております。定率減税廃止ということですので、所得割のある方は全員が対象となるものです。

増収額については、2006年度は約11億2,700万円の増、2007年度は約12億6,000万円の増となっております。

次に、19年の所得が18年の所得より大幅に減少した方に対する救済措置ですが、19年の所得が確定したときに決まるので、現時点で人数を把握することはできません。

なお、経過措置がとられる平成20年7月にあわせ、税のお知らせ等を通して周知してまいります。

次に、定率減税については、景気回復に伴い減税措置が廃止されたものと認識しております。

なお、法人税を含む税制のあり方については国において議論すべきことと考えております。

次に、控除制度の拡人についてのご質問ですが、これまでの重度の要介護者に加え、中度の方につきましても一定程度認定するようにしております。

なお、各種控除の制度については、「特別区民税・都民税申告の手引き」でお知らせするはか、ホームペ」一ジやパンフレット等で周知に努めてまいります。

次に、年金についてのご質問にお答えいたします。

年金は、高齢期の生活の安心を支える大変重要な制度であります。

しかし、今日、年金記録の管理の不備が社会問題化し、区民の皆様が不安を感じておられることは当然であり、一日も早い解決を望むところです。

1点目の質問の責任についてですが、国民年金は国が保険者です。したがいまして、この間題全体の解決は国の責任においてなされるべきものと考えております。

区といたしましても、国の問題解決の努力にできる限り協力する考えです。同時に、国民年金課長会等を通して、区民不安解消のため、迅速で正確な対応を求めてまいります。

2点目の基礎年金番号導入時の広報等についてですが、制度開始前に2回、発足後も広報しながわで周知しております。基礎年金番号導入は、社会保険庁が実施したもので、年金加入者に基礎年金番号をお知らせするとともに、複数の年金手帳をお持ちの方に統合のために照会したものです。対象者等の実績は確認できておりません。

次に、当時の社会保険庁の取り組みについて区の考えはとのお尋ねですが、国の責任において実施したものでありますが、新聞報道等を読む限り、反省すべき点もあったのではないかと感じております。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

私からは、高齢者の医療費無料制度についてお答えいたします。

初めに、高齢者の医療費無料化の復活を国・都に働きかけることでございますが、昨年6月に老人保健法が改正され、来年4月から新たに後期高齢者医療制度が創設されることになりました。これは、超高齢社会を迎え、医療費の増大が見込まれる中で、国民皆保険を堅持し、今後も持続可能なものとしていくために、現役・高齢者の各世代間の負担を明確化し、公平でわかりやすい制度としたものであります。施策の整合性の観点からも、制度の趣旨と異なる高齢者の医療費無料化の復活につきましては、国・都に働きかけることは考えておりません。

次に、区として高齢者の医療費無料化を検討することについてですが、今申し上げました理由により、無料化は適当ではないと考えております。

なお、区独自の老人医療費無料化に係る費用につきましては、現在試算をいたしておりません。また70歳から74歳の医療費については、被用者保険等の実績を把握しておりませんが、75歳以上の老人医療費から推計すると、自己負担相当額は、平成18年度の決算額より、約29億4,900万となっております。非課税者分および非課税世帯分の自己負担金については、現有資料では把握が困難です。

次に、千代田区で実施している入院助成の導入に関するお尋ねでございますが、千代田区では、本年4月から後期高齢者の入院中の日用品類などの医療保険外費用の助成を行っていると聞いております。

区といたしましては、自己負担限度額制度など一定の低所得者対策が用意されておりますので、入院助成の導入については考えておりません。

次に、高齢者の受診抑制を区は認識しているかについてでございますが、平成18年度の老人医療費は、前年に比べ約20億円減の251億円余となり、また1人当たり医療費が前年比で約1万4,000円減の79万T,000円余となりました。これは、昨年10月から現役並み所得高齢者の2から3割への自己負担割合の変更等が受診抑制につながって医療費が減になったというよりは、むしろ高齢者の平均受給者数が前年に比べ約2,000人弱の3万1,750人だったこと、暖冬によりインフルエンザの発生が少なかったため医療費が少なく済んだということが影響したと考えられ、問題となるような受診抑制が発生したとは認識しておりません。


再質問

南恵子君

それぞれ答弁ありがとうございました。自席より幾つか再質問させていただきたいと思います。

まず、今の高齢者の医療費助成制度の創設の問題でありますけれども、高齢者の今生活実態を品川区はどのように認識しておられるのかということ、伺いたいと思います。

受診抑制がされていないということですけれども、医師会のホームページを見てみると、医師会の方々も、高齢者は、疾病の発症率とか、受診率、医療費が急速に高まって非常に大変だと。公費負担を中心に賄うべきだ。こういうふうな見解をホームページでも明らかにしているという、こういう状況をやっぱり私は心強く思うわけですけれども、本当に後期高齢者の医療費が今度新しく創設されていくわけですけども、そこだけでも平均で6,200円、所得によっても保険料額が違いますけれども、低所得の方々にも一定程度の配慮はあると言っておりますけれども、それでもかなり負担になってきますし、また住民税増税の影響も、生活に与えるダメし一ジというのは大きくて、今まで非課税だった方が課税されて税金を払わなくちゃいけないという、こういう現状もあるわけですね。一緒に同じ時期にこういう実態が来ているというところで高齢者の生活が直撃されているという、こういう状況がありますので、その点でやっぱりもっと暮らしと命を守るという、こういう立場で品川区は、特に高齢者の方々の命を守るという点で、温かく施策を提供できるようにしていくべきだというふうに思うわけです。したがって、医師会との見解も違う――受診抑制が起きていないというところについては明白に違いますし、高齢者の方々の生活実態をまずどのようにとらえているのかということを私はちょっと伺っておきたいというふうに思います。

それから、住民税のところですけれども、住民税のところは増税になった方たちが区民の97%だという、こういう数字の実態があるわけですね。ここの点について、国に必要な意見を述べていくということは、国の問題だから議論はしないという、そういう姿勢であってはならないというふうに思いますので、必要な発言というのはやっぱりするべきだというふうに思うんです。その必要な発言というのはどういう角度かというと、やっぱり区民の暮らし、命を守るという、この点に立って必要な発言が何なのかというところでやっていくべきだというふうに思いますので、この点はしっかり申し伝えておきたいと思います。

それと、各種の制度についてなんですけれども、介護の度合いの中度も対象にという、そういう答弁でありましたけれども、中度というのはどの程度のところを中度として持っておられるのか。軽度・中度というふうに私は申し上げたんですけれども、じやあ、軽度の方々は対象には全然考えていないのか、ちょっとそこのところを改めて確認をしておきたいと思います。そして、ぜひいわゆる人の援助を必要とする、そういう高齢者ですから、やっぱり障害者と準じると、そういう角度でとらえていくことが大事なんじやないかなというふうに思いますので、ぜひとも中度に限らず、軽度の方々も加えていただきたいと思いますけども、その範囲をもう一度再確認させていただきたいと思います。

それと、あと、年金の部分ですが、品川区が当時収納事務を行っていたときに、反省するべき点はあったんじやないかという、そういう答弁がありましたけれども、私は具体的にどういうふうなことだったのかということをちょっと知りたかったなと思ったんですけれども、ぜひそれはそれとしてお答えをいただきたいと。それから反省するべき点はあったと言いながら、じやあ、その当日は必要な発言というのは国に対してなぜ行わなかったのかということ、そこについても考え方を伺いたいと思います。

それから、最後に、八潮の関係ですけれども、区長さん、それは言われるまでもなくということで、住民の意思を尊重していくという、そういう考え方は示していただけたんだろうと私は思ったんですけれども、しかし、そうであるならば、区の方があれこれという具体的な提案をされるんじゃなくて、活性化についてどういうふうにやっていきましょうか、皆さんどう思いますかという、そういう提案にとどまって、みんなの意見を醸し出すような、そういう支援というのが必要なのであって、私も先ほど紹介いたしましたように、区がいろいろと提案された中身は、割と具体的な提案になっているわけですね。

ですから、そうなると、一定程度その範囲のものでしか議論されていかないということになっちゃったら、これは将来的にも長いスパンで見たときのまちづくりの本当にこれでよかったのかという禍根を残すことになっちゃうといけませんので、その辺のちょっと仕切りのところを改めて確認しておきたいと思います。

以上です。


再答弁

漬野 健 区長

八潮のまちづくりの問題であります。

一般的にまちづくりというのは、議員お話のように、町の中でさまざまに議論されて、その中で成熟していくというものでございます。しかし一方で、その町にはその町の地域特性や制約というものがございます。八潮の町でいえば、一固まりの団地として認定をされているという、そういう制約。そういったものをつまびらかにして、その中でどういうことが可能なのかというのを行政側として一定見解を示すというのは、これは行政としての責任だろうというふうに思います。何もなしに、さあ、皆さん、考えてください。考えた結果がそれらの制約と大きく矛盾をするようなものであれば、それは地域の方々がせっかく考えたことが実現しないというわけでありますから、一定の制約、大きな枠組みというものについてはお示しをするのが私どもの責任だというふうに思っておりますし。

以上です。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

高齢者の医療費無料化に関する再質問でございます。

まず、高齢者の生活実態をどうとらえているかというお尋ねでございますけれども、個々的に見ればさまざまな状況の方がおられるというふうには思います。ただ、国の生活実態調査というのがございますけれども、その中で見ますと、高齢世帯の世帯当たりの年間所得とそれから30代の年間所得は大差がないという統計もあらわれているように、必ずしもすべての方が高齢者医療が無料でなければ対応できない状況ということでは決してないというふうに考えてございます。

今回、特に高齢者医療の問題については、既に高齢者の方の医療費が国全体の医療費の中でもう3分の1を超えている状況、そういう中で、やはり世代間の公平ということが非常に重要なテーマになっているというふうに思います。このまま放置いたしますと、国民年金と同じような構造になる。つまり若い人が高齢者の医療費を全部持つような形になってしまう。そういうことが起こりますと、やはり制度の継続的維持可能性というのが損なわれるわけでありますから、一定の制度改革が必要だというふうに認識をしているところであります。

それから、介護保険のいわゆる障害者控除の中度の範囲ということでありますけれども、この問題については、従前から重度の要介護4・5の方については、特別障害者控除という形で認定をしておりました。今回、中度ということで、要介護3の方について、一般の障害者控除の対象にするということで準備をしているところでございます。

税金の控除ということでありますので、いわゆる障害手帳をお持ちでない方についてもそういう対応をするという点では、多くの方のご理解がいただける範囲ということで、軽度についてはやはり対象にはするべきではないというふうに考えているところでございます。

区民生活事業部長(田中実君)

国の税の政策について、自治体がどういうような形で対応すべきかということでのご質問かと思います。

国の財政政策上、特にマクロ経済をそれぞれの景気局面の中でどんな税制策をとるのかというところは、国の財政政策の範囲だと思っています。投資拡大のための企業減税を国が選択する場合もありますし、消費拡大のための所得減税を国が選択する場合があります。この部分について、国の責任と役割の範囲というふうに考えておりますので、この部分について自治体として発言していくというノウハウも、それから責任というところもとれないところだというふうに考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。


再々質問

南 恵子 区議

それぞれありがとうございます。

今の税のところですけれども、反省点はあったということで、収納事務をするときにさまざま国のやつていることに対してかわって自治体がやると。そのときの仕組みの問題だとか、そういう部分で、実際事務をやっているときに、いろんな矛盾点、問題点が出た、そういう部分について必要な発言というのはやっぱり私はやっていくべきだというふうに思うんですよね。そういう点について伺ったつもりだったんですけれども、ちょっと答弁が予定していたことと違ったので、改めてそこは、必要な発言というのはしっかりやるべきだと、そういうふうに思いますので、あわせて申し上げておきたいと思います。

それから、住民税のところの軽度の方についてですけれども、軽度は対象にすべきではないというふうなお話でしたけども、軽度の方であっても障害に準ずるということで、厚生労働省の通達が税の仕組みで差別があってはいけないという、そういう趣旨の通達をしていると。ここの点にかんがみたときに、品川区の独自の判断で対象にするべきではないということじゃなくて、やっぱりきちんとした不利益を受けないような、そういう対策というのをしていくべきじゃないかというふうに思いますので、これは改めて強く求めておきたいというふうに思います。

それから、医療の部分ですけれども、高齢者の生活実態の認識の再答弁をいただいたわけですけれども、私は、自治体の役割というのは、それはすべての方々に一定程度の同じサービスを提供するのはあってしかるべきだと思いますけど、私がこの質問で求めているのは、所得の少ない方々、こういう国の悪政の中で非常に生活への負担がふえてきて、そして命も暮らしも守っていけないと。こういう時代になったときに、じやあ、自治体としてはどこを支えていこうかという、そういう選択の範囲をある程度きちんと決めて、低所得者の方々、自分で自立がなかなか、していきたいと思うけれども、し切れていかないそういう方々に絞って、こういう対策、政策をとっていくということが必要なんじやないかと。

私の質問の趣旨はそういうことなので、ぜひとも一般論にしないで、所得の弱い社会的弱者の方々をどう救おうかという、自治体の責任としてそういう角度でやっぱりとらえていくべきだというふうに思うわけです。最後にここの点については1点だけ質問させていただいて、終わりたいと思います。


再々答弁

区民生活事業部長(田中 実 君)

質問の趣旨を間違いまして、申しわけありません。

区としましては、基礎年金番号導入の区の事務について反省すべきところがあったというわけではありませんので、新聞報道等で読む限り、社会保険庁の方に反省すべき点があったのではないかというふうに考えているというところを答弁したところですので、ご理解いただきたいと思います。

なお、国の責任で処理すべきものでありますので、区として特段国に申し入れをするというような考えはありません。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

高齢者医療費無料化にかかわります高齢者の方の生活実態という件でございますけれども、先ほど申し上げましたように、高齢者の生活実態という点ではさまざまな方がおられる。これは当然でございまして、そういう中で、現在の制度では自己負担限度額という制度が設けられております。低所得者1・2の方で外来月8,000円と、このような形で配慮をされておりますので、こういう制度の中で基本的に対応すべきだというふうに考えてございます。

議長(伊藤昌宏君)

以上で、南恵子君の質問を終わります。

以上

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