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なかつか亮区議 07年第2回定例会「ネットカフェ難民」「都営住宅」「特養ホーム」「憲法」

2007.06.22 なかつか 亮 区議

一般質問項目

  1. 新たな貧困「ネットカフェ難民」の実態調査と緊急対策を
  2. 大井林町・第2大井伊藤町の都営住宅は区移管で存続を
  3. 原小学校跡は高額なケアホームではなく特養ホームを
  4. 戦争する国づくりをめざす9条改憲はやめよ

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一般質問

日本共産党品川区議団を代表し一般質問を行ないます。


はじめは「新たな貧困「ネットカフェ難民」の実態調査と緊急対策を」についてです。

いま、アパートを借りられず、インターネットカフェで生活する「ネットカフェ難民」が増え、社会問題化しています。

今年1月末、日本テレビで「ネットカフェ難民、漂流する貧困者たち」が放映され、ネットカフェでの生活が一年を越す18歳女性が紹介されました。

手持ちのお金が少なく、現金当日払いの仕事でなければ、食事もできない。シャワーもお金がかかるので三日に一度。夜はネットカフェのソファーに丸まったまま寝る。仕事は日雇い派遣。派遣会社では、名前ではなく番号で管理。仕事の指示は携帯電話のメール。迎えのワゴン車で、毎日違う現場に連れて行かれ、職場では、名前ではなく「おい」と呼ばれる。交通費も、深夜手当も、社会保険もない働き方が繰り返されます。

私は「人間らしい生活が奪われ、人をモノのように扱い、使い捨てる」、こうした状況を、人間の尊厳にかけて、見過ごす事はできません。「なぜ、こうした生活に陥ってしまったのか」「なぜ、抜け出す事ができないのか」など、実態調査、生活再建への支援策を実施すべきだと思います。

そもそも、ネットカフェとは、漫画喫茶とも呼ばれ、本来は、漫画やインターネットを楽しむ所です。区内には、確認できたものだけで22店舗あり、その多くに、一晩1千円程度の6時間ナイトパック料金があります。

私は、大井町駅周辺のネットカフェを体験してみました。完全個室とありますが、オフィスビルのフロアーに、簡単な間仕切りがあるだけ。畳一畳ほどの所にパソコンと椅子があります。

夜11時過ぎに入店した50代男性は「毎晩10人前後の人が寝泊りしている。若い人も半分ぐらい。自分はリストラされ、社員寮を追い出された。ここで節約し、金を貯め、アパートを借りたいが、見通しは暗い」と話します。

また、大森駅前で、早朝、ネットカフェから出てきた、30代男性は「つい3日間前に、住込みの会社をクビにされ、今のねぐらはネットカフェです。仕事を見つけても、住所がないことがわかると断られる。食費を稼ぐために、日雇い派遣に登録したが、今日もまだ、仕事の連絡はありません」と話します。

話しをする中で、感じたことは、一見、どこにでもいる仕事帰りの真面目な人たち。しかし、泊まる家はなく、アパートを借りるために、どんなに出費を押さえても、食費を、稼ぐのがやっとの状態。それは、抜け出す事のできない「あり地獄」のような生活です。私は、出口のみえない貧困で苦しむ状況に、胸が痛くなりました。

こうした、新しい貧困は、自己責任が問われる問題ではありません。低賃金で不安定な非正規雇用の増大が、構造的に作りだしているのです。貧困の責任は、目先の利潤追求のために、コスト削減を進める大企業や、労働法制の規制緩和を進めてきた政府にあります。労働者派遣事業の原則自由化など、正社員から非正規雇用への流れ作った、自・公内閣と民主党の責任は極めて重大です。

以下質問します。

  1. 新たな貧困「ネットカフェ難民」の実態調査や支援策が急がれていると思いますが、区の認識をお聞かせ下さい。
  2. 若者の安定した仕事確保に向け、新たな支援策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。区としても、高齢者の就業支援「サポート品川」の仕組みを参考に、若年層の就業支援を始めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
  3. ネットカフェで暮らしている方が、生活再建に向け、アパートを借りる事ができる支援策や、若者がこうした生活に陥らないように、家賃や更新料などの助成制度が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  4. 貧困からの脱出は、当然、複合的な支援が不可欠です。国や都に、生活支援つきの職業訓練や正規雇用拡大に向け法改正や労働行政の充実を強く求めるべきと思いますがいかがでしょうか。

続いて「大井林町・第2大井伊藤町の都営住宅は区移管で存続を」についてです。

今年5月始め、東京都は大井林町アパート72戸、ならびに第2大井伊藤町アパート40戸の両団地を廃止すると住民に通告。東京都は11月までに、港区港南または新宿区百人町へ転居するよう、一方的に居住者に求めています。

突然の通告に、住民からは、数々の不安が挙がりました。

ある方は「心臓病でステントを入れています。転居しろといわれても準備に体を動かすことも出来ません」と話します。84歳になる女性は「できるならここで暮らしていきたいです。足が悪いので病院に通うことが出来なくなってしまう。不安で4キロもやせてしまいました。」と語っていました。

さらに移転先で、家賃が値上がりする問題もあります。

Aさんは月額10万円の年金で暮らしています。現在の家賃は50%減額を受け7200円。移転先では50%減額を受けても11550円と、毎月の家賃は4350円も上がりします。年金から医療費と社会保障を支払えば、手元に残る生活費はわずか。100円、200円を計画的に使わざるをえない高齢者にとって、月4千円をこえる家賃値上げは、耐え難い負担です。

112戸もの住宅を廃止する考え方にも大きな問題があります。

いま、公営住宅では、高齢者世帯が多数を占め、自治会も大きな困難を抱えています。それでも、安い家賃を求めて入居希望者は増え続け、住居に困っている人も、入居できないのが現実。数百倍の応募倍率もめずらしくありません。

廃止が通告された両団地112戸は、一年分の募集数をも越える戸数です。ますます、入所が困難になることは明らかではないでしょうか。

両団地の敷地面積を見る限り、建て替えによる戸数増加は可能。専門家に聞いたところ「1DK34m2の単身用とするならば、少なくとも大井林町72戸を116戸に、第2大井伊藤町40戸を64戸に、建て替えによる増設は可能ではないのか」と話していました。今こそ、廃止ではなく、建て替え、増設こそ進めるべきです。

1950年に制定された公営住宅法は、幅広い国民を対象とした住宅の供給を目指していました。現状のように公共住宅の供給を「セーフティネット」対策に矮小化すれば、救貧対策のみとなり、国民の居住を保障することにはなりません。そもそも日本では、公共住宅に住んでいるのは人口の約7%弱にすぎません。しかし、ヨーロッパでは、20%から30%の世帯が社会住宅と呼ばれる公共住宅に住んでいます。それは、国民に住まいを提供することは、国の責任として位置づけているからです。貧困と格差が広がる中、公共住宅の役割は、ますます大きくなっています。

東京都に、区移管について聞いたところ「2000年度の都区合意によって、100戸未満の都営住宅は、区が移管を受けるか、それとも廃止するかは、区の判断。現在でも、区移管を受けるなら、土地の無償提供、建築費用への補助が使えます」とし、「区の建設費負担は、各補助の活用で25%。住宅の管理や修繕などの費用は、20年間の使用料収入でまかなう事が可能。10年間の家賃対策補助を活用すれば、区の負担はさらに少なくなる」と話します。

つまり、問われているのは品川区の、公営住宅の増設を進めるのか、どうかの姿勢なのです。以下、質問します。

  1. 区内での移転を望む住民には、どのような対応をするのか、お聞かせください。また、本人希望による転居ではない以上、現行家賃を継続すべきものと思いますがいかがでしょうか。
  2. 廃止ではなく、建て替えを基本とするよう、東京都に申し入れるべきと思いますが、いかがでしょうか。
  3. 区営住宅の建築費用は、各補助を活用すれば区の負担は25%です。移管制度を活用し、区営住宅の建設を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。
  4. 両アパートにおいて、単身者用の部屋として、立て替えを、実施した場合、いくつの部屋が建設可能なのか、お知らせ下さい。

続いて「原小学校跡は高額なケアホームではなく特養ホームを」についてです。

わが党は、これまでも繰り返し、区民の切実な願いである特養ホームの増設を提案。しかし、品川区は、これを拒否。1ケ月20〜30万円もする介護施設「ケアホーム」を進めています。国民年金の6ヶ月分にも相当するケアホームの月額利用料では、庶民には、手が届きません。改めて、特養ホームの増設を求め質問します。

特養ホームへの入所を待っているAさんは現在、88歳要介護5。脳梗塞で入院し、現在治療を終え、病院からは「退院をしてほしい」とお願いされています。夫婦2人で自営業を営む家では、寝たきりの母を、介護するのは難しく、悩んだ末に、昨年末に、特養ホームの申し込みを行いました。

しかし、品川区から「今は入れません」とのお知らせ。家族は「88の母は、病院で寝たきり状態なのになぜ」と納得できず、役所に問い合わせ、区は「90歳になれば、入れるかもしれない」と説明。家族は愕然としました。

品川区では、このような方ですら、入所ができないほど、特養ホームが足りないのです。

私は、原小学校跡の介護施設は、ケアホームではなく、特養ホームこそ作るべきだと思います。理由を3点述べます。

1点目は待機者数です。

特養ホームの待機者数は区内希望で約450名。区内入所は年100人ほどですから、今後の増設計画がない、現在では、多くの方が、入所は数年待ちという状態が続いています。

一方、ケアホームの待機者数は約30名ですが、今後の計画では、都南病院跡に定員29人、原小跡に定員40人が増設されるのです。

しかも、一ヶ所目の西五反田ケアホームは、入所希望が少なく、3回も募集を実施。特養では入所対象にすらならない、要支援の方も入所を認め、定員を満たした状態でした。待機者の実態、今後の増設計画を見るならば、特養ホーム増設の必要性は明らかだと思います。

2点目は利用料です。

特養ホームとケアホームの決定的な違いは利用料です。特養ホームの利用料は、所得によって定める介護保険料の区分段階に応じて決まります。介護保険法の改悪によって食費やホテルコストが新たに自己負担となりましたが、それでも、要介護4・区分段階2で、月6万5千円ほどです。

しかし、ケアホームは、所得に関係なく、西五反田ケアホームの場合、要介護4で月28万円ほどです。

つまり、ケアホームは、始めから、所得の少ない方や、国民年金の方は入所対象にはしていないのです。

原小跡のケアホームについて、区は、厚生委員会で「大体16万円から20万円に」と説明。これを聞いた、ある商店主は「16万円だろうと20万円だろうと、どちらにしても払えない」と怒っていました。ある町会役員の方は「ピンピンコロリンでもない限り、ホームは、だれだってお世話になるかもしれない。20万なんて、入れやしない施設を作ってどうするのか。結局、貧乏人は我慢しろということか」と話していました。こうした声があがるのも当然です。

3点目は、「ケアホームは作るが、特養ホームはつくらない」という品川区の姿勢です。

品川区が、特養ホームを建設しなかった7年間、特養ホームのベット数は、品川区と目黒区を除く21区で、合計5,559床が増設されました。

いまや、品川区は、高齢者人口と特養ホームベット数を比較した整備率は、23区で20位と、特養ホームは最低レベルです。区として、ケアホームを作っている自治体は品川区のみですから、「ケアホームは作るが特養ホームはつくらない」との福祉は、23区で品川区のみ。極めて特異な福祉施策といえます。

地方自治体が、高齢者の老後の暮らしに、格差を持ち込み、固定化させる。こうした姿勢は間違っています。以下、質問します。

  1. なぜ、品川区は、特養ホームではなくケアホームの建設を優先するのでしょうか。地域からは「お金持ちは支援するが、貧乏人は死ぬまで我慢しろということか」との意見も上がっています。こうした声を、区はどうお考えになりますか。お聞かせ下さい。
  2. ケアホームに、国民年金の方や所得の少ない人でも入れるよう、所得に応じた利用料設定や、利用料の助成制度を創設すべきと思いますがいかがでしょうか。
  3. 第4次長期計画に特養ホーム増設計画を盛り込み、23区で最低レベルの特養ホーム整備率を、改善させるべきと思いますがいかかでしょうか。

最後に「戦争する国づくりをめざす9条改憲はやめよ」についてです。

戦後初めて、任期中に憲法改憲を宣言した、安倍自公内閣が発足。国民多数の声を無視し、国民投票法を強行採決。自民党は、3年後にも「改憲の発議」と言い出すなど、憲法改憲をめぐる動きは、重要な局面を迎えています。

改憲の狙いは、日本をアメリカと一緒に海外で戦争する国に変えること。

こうした道に、希望ある未来は、決してありません。

国連憲章や世界中の「戦争反対」の声を無視し、開戦したイラク戦争は、いまや泥沼化。戦争を始めたアメリカは、国内はもとより、国際的孤立を深めています。

一方、平和を願う世界の共同の流れは、力強く前進。「武力による威嚇又は武力の行使の放棄」と明記した「東南アジア友好協力条約」は、締結から30年経て、日本を含め、世界の22カ国に拡大。いまやヨーロッパからフランスも参加するなど、世界の人口の54%、過半数を超えました。

私は、憲法9条こそ、私たちの歩む道だと確信します。

安倍内閣がすすめる「改憲」の恐ろしさは、「美しい国」と描く、日本の姿に表れています。安倍内閣の閣僚のうち、18人中15人が、日本が過去にやったアジア侵略の戦争を「自存自衛」と「アジア解放」の戦争だったとする「日本会議国会議員懇談会」などの、「靖国派」が独占。戦後初めての事態です。

この「靖国派」の旗頭である、「日本会議」は「美しい日本の再建」を掲げ、発表した「新憲法大綱案」では、「天皇の元首化」や、国の交戦権の否定を定めた憲法9条第2項を削除、国民に「国防の責務」を明記しています。

つまり、「美しい日本の再建」とは、あの戦争をやった日本の国と、その社会を「美しい国」と呼び、亡霊を、よみがえらせようと、するものです。

天皇を頂点に、子ども達や一般国民は「教育勅語」で統一。職場も家庭も「オトコ社会」で統制。それが日本という国の美しい伝統と主張し、夫婦別姓や男女共同参画社会基本法を敵視し、攻撃の対象とするほど徹底しています。

私は、平和を願う、世界の流れに逆行する、九条改憲はやめるべきだと思います。

そこで質問します。

  1. 安倍首相は、任期中の憲法改正を公言。2010年までに改憲を発議するとしています。改めて、区長は、憲法、とりわけ9条改憲に賛成なのか、反対なのか。率直な見解をお示しください。
  2. 改憲派は、太平洋戦争を「自存自衛」「アジア解放」の「正義の戦争」だったと主張しています。区長は、この戦争を侵略戦争と認識しているのか、どうか。お答えください。
  3. 改憲は、9条改憲とともに、「美しい日本の再建」を唱え、天皇の元首化、男女の平等や女性差別撤廃の否定など、戦前の軍国主義体制の復活を目指しています。こうした動きを、どうお考えになりますか。お聞かせ下さい。

答弁

区長(濱野健君)

私からは、憲法改正に関するご質問にお答え申し上げます。

本年5月3日に日本国憲法施行60周年を迎え、国政の場で憲法についてさまざまな議論がなされております。また、今国会において日本国憲法の改正手続に関する法律が審議の上可決され、公布されたところでございます。およそ日本国憲法に関する議論は、国政の場においてなされるべきであると考えておりますので、区長としての見解は差し控えさせていただきます。

次に、さきの大戦に関してのお尋ねですが、平成7年8月の村山内閣総理大臣談話を原則といたしまして、二度とこのような戦争を繰り返さないために、区といたしましても「非核平和都市品川宣言」のもと、種々の平和事業や国際交流事業に取り組み、世界の恒久平和の実現に向け努力しているところでございます。

最後に、改憲に関するさまざまな動きについての見解とのことですが、先ほども述べましたとおり、憲法についてさまざまな議論がなされており、そのうちの1つの考え方であると認識をしているものでございます」

その他の質問につきましては、各事業部長よりお答えさせていただきます。

企画部長(福田法光君)

いわゆるネットカフェ難民についてお答えいたします。

初めに、実態調査と支援策についてでございますが、ネットカフェ難民と呼ばれる人たちが増加していると言われる背景には、雇用や年金をめぐるさまざまな動向が指摘されているところでございますが、これらは我が国の社会経済のあり方全体に深くかかわる問題であることを考えますと、ご指摘のとおり、国の責任において対応すべき課題であると考えております。実態調査につきましては、厚生労働省が本年度中の実施を目途に準備中と承知しております。

次に、区による若年者への就業支援についてでございますが、平成17年度にフリーターの就職支援としてキャリア支援塾を、また、18年度からはハローワークや東康しごとセンター、都立産業技術高等専門学校などと連携して、若年労働者相談支援事業を実施してまいりました。こうした支援につきましては広域的な対応が有効なこと、また、最近、国や都におきまして、若年者専用の窓口や支援プログラムが設けられるなどの対策が着実に進められてきていることから、当面、これらとの緊密な連携協力を図ってまいりたいと考えております。

続いて、家賃や更新料などの助成制度でございますが、いわゆるネットカフェ難民の大半が定住する住居を持っていない以上、広域的な観点からの対応が不可欠でございますので、さきに申し上げましたとおり、基本的には国の責任において対応すべき課題であると考えております。

最後に、国や都への働きかけでございますが、最近の景気回復に伴いまして、雇用情勢は全般に改善が進みつつあります。若年者の状況には依然として厳しさが残っておりますが、国が一昨年から推進しておりますフリーターの常用雇用化プランも一定の成果が上がっているとの報告もございます。国や都は、今後とも職業能力開発や就業促進に向けた取り組みを進めていく方針を掲げておりますので、その動向を注視してまいりたいと考えております。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

私からは、都営住宅に関するご提案にお答え申し上げます。

入居者のうち、区内移転を希望する方への対応と、都営住宅を建てかえるよう東京都に申し入れをとのご提案でございますが、東京都は昭和30年代に建設された都営住宅の改築を進めており、このうち、敷地が狭小で建てかえが困難な住宅は廃止し、入居者は他の大規模団地に転居していただくことを基本方針としております。当該の団地も郡はそのように対応しているものと認識しております。

なお、公営住宅の賃料は、入居者の収入のほか、エレべ−ターの有無、立地条件などの便益性を付加して客観的に算定されるもので、公営住宅の性格上、引き続き低廉な家賃で入居が継続できるものでございます。

次に、区営住宅を建設すべきとのご提案でございますが、現在、区内には4,000戸を超える公営住宅が存在しており、近隣区と比較しても遜色のない住宅ストックが確保されております。また、区内の地価水準が我が国でも有数の高さにある地域特性から、積極的に区営住宅を建設する考えはございません。

最後に、廃止される都営住宅に単身用の住宅を建てかえた場合の戸数はとのご質問ですが、お尋ねの土地は都有地であり、区が正確な戸数を算出し、ご答弁する立場にはございませんので、ご理解のほどお願いいたします。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

私からは、特別養護老人ホームとケアホームに関するご質問にお答えいたします。

まず、なぜ区は特別養護老人ホームではなく、ケアホームの建設を優先するのかというお尋ねでございますが、品川区の高齢者介護の考え方は、在宅生活を可能な限り追求し、その継続が困難な場合は施設入所の見通しが立つということを基本としております。そのために必要な特別養護老人ホームをはじめとする施設サービス基盤も確保しているところでございます。

この結果、区内の特別養護老人ホームには年間約120名の方が入所されているほか、広域施設という点から、区外も含めますと約980人の区民が入所されている状況から、必要度の高い方は比較的早く入所できているものと考えております。特別養護老人ホームの整備は現在個室が基本となっているところですが、個室の場合、現行の介護報酬と利用料に関する基準では、良質なサービスの提供には難しさがあり、健全な施設経営に懸念が及ぶなどの問題点があるところです。

区といたしましては、こうした点を踏まえ、より柔軟な運営が可能な手法として、独自にこれまでケアハウス制度と介護保険の特定施設制度を組み合わせ、質の高いサービスが提供できる施設としてケアホ一ムを整備してきたところです。 このため、原小学校跡施設につきましても、新たに高齢者向け優良賃貸住宅制度を活用したケアホームを整備する方針で、議会や地域の方々にも説明をさせていただき、基本的なご理解をいただいていると考えております。

次に、ケアホームに所得に応じた利用料設定や利用料の助成制度を創設すべきとのお尋ねでございますが、利用料につきましては、国の交付金、都の補助金の活用と区の整備費補助を基本に、低廉な利用料設定を検討しているところでございます。

最後に、第4次長期計画に特別養護老人ホーム増設計画を盛り込み、整備率を改善すべきとのお尋ねでございますが、さきに申し上げました点などから、特別養護老人ホームの増設には現行制度上問題が多いと考えております。長期計画の策定に当たりましては、これまでの成果を十分に検証しながら、長期的な視点でこれからの入居・入所系施設のあり方を幅広く検討してまいります。


再質問

中塚亮君

自席より再質問させていただきたいと思います。それぞれ答弁をいただきました。

まず、ネットカフェ難民について伺いたいと思います。先ほど答弁の−番初めの方に、増加していると言われるというふうに私には聞こえたと思うんですけれども、まず伺いたかったのは、品川区内でいわゆるインターネットカフェで生活をせざるを得ない方が生まれていること自体、まず品川区は把握をしていないということなんでしょうか。私は改めて実態調査を行う必要がそこにあるのではないかと思っております。そもそも畳1畳ほどのスペースで座ったまま寝る。その仕事といっても、派遣、日雇い派遣という、1週間に何日仕事があるかどうかもわからない。あしたの希望すら失いかけている方々が生まれている中、こうした暮らしが望ましい姿だとお思いなのか。こうした仕事の仕方が望ましい仕事の形だと思っているのか。そこをお聞かせいただきたいと思います。

原小学校のケアホし一ムについて伺います。地域の方は理解をされているとお話がありましたけれども、それは全く誤解だと思います。地域の方々が皆話しているのは、20万円なんて入れるわけじやない。そのことを皆さんおっしやつておりました。質問の中で、地域からは「お金持ちは支援するが、貧乏人は死ぬまで我慢しろということなのか」、この声に対してどうお考えになりますかという質問に答弁はありませんでしたので、この点、伺いたいと思います。

それともう1点、そもそもこの良質なサービスを提供とすると、施設経営にゆがみが出ちゃうからケアホし−ムなんだとお話ししますけれども、これはあまりにも後ろ向きな議論だと思います。介護保険制度に何か欠陥があるのであれば、その制度を変えるべきではないでしょうか。そこで伺いたいのは、どこが欠陥なのか。それを正すために国に何か働きかけをしているのか。それを理由につくらないというのであれば、説明していただきたいと思います。

引き続き、都営住宅の区移管についてですけれども、区営住宅に入所を申し込んでもなかなか入ることができない。その様子は高い応募倍率からも推測できると思います。なぜ公共住宅を必要としている人がいる中でこの住宅をつくろうとしないのか。先ほど必要な人は入れているような答弁がありましたけれども、それは実態を把握していないのではないかと思います。

それともう1点、今手を挙げなければ、区移管を受けることはできません。今回の定例会の中でも、区内の貴重な土地の話、いろんな分野から話がありましたけれども、この東京都の都営住宅の区移管を受けるならば、土地は無償提供、さらには建設費の補助25%、その25%の負担も10年間の家賃補助対策を活用すればもっと軽くなる。なぜ区移管の手を挙げないのか。貴重な区内の土地がこのままでは東京都財務局にわたって、民間に流れる可能性すらある。私は区の姿勢を問いたいと思います。

最後に、憲法についてであります。区長の答弁の中で村山談話を原則とする、こういったご発言がありましたけれども、私が質問したのは、あの戦争を侵略戦争と区長が認識をしているのかいないのか、この歴史観です。村山談話の原則というお話はわかりました。区長はあの戦争を侵略戦争と認識しているのかいないのか。問いを変えれば、正しい戦争だと思っているのか、間違った戦争だったと思っているのか、区長の歴史観を説明していただきたいと思います。以上です。


再答弁

区長(濱野健君)

かつて同じような質問が行われまして、そのときも村山総理大臣の談話を原則とするということでお答えをいたしました。村山総理大臣の談話については中塚議員も十分にご承知のことと思います。そういう内容を原則とするということでございます。以上です。

企画部長(福田法光君)

いわゆるネットカフェ難民と言われる方たちの増減に関しまして、区は区内での人数を把握しているのか。こういう再質問でございますが、まずこのネットカフェ難民と申しますのはまだ定義がはっきりしていない、そういう概念でございます。それから、区内に何人いるのか、このことを把握することに問題の本質があるとは私は考えておりません。したがいまして、人数を把握することは困難でありますし、意味がないというふうに思っております。

それから、望ましい姿がどうかということでございますが、これは厚生労働大臣が国会の厚生労働委員会の中で、望ましい労働の形態とは言えないというふうに述べておられます。これは大方の国民だれでもそう思うのではないかというふうに考えております。以上です。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

都営住宅に関する再質問にお答えいたします。

まず都営住宅、あるいは区営住宅への入居希望者が非常に多くいらつしやるということは、当然のことながら区の方も把握しておりますが、私が先ほど答弁させていただきましたのは、いわゆる区の行政施策は幅広くバランスをとって施策を遂行しなければいけません。したがいまして、こういった低所得者の方々への住宅施策というものも、一定程度近隣区との施策のバランスをとりながら進めていくのが常でございます。したがいまして、城南ブロックにおきましても、品川区の区内に存在する区営住宅、あるいは都営住宅の数は他に引けをとらない、バランスよく配置されている状況であるということをお答えしたものでございます。

現在では、先ほどもお答えしましたけれども、いわゆる品川区も都心区の仲間入りをするぐらい土地が高騰しております。こういった高騰をした土地の中で、新たな区営住宅を建設するということは現在非常に困難である、こういうお答えをしたところであります。

それから、東京都がどのような形でこの土地を手だてするかということは、現在のところ、まだ決めかねているところだというふうに私どもは聞いております。東京都は、品川区が手を挙げれば、品川区の方で判断する話だというようなお話でしたが、これは東京都と23区の中で、都営住宅を移管する1つのルールというのは、お互い話し合って決めたものでございます。当住宅については、そのリストにはもともとなかったところであります。したがいまして、ここの現在入居されている方のケア、十分な対応をするのは当然でございますが、その責任は東京都にありますから、東京都がきちっと対応してもらうように、私どももきちっと要望はしております。それから、東京都がこの土地をどのように処分されるかについては、現在、東京都は検討中ということでございますので、ご理解をお願いします。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

特別養護老人ホームおよびケアホームに関する再質問にお答えいたします。

まず、生活が厳しい方々に対しての施設整備について基本的な考え方を問うということだと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、特別養護老人ホームというのはかなり広域的な施設ですから、今入っている方は980人の方がおられます。区内のストックという点では572という数が整備されている。その中で、例えば在宅の方で要介護3、4、5の身体レベルにある方につきましては、年間90人ぐらいの方がおられますけれども、年間120人ぐらいの方が入っておられますので、一定の対応ができているというふうに考えているわけであります。

新型特養についてはやはり課題といいますか、問題があると思っておりまして、そういう点で特別養護老人ホームの言ってみれば品川区独自の発展系として、ケアハウスに特定を組み合わせる、あるいは高優賃に特定施設を組み合わせるという手法を品川独自で工夫して進めているということであります。

特にこれからの高齢者、団塊世代も含めまして考えていきますと、いわゆる雇用者で退職する方もふえてまいりますので、収入状況の部分についてもかなり違った状況が生まれてくるだろうと思いますので、やはり施設のバランスということを考えると、今後、住宅系の施設について言うと、比率で申し上げますと1対4ぐらいの数字になっているかと思います。そういう点では、現在進めている考え方というのは私どもの方の基本的な考えとしてふさわしい、正しいものだというふうに考えているところでございます。


再々質問

中塚亮君

再々質問ですので、端的にお伺いしたいと思います。

まずネットカフェ難民のことについてですけれども、数の議論はまだ実態調査をしていませんから、正確な人数は出ていない。調査していないから求めているわけですけれども、そうではなくて、今、区内でいわゆるインターネットで生活を余儀なくされている方がいると、そういう実態があることすらまだつかんでいないのでしょうか。それすらつかむ意味はないとおっしやるのでしょうか。私は、そこで暮らしている方々の姿を見ると、人として生きる権利、希望、尊厳が奪われていると。人権問題だと私は感じております。それすら区は何らお考えがないということなのか。改めて伺いたいと思います。

都営住宅についてですけれども、土地の高騰の中で困難だ。だから今手を挙げれば、東京都から区移管が土地に関しては無償でいただける。今、お話の中で移管のリストになかったというお話がありましたけれども、それについて東京都に聞きましたら、それでも区が手を挙げれば、区移管の今の制度は可能です、そんなふうに僕に話してくれました。部長はご存じないのでしょうか。私は、改めてきちんと手を挙げて、区移管、公共住宅をふやすこと、戸数は可能だと思いますので、進めていただきたいと思いますけれども、その点をご答弁いただきたいと思います。

ケアホ−ムについて。質問の中で、88歳、要介護5の方をご紹介いたしました。結局先ほどの部長さんの答弁だと90歳まで待てと。それが一定の対応がされていると、そうおっしやつているのでしょうか。

私は、結局は貧乏人は死ぬまで我慢しろと、そう言っているものに等しいと思います。私が先ほどから聞いているのは、「お金持ちは支援するが、貧乏人は死ぬまで我慢しろということなのか」と、この声に対してどう考えているのか、この声に対する区の考えを、そこを示していただきたいと思います。

最後に、憲法について区長に一言確認させてください。結局区長は、あの戦争を侵略戦争と認識していると私は理解してよろしいのでしょうか。そこだけ1点、確認させていただきたいと思います。

以上です。


再々答弁

区長(漬野健君)

先ほどもご答弁いたしました。かつてこれは内閣総理大臣が談話を発表いたしました。その談話を引用して、当時の高橋区長がご答弁を申し上げました。その考え方と変わっておりません。

以上です。

企画部長(福田法光君)

いわゆるネットカフェ難民と呼ばれる方たちが区内におられるのかどうか、それさえ把握していないのか、それにも意味はないのか、こういうようなご指摘のご質問でございますが、およそ把握をし、調査をすると申しますのは、これは手段でございまして、何らかの対応をするための手段でございます。目的は対応にございます。先ほど申し上げましたように、これは国の責任において対応すべき課題であるというふうに考えておりますので、国の調査を待ちたいと思っております。

それから、人権云々ということがございましたけれども、これも先ほど申し上げましたが、国会での−連の質疑の中で、厚生労働大臣が望ましい労働の形態とは言えないと、このように述べているところでございます。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

都営住宅の関係でございますけれども、いわゆる東京都から品川区が都営住宅の移管を受けるに当たっての1つの大きな区の方針がございます。それは、公営住宅の広域行政として束京都がずっと引っ張ってきたわけですから、区と東京都が一緒になってこういった公営住宅、いわゆる低所得者の方々の住宅施策を一緒にやっていくということですが、区が移管を受ける場合には、建てかえ時に現施設プラス他の公共施設が入る、いわゆる区側にとってメリットのある住宅については引き受けますと、こういう方針で今まできております。

それと、品川区は、低所得者の方々向けの公営住宅と、品川区の特異な施策としては、いわゆるバブル時の中堅ファミリー層が激減していることに対して、住宅施策として優先度は、中堅ファミリー層が品川区にとどまっていただく対策が非常に重要だということで、23区でも比類のない区民住宅の建設を進めてきたわけでございます。したがって、区民住宅だけでも借上型、建設型をあわせまして、約1,000戸をストックとして現在保有しておりまして、これは23区のトップクラスでございます。

したがって、住宅施策を考えるときには、その時代時代の要請に応じて品川区はきちっと対応してきているわけでございますので、現段階においては、公営住宅についても4,000戸という住宅ストックを近隣区と比較しても見劣りない数のストックを持っているということで、当面、品川区は新たな公営住宅を建設する考えはございません。したがいまして、都からその土地を譲っていただくという考えはございません。

福祉高齢事業部長(木下徹君

特養ホームに関する再質問にお答えいたします。

高齢者福祉は今普遍化というふうに言われておりますように、所得の多寡に関係なく適切なサービス提供ということが基本だと思います。そういう中でも、ご指摘のとおり、生活に厳しい方についての支援というのは、これは私どもも当然のことと考えておりまして、その部分については現在のストックで対応できていると考えております。これからの高齢者増を考えたときに、やはり個室志向だと考えておりまして、その場合には、品川が独自に進めておりますケアホームの方式というのが最良の選択肢ではないかと考えているところでございます。

議長(伊藤昌宏君)

以上で、中塚亮君の質問を終わります。

以上

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