品川区議会の決算特別委員会が10月15日、前年度決算の審議を終了。採決の結果、日本共産党以外の賛成多数で決算を認定しました。なお、日本共産党区議団は一般会計、国民権保健会計、老人保健会計、介護保険会計の決算認定すべてに反対しました。以下、日本共産党区議団みやざき克俊幹事長の意見表明を掲載します。
2007.10.15 日本共産党品川区議団幹事長みやざき克俊
日本共産党区議団を代表して意見表明を行います。
日本共産党区議団は、2006年度の一般会計決算および国民健康保険、老人保健、介護保険の各会計決算の認定に反対します。
先の参院選で国民は格差と貧困を拡大してきた自民・公明政権に「ノー」の審判を下しました。しかし、安倍首相の退陣を受けて就任した福田首相は高齢者医療の負担増計画の一部見直しの発言もありますが、構造改革路線の推進を表明。消費税増税など国民へのいっそうの負担増を押し付けようとしています。こうしたなか、自治体が暮らしを守って奮闘することが強く求められていることを、まず強調したいと思います。
品川区の昨年度決算の問題の第一は、格差と貧困を拡大した構造改革をさらに推し進め、区民負担を増やしてきたことです。
高齢者非課税措置の廃止など年金への増税、定率減税二分の一廃止など庶民への相次ぐ大増税や医療費など負担の引き上げに区民のくらしは限界です。国保料と介護保険料が連動値上げされたうえに、国民健康保険料は昨年度も均等割を1200円値上げしました。低所得者に負担が重くなるもので、「払いたくても払えない」という事態は深刻です。また、老人保健は受診者数、件数とも減っており窓口負担が増やされた影響は明らかです。
まともに医療を受けられない事態は放置できません。子どもたちに続いて医療費負担の軽減を強く求めるものです。
介護保険は、保険料基準額を3300円から3900円に値上げ、税制改定による保険料段階の変更による値上げもありました。ところが、軽度の要介護認定者に対する介護ベッドとりあげ、ヘルパー削減などサービス切捨てで給付は前年比5億円もの削減。介護保険会計の積立は17億円余と、65歳以上の区民一人当たり2万6千円にのぼります。こんなに溜め込んでいるのは23区で他にありません。
品川区には公共施設整備などさまざまな名目で積み立てられた基金は600億円を越えました。昨年一年間だけで150億円も積みましたのであります。
低所得者への負担軽減、経済支援を求める声には耳を貸さず、区民には容赦なく負担を押し付けながら区財政を優先させる区政運営は認められません。
第二は、大規模開発を優先して、福祉と住民要望を後回ししている問題です。 大崎駅周辺などの開発補助金は昨年一年間だけで114億円。大崎駅周辺の開発には計画も含め569億円もの補助金の投入です。しかし、大崎駅東口第3地区開発でも建設されたマンションは最高額1億2000万円。高級マンションへの補助金投入は理解できません。
款別審査のなかで、JR広町アパート地域の開発計画は、結局JR東日本にやる気がないことが明らかになりました。ここに開発計画検討委託費として2800万円も投入。2990万円の検討費用をかけて破綻した大井プレイス構想の「二の舞」です。丸井が撤退するのに、なぜ需要調査も行わず大規模開発を推進するのでしょうか。ムダ遣いの典型と言わなければなりません。
こうした開発より、450人も入所待ちの特養老人ホームや区営住宅の建設こそすすめるべきだと強調したいと思います。住宅の耐震化への目標策定は評価しますが、実効ある計画にするため制度のいっそうの充実を求めるものです。
第三は、区のサービスを民間企業に丸投げする問題です。
耐震偽装事件、JR西日本の列車転覆事故など公共サービスの民間委託のあり方が大問題になるなかで、品川区は学校給食調理代行を23校に導入しました。しかし、ある小学校では給食時間に間に合わない事態が発生、複数の学校では数ヶ月で業者が撤退したのです。多くの子どもたちから給食がまずくなったとの声が聞かれます。民間委託でサービスは良くなるとの区の説明はなんだったのでしょうか。しかも、重大なのは、民間委託の評価制度であるモニタリングを区自身では実施せず、事業者お任せという実態が明らかになったことです。いったい誰が行政サービスに責任を持つのでしょうか。さらに、区は市場化テスト導入も検討していますが、行政の責任放棄と言わなければなりません。
格差と貧困の原因となっている低賃金・不安定雇用を品川区は率先して拡大してきたことも問題です。なかでも介護現場の人手不足は深刻。品川区の介護専門学校さえ定員割れという状況です。こうした事態の改善のために、自治体が率先して低賃金の不安定雇用を前提にした民間委託拡大を見直すとともに、公務労働に携わるパート、アルバイトに対する均等待遇を求めるものです。
第四は、学校統廃合へ踏み出した問題です。
濱野区長は今年2月、施政方針説明で学校規模適正化の検討を表明。これを受けて区教委は平塚小と平塚中の小中一貫校に荏原二中を加えることを決定しました。これまで、区教委は学校選択制のもとで小規模校も支援すると述べてきましたが、これを覆し、生徒が集まらない学校の統廃合です。さらに、教育長は「学事制度審議会」を設置し、学校の規模と配置、その具体化を諮問。区民には非公開で区内全域での学校統廃合計画をまとめようとしています。
小規模校を選ぶ権利を否定し学校の統廃合をすすめる、こんな乱暴な教育改革は見直すべきです。あらためて、30人学級の実現を強く求めるものです。
第五は、区民の声に耳を貸さない区政運営の問題です。
濱野区長は、区長就任あいさつで区民の声を聞いて区政運営をおこなう旨の発言をしました。これは、区長選の際、学校統廃合が一大争点になったことを受けてのものでした。ところが、舌の根も乾かないうちに学校統廃合の推進に方向転換したのであります。高橋前区長をしのぐ強権的な区政運営であり、断じて認められません。
Uわが党は「住民こそ主人公」の立場で区政運営するよう強く求めるものです。以上で意見表明とします。