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菊地貞二区議 07年第4回定例会「基本構想・長期計画」「障害福祉計画」「広町再開発計画」

2007.11.22 菊地 貞二 区議

一般質問項目

  1. 基本構想・長期計画は、区民の願いに応えくらし・福祉第一に
  2. 障害者自立支援法の応益負担撤回、障害福祉計画は整備目標を示し具体化を
  3. ふたたび破綻した広町再開発計画大井町駅周辺のまちづくりを問う

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一般質問

日本共産党を代表して一般質問をおこないます。


基本構想・長期計画は、区民の願いに応えくらし・福祉第一に

はじめに「基本構想・長期計画は、区民の願いに応えくらし・福祉第一に」の質問です。

現在策定中の基本構想は品川区の将来像を示し、区政運営の基本となる重要なものです。総務委員会でも何点かお聞きしましたが一般質問にあたって2つの角度に絞って問題点を指摘し、改善を求めます。

第一は、高齢者や低所得の福祉を削減する問題です。

基本構想策定に先立って品川区が実施したアンケート調査報告書では、今後、特に力を入れてほしい重点施策として、高齢者福祉が28.8%とトップで高齢者福祉や低所得者福祉の要望が多いという結果でした。実際に区民の生活を見ると17年度、生活保護率は11.4%、就学援助は28.6%、国保滞納は25.44%と、アンケートに示されたように暮らしは深刻です。それだけに、品川区政に求められていることは、区民の願いに応え、くらし・福祉を守ることに他なりません。第3回定例会で、濱野区長は「基本構想と長期計画は、区民生活や福祉の向上をめざすものであることは、当然のこと」と答弁しました。

しかし、素案の記述には疑問がのこります。

素案は「福祉や防災、教育などの水準をさらに向上させることを前提」とのべているものの、区民のくらしについて認識の記述はなく、区民要望の強い福祉充実の方向性も目標も盛り込まれていません。それどころか「福祉のまちをつくることは、ひとり行政のみの努力で達成できない」として、本来なら行政の責任でおこなうべき仕事を地域での助け合い、支えあいに転化し、それを実現すべき都市像だと強調しています。さらに、基本構想策定の基礎資料となる「基本構想改定の課題」では、不況・不安定雇用による所得の低下と保護世帯による福祉関連予算の増大、高齢化による社会保障費の増大を強調し、高齢者関係と児童・家族関係の給付比率見直しの必要性まで説いて「健全財政のために行政改革」を強調しています。これでは福祉はさらに後退、高齢者や低所得者福祉は予算削減の方向です。

基本構想には福祉充実を明記すべきです。

第二は、オリンピック招致をテコにした大規模開発に歩調をあわせる問題です。

基本構想素案の案では、第1章で「環境の変化と不変の価値を踏まえて基本構想を策定する」とのべています。しかし、特筆すべき環境の変化として挙げているのが、羽田空港の国際化と新幹線品川駅の開業の2点。さらに、第2章「理念」で「国際都市・品川をつくる」ことを真っ先に掲げていますが、これは東京都の方針そのままです。

昨年12月、石原知事は長期計画を発表。オリンピックは東京が生まれ変わる絶好の機会だとして、「世界の人々が憧れ、訪れるTOKYO」を目標に掲げました。東京を訪れる外国人旅行者を、現在の450万人から10年後には1000万人に倍増させる。そのための施策展開として臨海部に都市型リゾート施設を促進するというものです。企画部の「基本構想改定の課題」でも、「外客の増加と連携した受け入れ態勢整備の構築が求められる」と、石原都政の計画と歩調を合わせています。

オリンピックをテコに3環状道路をはじめとする8兆5000億円を超える大型開発を計画していますが朝日新聞は「3分の2が計画の再検討や中止を求めている」と世論調査の結果を報じています。多くの区民が、くらしを支える施策を求めているのが示されました。

財界の思惑に沿った都市再生事業・再開発に税を投入する施策から地域経済に寄与する生活重視の公共事業へと転換し、中小企業支援策の拡充に軸足を移すべきです。

基本構想案は他にも、競争と差別・選別教育の推進。大規模開発と廃プラ焼却による環境破壊。都市計画道路の推進など重大な問題が盛り込まれています。Dまた、第三次長期基本計画の総括には核兵器廃絶と恒久平和確立の願いをこめた「非核平和都市品川宣言」の主旨がほぼ達成されたとして基本構想案ではまったく触れられていませんがとんでもないことです。テロ特措法のもと自衛隊が海外へと派兵され、平和の流れに逆行する中、今こそ宣言が光をはなち生きるときです。このことをしっかりと明記すべきです。

最後に基本構想案は、現在1ヶ月間にわたって、パブリックコメント。また、第4次長期計画も来年夏にパブリックコメントがおこなわれます。それぞれ10年から20年にわたる施策の基本です。より多くの区民意見が反映させるため介護保険の際に実施したような地域ごとの説明会が必要だと考えます。

そこで質問します。

  1. 福祉は救貧対策としてではなく、すべての住民が幸福で安定した生活を営むための基本的制度として充実すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
  2. 基本構想に福祉充実の方向性と目標を明記すること、第4次長期計画に特養老人ホームや区営住宅など福祉充実の具体的目標を設定することを求めます。
  3. オリンピックと大規模開発に歩調をあわせた計画は抜本的に見直すよう求めます。
  4. パブリックコメントにあたっては住民説明会を地域ごとに開催すること、寄せられた意見は区民に公開することを求めます。

障害者自立支援法の応益負担撤回、障害福祉計画は整備目標を示し具体化を

次に「障害者自立支援法の応益負担撤回、障害福祉計画は整備目標を示し具体化を」の質問です。

自立支援法が実施されて1年半余、あらためて応益負担撤回と障害者の人権が保障される障害者福祉を求めます。

まず第1は、自立支援法の根本にある「応益負担」の撤回を求めます。

区は1年前のわが党の質問に、応益負担は「持続可能な制度とするために必要で、区民の多くの理解を得られている」と答弁していました。

しかし、障害者と家族の全国的な運動と大きな世論の高まりの中で、今年の4月から負担軽減策がとられました。それでも区内の通所施設では、一月の利用料が1万円以上という人が半数を超えているところもあり、利用料が働く工賃よりも高いという人が多数生まれています。ある父母は、「成人している息子が働きに行くのに、工賃を上回る利用料を親が払っているという状況。働くための利用料を死ぬまで払いつづけなければならないのでしょうか」と訴えます。しかもこの軽減策は2年間の時限立法であり、根本的な応益負担はそのままです。

排泄、食事、入浴、移動、さらに労働や医療への支援などは、人間として生きていくためのぎりぎりの支援であって益ではありません。「応益負担」は、障害からくる不利益、不都合を本人のせいにするものであり、どう考えても納得できるものではありません。

わが党は一貫して「応益負担」の撤回を求めていますが、今国会には民主党が「障がい者応益負担廃止法案」を提出し、福田総理も「抜本的見直し」を総裁選の公約に盛り込んでいるという状況にあります。

そこで質問します。

  1. 障害者自立支援法に変わったことで区内の障害者全員の負担がどれくらい増えたのか、18年度と、19年度見込みのそれぞれの負担増の合計額を伺います。
  2. 品川区はこれまで通り、「応益負担」は必要と考えているのか。見解を伺います。
  3. 「『応益負担』が区民の理解を得ている」という根拠を示してください。
  4. 「応益負担」の撤回を国に求めるべきです。

次に、品川区が今年3月に策定した障害福祉計画の問題についてです。

自立支援法第88条で、障害福祉計画の策定を各自治体に義務付け、障害福祉サービス、又は相談支援の種類ごとの必要な量の見込み、それを確保するための方策、地域生活支援事業ごとの実施に関する事項、提供体制の確保に関する必要な事項などを具体的に定めることを求めていIます。さらに、計画を定め、又は変更しようとする時はあらかじめ住民の意見を反映させるための必要な措置を講ずるとしています。

他区は障害福祉計画を作成し、20年度までの各年度、さらに23年度必要な量の見込みの数値を明確に定め、確保のための方策を明らかにしていますが、品川区だけは、どの年度もすべて整備目標の具体的な数値が示されず、ただ「サービスの充実」「受け皿の整備と充実」など抽象的な記述のみとなっており、目標数値を確保するための方策も明記されていません。

例えば、品川区のガイドヘルパーの整備目標は、18年度の現状数値は記述していますが、19、20年度は記述なし。23年度に向けては一般的に「移動支援の充実」と記述されているだけで、対象も視覚障害者と知的障害者だけです。

一方で人口が半分強の港区では、18年度でも品川区の3倍近い実績がありながら、19・20年度と増やし続け、23年度には現在の1.4倍に増やす計画を具体的に示しています。対象も視覚や知的障害者だけでなく、全身性、精神、下肢機能、体幹機能、高次脳機能の各障害者と障害児にも広げ、地域における自立生活及び社会参加を促進すると明記しています。さらに利用料は、住民税非課税世帯は無料です。品川区の施策が決して他区より優れているとはいえません。

また、多くの区が何回も住民説明会や団体説明会を開いて意見を聞いて作成していますが、品川区では行われていません。

そこで質問します。

  1. 自立支援法で義務付けられ、どの自治体でも出している、20年度までの各年度、23年度の必要な量の見込みの具体的な数値、確保のための方策をなぜ定めないのですか。
  2. 障害福祉計画案について多くの区が何回も行った住民説明会や団体説明会を行わなかったのか、その理由をお聞きします。
  3. 障害者福祉を充実させるために、障害者の実態から、他の自治体と同様に年度ごとの見込み、23年度見込みの数値をしめし、それを確保するための方策を区民に明らかにするよう求めます。

最後に「障害福祉計画」に追加すべき課題を2点述べます。

  1. 入所施設、グループホーム・ケアホーム、ショートステイの増設・増床を行うことを求めます。
  2. 就労支援については、雇用を企業に働きかけると同時に、品川区が自ら範を示し、身体だけでなく、知的障害、精神障害それぞれに雇用の目標を定め、区役所に雇用の場をつくるべきと考えます。さらに、区内の社会福祉法人にも最低でも法定雇用率を超える雇用の確保を指導するよう求めます。

ふたたび破綻した広町再開発計画大井町駅周辺のまちづくりを問う

最後に「ふたたび破綻した広町再開発計画大井町駅周辺のまちづくりを問う」の質問です。

先の決算委員会でJRとの広町再開発協議が破綻した旨の報告がありました。

第三次長期基本計画では大井町駅周辺の特色として歴史的に商業の中心として発展してきたこと、また、駅前再開発により集客力を有した商業拠点に生まれ変わりつつあるとしています。しかし、近隣商店街が必死にがんばっても個店の廃業、倒産はとどまるところを知らず、地域経済は衰退の道をたどっているのが現状です。

日本共産党は再開発と大型店誘致による大井町駅周辺のまちづくり方針を転換し、既存の商店街支援に力を集中させるとともに、住民がつくりあげてきたコミュニティーの復活を模索できるまちづくり支援を進めるべきと考えます。そこで、再開発、地域経済の両面から問題点を指摘し、方針転換を求めるものです。

第一に、大井プレイス構想では品川区が一方的に開発計画を作り需要調査がおこなわれていないことは当時の資料でもあきらかです。そもそも再開発が可能かを先行させた提案そのものが再開発先にありきの姿勢であり、まちづくりとは言えません。

今回、JRが計画に乗ることが出来ないとした背景には当然のことながら4年間に及ぶ調査によってつくられた構想があってのことと思います。同時にこれらの調査と協議のために大井プレイス構想では2990万円の調査費、広町開発協議では6000万円余の予算が計上されてきました。

そこで、需要調査をふくめ全容についてお聞かせ願います。また品川区の発案により広町再開発計画に巨額な調査費用をつぎこんだ責任が問われますがその所在を明確にしてください。

第二に、広町再開発構想では旧イトーヨーカドーの出店地で凍結されているC地区と広町を結ぶ新たな東西幹線が計画されたとしています。広町開発と凍結されているはずのC地区開発が切り離すことの出来ない計画として模索しながら権利者にはなんの説明もおこなわれていないのは住民無視もはなはだしいものです。C地区住民からは「ほんとうに住民のためにまちづくりをするというなら、再開発以外の方法を住民に提案する時間はありあまるほどあった。反対してきた住民が高齢化しあきらめるまで放置するというのが区の姿勢だ。」と批判の声が寄せられています。

C地区に対する考え方、また道路計画をなぜC地区近隣住民に説明しなかったのかお聞かせください。

第三に破綻理由として先にのべた東西幹線の整備がおこなえないことがあげられました。

大井プレイス構想では東急線の地下化でサンピア通りを23m道路として拡幅、同時に163号線、新幹線高架橋近くから碑文谷街道をぬけ、国道15号線に至る東西幹線が計画されていました。開発規模が縮小されたとはいえ再開発をおこなうのなら新設道路の必要性は最初の協議段階で明確であり、可能性がないことも明確であったはずです。

こうした問題をかかえながら、なぜ開発計画を継続したのか、お聞かせください。

第四に東口第一地区では集客力の優れた大型商業施設と鳴り物入りで丸井を誘致しました。党区議団は丸井出店後の1990年に大井町駅周辺の大型店影響調査をおこなっています。170店から回答があり、丸井出店による影響があると答えた商店は15%、売上げが減少したのは43.6%、入店者が15%以上減少したと答えたのは47.1%と当時からきびしい営業環境となっています。

大井町駅周辺では大手流通資本が進出することによって区民の購買力が大資本に吸い上げられ、地域経済のバランスがとれた発展の条件をくずしたことは近隣商店街の現状からあきらかです。こうした大型店や大手チェーン店による影響を調査し対策を考え講じていくことは、大井町駅周辺で主体的に大型店誘致と区画整理・再開発事業をおこなった品川区の責任ではないでしょうか。

お聞きしますが大井町駅周辺の大型店が地域経済に与えた影響を総括したのか、大井町駅周辺の商店街がこれまで果たしてきた役割をどのように考えているのか、地域経済を再構築するために産業振興のまちづくり条例などを制定し、振興策と年次計画を明確にするよう求めます。

第五に東口第一地区は大型商業店舗と区有施設が併設される再開発でした。商業施設の撤退と出店に対しても当然の事ながら意見、要望を伝えていく権利を有していると思います。近隣商店にお聞きすると、ヤマダ電機は2年で撤退する契約であるという話や撤退後にはドンキホーテが進出するなどの話があります。いずれも真偽のほどはわかりませんが、近隣商店街はもとより区内産業にあたえる影響を考えると十分な説明が必要です。

丸井が所有していた権利関係はどうなっているのか、ヤマダ電機の契約はどのような内容なのか、丸井の撤退とヤマダ電機の出店に対し区はどのような意見をのべ関与してきたのか、お聞かせください。


答弁

区長(濱野健君)

私からは、基本構想と長期計画についてお答えをいたします。

初めに、福祉政策の範囲についてでございますが、ご指摘のとおり、福祉政策は所得の少ない方だけを対象にしたものではなく、広範な区民の皆様が幸せに安心して暮らせるようにする、広い範囲の領域を担うものでございまして、当然のことではありますが、今後もさらに充実させるべきものと考えております。

次に、この考えを実現するための方向性と目標を基本構想に明記すべきとのことでございますが、現在の基本構想案は、将来の都市像として「みんなで築く健康・福祉都市」を目標に掲げております。また、この目標を実現するための基本方針として、区民の健康づくりの推進や安心して暮らせる福祉の充実など4つの方向性を明示しております。

次に、長期基本計画に特別養護老人ホームや区営住宅などについての具体的な目標を設定すべきとのことでございますが、長期基本計画の構成や表現方法につきましては、基本構想等策定委員会をはじめとする多くの区民の皆様のご意見を伺いながら検討すべきものと考えております。

 次に、オリンピックなどと歩調を合わせた計画は抜本的に見直すべきとのご指摘ですが、区の基本構想はオリンピックに従属するものではございません。現在の案も、区民の皆様と区が主体的に策定したものでございますので、見直す必要はないと考えております。

次に、住民説明会を地域ごとに開催することについてでございますが、私は、基本構想を実現するためには区民の皆様との協働が大切と考えておりますので、単に説明するのではなく、各地域の皆様の声をしっかりと受けとめてまいります。

最後に、パブリックコメントで寄せられたご意見を公開すべきとのことでございますが、区の区民意見公募手続の実施に関する要綱によりまして、公表することとしております。

なお、福祉のまちづくりに関して、行政のみの努力で達成できるものではないとする基本構想案の認識についてご指摘がございました。私は、福祉のまちづくりに限らず、どの都市像の実現にも区民の皆様の力が必要だと考えております。これは協働という言葉を使うまでもなく、今日のこのように発展した品川区が、区民と区が力を合わせたその成果であることを思えば、おのずから明らかなのではないでしょうか。もとより私は都市像の実現に全力を挙げますが、「行政がすべてを行うから区民の力など必要ない」というような独善的な区政運営を行う考えはございません。

それから、基本構想の案文に差別・選別教育の推進などが盛り込まれているとのご指摘ですが、区は一貫してそうした政策を採用したことはございませんし、策定委員会でのご発言はもとより、アンケートなどで寄せられたご意見や子どもたちの作文にもそのようなことを示唆するものはございません。

その他の質問につきましては、各事業部長よりご答弁申し上げます。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

私からは、障害者自立支援法の応益負担に関するご質問にお答えいたします。

自立支援法における利用者の負担増についてのお尋ねでございますが、平成17年度の支援費および自立支援法の給付費につきましては、施設類型や基準額等が異なっているため、単純な比較は困難な状況です。ちなみに、平成18年4月から19年3月までのホームヘルプ等の支給総額は約1億8,470万円、利用者負担総額約1,324万円、利用者延べ人数2,661人となっております。19年度の見込みにつきましては、支給総額約1億8,500万円、利用者負担見込み額1,050万円、利用者見込み延べ人数3,700人となっております。

次に、利用者負担における定率負担に関するお尋ねでございますが、国においてさまざまな議論があることは承知しておりますが、負担できる方には負担をしていただき、負担できない方にはさまざまな配慮措置をしているのが現行の障害者自立支援法の内容です。しかも、国は1割負担の低減、また、品川区においても通所サービスを中心に低所得者の措置を拡大しているところです。このような中で、一定の負担をしていただくことは必要であると考えております。

なお、定率負担が区民の理解を得ているとの根拠はとのご質問でございますが、障害者福祉サービスの拡大には、多くの区民の方のご理解が必要です。この点から、利用する方にも可能な範囲での負担が必要との考えに基づくものです。

また、国に応益負担の撤回を求めよとのことでありますが、現在その考えはありません。

次に、障害者福祉計画についてのご質問でございますが、本区では平成19年3月に品川区障害者基本計画を策定いたしました。この中で具体的な数値目標を掲げていない理由とのお尋ねでございますが、国は介護保険をベースに障害者自立支援法をまとめた側面があります。その結果、介護保険と同様に3年間の数値目標を求めていたわけでありますが、このことは第1に、本区の障害者福祉サービスは既に相当の水準にあるとともに、総合実施計画により十分に担保されていること、第2には、障害者サービスは65歳になれば介護保険サービスに原則移行することや、高齢者のようにその対象人口が著しく拡大するという背景もないこと、第3には、介護保険のように保険料算定をする必要がないことなどから、数値目標を掲げなかったところであります。なお、数値目標を今後明らかにするべきというご指摘につきましては、法制度の動きを見守ってまいります。

なお、今回の障害者基本計画策定過程におきまして、品川区障害者基本計画策定委員会を設置し、障害者団体の代表や公募委員を加えて検討を進めたところです。さらに、住民への説明については、民生委員協議会での説明、障害者7団体での継続的な説明会等を開催したほか、パブリックコメントも実施いたしました。

次に、入所施設、グループホームなどの増設に関し、計画化せよとのご質問ですが、今後の施設整備においては、地域での生活を支援するという基本的な考えのもと、グループホームは重要性を増してくると考えており、長期計画の改定の中で検討してまいります。なお、ショートステイについては今年度、かがやき園で1床増設しております。

次に、区職員の障害者雇用状況についてですが、職員の採用に当たっては、身体障害者を対象とする23区共通の選考を経て採用しており、当区職員の現在の障害者雇用率は3.33%です。区市町村の法定雇用率2・1%を超えておりますが、知的障害者および精神障害者は採用選考の対象に含まれておりません。

今後、これらの障害がある方々を公務員として任用する場合の職場環境や、個々人の能力の活用方法等について研究していく必要があると考えております。

また、区内社会福祉法人における法定雇用率につきましては、直接処遇の職場がほとんどであるため困難な側面もありますが、障害の性格に応じた職域の開発などにつき、社会福祉法人とも研究してまいります。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

私からは、広町の開発構想と大井町のまちづくりに関するご質問にお答えいたします。

品川区の中心である大井町の駅前に、区民が立ち入ることのできない広大な土地が広がっていることは、大井町駅周辺のみならず、品川区全体にとっての大きな損失でございます。区としましては、社会経済状況に気を配り、常に広町地区の開発の可能性を探るとともに、あらゆる機会をとらえ、JR東日本への働きかけを行っていく必要があると考えております。

そこで、大井プレイス構想と広町開発構想の経緯についてですが、大井プレイス構想は、当時の国鉄清算事業団が大井工場の敷地を売却する可能性があるという状況を踏まえ、区がまちづくりのイニシアチブをとるという意思を表明するためにまとめた構想でございます。

また、このたびの広町開発構想の検討は、大井町駅周辺のまちづくりを考える上で重要な役割を担うことが期待できる広町地区をどのように位置づけ、どの方向に誘導していくべきかを検討したものであり、その費用のほぼ半分、3,000万円につきましては、共同作業ということでJR東日本が負担しております。

これまでのところ、JR東日本は既存施設の機能継続の意向が強く、直ちに開発に着手するという段階ではございませんが、今後JRが開発計画を検討する際には、今回検討した成果が前提となりますので、今後の大井町駅周辺のまちづくりに大きく貢献するものであると考えております。

次に、C地区の考え方ですが、今回の検討では、広町地区と周辺地区との関係も検討課題としております。C地区といいますのは、ご案内のとおり、昭和56年に策定しました大井町駅周辺地区再開発基本構想の中で位置づけた駅東側の密集市街地でございますが、この地区につきましては、防災安全上の向上と区商業の活性化が課題であると認識しております。

なお、C地区と広町地区を結ぶ道路整備につきましては、今回の種々のシミュレーションの1つとして検討はいたしましたが、具体的な方針が定まっていない段階で住民の皆様に説明することは適切ではないと考えております。

次に、道路整備が困難であることに関してのご質問ですが、大規模な開発を検討する場合には、それに必要な道路等の公共インフラの整備を行うことは最も重要であり、広町地区内に加え、C地区の開発も視野に入れたさまざまな検討を行ったものであり、大井町の全体のまちづくりを考える場合には、このような広い視野で検討することは当然であると考えております。

次に、大井町駅周辺の大型店が地域経済に与えた影響についてのご質問ですが、基本的には商業集積地間の競争の面から評価する必要がございます。渋谷、恵比寿、銀座、蒲田、自由が丘など強力な商業集積地との関係を見ますと、大井町駅周辺は、区内購買力の域外流失をとどめるとともに、区域外からも集客していると評価しております。

次に、大井町周辺の商店街がこれまでに果たしてきた役割についてですが、これまで区民の消費生活を支えるとともに、大井どんたくなどの地域のにぎわいに大きく寄与されてきたと考えております。最近では、東京大学との産学連携や商店街のホームページをいち早く開設するなど、区内の商店街をリードし、地域の活性化で成果を上げておられます。

また、大型店と個店との関係では、品川区商店街連合会が大型店と共存共栄をめざして、個々の店舗の魅力を高め、アピールするための方策として、イトーヨーカドーで「品川いいもの巡り」を開催するなど、新しい取り組みを展開されているところでもあります。

次に、産業振興のまちづくり条例制定についてのご質問でございますが、区では、商業、工業をはじめとした産業振興を区の重点施策と位置づけ、積極的に取り組んでまいりました。今後もさらに充実した支援策を展開してまいります。お尋ねの産業振興条例については、必ずしも内容は明らかではありませんが、現在のところ制定する考えはございません。

次に、丸井が所有していた権利関係についてのお尋ねですが、丸井の所有権はパシフィックマネジメント株式会社に譲渡され、区以外の地権者と共同してヤマダ電機と賃貸借契約を締結していると聞いております。詳細につきましては、民間企業相互の契約ですので、答弁は控えさせていただきます。

次に、ヤマダ電機の契約についてのお尋ねですが、詳細は承知してございませんが、ヤマダ電機としては、このLABI品川大井町を、現在、都市型の旗艦店舗と位置づけており、短期に撤退する考えはないと聞いております。

次に、丸井の撤退とヤマダ電機の出店に対する区の意見と関与についてのお尋ねですが、丸井の撤退に当たっては、品川区の中心部である大井町のにぎわいを損なわない商業施設が必要と考えておりました。このような立場から、丸井に対し、撤退後も1号棟・2号棟あわせて、従来どおり一店舗の商業施設として引き継ぐよう働きかけてきた経緯がございます。


再質問

菊地貞二君

自席から何点か再度質問をさせていただきます。

まず、区長がお答えを下さった基本構想の点でありますけれども、福祉の点については今後も充実をさせていくんだというお話がありました。基本構想は当然のことながら、これを基本にしてこれからいろんな施策がつくられていくという内容でありますけれども、当然のことながらこの基本構想を軸にして福祉の充実という施策が図られるんだと思います。この基本構想の中にこれが最大の理念としてなければ、実際には具体的な施策として生まれていかないのではないかというふうに思いますけれども、この点は再度ご答弁を願いたいというふうに思います。

それから、自立支援法についてですけれども、自立支援法の中で応益負担についてありましたけれども、国においてさまざまな議論が行われているということでありましたけれども、区民の理解を得たという前回のお言葉もそのまま使っておられましたけれども、個人ではどうにもならないから、国や行政が健常者と同じように暮らしていける、こういう支援が必要なんですね。ですから、この1割負担というのは、実際に自立支援というよりも、自立することを阻んでいくような内容を持つものです。ですから、国に対してこの1割負担をやめていくように求める、このことは当然やっていかなければならない中身だというふうに思います。改めてご答弁を願いたいと思います。

それから、数値目標のところですけれども、いろいろありましたけれども、品川区を除く22区が数値目標を持っている。これは法律で定められたからですよね。目標を持たずに施策の遂行ができるというのだったら、その根拠をちやんと示していただきたい。

それから、グループホームの点についてです。これは第3次長期基本計画で制定をしていくというんですけれども、実際に現時点で、じやあ、グループホームに入りたい、こういう方の人数などを把握していて、その上でこう言っておられるのかどうか、ここもお聞かせを願いたいと思います。

それから、大井町のまちづくりの点でありますけれども、これからもJRに働きかけていくんだということですけれども、実際にこれまで多額の予算を計上して、調査委託まで行ってきたわけですね。全容についていえば、今、部長から答弁があった部分というのはこれまでも言われてきた部分なんです。

ですから、今言われたことというのは、決して全容を示したことにはならないんですよね。実際に二度目の破綻をしたというのは現実にあるわけですから、どこまで調査をされ、描かれた構想、これをはっきり示すことが、実際にこれまで多額の税金を投入してきた裏づけにならないというふうに思いますけれども、いかがでしょうが。


再答弁

区長(濱野健君)

基本構想における福祉についての考え方でございます。議員が福祉という言葉でどの程度の範囲のことを指しておられるかは明確ではありませんけれども、先ほどご答弁申し上げましたように、福祉政策を単にいわゆる救貧的な施策ということよりは、より広くとらえて、区民の方々が幸せに安心して暮らせる、そういった意味での福祉ということで、これについては十分に重視をして取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。

福祉高齢事業部長(木下徹君)

障害者自立支援法に関するご質問でありますが、まず、定率負担の問題についてでありますけれども、これは再三申し上げておりますけれども、やはり私どもとしても、障害者の方に対するサービスの充実、拡充ということについては必要だというふうに基本的に認識しておりまして、そのことのためには、やはり−定程度の負担ができる方については負担をしていただくことの方が、より今後の制度の維持、発展性を担保できるものだというふうに考えておりまして、そのようなことで進めているということであります。

それから、あと、数値目標の問題でありますけれども、先ほど、今回、品川区としては数値目標を置かなかった、その理由については3点申し上げましたけれども、もう1点申し上げるならば、施設類型については、今まで通所授産、通所更生などの施設類型があったわけですけれども、今回その部分については、23年までに組みかえをすることになっております。品川区も来年度に向けてそのことを予定しておりますけれども、そういうような体系が大きく変わる中で数値目標の整理をするというのは、非常に難しい問題を抱えているということも−方で事実であります。そういう動きの中で、個々的な施策目標を定めていく必要がある。したがって、そういう意味では、現時点では総合実施計画の中でやっていく方が合理的であるというふうに考えております。

じゃあ、グループホームについて人数はどうなのかというお話がございましたけれども、自立支援法の基本的な精神は、定率負担の問題はありますけれども、そのこと以上に、今後は障害のある方も施設に生涯入るのではなく、地域の中で暮らすことができる方については暮らしていただくということで、この間、例えば区立のかがやき園、30人の定員がございましたけれども、この中から地域移行が可能な方についてグループホームにつなげるというような形で、自立した生活をしていただく支援をしてまいりました。こういうように、個々的にグループホームにつなぐことができる人、あるいは今、在宅で親御さんと暮らしている方の中にも、親御さん自身が高齢化の中でそういうような地域での生活を望む方、そういう方について個々的に対応していくということでありまして、数として何人という数字が明確に出てくるというものではございません。ご本人さん、家族、そういう方々の気持ちを踏まえながら対応していくというのが基本的な考え方であります。

まちづくり事業部長(岩田俊雄君)

広町の開発の件についての再質問にお答えしますが、議員は破綻をしたというふうにおっしやつておりますけれども、先ほどご答弁申し上げましたように、昭和50年代後半、国鉄の膨大な債務を償還するために、ある日突然、新聞一般紙に処分されるべき国鉄敷地のリストの中にこの大井工場が入っていたということで、当時、区としても、これがもし売却をされ、民間業者による乱開発が行われることを恐れて、上位計画として、直ちにあるべき姿の計画をつくらなければいけないということで検討したのが大井プレイス構想でございます。

結果的には、JRの債権、国鉄の債権処理のリストからは大井工場は外れたということでございまして、一方、今回の検討した内容につきましては、地主であるJR東日本と品川区が、この大井工場全体だけではなく、一部の開発をされる場合にも、大井町全体に与える影響、特に交通問題に対する影響というのは非常に大きなものがございますので、いろんな、さまざまなパターンの開発をした場合に、どういった整備が必要になってくるかということを両者で前提条件をきちっと整理しましょうということで計画を始めたものでございまして、現在のところJRとしては、大井工場そのものの変更といいますか、業種転換は考えておりませんので、福利厚生用の広町アパートについては、将来開発の可能性があるということでございますから、広町のアパートの敷地を中心とした開発を行う場合に、どういった開発が品川区にとって望ましいか、また、JR側にしてみれば、開発メリットが出てくるかということで、その場合の基幹であるインフラの整備をどうするべきかということを両者で検討したものでございまして、時期はまだ未定ですけれども、JRが本格的な開発計画をつくる段階では、この両者で合意した内容をベースに計画が進められるということになりますので、決して破綻をしたというような考えは持っておりません。


再々質問

議長(伊藤昌宏君)

菊地君に申し上げます。再々質問でございますので、簡潔にお願いいたします。

菊地貞二君

自立支援法のところでもう一度質問させていただきますけれども、一定の負担と言いますけれども、実質的に障害を持った方個人の収入から世帯の収入へと収入総額が切りかわったために、この負担増が生まれてきたわけですよね。このことをやっぱり基本にして考えていただきたいというふうに思います。

それから、ちょっとお聞きしたいのはグループホームのところなんですけれども、人数は明確に出ないと言いますけれども、人数が明確に出ないのではなくて、人数をつかもうとはしていないということなんでしょう。そこを明確にしてくださいよ。実際に私も、障害者の皆さんとか団体の皆さんのところにお聞きに行きましたよ。その中で、結局は、グループホームに入所しようとすれば、地方へ行かざるを得ないとか、望んではいるけれども、なかなか入所できない、こういう声を聞いています。きちんと人数を把握して、その上で基本的な施策、計画を立てていく、このことが必要じやないでしょうか。もう一度ここはご答弁願います。


再々答弁

福祉高齢事業部長(木下徹君)

再々質問にお答えいたしますが、まず、グループホームの件についてでありますけれども、確かに今後どのぐらいのニーズがあるのかということについては、これは推計する必要があるかと思うんですけれども、現状どういうことになっているかということについて、再認識をしていただきたいと思うんですけれども、やはり例えば在宅で暮らしている知的障害の子がおられるとすると、その子のご意思というものも当然ありますけれども、家族の方がなかなか、家から外に出すということについてはかなりの抵抗感があるのも事実でありまして、しかし、そういう中でもやはり自立した生活をした方がご本人の将来のためにはよろしいという、そういう、言ってみれば、個々にケアマネジメントするといいますか、そういうことが必要だということでありまして、そういう意味では、単純に数値的な数の把握というのは難しいということを申し上げたわけであります。

それから、あと、いわゆる定率負担の関係で、世帯で把握するということで、個々的には世帯分離をされる方が出てきたりとか、そういう動きもあったことは承知しておりますけれども、再三申し上げておりますように、やはり負担できる範囲で負担をしていただく。品川区の場合にも、例えばホームヘルプについては3%の枠を大幅に拡大するほか、在宅で通所を利用されている方については、一律3,000円の減額をするなどの支援をしているところでありますので、こういう全体の政策の中でご理解をいただければというふうに思っております。

議長(伊藤昌宏君)

以上で菊地貞二君の質問を終わります。

以上

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