2007.12.07 安藤 たい作 区議
日本共産党品川区議団を代表して、第84号議案「品川区立学校設置条例の一部を改正する条例」に反対する立場で討論を行います。
この条例は、平成20年度から、八潮北小・八潮小・八潮南小の3小学校を1つの小学校に、八潮中・八潮南中の2中学校を一つの中学校にし、さらに平塚中と荏原二中を一つの中学校に統廃合するものです。その上で、平成21年度からは八潮地区小中一貫校が、そして平成22年度からは荏原西地区小中一貫校が平塚小を加える形でスタートし、最終的には2つの小中一貫校に集約。つまり、8つの学校が2つになり、6つもの学校が地域から消えることになります。
区は、これまでは「地域から要望がない限り学校統廃合はしない」と説明していました。ところが濱野区長は、コスト削減を理由に小規模校は統廃合する方針へと転換。本条例は、この方針を初めて具体化するものです。
以下、反対の理由を3点にわたって述べます。
1点目は、コスト削減を理由に統廃合することです。
企画部長は、学校統廃合を検討する審議会の設置をめぐり意見が割れていた教育委員会に出席。「区長部局からの提案」として「小規模学校の統合・再編によりコスト削減が求められている」と発言し、コスト論で学校統廃合を進める考えを示しました。
コスト論で考えれば、学校は少なければ少ない方がいいということになります。教員定数だけみても、平塚中と荏原二中の統合により、11人減らせる計算です。
品川区の貯金は600億円に達し、06年だけでも150億円近く積み増し。それを「健全財政」と胸を張っています。未来を担う子どもたちを育てる教育へのコストを削って「健全財政」とは、話があべこべではないでしょうか。
2点目は、「小規模校は問題」とレッテルを貼り、統廃合を進める問題です。
区教委は「特色ある学校づくりを目指す」などとして、学校選択制を導入。「小規模校は一人になっても支援する」と説明してきました。
ところがここにきて教育長は「小規模校は教育目標を達成しづらくなっている」と発言。2月2日の区の資料では「小規模化により、児童生徒の適切な競い合いや、切磋琢磨、多様な個性との触れあいという環境が乏しく、成長への影響が懸念される。」と述べ、手のひらを返したように、あたかも小規模校は問題ばかりであるかのように言い始めました。
しかし、小規模校といわれる学校では、そのよさを生かして一人ひとりに目が行き届く教育を展開、一生懸命子どもの豊かな成長を支えるための努力を重ねているのです。「小規模だから選んだ」という保護者も多数いることは、区も認めています。今回統合となる八潮北小も、少人数ゆえの決め細やかな教育活動が父母からも大きな支持を受けている学校です。
一方的に「小規模校は問題」とレッテルを貼り、事実を歪めてまで、学校の統廃合を進めるのは、親の願いも学校現場の努力をも踏みにじるもの。許されることではありません。
3点目は、トップダウンで決まったことを押し付ける進め方の問題です。
荏原二中・平塚中で統廃合になる学校の子どもの話を紹介します。
「朝礼に区の人が来て、10分くらい下を向きながら、合併する理由を話していた。説明後、『質問は?』と聞かれたが、誰もできなかった。少し待った後、『ありませんね』といって帰っちゃった。待っていた時間は10秒・・いや5秒くらいだったと思う。説明はそれ一回きりで、それ以後、自分たちへの説明は何もありません」
今回の統廃合は、一事が万事、このような「統廃合という方針先にありき」のトップダウンで進められてきました。とりわけ、本来学校教育の主役として尊重されなければならない子ども不在で進んできたことは重大であり、猛省すべきです。
現在も、学事制度審議会という非公開の場で、統廃合計画が現在進行形で進められています。
トップダウンで進んでいく学校統廃合は、とりわけ教育という分野ではもっともふさわしくないやり方であり、子どもと地域の将来に大きな禍根を残すと考えます。
子ども・学校・PTA、そして地域全体で統廃合の是非を含めて長時間議論する、区民と一緒に教育・学校のあり方を考えていく姿勢に転換すべきです。
今、いじめや不登校、学習意欲の低下など、子どもをめぐって解決が待たれる問題は少なくありません。また、先日結果が公表されたばかりのOECDの学習到達度調査でも、あらためて競争的な教育手法が否定される結果となりました。日本共産党は、学校統廃合で学校の数を減らすのではなく、今こそ30人学級による学び合いの教育を実施し、教師も子どもも一人ひとり主役になれる教育環境づくりこそ求めます。
以上で反対討論を終わります。